c 関西学院大学 石浦 菜岐佐) 「論理回路」ノート (2016 年度, http://ist.ksc.kwansei.ac.jp/∼ishiura/lc/ 導入—「計算機の加算回路はどのように作られているか」 0 0.1 2 進数 10 進数 ( number) 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 8, 9, 10, 11, · · · , 99, 100, 101 · · · 119210 = 1 +1 (an−1 an−2 · · · a1 a0 )10 = +9 +2 n−1 X i=0 8 進数 ( number) 0, 1, 2, 3, 4, 5, 6, 7, 7108 = 7 ,···, , +1 (an−1 an−2 · · · a1 a0 )8 = , +0 ··· , = 10 n−1 X i=0 2 進数 ( number) 0, 1, , , , +1 11102 = 1 (an−1 an−2 · · · a1 a0 )2 = , , +1 ,··· , +0 = n−1 X i=0 ☆ 16 進数, 2 進数と 10 進数の相互変換, 負の数 の 2 進表現については, 1 章「数の表現法」で学ぶ 0.2 2 進数の加算と加算回路の基本構成 10 進数の加算 (1) +) 1 · · · 桁上り ( (0) (1) 5 5 5 2 8 7 0 8 5 ··· 和 ( ) ) 2 進数の加算 +) 1 0 1 1 · · · (1110 ) 1 1 1 0 · · · (1410 ) ··· ( 0–1 10 ) 10 2 進数加算回路の基本構成 1 0 1 1 1 1 1 0 ❄❄❄ FA ❄❄❄ FA ❄❄❄ FA ❄❄ HA ❄ ❄ ❄ ❄ ❄ このような加算器を桁上げ伝播加算器 ( HA: ( ) と呼ぶ ) 2 つの 1 ビット入力 a, b の 1 ビット和 (sum) s と桁上り (carry) c′ を計算する回路 a b 0 0 0 1 1 0 1 1 c′ s ☆ このような表を ) と呼ぶ ( ☆ a と b の値が決まると, c′ と s の値が一意に決まる. すなわち, c′ = hc′ (a, b) s = hs (a, b) と書ける. このように, 論理値 {0, 1} だけを扱う関数を 関数 ( ある ) という. 論理関数の表現法や様々な数学的性質については, 2 章 「論理代数と論理関数 (1)」, 3 章「論理代数と論理関数 (2)」, 11 章「論理関数の諸性質」で詳しく勉 強する. いは FA: ( ) 3 つの 1 ビット入力 a, b, c の 1 ビット和 (sum) s と桁上り (carry) c′ を計算する回路 a b c 0 0 0 c′ s a b c c′ s 0 0 0 0 0 0 0 1 0 1 0 0 0 0 1 1 0 0 0 1 1 1 0 0 0 1 1 0 1 1 0 1 0 1 0 0 1 1 1 0 1 1 0 1 1 0 1 1 0 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1 1 ⇒ 0–2 ☆ c′ = fc′ (a, b, c) は, 3 つの論理値 (a,b,c) の になっている. このような論理関数を多数決関数 ( function) という. のときに 1 になっている. ☆ s = fs (a, b, c) は, 3 つの論理値 (a,b,c) の合計が このような論理関数をパリティ関数 ( 0.3 論理ゲート—「部品」 and ゲート (論理 y a b a, b の a b 0 or ゲート (論理 ) y =a·b a b not ゲート (論理 0 0 0 0 1 0 1 0 1 0 1 0 1 1 1 1 1 a b y a y=a a が 1 の時 y が 1 yはaの 論理和) a b 0 0 0 1 1 0 1 1 a, b の a, b の ) y =a+b b y が 1 の時 y が 1 y ) a exclusive-or ゲート ( 0.4 function) という. y =a⊕b が 1 の時 y が 1 論理代数—論理演算の性質 論理演算の色々な性質 意外な性質 x·0= x + xy = x·x= (x + a)(x + b) = x+1= (x + a)(x + b)(x + c) = x+x= x= ··· x + xy = xy + yz + xz = ··· 2 章「論理代数と論理関数 (1)」, 3 章「論理代数と論理関数 (2)」, 5 章「論理式の簡単化 (1)」で詳しく勉 強する. 0–3 0.5 論理ゲートによる加算回路の設計 半加算器 HA の設計 a b c′ s ab a⊕b 0 0 1 0 1 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 0 1 1 1 1 1 0 1 0 HA a b c′ = s= c s 全加算器 FA の設計 a b c c′ s ab + bc + ca a⊕b⊕c 0 0 0 0 0 0 0 0 0 0 1 1 0 0 0 1 1 0 0 1 1 0 1 1 0 1 0 1 0 0 1 1 0 0 1 1 1 0 1 1 0 1 1 0 0 1 1 0 0 1 1 1 1 1 1 1 a b c FA c′ = s= c’ s ☆ 論理回路の設計法については 4 章「組合せ論理回路」で学ぶ. 4 ビット加算回路の全貌 a3 b3 FA a b c a2 b2 FA a b c a1 b1 FA a b c a0 b0 HA a b c c’ s4 s s3 c’ s c’ s2 s s s1 s0 ☆ 実際の加算回路は, もっと高速に動作するよう工夫されている. 10 章の「算術演算回路」では, 加算回路の 他に減算回路, 乗算回路, および高速な加算回路の構成法について学ぶ. ☆ この他, 記憶を持った回路について 7 章「順序回路」, 8 章「順序回路の設計 (1)」で学ぶ. Nagisa ISHIURA 0–4
© Copyright 2024 ExpyDoc