校長室便り 11号

平成27年度
No.11
平成27年6月25日
大麻東小学校
校長
親が子どもに贈れる「3つのプレゼント」
品田 敏
~その1
今の世の中、苛立つこともあれば腹の立つことも多い世の中です。暮らしも決して楽で
はないし、将来にも不安がいっぱいです。かわいい我が子であるはずなのに腹立たしくな
ることもあります。他のことに腹を立てていて、関係のない子どもにあたってしまい、情
けなくなってしまうことだってあります。親も毎日懸命に生きていかなければならない時
代です。
しかし、親である以上これだけは!といえるものがあります。それさえあれば何とか親
になれるという基本的なものです。名付けて「親が子どもに贈れる3つのプレゼント」で
す。
1つ目は「応えてやる」ということです。
「応答的環境」という言葉があります。幼児教
育や保育などでよくつかわれる言葉ですが、子どもが働きかけると応えてくれる、だから
いっそう働きかけたくなるという環境のことです。遊具でも、
「応答的」な遊具が、子ども
の発達に良いと言われます。砂場、積木、竹馬、お絵かき、みんな応答的です。働きかけ
ると変化したり応えてくれたりします。だからもっと働きかけたくなります。意欲や積極
性、それに知力も育てる良い環境です。
働きかけても答えの返ってこないもの、逆にわずかな働きかけしか必要ないのに、ぼう
大な答えの返ってくるものは、子どもの発達にとって良いものとはいえません。テレビな
どはその代表的なものです。テレビのない生活は考えられなくなっています。子どもの成
長にとって良い番組もあるし、見せたくないものもあります。テレビは「応答的」とは決
して言えない欠陥をもったものだということは知っておく必要があります。
子どもにとって最も応答的であってほしいのは親です。
子どもが話しかけたら、適切に応えてくれるお母さん、お父さん、これほど素晴らしい
環境は他にはありません。応えてやること、これは子育ての決め手です。それは、もっと
働きかけたいという意欲のもとになります。また、知力など子どもの能力を育てます。そ
して、応えてくれる人への信頼感を育てます。いわば一石三鳥の子育ての魔法なのです。
子どもの話しかけにできるだけ応えてあげましょう。
「今晩のおかずは?」と聞いてきた
ら、面倒がらずにちょっと気持ちを切り替えておかずの話をしてあげましょう。歩いてい
て道端に子どもが面白いものを見つけたら、ほんの少し一緒に立ち止まってあげましょう。
なにしろ一石三鳥の魔法ですから、やりがいのあることなのです。
(『いまほんとうの教育を求めて』より)