「先人たちの見たミクロの世界」

授業日:1月29日(月)
「先人たちの見たミクロの世界」
講師:自然科学研究機構岡崎統合バイオサイエンスセンター 兼 生理学研究所 永山 國昭 先生
I.
講義内容
1 生命の世界 単位と大きさ
・ 生物五界説 二界説→三界説→四界説→五界説と発展してきたのは顕微鏡が発達し
より細かい世界が見られるようになったため。よって顕微鏡の発達の歴史は生物分
類のものと重なる。
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二界説
三界説
四界説
五界説
・生物は基本的に小さい―生物の単位は細胞なので、昔から現存している種ほど体は小さくなる。
恐竜、哺乳類などはとても大きな部類に入り、全生物の 99.99%は人間よりも小さい。
アリ(体長 1 ㎜の生物)が大体生物の平均的な大きさ。(大腸菌1μm、ヒト 1m と考えた場合)
2 顕微鏡の歴史
・光学顕微鏡は光の波長(0.5μm)より細かいものは見られない。電子顕微鏡は光の波長より小さ
いもの(ウイルス等)を見るためにつくられた。
・ロバート・フック(英)が 1665 年コルク切片から細胞を発見。その後シュライデン(独)が 1838
年に植物の、シュワン(独)が 1839 年に動物の細胞を発見、
「細胞説」を唱え、細胞を生物の基
本単位とした。
・レーウェンフック(蘭)はロバート・フックと同時代に自作の顕微鏡で様々なものを観察した。
3 顕微鏡の原理
・ ピンホールカメラの原理
ピンホール(針穴)を置くと箱の内側にはその穴を通るある方向の光線
のみが通る。ある場所から反射してきた光がスクリーンの一点に集まる
ことで像が映し出される仕組みになっている。レンズが使われていないにも関わらず像が
できることからも顕微鏡のレンズの用途が主に拡大ではなく集光であることが分かる。
・ 単式顕微鏡の原理
レンズを通ると光はスクリーン上の一転に集中し焦点を結ぶ。像の
向きはピンホールカメラと同じだが、レンズ全体に当たった光が
一点に集中されるので光量が多くなり像は明るくなる。
・ いずれの場合も拡大率は
レンズ(ピンホール)とスクリーンの距離÷レンズ(ピンホール)とモノの距離=I/O である。
・ ピンホールカメラは焦点を結ばないので距離に関係なくものを観察することができるが、そ
の反面光量が少なく画像が暗くなる。それに対しレンズを使った顕微鏡はレンズにより光を
集中させて像を明るくすることができるが、焦点を結んでしまうため試料との距離に制限が
生まれてしまう。
4 レーウェンフックの顕微鏡
・細胞の働きが発見されたのは 19 世紀の中頃であり、ロバート・フックがコルク切片から細胞
の存在を発見した 17 世紀から 200 年もの隔たりがある。最初に細胞が発見された時代にレー
ウェンフックが考案したのがレーウェンフック顕微鏡である。レーウェンフックは学者ではな
かったのだが、顕微鏡で小さな生物の世界を報告し続けた。
・現在の顕微鏡と違い、レーウェンフック顕微鏡は一つのレンズのみが使われた簡単なつくりに
なっているが、試料台、試料を移動させる仕組み、焦点合わせる仕組み等現在の顕微鏡が持っ
ているものとほとんど同じ機能を持っている。
・レーウェンフック顕微鏡での実習
紙、ミドリムシ、葉(金木犀)の気孔を観察する。
ミドリムシの観察―――
ミドリムシが泳いでいる様子がよく観察できた。
水滴が乾燥してくると、丸まって死ぬ様子が
見られた。
金木犀の葉の観察―――
ボンドで写し取られた気孔が観察された。
II. 感想・新たな疑問点
1.感想
・今回はいつもと違う実習を多く伴った講義だった。限られた時間の中で講義と実習を行うのは
大変だが、とても楽しく科学に触れることができた。世界で最初の顕微鏡ということで、日頃
実験で用いるものとは似ても似つかないものだったが、これを使って小さな世界を見られるこ
とには驚いた。現在の器具が生まれるまでには多くの試行錯誤が繰り返されて来たのだろう。
2.発展的な考察
・今回の観察ではミドリムシや葉など身近なものを先人達が使ったレーウェンフック顕微鏡で見
ることができ、とても良い体験になった。ミドリムシの鞭毛が見えなかったのが残念だったが、
先人と同じ器具を使えたことが嬉しく、そして意外にも良く見えたのには驚いた。持ち運びに
ついてもとても便利なので、いつでもひとつ携帯しておいて見たいものを見られるようにする
こともできると思う。今回の講義を通して、先人達の努力を感じることができた。
記録 1―1班(Silicon 班) 室 紀行
III. 授業アンケート集計結果
Q1:分かりやすかった。Q2:面白かった。Q3:もっと知りたい。Q4:高度な内容だった。
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80%
90%
1
2
3
4
非常に思う
やや思う
どちらとも言えない
あまり思わない
全く思わない
100%