2014年度

2014 年 度 (平成26年度)
事
業
報
告
書
自
2014年4月 1日
至
2015年3月31日
公益財団法人
〒103-0025
日
印
協
会
東京都中央区日本橋茅場町 2-1-14
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2014年度 事業報告
一般概況
既に、期中にて一部ご報告を致しましたが、今年度は、インドが政治的に、経済的に大きく舵を
切りました。インド国民は、2014 年春の総選挙において 10 年ぶりに、政権をコングレス党からイ
ンド人民党(BJP)に委ねるとの選択を行い、重要な政権交代を実現しました。ナレンドラ・モ
ディ前グジャラート州首相のリーダーシップの下で、BJPは予想以上に圧倒的に勝利しました。
かねてより親日家であり、グジャラート州で外国からの投資促進に成功したモディ首相が率いるこ
とになった新政権は、インド国内のみならず、わが国を含めた多くの国から熱い期待を持てスター
トしました。モディ首相は国民からの大きな支持と強烈な指導により、
『最小の政府で最大のガバナ
ンス』の標語を掲げて国政の改革に着手するとともに、
『インドで物作りをしよう』
(Make in India)
のスローガンの元で製造業重視を訴え、日本のみならず世界各国からのインドへの投資歓迎の姿勢
を発信しました。
モディ首相は、就任式に近隣の南アジア諸国の首脳を招待し、またブータンとネパールの訪問や
ブラジルでの BRICS 首脳会議で外交デビューを果たしましたが、本格的な外国訪問は、8 月末から
9 月初めにかけての日本からスタートしました。日本訪問中は、京都において出迎えた安倍首相と
の親密な関係と印日間の精神的な絆を内外に鮮明にしましたが、東京での首脳会談では、これまで
の「戦略的グローバル・パートナーシップ」を「特別な戦略的グローバル・パートナーシップ」に
格上げしました。
日印協会は、日印友好議員連盟をお誘いし、憲政記念館において歓迎会を開催しました。その模
様は月刊インド9月号で御報告しました。参加の法人個人会員の皆様には直接接する機会ができま
したが、モディ首相は『日印の絆の重要性、女性の活用』などのメッセージを発出するとともに、
参加者の皆様への細かな心配りをされて、大きな感動を与えました。
政治安全保障面では、モディ・安倍両首相の強い決意を受けて、外務・防衛両省によるいわゆる 2
プラス 2 の協議を始め、重層的かつ広範な協力関係が進んでおります。
経済面では、インドを世界的な製造拠点にすることを目的として、東京のインド大使館、大阪で
は大阪商工会議所にて、盛大に『Make in India』キャンペーンの開始が宣言されました。科学技術
開発と経済成長、雇用の創出はインド政府の重点施策であり、特に高速道路網構築、情報ハイウェ
イ構築、港湾の開発、光ファイバー網、ガス網、水道網などの充実については、日本企業にとって
大きなビジネスチャンスであり、日印協会が果たす役割も大きいと自覚しております。
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日本企業のインド進出は加速されている感があります。昨年 10 月現在では、1,209 社が 3,961 の
拠点を構えていますが、特にチェンナイ(タミルナド州の州都)
、ベンガルール(カルナタカ州の州
都)、ハイデラバード(アンドラプラデシュ及びテレンガヌ両州の共同州都)を中心に南インドへの
進出には目を見張るものがあります。
デリー・ムンバイ産業大動脈構想(DMIC)は軌道に乗り、一部が実施に移されていますが、南
部のチェンナイ・ベンガルール間の産業大動脈構想(CBIC)も検討が進んでいます。このほか、デ
リーで大成功をおさめたメトロ計画に倣って、主要な都市でメトロ網の建設が展開中であり、また、
ムンバイ・グジャラート間の高速鉄道建設計画の調査も行われ、わが国においては、日本の新幹線
の輸出への期待が高まっています。
更に、文化的にも日印間で一層の交流が図られました。
恒例の代々木公園における『ナマステ・インディア 2014』は、折からのデング熱騒ぎで、開催が危
ぶまれましたが、関係者の強い決意により、公園の再開の先駆けとなる形で、予定通りに開催しま
した。不順な天候とデング熱騒動の割には、多くの来場者がありました。日印協会も専用ブースを
設け、貴重な写真を掲示、インドに興味を持つ方がご覧になっておりました。恒例の日印協会主催
のセミナーは、代々木公園会場内にテントを張って、
『女性から見た、感じたインド―輝ける場所を
探して―』、『ときめきのインド世界遺産』、『インド映画の楽しみ方―歌物語としてのインド映画』
と『インドの神々と日本の神仏―宇宙に最も近いヒマラヤの神々―』とのテーマで開催し、各講師
の名調子の講演で、人気を博しておりました。
インド政府主導の『インド祭 2014‐2015』も、モディ首相来日中に華々しく公表され、インド
伝統の舞踏祭、東京国立博物館でのインド仏教彫刻の展示、仏教写本に関するシンポジウム、福島・
広島での仏僧による平和祈念、文学、映画、食に関するフェスティバルなど各種のインド文化の紹
介がなされました。引続き東大寺における菩提僊那の遺産を継承する行事など、現在も継続中です。
また、日印協会が 3 年前に公益財団法人に移行後、初めての内閣府からの立入検査を受けました。
この立入検査とは、公益法人が健全に運営されているかをチェック、指導をすることが目的の日本
政府の恒例の行事であります。内閣府検査官には今までの活動や運営についてすべて見て頂きまし
たが、協会が良い目的のために健全なる運営を行っているとの高い評価を頂くことが出来ました。
事業活動
当協会は、日本とインドにおいて両国の友好親善と相互理解の増進のために五つの分野で公益
事業を行なうことを定款で定めております。今年度実施いたしました事業及び活動は、事業活動
記録として下記の通り作成致しました。詳細は添付の『2014年度 事業活動記録』をご参照願い
ます。
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1.評議員会及び理事会の開催
2.協会機関誌『月刊インド』の発行
10回発行
3.Web版季刊誌『現代インド・フォーラム』の発行
4回発行
4.協会主催、共催の公益事業
5.常勤役員による外部でのインド関係講演
6.日印協会事務局からのインド出張
7.インド関係催し物への後援
各事業は主に機関誌『月刊インド』に掲載し報告しておりますが、当協会が主催・共催で行い
ました2014年度の主な公益事業をご紹介致します。
(1) シンポジウム
ール
『インド総選挙の総括と新政権の動向‐日印関係への影響』
(経団連ホ
6月19日)
5月に実施されたインド総選挙では、予想通りではありましたが、インド人民党(BJP)
が圧勝しました。BJPを率いるナレンドラ・モディ首相が就任し、今後のインド共和国
の行く末の舵取りを任されました。これを受け、日印協会は経団連会館において、経済
広報センター、日印経済委員会との共催でシンポジウムを開催しました。日本のインド
政治・経済の専門家と日本に長年住むインド人から見た新たな政権の動向や日印関係へ
の影響などについて討論いただき、300名に及ぶ参加者から高い評価をいただきました。
(詳細は『月刊インド』2014年7-8月合併号に掲載)
(2) 駐日インド大使館パンダ首席公使歓送とセイシェル共和国インド大使就任祝賀会 (憲
政記念館
6 月 26 日)
駐日インド大使館のサンジャイ・パンダ首席公使が、駐日インド大使館の首席公使を
離任され、セイシェル共和国駐在インド大使に就任されることになりましたので、祝賀
会を開催しました。ワドワ・インド大使を始め、大使館幹部のほか、日本の政財界から
多くの要人が臨席されました。日印協会の法人個人会員、在日印度商工会議所、在日イ
ンド商協会、経団連、日印経済委員会の会員も多数が参加され、お別れを惜しむと共に
同公使のこれからのご活躍を祈念しました。
(詳細は『月刊インド』2014年7-8月合併号
に掲載)
(3) 日印協会顧問の前田専學博士「パドマ・シュリー叙勲祝賀会」
(インド大使館 7 月 24 日)
日印協会顧問の前田専學博士(公益財団法人中村元東方研究所理事長、東大名誉教授)
がデリーの大統領官邸において、パドマ・シュリー勲章をムカジー大統領より授与され
ました。その叙勲祝賀会がインド大使館にて7月24日に開催されました。
(詳細は『月刊
インド』2014年7-8月合併号に掲載)
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(4) ナレンドラ・モディ首相
インド首相歓迎会 (憲政記念館
9 月 2 日)
ナレンドラ・モディ首相が、8 月 30 日から 9 月 3 日まで日本を公式訪問されました。
京都での非公式訪問の後、歓迎式典(赤坂迎賓館)、天皇陛下のご引見、安倍首相との
首脳会談と共同記者会見、財界諸団体による歓迎懇親会等に加え、9 月 2 日に日印協会
は日印友好議員連盟との共催で、同首相の歓迎会を開催しました。森・日印協会会長、
町村・日印友好議連会長と平林理事長が憲政記念館でお迎えして、
250 名の参列者の中、
ひな壇に登壇されました。各界からの歓迎の辞を受けられた後、モディ首相がスピーチ
されました。穏やかに、しかし力強く、インドの未来を語られ、新しいインドの幕開け
を印象付けました。また、白寿を迎え車いすで出席した三角佐一郎日印協会顧問に対し
しゃがんで長年の労をねぎらわれ、出席した女性議員に対し日印の女性議員間の交流を
深めたいと述べる等、参加者へ細かな気遣いを見せ、満場の喝さいを浴びられました。
最後に、日印協会と日印友好議連から兜飾りを贈呈し、日印百年の歴史上の重要なイ
ベントの写真を閲覧して、お開きとなりました。
来場者には非常に大きな感動を与え、インドの魅力を身近に感じて頂いたと思ってお
り、成功裏に歓迎会を終えられたと自負しております。
(詳細は『月刊インド』2014 年
9 月号に掲載)
(5) ナマステ・インディア2014(9 月 20 日と 9 月 21 日
東京渋谷
代々木公園)
インドに関する日本最大のイベント『ナマステ・インディア 2014』が今年も代々木公
園で盛大に開催されました。悪しくも夏から秋にかけ、会場近辺にデング熱が流行、開
催が危ぶまれましたが、関係者のご尽力で、万全の対策が講じられ、開会に至ることが
出来ました。インド・ワドワ大使、平林日印協会理事長、長谷川実行委員長によるイン
ド古来の点火式で開会が宣言されました。期間中は若干天候が優れませんでしたが、大
勢の来客があり、インド料理、伝統小物、名物の紅茶などが人気を博しておりました。
協会も所有の写真を公開し、集客にお手伝いをしました。
また、例年ですと『たばこと塩の博物館』にて協会主催のインドセミナーを開いてお
りましたが、今年は、会場の都合でイベント会場内にて開催しました。(詳細は『月刊
インド』2014 年 10 月号に掲載)
(6) 会員交流会(11 月 5 日
東京丸の内 マハラジャ丸の内)
毎年恒例となっている、協会会員と日印関係者による交流会が、大勢の方の参加頂き、
インド料理レストラン『マハラジャ丸の内店』で盛大に開催されました。インド大使館
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よりワドワ大使他、シン公使、ラムー参事官など大使館幹部に臨席いただき、インドの
話題で大いに盛り上がりました。
出席者の皆様からは、会員を中心とした懇親の場が少なく、また、堅苦しくなくイン
ドのついて語れる場をもう少し提供してほしいとの要望がありましたので、2015 度から
は、年 2 回の開催を予定します。(詳細は『月刊インド』2014 年 12 月号に掲載)
会員の状況
2014 年 3 月末の時点では、法人会員数は 114 社でしたが、2014 年度末(2015 年 3 月末)現在で
は、総法人会員数が 120 社に増加しました。内訳は、特別法人が 43 社、一般法人が 77 社です。
昨今のインド経済、政治に日本企業の関心が大きくなってきた表れかと思います。協会からの入
会への働き掛けもありますが、モディ政権の政治姿勢の効果と期待度の結果と認識しております。
ただし、毎年、企業行政等を理由に退会を申し出る企業も少なくなく、一方ではできるだけ継
続いただくように理事長以下が説得したり、新規の法人会員を増やすべく企業訪問をする等の努
力を重ねており、プラスになるようにしてきております。(詳細は添付の『法人会員
入退会推
移』を参照)
個人会員は、2014 年 3 月末では、476 名の会員数でありましたが、2015 年 3 月末時点では、一
般個人会員 471 名、
学生会員が 26 名の総個人会員数は 497 名と 20 名を超える伸びとなりました。
個人会員も高齢化に伴って退会する方もおられますが、悠久の国インドへの興味に引かれ、新規
に入会される方々が増えておりますので、安定的に 500 名会員維持を目指します。
収支状況
収入(経常収益)は前年度実績 23,620,783 円に対して約 320 万円の増加、また事業費(経常費
用)は前年度実績 25,400,072 円に対し約 200 万円の増加となりました。しかし収支差額は前年度
実績のマイナス 1,779,289 円に対しマイナス 531,687 円と、マイナス幅を 120 万円ほどに圧縮す
る結果となりました。
収入増加の主な理由は、受取り会費の増加であります。特別法人会費が約 130 万円増、一般法
人会費が約 21 万円増、個人会費が約 11 万円増の合計で約 170 万円の増加となりました、更に事
業収益はモディ首相歓迎会、機関誌広告収入と記念バッジ頒布等により、約 150 万円の増収があ
りました。その結果で、総収入が前年実績より 320 万円増となりました。
一方、経常費用につきましては、直接的に公益事業にかかわる費用が約 66 万円減額となりまし
た。しかし、間接事業費(管理費)が昨年度に承認頂いた役員報酬増加がある中で、事務局員数
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の縮減、一般経費圧縮を図りましたが、健康保険料や厚生年金保険料などの法定福利費の増加が
大きく、経常費用合計では前年度比で約 200 万円の増加となりました
しかしながら、経常収益に対しての経常費用はマイナス約 53 万円で前年度比から 120 万円の向
上を図ることに成功いたしました。当協会が行う事業は、定款で公益事業のみを行うこととし収
益事業は行いません。結果として収入の大半は企業会員や個人会員の会費収入で賄っています。
本年度に予定した各種事業は概ね順調に消化致しました。これも一重に会員各位のご協力とご指
導の結果と厚くお礼申し上げます。(詳細は、添付の『正味財産増減計算書』を参照)
*参考
定款に定める公益事業
公1
インドの政治、経済、社会、文化などに関する情報収集、調査、研究。
公2
来日するインド人と日本人及び訪印する日本人とインド人との交流促進の場の提供。
公3
講演会、セミナー、シンポジウム等の開催等を通じたインド及び日印関係に関する知識、
情報の普及及び啓発。
公4
文化行事等の開催及び後援などによる文化交流の促進。
公5
日印関係に関する意見及び提言を広く求め、日印双方の政府、関係団体等に対する提言。
公6
その他この法人の目的を達成するために必要な事業。
内閣府立入検査
2015 年 2 月 24 日に、内閣府による立入検査が実施されました。新たに施行された公益法人法に基
づいて、日印協会は、公益財団法人に登録されました。通例は、新公益法人に移行後、3~4 年で関
係官庁からの立入検査が実施されます。今年度は丁度この時期に当たり、担当官庁の内閣府からの
立入検査を受検しました。
『立入検査』とは、不正や不都合を暴く目的ではなく、公益法人が公益性
を重視し、健全に運営されているかの確認と指導にあります。
内閣府審査監督調査官 2 名が来所され、丸 1 日かけて、日印協会の概要(歴史、意義、事業内容
等)説明と 2014 年度の事業計画、事業予算説明と経理帳簿の照合などが実施されました。関係者の
適切な説明と質疑応答への適切な回答、資料の提示等で、公益性順守、透明性、ガバナンス、経理
状況において、極めて良好で、法定違反の事実はないと評価を頂きました。数点の指導はありまし
たが、日々の業務を確実に実行すれば、何らの問題は生じないとの結論でありました。
(詳細は『月
刊インド』2015 年 4 月号に掲載)
その他 (日印協会内の人事異動)
6 月 4 付け
原佑二常務理事退任 笹田勝義常務理事就任
7 月 31 日付け
青山鑛一事務局長退任 笹田勝義常務理事事務局長兼任
以上
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