「宙の会」ニュースレター No.305 New! これでいいのか「新・宇宙基本計画」

「宙の会」ニュースレター No.305
New!
これでいいのか「新・宇宙基本計画」
2015.5.11
中野
不二男
本文 ==> http://www.soranokai.jp
-----------------------------------------------会員のみなさまへ
中野不二男さんのペーパー
をお届けします。
これでいいのか「新・宇宙基本計画」
月刊総合論壇誌Voice5月号に寄稿された政策論文で、刊行1ヶ月を
過ぎた今、「宙の会」ペ­パーとして転載するものです。
ご存じのように、わずか2年前に5年計画として策定したばかりの
宇宙基本計画に代えて、2015年1月9日に安倍政権は「新・宇宙基
本計画」を決定しました。安倍首相が改定検討を指示してからわず
か4ヶ月後の決定です。安倍カラーを鮮明に打ち出し、国家安全保
証と宇宙産業基盤の強化をうたい、安全保証では日米宇宙協力を明
記しています。これからの日本の宇宙活動はこの日米協力・安全保
証第一の線に沿って実行されることになります。
従来の宇宙航空研究開発機構(JAXA)の業務は、宇宙科学研究・
教育、航空科学技術、無人月惑星探査、有人宇宙ミッション・国際
宇宙ステーション、地球環境・災害監視・通信・測位衛星ミッショ
ン、宇宙輸送システム開発、宇宙基盤・先端技術R&Dと広い範囲に
わたっていました。限られた予算、人材ですが世界トップと評価さ
れる宇宙開発・活動をすすめ、研究開発から成果活用へと重点を移
しつつも、多くの国民から強い支持を受けてきました。
これまでの宇宙開発・利用に比べると、今年度から始まる「新・
宇宙基本計画」は安全保証一色で、安全保証、防衛力の強化のみに
重点が置かれています。軍事優先の現政権の諸政策の一つの要素と
なったのです。宇宙予算の策定は、新・宇宙基本計画決定の前の年末
にされていたので、実際の大変革は来年度以降に進むことになりま
す。
「宙の会」は設立以来、その基本概念「静かな抑止力」では、科学
技術力、将来産業力、国際貢献・協力、環境・災害監視の4分野を宇
宙活動というソフトパワーとして、多くの議論、提言を行ってきま
した。しかし今後10年間の指針となる「新・宇宙基本計画」では、
安全保証(軍事)に極端なまでに重点を置いています。有人宇宙技
術等など多くの重要な柱にもふれていませんし、将来への積極性が
みられない矮小化した計画で、宇宙活動の明るい将来性に強い疑問
を抱かせるものです。
宇宙開発利用は、典型的なデュアルユース(軍事にも非軍事にも使
える)分野ですが、それが極端に安全保証(軍事)に重点を置くよ
うになると、機密保護が厳重になり、国内外学会や会合での発表の
公開性が失われ、宇宙開発を熱烈に応援するサポーターである
国民の支持も失われてくるでしょう。
宇宙開発利用の中核機関と位置づけられたJAXAも、安全保証、機密
保護の観点から、自由な発言、議論、講演発表などに大きな制約が
かかってくると思われます。この動向は、国内外の宇宙界すべて、
産業界、メディア発表に波及するのは必至です。
問題の解決策として、デュアルユースの宇宙開発利用から安全保証
を切り分けて、軍事を防衛省へ、民事をJAXA担当のように、米国の
例でいえばNASAと国防総省(DoD)の関係と同じようなJAXA体
制とすべきでしょう。
中野不二男さんのペーパー「これでいいのか「新・宇宙基本計画」
の本文は下記をご覧ください。
五代富文
本文 ==> http://www.soranokai.jp
***「宙の会」の300超の「ニュースレター」
「ペーパー」を 読む
には、
「論壇の目次」と「ニュースレターの目次」をクリックするの
が簡単な方法です***
--------------------------------------------みなさまのご友人、お知り合いの方々にも、ぜひ、
「宙の会」のURL
をご紹介ください。
URLは下記のとおりです。
http://www.soranokai.jp
また、ニュースレター配信のご希望の方は、ウェブ内からお申し込
みください。配信先の変更、停止の場合も同じ方法でお知らせくだ
さい。