マネジメントを学んだ在宅復帰

第8回
健育会グループ
チーム医療症例検討会 in 東京
演
題
名
マネジメントを学んだ在宅復帰
施
設
名
介護老人保健施設
オアシス21
発
表
者
介護福祉士
ゆかり
概
三浦
要
【はじめに】
平成 24 年度の法改正の在宅復帰・在宅療養支援
機能加算を利用し介護度4・5の 2 週間在宅復帰が
可能となった。この制度を利用し本人が望んだ在宅
生活ができた事例を通して現場の職員がマネジメン
トを学び 2 名の在宅復帰が実現。喬成会在宅チーム
と協同支援する事でリピーターとして定着した。
【症例紹介】
1)N氏 男性 82 歳 要介護度4
主疾患:大腸癌・脳梗塞後遺症 車椅子対応
2)W氏 男性 87 歳 要介護度4
主疾患:脳梗塞(右麻痺)車椅子対応
3)T 氏 女性 84 歳 要介護度4
主疾患:くも膜下出血後遺症 車椅子対応
【ケア計画】
1.介護指導
2.他職種との連携
3.在宅復帰
【経過】
家族のレスパイトから入所してきたN氏。ご本人に
子供が無く、主介護者の妻も脳梗塞の後遺症で右麻
痺有り。在宅復帰を諦め、特別養護老人ホームへの
入所を希望。入所時は廃用が進み日常生活動作全て
に介助が必要な状態。体格が良く移行動作は2人介
助で、食事以外はベッド上の生活。傾眠強く覚醒状
態不良。4人部屋では休めていない可能性も有り、
ゆっくり過ごせるよう個室へ転室。職員からの提案
により自宅で愛用していた整髪料や本・筆記道具を
準備。このような事から覚醒状態改善。根気よく職
員がリハビリを勧めることから、積極的にリハビリ
に取り組み徐々に体力がつき ADL 状況も回復。毎週
末自宅へ外出を繰り返す事でご本人も自信がつき
「家に帰りたい」との希望が多く聞かれるようにな
ってきた。入所後半年経過、在宅に向けたカンファ
レンス開催。本人の希望を叶える事、妻の不安を取
り除く事を検討した結果、在宅チームとの協同のも
と在宅復帰制度を活用し 2 週間自宅で過ごした後リ
ピーターとして療養棟で受け入れる事に決定。本人
も家族も諦めていた自宅での生活に大変満足され次
の退所を計画的に実施していきたいと希望された。
【結果】
この事例が成功した事で今まで在宅復帰を諦めてい
た「主介護者が共稼ぎである」W氏と「夫婦そろって
重介護になってしまった」T氏の 2 名にもアプロー
チしてはどうかと介護職員から提案された。
・ ケアマネジャーは家族の不安な気持ちに配慮し
面接を繰り返し行った。
・ 介護職員はセラピストと共に退所前訪問を実施。
自宅での生活に向けた介護計画を立案。夜間の
下着交換方法について家族指導を行った。
・ 管理栄養士は食事形態をキザミから常菜にアッ
プし栄養指導を行った。
・ 看護師は排便コントロートを実施
・ セラピストは日中の排泄動作など生活動作訓練
を行った。
・ 相談員は法人内の居宅や訪問介護・訪問看護・
通所リハビリ・訪問診療など喬成会在宅チーム
と連携を取り調整を図った。
本人家族とも笑顔で戻られ、自宅とオアシスの往復
利用を希望。3 家族とも今年度中に再度在宅生活を
行う予定になった。
【考察・結論】
ひとつの症例を通して管理者ではなく一般介護職員
が、在宅復帰・在宅療養支援機能加算を利用し介護
度 4・5 の方が 2 週間在宅復帰できる事を学び、在
宅復帰が難しいと思われた 2 名の在宅復帰を提案す
る事ができた。3 名がリピーターとしてオアシスを
利用されることで在宅復帰率 50%が継続されベッ
ド稼動率 98.5%に繋がっている。また、この 3 例が
成功するには法人内の居宅や訪問介護、訪問看護・
通所リハビリ・訪問診療など喬成会在宅チームの大
きな協力が必要だった。何よりもご本人が「また、
家に帰れる」と明るい希望のもとリハビリやレクリ
エーションに積極的に参加するようになった。
加算の意味を実感し、マネジメントを学ぶ事ができ
た在宅復帰となった。
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