技術資料 新土留め工法による深礎杭の支持力計測について 角田 富士夫* 西本 聡** 冨澤 幸一*** 福島 宏文**** ˍȅ͉̲͛ͅ は、杭体と地盤の密着性が期待され杭周面の摩擦抵抗 近年の施工技術の開発に伴い、深礎杭の土留めに、 これにより杭を縮小でき(Ƚˏ)、コスト縮減を図る モルタルライニング等による施工が可能となってい ことが可能となる。 を設計に考慮することが可能となっている(Ƚˎ) 。 る。この新土留め工法を採用する深礎杭の設計法は、 ケーソンの設計手法1)に準じて周面抵抗力をバネ評価 ဳᨒ 2) する手法が提案されている 。北海道開発局でも、モ ルタルライニング工法、吹付けコンクリート工法、吹 付けコンクリート+ロックボルト工法の土留め工法に 対し、周面抵抗力を考慮する設計法を道路橋設計施工 (現:道路設計要領4))に採用した5)。しかしな 要領3) がら現状において北海道開発局では、モルタルライニ ングまたは吹付けコンクリートを用いた土留め工法の 施工事例が少なく、周面抵抗力の現場計測は行われて いない。周面抵抗力の発現を確認できれば、適正に評 価することが可能であると考え、杭周面に歪み計を設 ৢ૯Ƚˍȁͺϋήτρࢥ༹ 置し、周面抵抗力の評価を行うこととした。 ㆙ᔃജ็ઃߌᯏ 本資料では、吹付けコンクリート+ロックボルト工 法により土留めを行った上滝橋深礎杭の長期計測工6) と周面抵抗力の評価について報告する。 ˎȅ૬யࢶാၣ͛ࢥ༹ 深礎杭は、従来から主として人力で地盤を掘削しラ イナープレートで土留めを行い構築される場所打ち杭 として分類される。この土留め工法は、狭い孔内での ライナープレートの取付け作業等を伴い効率が悪いこ とから、近年、施工の効率化が進められるようになっ た。型枠を用いた直打ち方式のモルタルライニングや ৢ૯Ƚˎȁႁັ̫ࢥ༹ ˏȅ૬யࢶ̤̫ͥࠗͅ௶͈ঔ 吹付けコンクリートによる土留め工法がその例であ る。北海道開発局で採用実績のある工法としては、前 ˏȽˍȁࠗ௶ࢥ͈ٽါ 者にはアンブレラ工法 (ৢ૯Ƚˍ) 、後者には遠心力吹 大口径深礎杭において、杭の鉛直載荷試験7)を適用 付け工法 (ৢ૯Ƚˎ)等がある。 することは、反力装置等に限界があるため現実的では ライナープレートによる土留め工法を用いる場合、 ない。そのため、杭体・下部工・上部工の死荷重を載 ライナープレートと地山の間には、グラウトが充填さ 荷重と見なし、各荷重条件における杭周面と杭体内部 れるものの、グラウト施工の不確実性から、杭周面の の応力変化を長期計測することで、周面抵抗力を求め 摩擦抵抗は考慮されない (Ƚˍ)。一方、モルタルラ る計測工を実施している。Ƚːに載荷順序を示す。 イニングや吹付けコンクリートによる土留め工法で これまでに4橋(5箇所)において計測工を実施し 40 寒地土木研究所月報 №655 2007年12月 た。各杭形状をນȽˍに示す。計測は各橋とも計測機 ࠗ࠽ࡊ࠻ 器設置時より開始し、各載荷重まで1時間毎に経時計 測をした。Ƚˑに上滝橋 P2の計測機器位置図を示す。 ˏȽˎȁ૬யࢶ؊ႁ͈ࠗ௶ 㕙ᛶ᛫ജࠍ⠨ᘦ 深礎杭の応力分布を計測するため、吹付けコンク ߒߡߥ リート内もしくは主鉄筋に応力計、 歪み計を設置した。 深度方向にはいずれも2m ピッチを基本とし、橋軸 方向に2列、橋軸方向と橋軸直角方向に4列、もしく は中心に1列追加した5列設置とした。コンクリート Ƚˍȁ૬யࢶਲြࢥ༹ٽැ の温度応力と乾燥収縮応力の影響を調べるため、無応 力計および温度計を設置した。深度方向に歪み計と同 ピッチで鉛直1列もしくは2列設置とした。Ƚ˒に ࡕ࡞࠲࡞ࠗ࠾ࡦࠣ ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ コンクリート応力計を示す。 ˏȽˏȁυΛ·δσΠႁࠗ௶ 㕙ᛶ᛫ജࠍ⠨ᘦ ロックボルトを採用する大口径深礎杭の土留め構造 の設計は、過去の実績を基にして決定される3)。土留 め工の安全性を確認する施工管理計測とその後の挙動 計測のため、ロックボルト軸力計を設置した。位置は 施工するロックボルトの内最上段に、橋軸方向2本も しくは橋軸と橋軸直角方向の4本設置した。Ƚ˓に Ƚˎȁ૬யࢶ૧ࢥ༹ٽැ ロックボルト軸力計を示す。 ːȅࠗ௶ࠫض ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࡕ࡞࠲࡞ࠗ࠾ࡦࠣ ࠗ࠽ࡊ࠻ ːȽˍȁ૬யࢶ؊ႁ͈ࠗ௶ࠫ˒ضȫ ࡠ࠶ࠢࡏ࡞࠻ 上滝橋 P2、P6の下部工では、Ƚ˔に示すような ロットでコンクリートを打設した。Ƚ˕に計測開始 時からの応力の推移を示す。応力値は深礎杭体打設後 にいずれの橋脚でも圧縮側で推移する傾向がある。深 礎杭体打設前の掘削時には発破の影響により変動があ る。また、温度については深礎杭体打設後に上昇する 㕙ᛶ᛫ജࠍ⠨ᘦߔࠆߎߣߦࠃࠆ❗ዊ Ƚˏȁ૧ࢥ༹͂ਲြࢥ༹͈ڛ タ⩄㊀ ㋦⋥㕙ᛶ᛫ജ ᔕജ⸘ Ԙជ ޓᔕജ⸘⸳⟎ ⚻ᤨ⸘᷹ ԙ᧮タ⩄ ԚਅㇱᎿゎタ⩄ ԛਅㇱᎿゎ ޓタ⩄ቢੌ ԜㇱᎿタ⩄ Ƚːȁशكਜ਼੬ 寒地土木研究所月報 №655 2007年12月 41 ນȽˍȁࠗ௶ࢶ͈ࠁે ⸘᷹ᷓ␆᧮ ᧮ᓘ᧮㐳 ⇐ᒻᑼ ᔕജ⸘᷹ ࡠ࠶ࠢࡏ࡞࠻ゲജ⸘ ᷷ᐲ⸘᷹ * ߹ߢߩタ⩄㊀ Ṛᯅ 2 ǾOO ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࡠ࠶ࠢࡏ࡞࠻૬↪ ࠦࡦࠢ࠻ᔕജ⸘ ᧄ ᷷ᐲ⸘ ᧮ਅㇱᎿゎ Ṛᯅ 2 ǾOO ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࡠ࠶ࠢࡏ࡞࠻૬↪ ࠦࡦࠢ࠻ᔕജ⸘ ᧄ 㧙 ᧮ਅㇱᎿゎ ⿒ጪᯅ 2 ǾOO ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࡠ࠶ࠢࡏ࡞࠻૬↪ ࠦࡦࠢ࠻ᱡߺ⸘ ᧄ ήᔕജ⸘ ᧮ਅㇱᎿゎ ࠦࡦࠢ࠻ᱡߺ⸘ ᧄ ήᔕജ⸘ ᧮ ㋕╭ᱡߺ⸘ 㧙 ᷷ᐲ⸘ ᧮ਅㇱᎿゎ ࠗ࠽ࡊ࠻ߣ የᩮౝᄢᯅ 2 ǾOO ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࡠ࠶ࠢࡏ࡞࠻૬↪ ࠗ࠽ࡊ࠻ߣ 㙚㊁㜞᨞ᯅ 2 ǾOO ࠦࡦࠢ࠻ᔕജ⸘ 㧠ޔ㧢ᢿ㕙 ὐ ⚳ὐ ᷹ቯེ⚊▫ ࠟࠗ࠼࠙ࠜ࡞ ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࡠ࠶ࠢࡏ࡞࠻૬↪ ᢿ㕙 ᡰᎿ ᢿ㕙 ㈩✢⚻〝 ᢿ㕙 ᔕജ⸘ ᢿ㕙 ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࡠ࠶ࠢࡏ࡞࠻ゲജ⸘ " ᢿ㕙 ࡊ࠻ ࡏࡦࠣሹ ጊ ࡦࠨㇱ ࠣ࠙࠻᧚ ᢿ㕙 ᢿ㕙 ࠽࠶࠻ ᐩ⋚ O O O ⸘᷹ࠤࡉ࡞ Ƚ˓ȁυΛ·δσΠႁࠗȪआඤఱޘȫ Ƚˑȁࠗ௶ܕܥպ౾ Ȫષశ ޘQ3ȫ Ბ⋡ Ბ⋡ Ბ⋡ Ბ⋡ Ბ⋡ Ƚ˔ȁϋ·ςȜΠ୭υΛΠ ) ષశ ޘQ3ȂQ7* が、下部工躯体打設時には降下している。 杭の鉛直載荷試験7)を準用して、深礎杭頭部への載 ᑧ㐳ࠤࡉ࡞ 荷重の増加に伴う応力値より、軸力と区間ごとの周面 ⚿᧤✢࿕ቯ 抵抗力度を求めた。なお、杭体の温度は高温になるこ ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ᔕജ⸘ とが知られており、計測値に影響することが考えられ るが、深礎杭体と下部工躯体の施工時期は7ヵ月隔て ṁធ㊄✂ ጊ ṁធ㊄✂ ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ているため杭体温度が十分降下しており、応力値に温 度応力などの影響を考慮しなかった。その結果、軸力 と周面抵抗力度の設計値と実測値はそれぞれȽ21、 Ƚ˒ȁϋ·ςȜΠ؊ႁࠗ Ȫષశޘȫ 42 Ƚ22のようになった。 寒地土木研究所月報 №655 2007年12月 ਅㇱᎿゎᲑ⋡ᛂ⸳ ᯅゲὐ ᯅゲ⚳ὐ ᷓᐲ O ᷷ᐲ⸘ ᷹ቯᣣᤨ㧔ᐔᚑ㨪ᐕ㧕 ᷓ␆᧮ᛂ⸳ O ਅㇱᎿゎᲑ⋡ᛂ⸳ ਅㇱᎿゎᲑ⋡ᛂ⸳ ᯅゲὐ ਅㇱᎿゎᲑ⋡ᛂ⸳ ᯅゲ⚳ὐ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ᷓᐲ O ਅㇱᎿゎ╙Ბ⋡タ⩄೨ࠍ M0ߣߒߚޕ Ṛᯅ2㧦ᷓᐲO ゲജ M0 2 ᯅ⣉ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ࠦࡦࠢ࠻᷷ᐲ㧔͠㧕 ਅㇱᎿゎᲑ⋡ᛂ⸳ ਅㇱᎿゎᲑ⋡ᛂ⸳ ᷓ␆᧮ᛂ⸳ O ᷓ␆᧮ᛂ⸳ O ᷓ␆᧮ᛂ⸳ O ࠦ ࡦ ࠢ ࠻ ᔕ ജ 0 O O ❗ ᒁᒛ ࠦ ࡦ ࠢ ࠻ ᔕ ജ 0 O O ❗ ᒁᒛ ਅㇱᎿゎ╙Ბ⋡タ⩄೨ࠍ M0ߣߒߚޕ Ṛᯅ2㧦ᷓᐲO ゲജ M0 2 ᯅ⣉ Ƚ21ȁႁ͈་ا Ȫષశޘȫ ᷹ቯᣣᤨ㧔ᐔᚑ㨪ᐕ㧕 ਅㇱᎿゎ╙Ბ⋡タ⩄೨ࠍ M0ߣߒߚޕ Ƚ˕ȁ؊ႁ͈ଔ֊ Ȫષశޘȫ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ 毎に増加の傾向を示すが、設計値との差違が顕著にな ᷓᐲ O Ƚ21に示す軸力の実測値については、載荷が増す る傾向がある。これは、実際の杭体応力は杭径方向に 変化することが考えられるが、計測箇所が杭周面に限 られていることと、設計計算においても杭径方向の応 これは、設計計算上は支持力を分担しないガイドウォー ルが、地盤と一体となって不動点となり、その下の吹 付けコンクリートは、それにより引っ張られていると 考える。底面の軸力の実測値は設計値を下回った。 Ƚ22に示す軸力の差し引きから得られた周面抵抗 力度については、Ƚ21の差違が反映され実測値と設 計値に大きな差違がある。 ਅㇱᎿゎ╙Ბ⋡タ⩄೨ࠍ M0ߣߒߚޕ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ታ᷹୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ╙Ბ⋡タ⩄ ⸳⸘୯ ᷓᐲ O える。また、 深度の浅い部分で引張力が発生している。 㕙ᛶ᛫ജᐲ M0O 2 ᯅ⣉ 力分布を考慮しないことから、差違が生じたものと考 㕙ᛶ᛫ജᐲ M0O 2 ᯅ⣉ Ƚ22ȁߊ͈̮͂ۼਔ࿂ࢯႁഽ͈་اȪષశޘȫ ːȽˎȁυΛ·δσΠႁ͈ࠗ௶ࠫض ȁȽ23に上滝橋 P2のロックボルト軸力計を示し、 れていると考えられた。吹付けコンクリート側の軸力 Ƚ24に深度7.25m のロックボルト軸力の推移を示 値は大きな変動が見られ、ロックボルト先端側の軸 す。掘削時に位置3、4において軸力が変動している 力値は変動が少ない。また、下部工躯体各打設直後 のは、発破の影響によるものである。深礎杭体打設前 の荷重増加に伴う軸力の変化がほとんど見られない。 までの土留め期間中はロックボルトに際立った引き抜 Ƚ21の P2橋脚第5段目載荷時に杭の軸力が3,000 き力は発生していない。深礎杭体打設とともに、位置 (kN)近くまで増加したが、ロックボルト軸力は最大 3、4において軸力は大きく圧縮側に推移した。その でも30(kN)程度であり、ロックボルトが杭の支持機 後、圧縮の大きさが小さくなる傾向にある。これは、 構に影響を及ぼしているとは言い難い。今後は上部工 杭体の収縮とクリープによりロックボルトが引っ張ら 載荷時における確認も必要である。 寒地土木研究所月報 №655 2007年12月 43 ˑȅႁ͂ਔ࿂ࢯႁ͈ບًث ᷓᐲO 上滝橋 P2、P6橋脚において、各荷重段階で計測さ ᯅゲᣇะ れた杭周面の応力分布は、前述のように設計の軸力と ὐ 異なる傾向を示した。そのため、設計では考慮してい ⚳ὐ ない、杭径方向の応力分布とガイドウォールの影響を 評価するため、FEM 解析を実施した。その際、杭周 面で計測した応力分布より地盤の物性値を推定した。 Ƚ23ȁυΛ·δσΠႁࠗ౾ Ȫષశ ޘQ3ȫ ˑȽˍȁGFN ٜଢ଼κΟσٜ͂ଢ଼ࠫض ⟎ࡠ࠶ࠢࡏ࡞࠻వ┵ FEM 解析のモデル図をȽ25に示す。深礎杭の挙動 を再現するため、原地盤の現地計測データを基に、下部 工躯体第5段目載荷後において、応力計位置の FEM 解 ਅㇱᎿゎᲑ⋡ᛂ⸳ ᷓ␆᧮ᛂ⸳ O ᷓ␆᧮ᛂ⸳ O ਅㇱᎿゎᲑ⋡ᛂ⸳ ਅㇱᎿゎᲑ⋡ᛂ⸳ ᯅゲὐ ᯅゲ⚳ὐ Ƚ27に下部工躯体第5段目載荷後の FEM 解析に よる鉛直方向応力分布図を示す。値は第5段目載荷時 の杭頭応力を1.0として相対化した。杭上部で中心と 㧙 㧦 ❗ 㧗㧦ᒁ ᒛ パラメトリックスタディによって変形係数を決定し た。FEM 解析で用いた入力物性値をນȽˎに示す。 ⟎ ࡠ࠶ࠢ ࡏ࡞ ࠻ゲ ജ M0 析軸力と杭周面の計測軸力が近似するように (Ƚ26) 、 周面の応力が偏分布している。杭頭部周面では載荷重 の応力が周面まで伝わっていない状況が見られる。こ れらがȽ21の深度の浅い部分の結果に反映されてい ることがわかった。これより FEM 解析により求めら れた応力値を周面抵抗力の評価に用いた。 ⟎ ˑȽˎȁႁ͂ਔ࿂ࢯႁ͈બ FEM 解析による応力分布状況を基に、各載荷過 程 における軸力と周面抵抗力度を計算した結果を Ƚ28、Ƚ29に示す。軸力は、深度の浅い部分で設 計値よりも FEM 解析値が小さくなっている。これは、 ガイドウォールと地盤の抵抗によるものと考えられ る。周面抵抗力度は、深度が深くなるに従い設計値よ ⟎็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ りも大きくなっている。これは、土層の変形係数が設 計より比較的高いことによると考えられる。軸力は、 深度が深くなるに従い設計値よりも小さくなってい る。このことから、杭下部においては設計値を上回る 周面抵抗力が発現し、底面反力が設計値よりも小さく 作用していることがわかった。 これより下部工躯体を載荷重とした深礎杭計測結果 を FEM により解析することで、実際に作用する杭軸 ᷹ቯᣣᤨ㧔ᐔᚑ 㨪 ᐕ㧕 Ƚ24ȁυΛ·δσΠႁ͈ଔ֊ Ȫષశ ޘQ3ȫ 力を求め、周面抵抗力を推定することができた。上部 工載荷時の計測から結果を見る必要があるものの、発 現周面抵抗力が設計値と同じ傾向を示していることに より、この計測方法と評価方法は大口径深礎杭の周面 抵抗力を確認する方法として有用であると考える。 44 寒地土木研究所月報 №655 2007年12月 ࠦࡦࠢ࠻ ࠦࡦࠢ࠻ ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࠟࠗ࠼࠙ࠜ࡞ ࠟࠗ࠼࠙ࠜ࡞ 2 ᯅ⣉ ⋚ ⋚ 2 ᯅ⣉ ⋚ ⋚ -1.200e+000 -1.137e+000 -1.074e+000 -1.011e+000 -9.474e-001 -8.842e-001 -8.211e-001 -7.579e-001 -6.947e-001 -6.316e-001 ⋚ ᷓ␆㐳ߐ ߩ ⋚ ⋚ 2 ᯅ⣉ 2 ᯅ⣉ -5.684e-001 -5.053e-001 -4.421e-001 -3.789e-001 -3.158e-001 -2.526e-001 -1.895e-001 -1.263e-001 㕙 -6.316e-002 -6.706e-008 ਛᔃ ᷓ␆⋥ᓘߩ ਅㇱᎿゎ╙ Ბ⋡タ⩄ᓟߩ᧮㗡 ᔕജࠍ ߣߒߡ⋧ኻൻߒߚޕ 㧙㧦❗ Ƚ27ȁೄ༷࢜؊ႁື Ƚ25ȁခࡠါளκΟσ! ('/⸃ᨆ⚿ᨐ ⸘᷹୯ 2ᯅ⣉ ᷓᐲ O ᷓᐲ O ╙㧝Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧞Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧟Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧠Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧡Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧝Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧞Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧟Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧠Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧡Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ゲജ M0 Ƚ26ȁႁٜଢ଼ࠫ௶ࠗ͂ض͈ڛ ȪQ3ئ໐ࢥߏఘల6࿒शࢃكȫ ゲജ M0 ນȽˎȁ֚။! ᄌᒻଥᢙ M0O ⋚ ⋚ ᒝ㘑ൻ☼᧼ጤ ⋚ 㘑ൻ☼᧼ጤ ࠦࡦࠢ࠻ ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࠟࠗ࠼࠙ࠜ࡞ Ṛᯅ 2 ᯅ⣉ ࡐࠕ࠰ࡦᲧ ᄌᒻଥᢙ M0O ࡐࠕ࠰ࡦᲧ ᷓᐲ O Ṛᯅ 2 ᯅ⣉ 2ᯅ⣉ ╙㧝Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧞Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧟Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧠Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧡Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ⋚ ⋚ ╙㧝Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧞Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧟Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧠Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧡Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ⋚ 㘑ൻ☼᧼ጤ ⋚ ☼᧼ጤ ࠦࡦࠢ࠻ ็ઃߌࠦࡦࠢ࠻ ࠟࠗ࠼࠙ࠜ࡞ 寒地土木研究所月報 №655 2007年12月 ゲജ M0 Ƚ28ȁႁ͈ٜଢ଼ࠫ͂ض୭͈ࠗ)ڛષశ*ޘ 45 2ᯅ⣉ ╙㧝Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧞Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧟Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧠Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧡Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧝Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧞Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧟Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧠Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧡Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ᷓᐲ O いがあるため、応力計の計測結果を FEM 解析に より補正する必要がある。上滝橋では、中心部に 計測器を設置しなかったが、今後は杭中心部の計 測も必要であると考える。 (3)吹付けコンクリートとロックボルトを併用した土 留め期間中に、孔壁の安全を確認した。 上滝橋については、上部工まで計測を継続し、同様 に周面抵抗力を確認したい。また、今後は、より多く の深礎杭データより、実情に則した深礎杭周面抵抗機 構を調べ、周面抵抗力を考慮する深礎杭のより合理的 㕙ᛶ᛫ജᐲ㧔M0O㧕 2ᯅ⣉ ╙㧝Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧞Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧟Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧠Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧡Ბ⋡タ⩄㧔('/⸃ᨆ⚿ᨐ㧕 ╙㧝Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧞Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧟Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧠Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ╙㧡Ბ⋡タ⩄㧔⸳⸘୯㧕 ᷓᐲ O な設計手法の確立を目指す。 ४ࣉࡃ 1)日本道路協会:道路橋示方書 (Ⅰ共通編・Ⅳ下部構 造編)・同解説、pp.295-347、2002.3 2)日本道路公団:設計要領第二集、橋梁建設編4章、 pp.56-92、1998.7 3)北海道開発局:道路橋設計施工要領第4章、pp.1-61、 2001.2 4)北海道開発局:道路設計要領第3集第4章、pp.1-62、 㕙ᛶ᛫ജᐲ㧔M0O 㧕 Ƚ29ȁਔ࿂ࢯႁഽ͈ٜଢ଼ࠫ͂ض୭͈ࠗڛȪષశޘȫ 2006.4 5)福島宏文、冨澤幸一、三田村浩:深礎杭の土留工 法選定について−北海道開発局道路橋設計施工要 領選定フロー案の検討−、北海道開発土木研究所 ˒ȅ͂͛͘ 月報、No.592、pp.44-48、2002.9 6)大越健司、掛田浩司、福島宏文:吹付コンクリー 大口径深礎杭の杭体周面に応力計を設置して、下部 ト土留工を用いた新工法による深礎杭の設計施工 工躯体までの死荷重に伴う周面抵抗力の長期計測を実 法−上滝橋(L 橋)下部工事における報告−、第48 施し、以下のことがわかった。 回北海道開発局技術研究発表会、2005.2 (1) 杭下部において周面抵抗力は、設計値よりも大き 7)地盤工学会:杭の鉛直載荷試験方法・同解説第2 編杭の押込み試験、pp.18-59、2002.5 く発現することが確認された。 (2) 杭軸力を求めるには、杭内部と杭周面の応力に違 角田 富士夫* 西本 聡** 冨澤 幸一*** 福島 宏文**** 寒地土木研究所 寒地基礎技術研究グループ 寒地地盤チーム 研究員 寒地土木研究所 寒地基礎技術研究グループ 寒地地盤チーム 上席研究員 技術士(建設・総合) 寒地土木研究所 寒地基礎技術研究グループ 寒地地盤チーム 主任研究員 博士(工学) 技術士(建設・総合) 寒地土木研究所 寒地基礎技術研究グループ 寒地地盤チーム 主任研究員 46 寒地土木研究所月報 №655 2007年12月
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