ソーラーパネル工場視察報告書はこちら

Chint Solar社工場等視察報告書
旭電業株式会社
総務部 川崎準一・小上敏寿
この度、
当社が使用している太陽光パネルメーカーであるChint Solar
(Zhenjiang)
Co.
,
Ltd.
(以下「Chint Solar 社」
)及び、ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社が今後取引を検討して
いるJA SOLAR Co.
,Ltd.
(以下「JA SOLAR 社」
)の工場視察を実施したので、以下のとおり報告
します。
1.出張先:JA SOLAR Co.
,Ltd/晶澳太阳能控股有限公司
奉賢工場
Chint Solar(Zhenjiang)Co.
,Ltd./浙江正泰太阳能科技有限公司
上海工場、杭州工場
2.期 間:2015年11月19日(木)~2015年11月22日(日)
3.参加者:宇野港土地株式会社(代表取締役 宮原一郎)
株式会社中国銀行(岡山西支店長 赤松洋史、金融営業部 入澤祐介)
株式会社トマト銀行(コンサルティング営業部 調査役 曽田基文、西市支店係長 宇高啓介)
株式会社山陰合同銀行(岡山支店長 吉川 浩)
株式会社伊予銀行(岡山支店長 越智真也)
三菱UFJリース株式会社(岡山支店 阿曽大裕)
トマトリース株式会社(営業第一部 副部長 中西牧男)
おかやま信用金庫(当新田支店長 北村修一)
三井住友海上火災保険株式会社(岡山支店 岡山法人営業課長 武井秀夫)
旭電業株式会社(松岡社長、山本常務、坂元顧問、本郷部長、兼松副支店長、坪支店長、柴倉次長、
丸野係長、川崎課長、小上)
朝日管工株式会社(横山取締役)
4.同行者:Chint Solar社
王氏、張氏
ネクストエナジー・アンド・リソース株式会社
ぐ
藤村取締役事業開発本部長、顧執行役員、井上部長代理
5.訪問先:以下の太陽光パネル工場を視察。
①JA SOLAR奉賢工場
シリコン等原料から太陽光発電セル製造及び太陽光発電セルから太陽光モジュールの組立て
②Chint Solar上海工場
太陽光発電セルから太陽光モジュールの組立て
③Chint Solar杭州工場
シリコン等原料から太陽光発電セルの製造
太陽光パネル工場視察終了後、上海、杭州と共に近代中国の文豪魯迅の生家がある紹興も訪れ、
見聞を広めた。
1
11月19日
JA SOLAR 奉賢工場
11月19日
Chint Solar 上海工場
11月20日
Chint Solar 杭州工場
11月22日
上海・豫園
11月20日
杭州・西湖・六和塔
11月21日
紹興・蘭亭・紹興酒工場・八字橋・魯迅故居
2
6.視察報告
(1)JA SOLAR社 奉賢工場(11月19日)
上海浦東国際空港に到着後、バスでJA SOLAR社奉賢工場の視察に向かった。
JA SOLAR社は、2005年5月に設立し、2007年2月NASDAQに上場を果たしている。世界
で最初に選択拡散技術、二次印刷技術、パッシベーション技術の運用及びMWTセルを量産、販売した会社で、
技術力では、Percium単結晶セル転換率(1.3%)
、モジュール出力(25~30W)
、Rieciu
m多結晶セル転換率(0.8%)
、モジュール出力(10~15W)など業界平均より高い数値を記録している。
変換効率の高いモジュールを量産する能力はトップレベルであり、日本メーカーでは、東芝がOEMで使用し
ている。年間出荷量は、2013年(2.1GW)
、2014年(3.1GW)
、2015年(3.6~4.0
GW見込)で、世界第4位である。
会社概要の説明後、資料室、工場を案内していただいた。
JAソーラー奉賢工場は、河北工場、揚州工場に次ぐ3番目の規模で、モジュールは1日約3,000枚、
年間1.1GWを生産している。全工程の半分が自動化されていたが、レイアップ(ガラス・セル・EVAの
配置)は不良品の発生が増えるため、人の手で行っていた。今後は、レイアップの自動化も検討していくとの
ことだった。不良品の発生率は、月平均0.06%で、主な原因は外観上(フレームの損傷等)のものが多い
とのことだった。各工程に関わっている人数が少なく、効率的に生産されている印象を受けた。
JA SOLAR社の視察は、初めての視察であったが、製品の生産過程、品質管理体制もしっかりしてお
り、品質の安定性、信頼性を確認することができた。
JA SOLAR社 奉賢工場
会議室にて会社概要等の説明
JA SOLAR社 モジュール製品
認証証書
水上太陽光モジュール
ロビーにて集合写真
3
(2)Chint Solar社上海工場(11月19日)
JA SOLAR社奉賢工場を視察後、Chint Solar社上海工場へ向かった。上海工場では、王
氏と張氏のお二人に工場内を案内していただいた。
Chint Solar社 張氏と王氏
張氏の説明によると、現在、上海工場では、年間1.7GWの太陽光モジュールを製造しており、2016
年までに年間2.0GWまで生産能力を拡大させる予定で、今後は、現在生産しているのものより、変換効率
が高いものへシフトしていくとのことでした。昨年の視察では、ハンダ付けの自動運転は2系列であったが、
7系列に増えており、自動化が進んでいた。これにより、電池セルの破損率を引き下げ、生産中に発生するマ
イクロクラックの防止に繋がり、効率を上げながら、安定した品質のものを生産できるようになったとのこと
でした。
Chint Solar社上海工場の視察は今回で4年目であるが、年々自動化も進んでおり、高品質な製
品を安定して供給できる体制を確認することができた。
パネル製造工程に関する説明
機械による太陽電池セルのハンダ付け①
レイアップ作業
太陽電池モジュール型枠成型
ネクストエナジー・アンド・リソース社向け太陽電池モジュール
Chint Solar 社上海工場前で集合写真
4
機械による太陽電池セルのハンダ付け②
検査
Chint Solar 社のメンバーと意見交換・懇親会
(3)Chint Solar社杭州工場(11月20日)
杭州工場では、シリコン多結晶の太陽電池セルを製造する工程を、上海工場に続いて、王氏と張氏に説明を
受けながら、視察した。
製造工場は、クリーンルームになっており、防塵服を着用してエアシャワー後入場した。太陽電池セル製造
工程は、ほぼ全ての工程が自動化されていて、外面の目視検査等は従業員の手作業で行われていた。太陽電池
セルには、後工程で不備・欠陥が発見された場合に追跡できるようシリアル番号が付いていて試験結果が保持
できるようになっていた。
安定した品質を保つために、工程終了ごとに洗浄、乾燥等を行う、作業員による目視検査を何度も行う等様々
なところに注意を払って生産している様子を見ることができたので、製品に対する信頼感を高めることができ
た。
張氏による太陽電池セル製造工程の説明
工場内の太陽電池セル製造状況①
工場内の太陽電池セル製造状況②
工場内の太陽電池セル製造状況③
作業員による目視検査
王氏による会社概要の説明
Chint Solar 社杭州工場ロビーで集合写真
Chint Solar 社杭州工場外観
(壁面ガラスは透過式ソーラーパネルを使用)
5
Chint Solar 社のメンバーと意見交換・懇親会
7.各地見聞
(1)杭州市内「西湖」
(11月20日)
「西湖」は、古くから中国の原風景として親しまれている。宋の時代に枯渇の危機に直面したが、当時杭州
の知事だった詩人・蘇東坡が巨大な堤を作る事で復元に成功した。蘇東坡はさらに橋を架けたり、柳や桃の木
を植えて西湖の景観を作っていった。2006年に、中国の国家AAAAA級旅行景区に指定され、2011
年6月に世界遺産として登録された。
西湖①
西湖②
西湖③
(2)杭州市内「六和塔」
(11月20日)
「六和塔」は、北宋の開宝3年(970年)
、銭塘江の逆流を鎮めることを願って智覚禅師によって建設さ
れた。塔の明かりは、川を渡る船のための灯台の役割も果たした。方臘の乱のために焼失したが、南宋の紹興
22年(1152年)僧侶 智曇のはたらきかけにより、現在まで残る磚(レンガ)造りの塔身が再建された。
木造の外層は、清の光緒26年(1900年)に造られた。
六和塔①
六和塔②
六和塔③
六和塔から撮影
(3)紹興市内「蘭亭」
(11月21日)
「蘭亭」の名は、春秋戦国時代に呉越戦争で勝利した越王の勾践(こうせん)が、蘭を植えたとの故事に因
むとも言われている。大書道家 王義之(おうぎし)が、この地で開いた曲水の宴の序文「蘭亭序」を書いたこ
とから、一躍有名になった。曲水の宴とは、曲がりくねった溝に水を引き入れ、上流から流れてくる酒杯が自
分の席に到着するまでの間に即興で詩を作り、杯をとって酒を飲み干した後、下流の客に次々と杯をまわす遊
宴のことである。
蘭亭①
蘭亭②
蘭亭書道博物館
6
(4)紹興市内「紹興酒工場」
(11月21日)
「紹興酒」は、糯米と麦麹を原料とする醸造酒。中国では鑑湖の水で仕込むので、鑑湖名酒とも呼ばれる。
製法の違いにより、元紅酒、加飯酒、善醸酒、香雪酒の4種類がある。日本でよく飲まれるものは加飯酒。
紹興酒業①
紹興酒業②
手作りの紹興酒に刻印されている印
(5)紹興市内「八字橋」
(11月21日)
「八字橋」は、紹興の石橋の中で最古のもので、三本の川の合流点に架かっている。四方から上がること
ができる唯一の橋で「四面橋」とも呼ばれる。南宋時代の宝祐4年(1256年)に建造された。
八字橋①
八字橋②
八字橋③
(6)紹興市内「魯迅故居」
(11月21日)
「魯迅故居」は、文学を通して中国民衆の覚醒を促した文学者 魯迅が生まれてから13歳になるまで過ご
した家である。
「百草園」と呼ばれる、魯迅が幼少期に遊んだ裏庭もある。この家は、後に人手に渡ることとな
るが、魯迅の作品「故郷」は、その際の身辺整理のために帰郷した時の体験をもとにしているといわれている。
故居の隣にある記念館では、文学と革命に捧げた生涯が紹介されていた。
魯迅故居①
魯迅故居②
百草園
魯迅記念館①
魯迅記念館②
魯迅記念館③
7
(7)上海市内「外難」
(11月21、22日)
「バンド」とも呼ばれる黄浦江西岸を走る中山一路沿い、全長1.1kmほどの地域を指す。この一帯は、
19世紀後半から20世紀前半にかけての租界地区(上海租界)であり、当時建設された西洋式高層建築が並
んでいる。
「外難」の建築群は、1996年に中国の全国重点文物保護単位に指定された。
外難夜景①
外難夜景②
外難夜景③
外難①
外難②
外難③
(8)上海市内「豫園」
(11月22日)
「豫園」は、四川布政使の役人であった潘充端が、刑部尚書だった父の潘恩のために贈った庭園である。
「豫」は愉を示し、
「楽しい園」という意味がある。1982年に中国の全国重点文物保護単位に指定され
た。周辺には、中華的な高層建築物が並んでいる「豫園商城」があり、土産物屋や飲食店が軒を連ねている。
小龍包の本家を名乗る南翔饅頭店などがある。
豫園①
豫園②
豫園③
豫園商城①
豫園商城②
南翔饅頭店の小龍包
8
8.まとめ
当社は、目標としていた発電出力合計50MWが達成できる見通しとなり、更なる拡大を目指している。
50MWの発電出力に要する太陽光パネルは約17万枚で、現在は殆ど、ネクストエナジー・アンド・リソー
ス㈱がOEM生産(Chint Solar社製)しているものを採用している。ネクストエナジー・アンド・
リソース㈱は、今後、JA SOLAR社の代理店として、またOEM生産も行うことを検討していくとの事だ
った。
今回で、4回目となる工場視察を行ったが、Chint Solar社、JA SOLAR社ともに工場は整
然としていて、自動化が進んでいた。また、品質管理も徹底されており、安定した品質のものを量産することが
できる体制が整っていると感じた。
ご参加いただいた方々とも親交を深めることができ、大変有意義な視察であった。
9