JTC 1/SC2/WG2#64 松江会議 報告

JTC 1/SC2/WG2#64 松江会議 報告
文字情報基盤事務局 武藤 圭祐
2015 年 11 月 10 日
2015 年 10 月 19 日から 23 日にかけて,島根県松江市において,JTC 1/SC2/WG2 第 64 回
松江会議が開催されました。本会議にかかる,文字情報基盤整備事業に関する内容について報
告します。
1. 変体仮名について
情報規格調査会 SC2 専門委員会より提案していた変体仮名については,ISO/IEC 10646
第 5 版 Amendment 1 の投票テキストに含める候補となった。 (JTC 1/SC 2 N4441
Recommendation M64.08)また、変体仮名については以下の議論があった。
 MJ 文字情報一覧表 変体仮名編 Ver.001.01 では,複数の「字形・字母が同じで音価が異
なる変体仮名」に対して,それぞれ別の MJ 文字図形名を付与していたが,UTC やアイル
ランドからのコメントによって,一文字として符号化する方針となった。この結果を適用
すると、符号化される変体仮名の文字数は、MJ 文字情報一覧表の 299 文字より少なくな
る見込みである。
 変体仮名に対する文字名については,いくつか案が出されており,11 月上旬の Unicode
Consortium の会議でも議論してはどうかという話になり,現在も検討中である。
 符号位置は,Kana Supplement ブロックの 1B002 以降が使われる予定である。なお,変
体仮名の文字数は,現在 Kana Supplement ブロックは 1B000-1B0FF であり,その後ろ
に中国が提案していた女書文字の符号位置が予定されていたが,女書文字の領域を後ろに
ずらすことによって変体仮名が連続領域に配置される予定である。
2. 拡張 F について
拡張 F に含まれている日本の漢字提案(JMJ ソース)は,第 5 版 CD の投票コメントのディス
ポジションにより,以下の変更が加えられることになった。(JTC 1/SC 2 N4441
Recommendation M64.05)
 JMJ-056848 は,英国が注音符号であり漢字ではなく,CJK Unified Ideographs に含め
るのは好ましくないと提案し,拡張 F から削除された。
1
JMJ-056848
 法務省告示 582 号において,在留カードで使用できる正字として,別表第一に掲載されて
いる外字の内 5 文字のうち,IRG において審議中の F2 に含まれている以下の JMJ068048 と JMJ-068049 を拡張 F に含める様に UNC 提案した。以下の二つは、F2 から
抽出され拡張 F に含められることになった。
JMJ-068048 JMJ-068049
 英国は,JMJ-056848 に相当する文字を,注音符号を収めた BOPOMOFO ブロックに文
字の追加提案し,U+312E が CD2 に追加されることとなった。
3. 今後の ISO/IEC 10646 の進行スケジュールについて
拡張 F が含められている ISO/IEC 10646 の第 5 版については,更新を行った CD2 を作成
し,2015 年 12 月に CD2 の投票を開始する予定である。また,次回の IRG 香港会議の内容を
踏まえて,IRG で審議中の F2 も CD2 の候補とすることが記載されている。(JTC 1/SC 2
N4441 Recommendation M64.07)
一方、変体仮名が含まれる予定の Amendment 1 は, PDAM1 の投票開始を 2016-04 と
予定している。 (JTC 1/SC 2 N4441 Recommendation M64.08)
ISO/IEC 10646 第 5 版の今後の目標スケジュール
 CD2 の投票開始
2015-12
 DIS の投票開始
2016-04
 FDIS の投票開始
2016-11
ISO/IEC 10646 第 5 版 Amendment 1 の今後の目標スケジュール
 PDAM1 の投票開始 2016-04
 DAM1 の投票開始
2016-11
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