vol.264 ハウスメーカー、多層階住宅が好調 新規参入も

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ハウジング・トリビューン【ウィークリー】
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2015 年 11 月13 日号
http://www.sohjusha.co.jp
今週のトピック解説
ハウスメーカー、多層階住宅が好調 新規参入も
ハウスメーカーの多層階住宅
宅「BEREO」を展開する積水ハウスでは、戸建住宅だけで
事業が好調だ。重量鉄骨ラーメ
なく賃貸住宅でも3・4階建てが増えている。賃貸住宅の受
ン構造の多層階住宅「Vieuno(ビ
注に占める3・4階建ての割合が今年2月〜7月は51%と、半
ューノ)
」シリーズを展開するパ
数を超えた。同社は、4階建てのβシステム構法において型
ナホームは今年4月〜9月の多層
式適合認定を取得し、今年10月から実物件の運用を開始した。
階住宅の受注金額が約340億円と、
これまで工業化住宅の型式認定は2階建て、3階建て住宅ま
前年比17%の伸びを見せている。
でだった。4階建て住宅でも認定を取得することで、設計・
「消費税の反動減が長引き戸
建築確認許可のスピードアップとコスト低減が図れる。3・
建住宅市場の回復が遅れるなか、
多層階住宅は順調に業績を伸ば
している」
(専務執行役員 多層階
4階建て住宅の競争力を高め、販売拡大を目指す考えだ。
パナホームの「Vieuno PRO」に
よる5階建ての事業用建物「はせ
がわ酒店」。11月にオープンした
事業本部長 平澤博士氏)という。
4月には柱・梁などを強化し、店舗や事務所などのテナン
ト用途に適した間取りや天井高を実現する「Vieuno PRO(ビ
短期工事など工業化住宅のメリットを活かし展開
各社の多層階住宅が好調に推移するなか、ミサワホームで
は重量鉄骨による多層階住宅の開発を開始。来年4月に新商
品を発売する予定だ。
ューノ・プロ)
」も発売した。それまで低層の戸建住宅と一
「新商品の発売に先立ち、2月に東京都内の展示場に試行
体的に展開してきた多層階住宅について、多層階事業本部を
棟を建設する」
(竹中宣雄社長)としており、多層階住宅市
設置。需要が見込まれる神奈川県の川崎市や横浜市、東京都
場に本格参入する。
の豊島区や中野区、新宿区などに戦略的拠点「ビューノプラ
ザ」も開設し、さらなる拡販を進めている。
今年1月に相続税が改正され、都市部の土地オーナーを中
心に相続税の課税対象者が増加する見込みだ。相続税対策と
大和ハウス工業も「都市部を中心に相続税の課税対象額の
して二世帯住宅や賃貸、店舗・事務所併用住宅の需要が増え
減額を見込んで、二世帯住宅や賃貸、店舗・事務所併用住宅
ており、これに対応する多層階住宅へのニーズが拡大してい
のニーズが高まっている」
(執行役員 住宅事業推進部 営業
る。これまで多層階の建物はゼネコンがRC造で建設するケ
統括部 統括部長 水谷勲氏)として、今年10月に3・4・5階
ースが多かったが、東京オリンピックに向けた工事の増加に
建て重量鉄骨住宅「skye(スカイエ)
」をリニューアルした。
伴い、職人不足などからRC造は工期の長期化が懸念されて
新構法「DRF構法」を採用し、業界最高クラスの各階天井
おり、工事費も上昇している。一方、工業化住宅であるハウ
高2720㎜を実現。最大8190㎜のワイドスパンも可能にした。
スメーカーの多層階住宅は価格が安定しており、一般的RC
二世帯住宅や賃貸併用住宅、店舗併用住宅といった多様な用
造と比べ30〜40%工期を短縮できるのもメリットだ。戸建
途に対応でき、従来商品から1割強低価格化も図った。首都
住宅を中心に新築市場が縮小していくなかで、ハウスメーカ
圏や東海エリア、近畿エリアなど都市部を中心に販売拡大を
ーは多層階住宅を新たな市場と捉え土地オーナーなどへの提
図る。
案を積極化している。首都圏や大阪圏、名古屋圏など大都市
独自の重量鉄骨梁勝ちラーメン構造「βシステム構法」
による3・4階建ての戸建住宅「BIENA(ビエナ)
」や賃貸住
部を中心に、ハウスメーカーによる多層階住宅の競争が激化
しそうだ。
今週の主なニュース
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・トヨタホーム 戸建商品で断熱性能向上させ ZEH 対
応に 断熱材強化や高断熱サッシ採用で
・LIXIL 住宅研究所 本田と近未来のコンセプトホーム
燃料電池自動車でも V2H
・東急不動産 HD 渋谷に都市型賃貸レジデンス 高
まる職住近接ニーズに応える
・片倉工業 前が大きく開いた前広便座を開発 オス
トメイトの人のパウチ処理の負担を軽減
・和光製作所 大容量の収納スペースを確保したシス
テムバスを提案 すっきりとした意匠性を付与
・リンナイ 業界最大火力のガスバーナーを搭載した
家庭用テーブルコンロを発売 清掃性にも配慮