病院口コミ検索サイトと被験者feasibility機能を組み合わせ

第15回CRCと臨床試験のあり方を考える会議2015 in Kobe
演題:
病院口コミ検索サイトと被験者feasibility機能を組み合わせた
新たな被験者エントリーシステムの活用についての研究
所属:株式会社 コスメックス
発表者:昌山 満
本演題の研究テーマは、弊社と協業関係にある病院口コミ検索サイト運営会社C社のシステムを取り上げた研究
です。(COI:あり)
【目的】
株式会社コスメックスとC社で2013年から取り組んでいる病院口コミ検索サイトに被験者
feasibility機能を組み合わせた新たな被験者エントリーシステムが、近年、複雑になった
組み入れ基準の臨床試験において有効性があるかを検証した。今回、適格な被験者を
効率的に見つけ出す新たなシステムとなることを期待して2試験で
トライアルとして研究を行った。
「feasibility機能」:CRCが被験者選定確度を上げるための機能
【方法 】
今回、小児の疾患並びに皮膚科領域における急性期疾患を取り上げて検証した。 ま
ず、C社病院口コミ検索サイトに治験募集概要を掲載した。医療機関を探している患者
の中で、新薬治療を希望する方が、自ら治験の申し込みが出来、同時にそのfeasibility
機能画面から適格性情報を入力し、条件が合えば参加の可否の結果をメールで自動的
に受け取れる仕組みである。その後、治験要件に該当する候補患者へ、担当CRCから
直接コンタクトを取り、適格性を再確認し治験施設へ案内する方法を取ることとした。
(図1)
※参考:従前の治験コールセンター業務との比較も参考として挙げる(図2)
図1:新たな被験者エントリーシステムの仕組み
④治験参加
①医療機関検索
病名検索
医療機関情報
医療機関
(治験施設)
⑤再確認
患者
治療実績情報
治験情報
②適格性確認
アンケート
feasibility機能
③電話連絡・適格性確認
施設
CRC
図2:従来のコールセンターの仕組み
⑤治験参加
医療機関
(治験施設)
①ネット検索
新聞購読
⑥初回確認
新聞広告
WEB広告
患者
②問い合わせ
コールセンター
施設
CRC
③患者候補紹介
④電話連絡・適格性確認
【結果】
小児領域の試験では2014年前後の11か月間、1施設で活用。アクセス数3209件、内
応募総数6例、契約症例4例中2例がエントリーでき実用化の目途が立つ。
60
7
6
50
5
啓発記事は有効であった
40
4
30
3
20
2
10
1
0
2013/11/1
0
2013/12/1
2014/1/1
2014/2/1
アクセス(PC)
2014/3/1
アクセス(スマホ)
2014/4/1
2014/5/1
アクセス(合計)
2014/6/1
2014/7/1
応募(合計・累積)
2014/8/1
アクセス数の減少に対して
疾患啓発記事を掲載し、
その後アクセス数の増加と
症例エントリーが確認でき
た。
【結果】
皮膚科急性期の試験では2015年前後の8か月間、治験途中から7SMO(61施設)で活
用、目標症例数221例(利用開始時点での残り目標症例数)に対してアクセス数2485
件、申込み総数113例、内59例がエントリー候補者として選定、内10例がエントリーで
き全国規模での活用でも成果が得られた。
45
140
35
30
25
応募施設を全国展開
(SMO追加)
40
啓
発
記
事
掲
載
120
100
80
20
60
15
40
10
20
5
0
0
アクセス(PC)
アクセス(スマホ)
アクセス(合計)
応募(合計・累積)
急性期の試験で有効だった
インターネットの特徴からか
全国どの地域でも活用可能
【成功要因】
 患者の来院スタイルの変化
近隣のホームドクター選択から病院検索での病院選択へ変化
 患者を取り巻くIT環境の変化
スマホ等の普及により患者自身が検索キーワードで情報取得が可能となる
 病院検索サイトという特定媒体の利用
広大なキーワード検索の中で、疾患に関心のある患者が多数来ていること
【課題】
 病院検索された患者への治験への誘導方法
診断名がついていない患者・ビックワード疾患等での上位検索の実現
 単独使用での効果は未知数
院内患者、被験者募集会社に、このシステムと併用効果の検討が必要
 慎重な個人情報の取り扱いが必要
病院検索サイト内で患者が個人情報を入れ、CRCがダイレクトにアクセスする
【考察】
院内患者だけのエントリーでも非常に難しく、被験者募集会社も活用できない小児・希少
疾患・全国規模・急性期治験等の様々な厳しい条件下において、病院口コミ検索サイト
とfeasibility機能の組合せが、被験者エントリーに効果があることが確認できた。
また課題である検索キーワードからの治験情報へのアクセスを増やす方法として、疾患
啓発記事等を掲載することにより、アクセス数が有意に上昇することも確認できた。
今回の検証から、治療で真に必要な情報を得たいという患者が、特定の疾患キーワード
検索し、必要な情報にアクセスすることにより、治験薬で最新治療を受けることができる
ことを確認できた。
本システムは今後、新たな被験者エントリーの手段となり得ることが期待できる。