リモートセンシンク〝偏波レ}ダの汎用キャリプレーション法の開発

リモ ー トセ ン シ ン グ 偏 波 レー ダ の 汎 用 キ ャ リブ レー シ ョン の
法 開発
木村 宏
岐阜大学 工 学部 電 気電子 工学科 〒 5 0 1 ‐
1 1 9 3 岐 阜市柳 戸 1 ‐
1
‐
e‐
m航1:[email protected]血
u.acづ
p
概 要 : 地 球環境 監視 のた めに近年 の注 目されてい る偏波 レー ダについ て , 最 小数 の標準散乱体
と地 表散乱体の性 質 を利用す る汎用キャ リブ レー シ ョン法 の 開発 を 目的 に
, 地上 レー ダ干 渉信号
ー
の 除去 と新 しい偏波 間 ク ロス ト クの補 正 法 を提案す る。
1 , は じめに
リモ ー トセ ンシングは地球 環境 の監視技術
と して注 目され てい る。特 に レー ダ リモ ー ト
セ ンシン グには天候や昼夜 に影響 を受 けな い
とい う特徴 がある. 従 来 の 光学 セ ンナではデ
ー タ収集 が 困難 であった
多雨地域や観 測不能
の 夜間にお い て も, レー ダ観 測 が 可能 で あ る
た め, 特 に京 都会議 の重要 なテ ー マ であ る二
酸化炭素 に関連す る森林 モニ タ リング等 へ の
期待 が大 きい. さ らに , リモ ー トセ ンシ ング
用 の レー ダの 中で も, 近 年注 目され てい るの
が , 偏 波 レー ダであ る. 電 磁波 は電界 ベ ク ト
ル に よ つて偏波 とい う特性 が定義 され る. 多
くの リモ ー トセ ンシン グ偏波 レー ダは , 送 受
信 において水平偏波 と垂直偏波 を用 い て 4 種
の偏波 の組合せ で観 測す る. こ の 4 種 の組合
せ に よつ て , 散 乱体 の偏波 に対す る完全 な特
性 を知 る ことがで きる. さ らに , 地 表物体 の
完全 な散乱特性 か らは, 森 林 バ イオマ スだ け
でな く, 土 壌水分や地表 面粗度等 の物理量計
測 が期待 され て い る. 一 方, リモ ー トセ ンシ
ング偏波 レー ダは, 人 工衛星や航 空機 に搭載
され て使 われ るため, 種 々の外乱要因 の影響
を受 けやす いだ けでな く, 内 部 自体 に も歪要
素 を含 んでい る. 偏 波 レー ダを真 に有効利 用
す るには, 観 測デ ー タか ら レー ダ断面積や偏
渡 間位相 を高精度 に定量 化す る必要で あ り,
このための行 い はキャ リブ レー シ ョン と呼 ば
れ る.
本研 究では , 最 小数 の標準散乱体 と地表散
乱体 の性 質 を利 用 した偏波 レー ダの汎用 キ ャ
リブ レー シ ョン法 の 開発 を 目的 とした. 本 報
告 では, 地 上 レー ダ干渉信号 の 除去法 ( 2 章)
と, 新 しい偏 波 間 ク ロス トー クの補 正 法 ( 3
章) を 提案す る.
2.地 上 レー ダ干渉信号の除去
2.1地 上 レー ダの干 渉
リモ ー トセ ン シ ン グ 用 合 成 開 ロ レ ー ダ
ー
(SAR)デ タには ,都市域 で しば しば地上 レー
ダか らの信 号 が干渉す る とい う問題 が起 こ る
に JERS‐
1衛 星(1992∼1998)に搭載 さ
[1][2].特
れ た Lバ ン ド(波長約 0.2m)SARで 深刻 であ る.
SARデ ー タのキ ャ リブ レー シ ョンに は この地
上 レー ダ干渉信 号 の除 去 が必 須 とな る.被 干
渉状態 の SAR信 号 を解析す る と,干 渉信 号は
チ ャー プ信 号帯域 内に複数 の 固定周波数 を も
つてあ る長 さの持 続信 号 として存在す る.こ
の よ うな干渉信 号 を除去す るためには ,画 像
形成段階 にお い て,SAR信 号 スペ ク トル か ら
干渉信 号 の周波数成分 の み を除去す るノ ッチ
フ ィル タが最 も確 実で簡便 な方法であ る[2].
干渉信号 の周波数成分お よび スペ ク トル パ ワ
ー は,場 所 お よび時 間に よって変動 す るため
,
ノッチ フ ィル タの ス レ ッシ ョル ド設 定 には任
意性 があ るが ,干 渉信 号 の除去 と レー ダ散乱
信 号 の保存 を両立す る最適 な ス レ ッシ ョル ド
の存在 が予想 され る。本研 究ではそ の最適 ス
レ ッシ ョル ドを提 案す る.
2.2干 渉信号
一 様分布 ター ゲ ッ トか らの レー ダ信 パ ワ
号
ー は指数分布 となることが知 られ てお り
[3],
SARの チ ャー プ信号 エ ヨー のスペ ク トル パ ワ
ー も指数分布 とな る。一 方 ,地 上 レー ダ の干
渉信 号 のスペ ク トル パ ワー 分布 は未知 で ある。
神戸 と横浜 の JERS-l SAR受 信信号デ ー タ
に つい て ,地 表散乱信号 スペ ク トル パ ワー が
指数分布す る と仮定 して求 めた干 渉信 号 スペ
ク トル パ ワーpdfを 図 1に 示す 。同図は,横 軸
縦軸 ともに対数 ス ケ ー ル である。神 戸 の ケ ー
スか ら次 式 の干 渉信 号 スペ ク トル パ ワー pdf
1 0 1
0 1 Kobc(sCVCrc)
1 ど`
ヽ
、
10‐
ム :Yokoharu(wcak)
`
`
ヽ
代、
_へ
2
10‐
3
10‐
4
10‐
5
10‐
―
Fo「
cst(M)
Model
﹂石と o﹂
︵仰0︶。b 一oや
ふo
こo
ヨげ留L
︵
ざ︶
100
Urban-1(K)
Modcl
Urban‐
2(K)
ヽ4odcl
Suburb(Y)
ヽ10del
3(K)
Urban‐
ヽ4odcl
Sea(K)
Modcl
Kobe intcrfercncttdel
卜‐
‐‐
‐
:Kobe interfercnce mdet x 0 16
100
10° 101
102
103
Nomallzed threshold
102
101
104
NoHnalittd powcr
図 2 ス レ ッ シ ョル ド対 後 方 散 乱 係 数
ー
図 1 干 渉 信 号 ス ペ ク トル パ ワ p d f
く
︱
舛
〓
>
声 ・
i
0 0
r
X
?
坤
伽
を得 た [9].
に
1≦メ≦164
ぜ0
164<メ
SO.
( 1 )
期
申馳
和
ここで正 規化 パ ワーx の 定義域 は 1 金 である
が , 区 間 0 笠< 1 を 除 いた影響 は小 さい,
図 1 で は, 干 渉 の程度 の異 なる神 戸 と横浜
ー
の 間 で , 干渉 イ
言号 スペ ク トル パ ワ p d f に類似
性 が見 出 され る . こ れ よ り, 任 意 の干渉信号
のスペ ク トル パ ワーp d f は α? ナ
府 ) ( α は係数)
︲
∼
隠球る 酌
一
と考 えるこ とがで きる.
ノッチ フ イル タ リング[ 9 ]
り
用す るノッチ フ イル タ r r Kは次
2≦
r ドブ
け】 「
dse
(2)
2は
ペ
パ
ここで , 陽( た
メ 周波数成分 デのス ク トル
ワー , " ま干渉 成分判 定 のス レ ッシ ョル ドであ
る. ス ペ ク トル は受信信 号 ライ ン毎 に異 な る
た め, フ イル タ 取 りの周波数特性 はライ ン毎
に変動す る ことにな る.
神戸( K ) , 横 浜 ( Y ) , マ レイ シア( M ) の 3 地 域
の 中 に選 んだ 幾 つ か の地表 ター ゲ ッ トについ
て , ノッチ フ イル タス レ ッシ ョル ドとフ イル
タ リン グ後 の後 方散乱係 数 の 関係 を計測 して
ー
図 2 を 得 た. い ずれ の地表 タ ゲ ッ トも, ス
レ ッシ ョル ドの増 加 に伴 つて 後方散 乱係数 も
増 加 し飽和 レベ ル に達す る. 計 測値 とモ デル
3とSeaを
除く地表ターゲッ
計算値は,Urban‐
一
3
トで ,特 に 1<rで非常 に よく 致す る.Urban‐
0,
Norlnalized thrcshold power
・
図 3 ス レ ッ シ ョル ド対 保 存 率 除 去 率
は著 しく強散乱 の散乱体 を含む小面積 (l kn2
ー
以下)の市街 地で あ り,一 様分布 タ ゲ ッ トの
ー
指数分布 が適用 できな い タ ゲ ッ トと考 え ら
れ るが,2<τではモ デ ル 計算値 と計測値 が よく
一 致す る.Seaは 強 い干渉 を受 けた領域 で ,本
来 の後方散乱係 数 は小 さい。計測値 とモ デ ル
計算値 の差異 は 1争<100で 大 きいが ,そ の違
いは 3dB以 内で ある.Seaに お ける差異 の原
因 に は雑 音 の 影 響 が予想 され る .Urban‐1,
2 ,Suburbは 一 様 ター ゲ ッ トではな いが ,
Urban‐
一
数 km2の 広 い領域 を選択 して い るた めに 様
ター ゲ ッ トと同様 の特性 を示 して い る,森 林
一
で ,モ デ ル 計算 と計測値 の 致 が
以外 の 1>「
悪 くなる理 由は,干 渉信号 モ デル が ″>1で 作
成 されて い るた めで ある.
干渉除 去 ノ ッチ フ イル タの効果 とス レ ッシ
ョル ドの関係 を図 2の 計算 モ デ ル を用 い , レ
ー ダ散乱信号保存 率 と干渉信号除 去率 rで
を
ゎ
評価値 として数値計算 し図 3を 得 た。70%以
上 の干渉信 号除 去率 を得 るには,正 規化 ス レ
ッシ ョル ドが 50以 下である。また ,都 市域 の
よ うな強後 方散乱 の領域 で信 号保 存率 をほ ぼ
(a)r=05
(b)r‐ 1
(OT=100
(g)r=500
(k)「 =05
(P)r‐ 10
(1)ア
(q)r=50
(c)r‐ 5
(d)r=10
(h)″ =1000
(1)r=5000
=1
(m)r=5
(r)r=100
(S)f=500
(m)r=10
(e)″=50
0)″=10000
(o)ァ =50
(t)r=10000
図 4 ス レッショル ドと実画像の比較, ( a ) ∼
古屋
( 0 ) , マレイシア, ( p ) ∼
0 : 神 戸, ( k ) ∼
(t):名
こす るには, 正規化 ス レ ッシ ョル ドが 1 0
100%ヤ
以 L で あ る. 通 常, 干 渉信号 は都 市域 を含 む
領域 で発生 す るの で , 最 適 な正規化 ス レ ッシ
ョル ドは 1 0 ∼5 0 と な る。また, こ の範 囲 では,
干渉波 の存在 しない低散乱強度領域 に対 して
/。
も信 号保存率がほぼ 1 0 o O で
あ り, ノ ッチ フ ィ
ル タの弊害 は発生 しない.
上 で得 た最適正 規化 ス レ ッシ ョル ド1 0 ∼5 0
を検 証す るた め , 神 戸 , マ レイ シア お よび名
古屋 の 実デ ー タで ス レ ッシ ョル ドの効果 を比
較 し図 4 に 示す ス レ ッシ ョル ド0 . 5 や 1 で ,
いずれ も コ ン トラス トの劣化 が み られ る. こ
の理 由は , 地 表信号成分 が除去 され たた めで
ある。また , 神 戸や名古屋画像 のス レ ッシ ョ
ル ド 5 0 0 以 上では, 干 渉信号 が頭著 にな る.
実画像 の 比較 にお い て も, 図 3 で の評 価 と同
様 に 1 0 ∼5 0 が 最適 正 規 化 ス レ ッシ ョル ドと
い え る。 なお , こ の ス レ ッ シ ョル ドは後 方 散
乱係 数 8 . 3 d B ∼1 5 , 3 d B のター ゲ ッ トか らの散
乱信 号 パ ワー に相 当す る.
3 . 偏 波 間 ク ロス トー ク補正 法
3 . 1 偏 波 レー ダ の 偏 波 間 ク ロス トー ク
2 0 0 5 年 度 に打 上 げが予定 され てい る A L O S
衛 星 には , L バ ン ド偏 波 S A R ( P A L S A R ) が 搭載
され る予 定 で あ る[ 4 ] . A L O S / P A L S A R は , 米
C ミ ッシ ョンに次 ぐ, 本 格
国 の 実験 的 な S I R ―
的 な L バ ン ド偏 波 S A R で あ り, 地 球 科 学や 地
球環 境 計 滅1 への利 用 が 期待 され てい る 特 に ,
上壌 水 分 , 表 面粗 度 , バ イ オ マ ス 等 の 物 理 量
の 高 精 度 な計 測 に は, レー ダ装 置 と して キ ャ
ー
リブ レー シ ョンが必 須 とな る . 偏 波 レ ダ の
ー
キ ャ リブ レー シ ョンで は , 偏 波 間 ク ロス ト
方 法 [ 5 ] やQ u e g a n
ク補 正 が 最 重 要 で , v a n Z y l の
一
の 方 法 [ 6 ] が 般 的 に よ く用 い られ て い る。
A L O S / P A L S A R で は , さ らに交差偏 波 の ノイ
ズ バ ラ ン ス と電 離 層 中 の 伝 搬 に伴 う F a r a d a y
回 転 [ 8 1 の補 正 が必要 とな るが , 前 記 従 来法 で
は十 分 な対 応 で き な い 。 本 研 究 で は F a r a d a y
回 転 補 正 に も対 応 した新 しい方 法 を提 案す る .
ー
3 , 2 シ ス テ ム モ デ ル と従 来 の キ ャ リブ レ
シ ョン 法
A L O S / P A L S A R モ デ ル は次 式 で表せ る.
θ =RwrttN
比
羽
S = [‖骨
:1‖
F=[f督
占:&:!1
苫
︱
︰
︲号
⋮
;
︱
怖怖
比
︱
十
一
一
一
一
一
R T N
ー
観 沢1 散乱行 列 , S は タ ゲ ッ ト
の 散 乱行 列 , F は F a r a d a y 回転 行 列 ( 回転 角 の ,
R と T は それ ぞれ 受信 お よび送信 シ ス テ ムの
歪 行 列 , N は ノイ ズ 行 列 で あ る。 キ ヤ リブ レ
こ こで , 0 は
ー シ ョンは , え R , ■ N を 同定す る こ とで あ り,
この結 果 0 か ら S を 得 る こ とが可 能 とな る .
v a n Z y l の方 法 は, 相 反 システ ムモ デ ル と対
前 提 にす る[ 5 ] . Q u c g a n は
称 な観 測 散 乱行 7 1 1 を
この方 法 を相 反 性 が 成 立 しな い システ ム に拡
張 した が [ 6 ] , 次 の 仮 定 を導 入 して い る。
,)ヵ
v=品
・
仮定 1 】散乱行列の相反性( 品
【
の
ム
対角成分
システ
歪行列
2
】送受信
仮定
【
が 非 対 角 成 分 に比 べ て小 さい 。
仮定 3 】自然の散乱体では共偏波と交差偏
【
>=dw
ゃ
ヵ
波 間 の 後 方 散 乱 が 無 相 関 係軌ヵ S ・
>=0).
S・
vヵ
仮定 4 】ノイズ と散乱信号 とは無相関であ
【
り, ノ イズは 0 平均で分散 地 である.
共偏波のチャネルはS N 比 が大きく,
仮定 5 】
【
ヽ0 , 札v ∼
0).
ノイ ズの影響 を無視 で きる( 馬ヵ
ー
パ
仮定 6 】交差偏波チ ャネ ル の ノイ ズ ワ
【
ペ 転) ・
は等 しい何″
ッ
3 . 3 キ ャ リブ レー シ ョン法 の 改 良
3 . 3 . l Q t e g a n 法の改 良
A L O S / P A L S A R は , H 系 と V 系 で異 な る受
仮 定 6 】が必ず し
信機 を用 い るた め , 先 の 【
も保証 され ない。そ こで , 交 差偏 波チ ャネ ル
=″)に拡 張
ノイ ズ をイ ンバ ラ ンス 状 態 ば Й/れッ
した場合 の 解 を導 出 した 。 さ らに, 日 本 の よ
うに ,平 野 が狭 く,か つ そ こに 自然 物 と人 工
物 が複雑 に混在す るよ うな状況 では , 【 仮 定
満
3 】が保障 されな い。 そ こで , 【 仮 定 2 】カミ
ー
レ
シ
ョン
足 され るこ とを前提 に , キ ヤ リブ
に用 い る地表 を, 共 偏波 と交差偏波 チ ャネ ル
ッ
vOか )
間 の相 関係 数 ( K a ヵO キЙ) あ る い は r ( θ
がある値 よ りも小 さな部分 に限定す る方法 を
導入す る[ 1 0 ] .
ー
3 . 3 . 2 偏波 オ リエ ンテ シ ヨン角応用法
ー
Faraday回 転 は偏 波 間 ク ロス ト ク の 増 加
おける
と同 じ効 果 を もつ .ALOA/PALSAに
Faraday回 転 角 の上 限 は 40度 程 度 と見積 も ら
れ て い る [8].Faraday回 転 が 小 さい 場合 は,
前 述 の Quegan法 の 改 良 を適 用 す る こ とが可
へ
能 で あ る が ,Faraday回 転 が大 き い 場 合 の 対
応 法 が必 要 で あ る .
ー
近年斜 面 に よる偏 波 オ リエ ンテ シ ヨン角
へ
変化 が 報 告 され ,さ らに斜 面補 正 の 応 用 が
研 究 され て い る[7].本 研 究 で ,JAXA P卜 SAR
ー
デ ー タを用 いて 都 市域 の 偏 波 オ リエ ンテ シ
ョン角 を解 析 した ところ,建 物 に よ る偏 波 オ
ー
リエ ンテ シ ヨン角 変 化 を見 出 した 。 モ デ ル
同じ
を提 案 し解 析 の 結 果 , ALOS/PALSARと
Lバ ン ドで の 岐 阜 市街 地 の 計 測 値 は,モ デ ル
一
計算値 に 良 く 致 した 。 た だ し,モ デ ル との
一 致 度 は レー ダ波長 や都 市 の 構 造 に よ つて 異
な る こ とも判 明 した [11]・
ー
都 市域 の 偏 波 オ リエ ンテ シ ヨン角 変化 に
ー
着 目 して ,次 に示 す 偏 波 間 ク ロス ト ク補 正
法 を考案 した [12].導入 した仮 定 は次 の とお り
で あ る.
相反性(品y=Sッ
ヵ
)・
仮定 1】散乱行rllの
【
と交差偏波間
では共偏波
2】表面散乱
仮定
【
の後方散乱の相関は小 さい.
( a ) 従来 Q u e g a n 法
(b)改 良法
図 5 4 5 度 回転 2 面 コー ナ反射体 の偏波応答比較
表
1 シ ミュ レー テ ッ ドア ニー リング法 に よる数値実験結 果
設 定 パ ラメー タ
Ctte-1
推 定 パ ラメ ー タ
い
07い
卜B継☆
桜 号R=[‖
│千
;:;;!‖
;
051ブ
0.031
r=[‖
│;:i;‖
!;! 0・r=[‖
i;:i!;il;
側
0丁
い
t式
i:告
常
縄
還 日弔 柵 牧
0.031
Ω =24.7。
O'°
るような最適化を行った。
に,
仮定 1】
【
万,/2は
2】
に出
.さ
の
【
仮定
来する
らに
/3は
解 安定性
を図るため,コ ーナリフレクタの応答条件 /4
を付加 した。
九
―
″
専X桝
い
″洲
ヽ功
S
W
十
S
端
十
S
九
y
■
,
ム
十
一
一
一
十
一
十
一
一
一
克
3 . 4 . 2 偏波 オ ジエ ンテ ー シ ョン 角 の 応 用 法
3 . 4 . 1 で キ ャ リブ レ ー シ ョ ン した J A X A
P 卜S A R デ ー タに 対 して F a r a d 守回転 とシ ス テ
混1 亨樹; F
拭
/
が 1 か ら離れ るほ ど大 き い.
[
ム歪 を模擬 し, こ れ を シ ミュ レー テ ッ ドア ニ
ー リン グ法
用 いて解 く とい う数値 実験
[13]を
を行 つ た。想定 したパ ラメー タ と同方法 で推
定 され たパ ラメー タの比 較 を表 1 に 示す 。 同
方法 の 実行 には , 次 の評価 関数 メ が最小 にな
3 . 4 改 良法 の 実験
3 . 4 . l Q u c g a n 法の 改 良
波 に小 さな応 答 が 現れ
Qucgan法 では,W偏
て い るが , 改 良法 で は これ が 消 えて い る[ 1 0 ] .
改 良法 の 効 果 は , 交 差 偏 波 の ノイ ズバ ラ ンス
8
0・
51
r‐
SARデ ー
Q u c g a n 改 良法 の 効 果 は , J A X A P l ―
タに 適 用 して確 認 で きた。図 5 は 4 5 度 回転 2
面 コー ナ反 射 体 の 偏 波 応 答 を示 した もの で あ
る。 同 リフ レ ク タの応 答 は , 理 論的 には交 差
偏 波 の み に 生 じ,共 偏 波 に は な い .従 来
0
=[子
ダ
i号
│1甘
│;ど
0051ブ
ヤ
判
1
︱
い
”
。.
0
0・
0
Case-2
(4)
ー
表 1 の 結果 は , 偏 波 オ リエ ンテ シ ョン角
ー
を利用す る ことに よつて, ・キ ャ リブ レ シ ョ
ー
ンパ ラメ タを高精度 に推定で き る可能性 を
1 は F a r a d a y 回転角 の推 定
示 してい る。C a s e ‐
精 度 が 不 十 分 に み え るか も しれ な い が ,
F a r a d a y 回転行 列 とシ ステ ム歪行 列 を統合 し
た
島 i P R , r F t r e
F は
良
く
一
致
し て い
る .
F a r a d a y 回転 角 自体 の推 定 は特 に必 要 な い 場
合 が 多 いので , 統 合行 列 R t t T F を正 しく推定
で きれ ばキャ リブ レー シ ョンの 目的 は達成す
る。
Remote Sensing,vol.32,no.5,pp.1017-1028,
1994.
[ 4 ] H . K i m u r a a n d N . I t o , ⅢA L O S / P A L S A R : T h e
Japanese second―generation spacebome SAR
and its applicationsギ ヽ4iCrOwavc Remote
Sensing of thc Attosphere and Environlnent
II, Proc. of SPIE, vol.4152, pp.110-119,
2000.
[51J.J.Van zyl, "Calibration of polarimetrlc
radar images using only image paramcters and
tFihCdral coBler rcnector responscs,Ⅲ IEEE
Trans, Geosci. Rcmote Sensing, vol. 28,
pp.337-348,1990.
m for phase
[6]S.Quegan,Ⅲ A unifoed algon血
4.む すび
実現 が期待 され
2005年 に ALOS/PALSARの
ー
る中,Lバ ン ドに頭著 な地上 レ ダ信 号 の子
ー
ー
渉 とク ロス ト クキ ヤ リブ レ シ ョンにつ い
て ,汎 用的 に適用 で きる低 コス トな技術 を提
ー
案 した.特 に偏波 オ リエ ンテ シ ヨン角 を応
用す る方法 は ,従 来法 に比 べ て仮定が少 な く,
さ らに従 来法 では不適切 な対象 とされ て いた
市街 地 を利 用す る.市 街地 は後方散乱 が強 く,
ノイ ズの影響 を受 けに くいた め ,従 来法 に比
べ て よ り頑 強 な手法 と期待 で きる.さ らに,
Faraday回転 に対す る対応範 囲 も従 来法 に比
べ て格段 に広 い とい う特徴 が ある.成 果 の詳
細 につ い ては,参 考 文献 [9]∼[13]を参照頂 き
た い。
謝辞
本研 究 に対 して多大 な ご支援 を頂 きま した
高柳 記念電 子科学技術 振興財 団 お よび本研 究
助成 に関係 され た皆様 に心か ら感謝 申 し上 げ
ます 。
talk calibration of polarimedc data
and cross―
IEEE Trans.
Thory and observations,Ⅲ
Gcosci. Rcmote Sensing, vol. 32, pp.89-99,
1994.
う
阿瑞品稔
を
8品淵 靴
よ鉾猛斜
IEEE Trans.
n azimuth Slope vttatlon,い
terrお
38, pp.
Geosci. ReHlotc Sensin3, V01・
2153-2163,2000.
e舘
L
継
母船
略棚 瑞∬
L―band SAR backscatter signamres," IEEE
Trans.Geosci.Rcmote Sensing, vol. 42,
唱イ テ齢 軽
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184-187,2004.
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繊諸
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参考 文献
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