前期後半の開始だ 学びを楽しもう!

祇園東中学校だより
校
訓
自律
平成27年8月27日(木)
実行
GHミッション すべての生徒が学びを楽しむ
⇒
友愛
生徒が夢中になれる授業づくり
学校教育目標 「心身ともに健康で切磋琢磨して学び合い,認め合い,支え合う自立した生徒の育成」
(TEL)082-874-6262
(E‐mail) gion‐e-j@e.city.hiroshima.jp
前期後半の開始だ 学びを楽しもう!
8月26日(水)の全校集会より,全校生徒658名が登校する前期後半(~10月16日)の開始とな
りました。今日も,学級朝会で担任の先生が出欠席を確認され,学年主任の先生へ報告します。市総
体の試合2日目に参加している陸上競技部の生徒,体調不良のため欠席している生徒を除いて,出
席出来ていたと聞いております。どの先生もホッとしていることと思います。
<当たり前のことだけど>
全校生徒が事故なく全員が集うことは,当たり前のことなのだけれど,大変嬉しく思っています。
さて,ちょうど30年前,私が勤務を始めた最初の学校は,安佐北区にある日浦中学校でしたが,
夏休みが終了した最初の集会では,事故で亡くなった生徒の黙祷で始まったことを昨日のことのよ
うに覚えています。本当に暑い夏の日でした。
先日の大阪府高槻市における中学1年生男女殺傷遺棄事件について,突然2名の生徒を失った保
護者の方,学校及び友人の悲しみは,想像を絶するものがあると思います。
ところで,みなさんは,明石家さんまさんのお嬢さんの名前を知っていますか?
お嬢さんの名前は,IMARU(いまる)さんといいます。
この名前は,明石家さんまさんが座右の銘として挙げている「生きているだけで丸儲け」を由来と
して命名された。
私は,「人は生きているだけで価値がある」ということを体現していることと考えます。
今日,みなさんが,この場にいること,学校に来られたこと,そのことについて,私たちは本当
に嬉しく思っています。当たり前のことが、出来ていることは素晴らしいことなのですよ。
<職場体験を終えた3年生へ>
7月22日(水)
~24日(金)の
3日間,183名
の生徒が54カ
所の事業所へ出
勤して職場体験
学習を実施しま
した。全部の職場
を巡回すること
は出来ませんでしたが、多くの事業所において,
3年生の実習姿勢に対する賞賛のお言葉をいた
だきました。
特に,印象に残ったのは,8月1日(土)の夜
間パトロールでおじゃました“ゆめタウン祇園
店”の店長さんの言葉でした。
「祇園東中学校の
生徒さんの働きぶりは,本当に丁寧且つ熱心な
ものでした。現職員も刺激を受けたようですね。
高校生になったら,事情が許せば是非アルバイ
トに来てほしい」といわれていました。
共に働きたいと思われることは嬉しいね。
<この夏に頑張ったこと>
あなたは,この夏に何を頑張りましたか?
頑張ったことを一つ挙げてみてください。
このように質問された時に,自分自身に向かい合って考えることを,
「内観」とか「自分に向き合
う」ともいいます。こうした振り返りをすることにより,自分自身が何を為したかを検証する作業
を通して,自分とはどのような人間であるかを明らかにしていくのだと思います。
40年前の中学生の頃,もう少し自分をみつめる力を伸ばしていたら,宿題も計画通りに完成し
ただろうなと反省する次第です。
さて,私がこの夏に頑張ったこと,
「南校舎の2~4階の廊下にポリシャーを使いワックスがけ」
をしたことです。目に見える形で,自分の取り組んだ成果が実感出来る掃除は,大変好きな作業の
一つです。前期後半のスタートに当たり,少しでも気持ち良く生活してほしいなと願っています。
昨日の全校集会では,多くの賞状を披露しました。この夏の成果ですね。よく頑張ったね。
やる気スイッチは,人それぞれ押すタイミングが違います。しかも,周囲が押したスイッチは,
簡単に電池切れになります。やる気スイッチを押す人は,あくまでも自分自身ですよ。
但し,押し忘れには,御注意を!
<学びを楽しもう!>
前期後半の開始となり,今日で2日目(3年生は3日目)になります。
本校の教育の柱は,「生徒全員が学びを楽しむ」ことです。
教室の主役は,生徒のみなさん一人一人です。仲間とのつながりを大切にして,みんなで学習
課題を解決していけるように,コの字の机隊形,ペア学習及びグループ学習で,声のものさしを
意識して「聴く」
「話す」を実行していこう。学ぶ者には福来たる。
<保護者の皆様へ>
長期休暇が終わり,再び学校を中心とした日常が再開しました。各御家庭におかれましても,
次の3点について,御理解・御協力をいただきますようよろしくお願いいたします。
① 早寝,早起き,朝ご飯,排便,家庭学習時間の固定(社会に適応する第一歩です)
② 明るい笑顔のあいさつ(どの職場でも,人間関係構築の第一歩はあいさつからです)
③ 身辺整理・掃除(生活自立は,職場・家庭・地域の一員として重要な要素です)
心に届く愛の言葉
数年前のある朝のことです。一人の中学二年生の自殺を告げる電話があり,報告を終えた校長
は,「入学してから今日まで,あれほど,いのちを大切にしましょう,いのちは大切,と話してき
たのに」と嘆くのでした。
翌週,私の大学での講義が,たまたま,いのちに関するものだったので,この件に触れ,学生
ともども生徒の冥福を祈りました。
私の授業は,集中講義で人数が多いこともあって,出欠席はメモで取り,学生はメモの提出時
に,任意ですが,裏に感想や疑問などを書いてよいことになっています。その日の授業後に提出
されたメモを読んでいたところ,次のメモが目に留まりました。
「最近,こんなCMがありました。いのちは大切だ。いのちを大切に。そんなこと,何千何万
回いわれるより,“あなたが大切だ”誰かにそういってもらえるだけで,生きてゆける」その学生
は続けて,「近頃,この言葉の意味を実感しました。“私は大切だ。生きるだけの価値がある”そ
う思うだけで,私はどんどん丈夫になってゆきます」この学生は,きっと誰かに“君が大切”と
いわれて生きる自信をもらい,“丈夫”になっていったのでしょう。二年後卒業していきました。
いのちは大切と何度教室で聞かされても,ポスターで読んでも,そのことが実感できなくて
は,だめなのです。実感するためには,心に届き,身に沁みる愛情が必要なのだと,私も自分の
経験を思い出しました。
六十年以上も前のことになります。戦後,経済的に苦しい中で高等教育を受けさせてもらって
いた私は,英語も習いたくて,通学しながら上智大学の国際学部という夜学で,教務のアルバイ
トをしていました。そこは,当時日本に駐留していたアメリカの軍人,兵士,家族などを対象と
した夜学でした。
戦争中,英語は御法度だったこともあって私の英語力は貧しく,初めての職場経験ということ
もあり,仕事も決して一人前のものではありませんでした。
そんなある日,仕事の上司でもあったアメリカ人神父が私に,「あなたは宝石だ」といってくれ
たのです。兄や姉に比べても,劣等感を持ち,自分は「石ころ」としか考えていなかった私は,
一瞬耳を疑いました。しかし,この言葉は,それまで生きる自信のなかった私を,徐々に
“丈夫”にしてくれたのです。
「宝石だ」これは私の職場での働きに対していわれたのではなく,存在そのものについていわれ
たのだということに気付くのに,さして時間はかかりませんでした。旧約聖書のイザヤ書の中
に,神が人間一人ひとりを,「私の目に貴い」といっているからです。
後に教育の場に身を置くことになった私にとって,これは得難い経験でありました。
つまり,人間の価値は,何ができるか,できないかだけにあるのではなく,一人のかけがえのな
い「存在」として「ご大切」なのであり,「宝石」なのだということ。それが体感でき,魂に響く
教育こそが真の教育なのだということに気付いたのです。
生前,私が教えている大学に来て話をしてくださったマザー・テレサは,どこから見ても「宝
石」とは考えられない貧しい人々,孤児,病者,路上生活者を,「神の目に貴いもの」として手厚
く看護し,“あなたが大切”と,一人ひとりに肌で伝えた人でした。マザーの話に感激した学生数
人が,奉仕団を結成して,コルカタに行きたい,と願い出たことがあります。それに対してマザ
ーは,「ありがとう」と感謝しつつも,「大切なのは,コルカタに行くことより,あなたたちの周
辺にあるコルカタに気付いて,そこで喜んで働くことなのですよ」と優しく諭されたのです。
今,“あなたが大切”と感じさせてくれる,そのような愛情に飢えている人が多くいます。この大学は,自分
も他人も「宝石」と見て,喜んで周辺のコルカタで働く人たちが育つ大学であってほしいと願っています。
“あなたが大切だ”と誰かにいってもらえるだけで,生きてゆける。
人は皆,愛情に飢えている。存在を認められるだけで,
人はもっと強くなれる。
渡辺和子著「置かれた場所で咲きなさい」より