大メコン圏の地域間貨物輸送における 環境負荷を考慮した機関分担率の

土木学会論文集D3 (土木計画学), Vol.70, No.5 (土木計画学研究・論文集第31巻), I_879-I_888, 2014.
大メコン圏の地域間貨物輸送における
環境負荷を考慮した機関分担率の算出
花岡
1正会員
2
正会員
伸也1・中道
久美子2・加藤
智明3
東京工業大学准教授 大学院理工学研究科国際開発工学専攻
(〒152-8550 東京都目黒区大岡山2-12-1)
E-mail: [email protected]
東京工業大学助教 大学院理工学研究科国際開発工学専攻(同上)
E-mail: [email protected]
3非会員
東京工業大学大学院理工学研究科国際開発工学専攻(同上)
成長著しいアジア地域では,低炭素な交通体系の構築が求められている.本研究では,大メコン圏の地
域間貨物輸送における中長期の低炭素な機関分担像を示すことを目的として,輸送費用もしくは輸送時間
と組み合わせたCO2排出量を目的関数とし,機関分担率を決定変数とする目標計画問題として定式化した.
そして,バンコク-ハノイとバンコク-ヤンゴンの2つの路線をケーススタディとして取り上げ,既存輸
送機関の改善と貨物鉄道導入の2つのインフラ開発シナリオと,複数のCO2排出量削減等の目標に対して,
最適な機関分担率を算出した.計算の結果,路線や削減目標,開発シナリオごとに最適機関分担率の差異
が明らかになった.さらに,貨物鉄道導入により高い削減目標の達成が可能なことがわかった.
Key Words : intermodal freight transport, modal split, Greater Mekong Subregion, goal programming
1. はじめに
温室効果ガスの排出起源は,地域別と部門別の2つの
切り口で整理できる.地域別に見ると,2005年の世界の
温室効果ガス排出量のうちアジア地域起源の排出割合は
およそ36%を占めており1),将来の低炭素社会の構築に
はアジア地域の排出削減が大きな鍵を握る.部門別に見
ると,2007年の世界全体のCO2総排出量に占める運輸部
門の割合は2割を超える2).経済発展に伴うモータリゼー
ションの進展は運輸部門のCO2排出量において支配的な
影響を持つことから,CO2排出量の大幅な増加を伴わな
い経済発展(グリーン成長)を実現する交通体系のビジ
ョンがアジアの途上国に不可欠である.このようなビジ
ョンの設定にあたっては,低炭素社会実現を目標とした
バックキャスティングに基づいた取り組みが求められる.
低炭素交通体系の実現に向けた方策は,AVOID(交
通需要の抑制),SHIFT(低炭素交通機関への転換),
IMPROVE(排出係数の改善)の3戦略にまとめられる3).
本研究では,アジアの地域間貨物輸送のSHIFTに着目す
る.単位貨物当たりのCO2排出量が異なることから,地
域間貨物輸送における機関分担は排出量に大きく影響し,
分担率はその指標として重要である.しかし,低炭素化
を実現する手段としてインターモーダル輸送の重要性が
種々の研究で指摘される一方で,時間と費用の効率性を
損なわないCO2排出量の削減を実現する,最適な機関分
担率は定量的に論じられていない.
本研究では,タイ,ベトナム,ラオス,カンボジア,
ミャンマー,中国南部の6ヶ国・地域で構成される大メ
コン圏(GMS: Greater Mekong Subregion)を対象地域とし
て取り上げる.その理由の1点目は,急速な経済成長に
伴う貨物需要の増加である.大メコン圏の名目GDPは
6000億ドル強にのぼり4),地域全体の一人当たり名目
GDPは2000ドルに迫っている.近年の経済成長率も順調
で,2000年から2012年までの平均成長率は約4%から10%
となっている5).域内の経済交流は,特に2000年代以降
に活発化している.タイを例にとると域内輸出が大きく
拡大しており,中国南部を除く域内5か国の輸出総額に
占める割合は2000年の7.1%から2009年には16.8%へ上昇
している6).2点目は,道路への集中投資である.大メコ
ン圏は,アジア開発銀行や各国援助機関の協力の下,経
済回廊の集中的な整備を行い,陸路のコネクティビティ
を高めることに注力してきた.主要3回廊と言われる東
西回廊,南北回廊,南部回廊を中心に,経済回廊と位置
づけられた道路は着々と整備されている.3点目は越境
I_879
制度の整備である.大メコン圏では,域内貨物流動を活
発化させるため,国境でのボトルネック解消に向けた取
り組みとして越境交通協定(CBTA : Cross-Border Trade
Agreement)を締結している.2003年のミャンマーの署名
し,インターモーダル輸送やトラック輸送を含む複数の
輸送機関の最適な分担を多目的最適化問題と位置づけ,
欧州の事例を分析している.同研究では輸送時間や輸送
時間信頼性を考慮しておらず,今後の研究課題としてい
をもって,GMS6か国・地域で合意された.同協定の目
る.Yangら9)は輸送費用,輸送時間,輸送時間信頼性を
玉は,シングルウィンドウとシングルストップの2本立
目的関数として,目標計画法を用いてインターモーダル
てで構成される越境手続きの簡素化である7).
輸送ネットワークの最適化を行っている.また,
Hanaokaら10)ではタイの国内輸送を例にとり,エネルギー
以上の状況変化をきっかけとして,現状では海運輸送
が支配的な大メコン圏の地域間貨物輸送において,今後, 消費量,輸送時間,輸送費用の3つの目的関数を機関分
トラックを利用した陸上輸送の増加が予想される.トラ
担率を用いて定式化し,多目的最適化問題を解くことで
ック輸送は海上輸送と比べて費用が高いものの,輸送時
モーダルシフト時のエネルギー削減量を計測している.
間,頻度,柔軟性の面で高い優位性を持っている.トラ
本研究は,目標値を定めたバックキャスティングにより
ック輸送のサービス水準の向上は物流の経済的効率性の
望ましい機関分担率を提示する点が従来研究と異なる.
観点から好ましいものの,従来は海上輸送で運ばれてい
た貨物がトラックへシフトしていくことにつながる.つ
まり,高炭素化モーダルシフトとなる.現在,大メコン
2. 分析手法
圏における貨物輸送の調査は不足しており,都市内交通
(1) 対象輸送機関と対象貨物
ですら十分なデータが得られていないため,地域間輸送
がCO2排出量全体に占める割合は不明である.しかし,
本研究で対象とする輸送機関は,トラック輸送,海上
-トラックのインターモーダル輸送(以下,海上輸送),
前述の3点を踏まえると,今後増加していくことは間違
鉄道-トラックのインターモーダル輸送(以下,鉄道輸
いない.
送)の3つである.複数の輸送機関を組み合わせて運ぶ
低炭素交通の維持には,道路整備と同時に,将来ビジ
輸送形態がインターモーダル輸送であり,通常,一つの
ョンに基づいた低炭素交通システム構築に向けたインフ
輸送機関ではないが,本稿では便宜上,これらの一連の
ラ整備を積極的に進めていく必要がある.特に,大陸で
輸送形態をそれぞれ,海上輸送,鉄道輸送と呼称する.
つながっている大メコン圏において,単位貨物当たり
CO2排出量の小さい鉄道貨物の有効性が期待される.現
以下,輸送機関分担率は,輸送形態間の分担を指す.
本研究では,複数の輸送機関が競合する場合を取り扱
在の大メコン圏を取り巻く物流環境は,勢いのある経済
う.Dekkerら11)は,選択すべき輸送機関は,輸送距離と
成長に歯止めをかけることなく,物流の経済的効率性と
低炭素化をバランスしていくための重要な局面を迎えて
貨物の品目により限定されると指摘している.また,
2001年の新総合物流施策大綱においては,「モーダルシ
おり,中長期的な輸送機関分担率について,バックキャ
スティングの観点から議論していく必要がある.特に途
フト化率(長距離輸送における鉄道・内航海運分担率)
上国では,経済発展と低炭素化を両立するため,バック
を向上させ,平成22年までに50%を超える水準とする」
キャスティングにより政策目標値を明確にした上でその
という目標が打ち出され,その対象貨物となったのは,
道筋を考えるリープフロッグ型の開発が求められてい
輸送距離500km以上の雑貨貨物であった12).
る 1).地域間貨物輸送においても,CO2排出量の削減目
そこで,本研究では輸送距離500km以上の路線におけ
るコンテナ化適合貨物(コンテナで輸送できる品目)を
標を実現する輸送機関分担率を明確にすることで,必要
研究対象とする.コンテナは荷姿を変えずに輸送機関間
なインフラ整備や制度が検討可能になる.
を乗り換えることができ,規格化も進んでいるため,イ
以上より,本研究では,地域間貨物輸送について,複
ンターモーダル輸送に適している.コンテナ化適合貨物
数の貨物輸送機関のサービス水準,CO2排出量,輸送機
は,近年のコンテナ技術の進歩により急激に増えてきて
関分担率を用いて定式化し,大メコン圏における将来イ
いるものの,本研究では簡単のためコンテナ内の品目は
ンフラ開発シナリオや,輸送費用もしくは輸送時間と組
分類せず,貨物重量に焦点を当てる.
み合わせた複数のCO2排出量削減目標に対応した適切な
機関分担率を提示することを目的とする.
(2) ケーススタディ路線
種々の従来研究からインターモーダル輸送の有効性が
本研究では,大メコン圏の2つの都市間を分析対象とし
明らかにされており,また輸送機関選択を規定する要因
て選び,ケーススタディ路線とする.
も広く研究されているものの,低炭素交通を志向して競
a) バンコク-ハノイ路線
合輸送機関の分担率を論じた従来研究は多くない.Kim
8)
1つ目のケーススタディは,タイの首都バンコクから
ら はCO2排出量と輸送費用のトレードオフ関係に着目
I_880
ベトナムの首都ハノイに向かう路線である.2006年12月
にラオスのサバナケットとタイのムクダハンを結ぶ第2
メコン友好橋が日本の支援により開通し,東西回廊を経
由しラオスを通過するバンコク-ハノイ間の陸路3ヶ国
間輸送が実現している.2011年11月には,第2メコン友
好橋の北約110kmに位置する第3メコン友好橋が,タイ
のナコンパノムとラオスのターケークの間にも開通した.
本研究では,トラック輸送のルートとして第2メコン友
好橋を経由するルートを考える.筆者らによるバンコク
やハノイにおける荷主や物流会社へのインタビュー調査
によると,現在,海上輸送が本路線における機関分担率
の大部分を占めている16).代表的ルートとして,バンコ
クからトラックでラムチャバン港まで輸送し,そこでコ
ンテナ船に積まれ,ホーチミン港で別の船に積み替えた
後,ハイフォン港に行き,そこからハノイ市内まで輸送
するルートを考える.鉄道輸送は開通していないが,
ADB13)を参考にして,ラオスのビエンチャンを経由する
経路が将来開通することを想定した.以上の3つの輸送
機関の経路を図-1に示す.
b) バンコク-ヤンゴン路線
バンコクから,その北西約600kmに位置するミャンマ
ー経済の中心地ヤンゴンに向かう路線が二つ目のケース
スタディである.トラック輸送経路は,バンコクから北
進し,タークから東西回廊西部に入り,国境のメーソー
ト,ミャワディを経由し,ヤンゴンへ向かうルートとす
る.道路の整備状況,外国人通行制限区間,トラック相
互乗り入れ不可から,現状は本格的な商用利用は難しい
状況である14).トラック輸送が上記のような状況のため,
本路線の現状の貨物輸送も海上輸送に大きく依存してい
る.海上輸送ルートはタイのラムチャバン港から出港し,
マレー半島を迂回してマラッカ海峡を通過し,ヤンゴン
港に至るルートを考える.鉄道輸送は,タイのタムトク
とミャンマーのダウェイ間に整備されることを想定した.
これら3つの輸送機関の経路を図-2に示す.
(3) 目標機関分担率の算出方法
対象とする2路線のコンテナ適合貨物の輸送において,
環境負荷を考慮した輸送機関分担を定量的に提示するた
めに,本研究では目標機関分担率の算出を行う.
算出の流れは図-3の通りである.算出のステップは,
大きく1) 3指標(輸送費用,輸送時間,CO2排出量)の
算出モデルを用いたベースラインシナリオの作成と,
2) 目標計画法によるシナリオ毎の目標機関分担率の算出
に分けられる.以下で,算出ステップの詳細について述
べる.
a) 目的関数の設定
本研究で用いる輸送費用,輸送時間,輸送に伴うCO2
排出量の3つの目的関数は,Hanaokaら10) を参考にして,
: 海上輸送
: トラック輸送
: 鉄道輸送
(実線は現存する経路,点線は想定した経路を表わす)
図-1 バンコク-ハノイ路線の輸送経路
: 海上輸送
: トラック輸送
: 鉄道輸送
(実線は現存する経路,点線は想定した経路を表わす)
図-2 バンコク-ヤンゴン路線の輸送経路
次のように定式化した.
i)
輸送費用の定式化
I_881
f 1   s i Cm i  dm i  tc i  pc i  Caei  daei 
i
s
i
1
(1)
(2)
i
si  0
(3)
i :輸送機関(1:海上,2:トラック,3:鉄道)
si :輸送機関iの分担率
Cmi :輸送機関iの代表輸送機関の輸送費用 (USD/toncargo・km)
dmi :輸送機関iの代表輸送機関の輸送距離 (km)
tci :輸送機関iのターミナル荷役費用 (USD/ton-cargo)
pci :輸送機関iの通関費用 (USD/ton-cargo)
Caei:輸送機関iのアクセス・イグレス輸送機関の輸送
費用 (USD/ton-cargo・km)
daei :輸送機関iのアクセス・イグレス輸送機関の輸送
距離 (km)
JETRO15)によれば,海上輸送費用の基本構成要素は,
[1]道路運送費(発着荷主と港湾間の短距離のコンテナ
⼊⼒値
 dm
daei
1
1
f 2   s i  i 
 tt i  pt i 

vaei caei
i
 vmi cmi
 si  1



(4)
(5)
i
si  0
(6)
i :輸送機関(1:海上,2:トラック,3:鉄道)
si :輸送機関iの分担率
vmi :輸送機関 i の代表輸送機関の平均輸送速度
(km/hrs)
dmi :輸送機関iの代表輸送機関の輸送距離 (km)
cmi :輸送機関iの代表輸送機関の輸送容量 (ton-cargo)
tti :輸送機関iのターミナル荷役所要時間 (hrs/ton-
現状に基づく⼊⼒値
予想機関分担率
既存モードの改善シナリオに
基づく⼊⼒値
⽬的関数
ベースラインシナリオ
輸送費),[2]海上運賃(コンテナ船の輸送費),[3]港
湾諸費用(港湾におけるターミナルハンドリングチャー
ジや書類作成料)である.この定式化では,シナリオ分
析の便宜上,港湾諸費用を荷役料と通関関連費用に分け
て式に盛り込んでいる.
同じくトラック輸送費用の基本構成要素は,[1]道路
運送費(燃料費,消耗費,人件費,維持管理費などを含
めた輸送費),[2]積替費(国境で車両間のコンテナ積
み替えが必要な場合の費用),[3]間接費(通関手続き
に関する費用)である.定式化では,これらに対応して
3つの要素から構成され,アクセス・イグレス輸送費用
は入力値を0としている.
鉄道輸送費用の構成要素は,海上輸送と同様に代表輸
送機関,アクセス・イグレス輸送機関,ターミナルでの
荷役,通関の費用で構成される.この3つの輸送機関の
費用に分担率を掛け合わせることで,特定ODにおいて
単位重量の貨物を輸送する際の輸送費用を表現している.
ii) 輸送時間の定式化
現状の期間分担率
(仮定)
将来の開発シナリオに
基づく⼊⼒値
⽬的関数の⽬標値
⼊⼒値
ベースラインシナリオ
の作成
⽬標シナリオ
⽬標計画問題
⽬標機関分担率
⽬標計画法
(実線は現存する経路,点線は想定した経路を表わす)
図-1 バンコク-ハノイ路線の輸送経路
間と海上運送時間に分けている.
同じくトラック輸送時間の基本構成要素は,[1]運送
時間(トラックの走行時間),[2]休憩時間(長距離走
行の場合に発生する休憩時間),[3]荷役時間(トラッ
ク間でのコンテナ積み替えに要する時間),[4]事務手
続き時間(通関手続きの所要時間)である.この定式化
では,休憩時間を一定間隔とすることで平均走行速度に
反映させている.また,アクセス・イグレス輸送時間は
入力値を0としている.
鉄道輸送費用の構成要素は,海上輸送と同様に代表輸
送機関,アクセス・イグレス輸送機関,ターミナルでの
荷役,通関の所要時間で構成される.この3つの輸送機
関の時間に分担率を掛け合わせることで,特定ODにお
いて単位重量の貨物を輸送する際の輸送時間を表現して
いる.
iii) 輸送に伴うCO2排出量の定式化
(7)
f 3   s i mi  dmi  t i  ae i  daei 
cargo)
pti :輸送機関iの通関所要時間 (hrs/ton-cargo)
vaei :輸送機関iのアクセス・イグレス輸送機関の平均
輸送速度 (km/hrs)
daei :輸送機関iのアクセス・イグレス輸送機関の輸送
距離 (km)
caei :輸送機関iのアクセス・イグレス輸送機関の輸送
容量 (ton-cargo)
JETRO15)によれば,海上輸送時間の基本構成要素は,
[1]運送時間(道路運送と船舶運送の運送時間),[2]荷
役時間(港湾でのコンテナの積み下ろしの所要時間),
[3]事務手続き時間(通関作業の所要時間)である.こ
の定式化では,シナリオ分析の便宜上,トラック運送時
I_882
i
s
i
1
(8)
i
si  0
(9)
i :輸送機関(1:海上,2:トラック,3: 鉄道)
si :輸送機関 i の分担率
μmi :輸送機関 i の代表輸送機関の排出係数 (kgCO2/ton-cargo・km)
dmi :輸送機関 i の代表輸送機関の輸送距離 (km)
μti :輸送機関 i のターミナル荷役作業の排出係数
(kg- CO2/ton-cargo)
μaei :輸送機関 i のアクセス・イグレス輸送機関の排
出係数 (kg- CO2/ton-cargo・km)
daei :輸送機関 i のアクセス・イグレス輸送機関の輸
送距離 (km)
輸送に伴う CO2 排出量は,輸送プロセスにおけるリン
クとノードからの排出量で構成されている.Hanaoka
ら 10)のエネルギー消費量式では輸送時のみを考慮してい
るが,港湾や鉄道のターミナルなどの結節点においても
荷役活動などから CO2 が排出されているため,異なる輸
送機関間での比較を行う際には,これらも考慮するべき
である.したがって,この定式化では結節点の荷役作業
における排出量も含めている.
b) 目標計画法
本研究では,目標計画法を用いて目標機関分担率の算
出を行う.多目的の目標計画法は,複数の目標間にトレ
ードオフ関係がある時に有用性を発揮する.また,目標
計画法は,目的達成度合いの尺度が多様で目的間での等
価交換性がない時や,目的設定の形式が,ある値以上
(あるいは以下),ある値に近づけたい,ある範囲にお
さめたいなどといった要求にも対処できる.このような
特長が本研究の目的によく適合している.一方で,目標
計画法は,得られる解が必ずしもパレート最適解でない
ことや,リグレット関数の重みづけが曖昧であるといっ
た短所も持ち合わせている.
目標計画法では,通常の最大化/最小化問題において,
実行可能領域を示す制約条件に加え,通常の目的関数に
目標値と目的値との乖離を示す差異変数を導入した式を
制約条件に含める.そして,差異変数の関数であるリグ
レット関数を目的関数として最小化を図る.
本研究における目標計画法の定式化は以下となる.
2
d
minR   c
 Tc
s.t.
 s Cm  dm
i
i
i

d
  t

T

 t
2

d
  e

T

 e




2
(10)
 tci  pci  Caei  daei   d c  d c  Tc (11)
i
 dmi
daei
1
1 
  d t  d t  Tt (12)
 tti  pti 

cm
vae
cae
i
i
i
i
i




s

m

dm


t


ae

dae

d e  d e  Te (13)
i i
i
i
i
i
 s  vm
i

i
d c  d c  0
(14)
de+:CO2排出量の不足差異変数 (kg- CO2/ton-cargo)
式(11)から式(13)に差異変数と目標値を導入し,制約条
件としている.式(10)の最小化するリグレット関数は,3
つの目的関数の各不達成度を目標に対する割合で表現し
た各二乗の和である.目標の不達成度を割合で表現した
のは,各指標間に重みを付けずにリグレット関数の影響
を等しくするためである.また,二乗にしたのは,特定
の指標に不達成度が集中するのを避ける狙いがある.
c) シナリオ作成
本研究では,目標計画法を用いてシナリオ別の目標機
関分担率の算出を行う.シナリオ別に算出する目的は,
長期の将来を議論する上で,貨物鉄道導入や各指標の優
先度の度合いに応じて目標機関分担率の変化を明らかに
することにある.シナリオ設定においては,まずベース
ラインシナリオを作成する.ベースラインシナリオとは,
現時点で実施可能な改善施策を実施した状態を意味する.
種々の文献調査から現状の物流環境(ハードインフラ,
ソフトインフラ)に対応するモデル入力値を設定し,そ
こから現存する輸送機関であるトラックと海上輸送のハ
ード/ソフトインフラの改善を想定し(表-1),それに
合わせた入力値の改善を行ってベースラインシナリオを
作成する.また,ベースラインシナリオに対応する分担
率を予想し,上記の入力値と共にモデルに入力すること
でベースラインシナリオ実現時の3つの目的関数の値を
算出する.
こうして得られたベースラインシナリオの値を基準に,
目標とする3つの目的関数の値を設定する.目標設定は,
ベースラインシナリオから輸送費用およびCO2排出量の
削減と,輸送時間およびCO2排出量の削減の2つを想定
する.また,それぞれに対し,3段階の削減レベルを設
定する.こうして設定した目標値に対して,既存輸送機
関の改善のみの場合と,既存輸送機関の改善に加えて貨
物鉄道を導入する場合の2通りの将来の開発シナリオを
与えて分析を行う.以上の目標およびシナリオを表-2に
一覧として示す.

t

t
(15)

e

e
d d 0
(16)
s
1
(17)
3. 分析結果
(18)
(1) データ
ベースラインシナリオの作成と目標計画法による分担
率の算出には,各ケーススタディ路線に対し,[i] 現状,
[ii] 既存輸送機関改善シナリオ,[iii] 貨物鉄道導入シナリ
オの3種類の入力値セットが必要になる.[i]の現状に対
応する入力値の設定では,JETROが実施した実走調査結
果報告14)を主に参考にした.[ii]の既存輸送機関改善シナ
リオに対応する入力値は,表-2より関係する入力値の改
善を行った.[iii]の貨物鉄道導入シナリオでは,日本や
d d 0
i
i

t
d c , d c , d , d t , d e , d e , s i  0
Tc:輸送費用の目標値 (USD/ton-cargo)
Tt :輸送時間の目標値 (hrs/ton-cargo)
Te :CO2排出量の目標値 (kg-CO2/ton-cargo)
dc-:輸送費用の超過差異変数 (USD/ton-cargo)
dc+:輸送費用の不足差異変数 (USD/ton-cargo)
dt- :輸送時間の超過差異変数 (hrs/ton-cargo)
dt+:輸送時間の不足差異変数 (hrs/ton-cargo)
de- :CO2排出量の超過差異変数 (kg- CO2/ton-cargo)
I_883
欧州の鉄道輸送の実態を参考に入力値を仮定した.
(2) 算出結果
a) 基礎分析結果
基礎分析として,現状とベースラインシナリオの比較
とそれぞれの開発シナリオにおける理論上の削減可能幅
を導出する.
まず,バンコク-ハノイ路線について,現状の機関分
担率の統計が存在せず,海上輸送がほとんどを占めると
いうインタビュー調査結果 16)を反映し,海上インターモ
ーダル輸送 95%,トラック輸送 5%と仮定して計算を行
った.また,ベースラインシナリオの入力値と予想機関
分担率を用いて,ベースラインシナリオにおける目的関
数値も算出し,現状からの変化を計算した.予想機関分
担率は日本の事例を参考にした.国土交通省の旅客・貨
物地域流動統計にある距離帯別品目別輸送機関分担率の
最新統計 17)では,輸送距離 1,000km 以上のモーダルシフ
ト対象品目の海上輸送とトラック輸送の総量に対するそ
れぞれのシェアは,海上輸送が 67.3%,トラック輸送が
32.7%となっている.ベースラインシナリオにおける予
想機関分担率の入力値にはこれを転用した.
各将来インフラシナリオにおける目的関数値の理論上
の削減可能幅は,ベースラインシナリオから機関分担率
の変化(モーダルシフト)が起きた時に各指標が最大で
削減可能な割合を示す.これらの結果を表-3に一覧で示
す.
同様の手順で,バンコク-ヤンゴン路線についても基
礎分析を行った.本路線の陸上輸送経路は,現状,物理
的に通過可能ではあるものの,商用利用の段階には至っ
ていないことから,現状の機関分担率は海上輸送100%
と仮定した.ベースラインシナリオに用いる予想機関分
担率については,バンコク-ハノイ路線と同じように日
本の例を参考にしたが,バンコク-ヤンゴンの陸路輸送
距離は約940kmのため輸送距離750km以上1000km未満の
値を参考にした.結果,予想機関分担率は,海上輸送が
53.4%,トラック輸送が46.6%となった.基礎分析の結果
表-2 開発シナリオと削減目標
既存輸送機関改善
のみ
削減レベル 1
削減レベル 2
削減レベル 3
削減レベル 1
削減レベル 2
削減レベル 3
シナリオ
削減項目
輸送費用と
CO2排出量
輸送時間と
CO2排出量
貨物鉄道導入
削減レベル 1
削減レベル 2
削減レベル 3
削減レベル 1
削減レベル 2
削減レベル 3
輸送費用とCO2排出量の削減レベル
削減レベル 1 :
表-1 既存輸送機関の改善内容
改善箇所
道路条件
内容
路面整備や複数車線化が挙げられる.ベトナ
ムやラオス,ミャンマーの一部区間では舗装
の陥没などの悪路や単線があることから,低
速走行を余儀なくされる区間がある.
夜間走行
用設備
照明灯の設置などがある.夜間は視界が悪く
なる他,一部地域では盗賊出現の懸念等もあ
るため,低速走行したり,夜間走行自体を控
えたりすることも少なくない.
トラック
の相互乗
り入れ
タイ車両のベトナムやミャンマーへの乗り入
れは現状不可能である.トラックの相互乗り
入れの自由化もCBTAに盛り込まれているた
め,今後,相互乗り入れが実現する可能性は
十分高い.
越境手続
き
「シングル・ウィンドウ」と「シングルスト
ップ」による越境手続の簡素化がある.
港湾にお
ける荷役
処理能力
港湾のターミナル増設,ヤード拡張やクレー
ン等の荷役機械の更新,オペレーションの改
善による荷役作業の効率化が考えられる.
航路
バンコク-ハノイ路線を例にとると,現状は
ラムチャバン-ハイフォン間の直行便よりも
ホーチミン港での積み替えが主流であるが,
将来的に貨物量が増加してきた際には,直行
便が主流化してくる可能性がある.
費用,排出量をベースラインから各10%
削減,時間はベースラインを維持
削減レベル2 :
費用,排出量をベースラインから各20%
削減,時間はベースラインから10%増加
削減レベル3 :
費用,排出量をベースラインから各
25%,40%削減,時間はベースラインか
ら20%増加
輸送時間とCO2排出量の削減レベル
削減レベル 1 :
削減レベル2 :
削減レベル3 :
時間,排出量をベースラインから各10%
削減,費用はベースラインを維持
時間,排出量をベースラインから各20%
削減,費用はベースラインから10%増加
時間,排出量をベースラインから各
35%,40%削減,費用はベースラインか
ら20%増加
表-3 基礎分析結果(バンコク-ハノイ路線)
輸送費用
(USD/toncargo)
シ
ナ
リ
オ
削
減
可
能
幅
I_884
輸送時間
(hrs/toncargo)
CO2排出量
(kg-CO2/toncargo)
現状
116.06
11.32
52.99
ベースライン
113.44
4.94
82.30
変化率
既存輸送機関
改善シナリオ
-2.26%
-56.35%
55.30%
25.60%
35.17%
45.32%
貨物鉄道導入
シナリオ
25.60%
37.55%
45.32%
を表-4に示す.
b) シナリオ別目標機関分担率の算出結果
次に,目標計画法を用いて,将来の開発シナリオと目
標設定に対応する目標機関分担率の算出結果を路線別に
示す(図-4がバンコク-ハノイ路線,図-5がバンコク-
ヤンゴン路線).合わせて,それに対応する目標の不達
成度を示す(図-6がバンコク-ハノイ路線,図-7がバン
コク-ヤンゴン路線).目標の不達成度は各指標の目標
値に対する実際の値の超過割合を意味し,目標と等しい
あるいは下回っている場合には0となる.
(3) 考察
表-3 から,バンコク-ハノイ路線のベースラインシ
ナリオでは,現状に比べ,輸送費用が微減,輸送時間が
大幅な減少,CO2 排出量が大幅な増加を示していること
がわかる.海上輸送に比べ費用が割高なトラック輸送の
シェアが増えたにも関わらず,全体として費用が微減し
ているのは,海上輸送とトラック輸送ともにインフラ改
善による費用の減少が大きかったためである.特に,両
表-4 基礎分析結果(バンコク-ヤンゴン路線)
輸送費用
(USD/toncargo)
シ
ナ
リ
オ
削
減
可
能
幅
輸送時間
(hrs/toncargo)
CO2排出量
(kg-CO2/toncargo)
現状
137.77
7.46
53.75
ベースライン
157.37
4.34
71.11
変化率
既存輸送機関
改善シナリオ
14.23%
-41.77%
32.29%
13.01%
37.18%
24.41%
貨物鉄道導入
シナリオ
29.94%
37.18%
55.98%
機関のターミナルでの費用削減が大きい.これは,航路
変更による寄港地での積み替えがなくなったことや,ト
ラックの相互乗り入れの自由化により,ラオスでのトラ
ック間の積み替えが必要なくなったことを反映している.
既存輸送機関改善のみのシナリオの目標機関分担率
(図-4)を見ると,削減レベルが高くなるにつれて,海上
輸送のシェアが増えるという妥当な結果が得られた.特
に,費用と排出量の削減レベル 3 では,海上輸送のシェ
アは 99%を超えて支配的になる.一方,時間と排出量の
削減では,トラック輸送のシェアが残っており,不達成
度が著しく高い(図-6).そして,鉄道を導入すると,
鉄道がトラックを代替し,トラックのシェアがなくなり
目標の達成度も改善される(図-4, 6).鉄道シェアの動向
は費用削減と時間削減で大きく異なり,費用削減の場合
は削減レベルが高くなるにつれ鉄道のシェアはなくなっ
ていき,時間削減では逆に支配的になっていく.いずれ
も目標の不達成度は低い.
バンコク-ヤンゴン路線の基礎分析結果(表-4)では,
現状とベースラインシナリオの比較を行うと,バンコク
-ハノイ路線と異なり,輸送費用が増加している.これ
は,トラック輸送のシェア増加が著しく,かつ想定され
る海上輸送の費用減少幅も少ないためである.
図-5より,既存輸送機関改善シナリオで輸送費用と排
出量の削減を目指した場合の分担率の傾向は,バンコク
-ハノイ路線と類似している一方で,時間と排出量の削
減を目指した場合のトラック輸送のシェアは高い.削減
レベルを高めてもシェアの変化があまりなく,排出量の
目標不達成度が高いのが特徴的である(図-7).鉄道導入
シナリオでは,削減レベルが低いと3つの輸送機関でバ
ランスよく分担するものの,削減レベルを上げていくと
費用と排出量の削減では海上輸送と鉄道輸送による分担,
図-4 目標機関分担率の算出結果(バンコク-ハノイ路線)
I_885
図-5 目標機関分担率の算出結果(バンコク-ヤンゴン路線)
図-6 目標不達成度(バンコク-ハノイ路線)
図-7 目標不達成度(バンコク-ヤンゴン路線)
I_886
時間と排出量の削減ではトラック輸送と鉄道輸送に
よる分担となり,いずれも目標はよく達成されている.
全体的な傾向として,既存輸送機関改善シナリオでは
費用と排出量の同時削減よりも,時間と排出量の同時削
減の方が目標達成の状況は悪い.これは,時間と排出量
が明確なトレードオフの関係にあるためであり,鉄道輸
送が選択肢に加わることで,目標への対応力が高まると
考えられる.
る.
参考文献
1)
2)
3)
4)
4. 結論
5)
本研究では,大メコン圏の地域間貨物輸送を対象に,
輸送費用およびCO2排出量,輸送時間およびCO2排出量
の組み合わせを同時に削減することを目的とし,バック
キャスティングの観点より機関分担率を決定変数とする
目標計画問題を設定した.そして,バンコク-ハノイと
バンコク-ヤンゴンの2つの路線をケーススタディとし
て取り上げ,複数のインフラ開発シナリオと削減目標に
対して,目標を達成する最適な機関分担率の算出を行っ
た.計算の結果,路線,削減目標,開発シナリオごとに
異なる目標機関分担率が得られた.具体的には,ハノイ
路線に比べ,ヤンゴン路線は鉄道の優位性が大きく,全
体的に鉄道の分担率が高くなった.削減目標別に見ると,
輸送時間を削減目標に加えると,トラック輸送や鉄道輸
送のシェアが高くなり,輸送費用を削減目標に加えると,
海上輸送や鉄道輸送のシェアが高くなった.また,輸送
時間と排出量はトレードオフの関係にあるため,これら
を同時に削減しようとする場合の不達成度は全般的に高
くなった.開発シナリオ別に見ると,貨物鉄道を導入す
ることで,目標の達成度が大幅に改善されることがわか
った.
今後の課題として,現状の定式化では,各輸送機関の
輸送容量や輸送頻度,アクセス可能範囲などの種々の制
約条件を考慮していないことが挙げられる.また,輸送
時間信頼性や輸送品質などの他の指標を評価に加えるこ
とも今後の課題である.加えて,貨物鉄道の有効性の評
価には,建設費用と建設時のCO2排出量などを考慮した
より多面的な検討が必要である.さらに,地域間輸送の
ような長距離では鉄道輸送の単位当たり輸送費用が道路
輸送よりも小さいため,鉄道整備によって地域間の全体
的な輸送費用が低下し,需要が誘発されることでCO2総
排出量が大幅には削減できない可能性もある.地域間経
済取引量の予測モデル18)と連携した分析が望まれる.
6)
7)
8)
9)
10)
11)
12)
13)
14)
15)
16)
17)
18)
謝辞:本研究は,環境省・環境研究総合推進費(S-6-5)
「アジアにおける低炭素交通システム実現方策に関する
研究」の支援により実施された.ここに感謝の意を表す
I_887
環境研究総合推進費 S-6 アジア低炭素社会研究プロジ
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(2014. 2. 28 受付)
MEASUREMENT OF MODAL SPLIT CONSIDERING ENVIRONMENTAL
IMPACT OF INTERREGIONAL FREIGHT TRANSPORT
IN GREATER MEKONG SUBREGION
Shinya HANAOKA, Kumiko NAKAMICHI and Tomoaki KATO
It is our great challenge to establish Low-carbon transport system in Asian region because the emission
of carbon dioxide from transport sector in Asia is substantial and expected to grow over the future. In this
study, interregional freight modal split in GMS was formulated as a goal programming problem which
aimed to achieve the targets of transport cost, transport time and CO2 emission in order to calculate ecoefficient modal split. Two case study routes, Bangkok – Hanoi and Bangkok – Yangon, were examined
by development scenarios and targets. As a result, the optimal modal splits for respective scenarios, targets and routes were calculated and the trends and differences between them were also revealed. The results also implied the efficiency of the railway introduction on the case study routes.
I_888