平成 25 年省エネ基準対応マニュアル 【外皮性能編】 2015年2月版 目次 本マニュアルは、平成27年 4 月から完全施行される平成25年省エネ基準の外皮性能につい てのマニュアルです。 [1]平成 25 年省エネ基準はこうなります ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・1 [2]平成 25 年省エネ基準の判断方法 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・2 [1]外皮平均熱貫流率とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 [2]冷房期の外皮平均日射熱取得量とは・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・3 [1]外皮平均熱貫流率の計算手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4 (1)簡略計算法①について ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・5 [2]冷房期の平均日射熱取得率計算手順 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9 *外皮計算書のホームページのご案内 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 [3]評価協 外皮計算書【AFGC 追記版】を使用した外皮計算手順 [4]旭ファイバーグラスの部位別仕様表による計算 [5]設計・施工指針(本則)の別表 1~3 部位別仕様表 ・・・・・・・・・・12 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・19 [6]設計・施工指針(附則)による仕様基準の見直し ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 (1)開口部比率について・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22 (2)設計・施工指針(附則)適合確認の手順(フロー) ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 [7]外皮性能計算に必要な初期情報の記入用紙&記入例 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 旭ファイバーグラス部位別仕様表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 【評価協登録】旭ファイバーグラス部位別仕様表 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・35 ■概要 [1]平成 25 年省エネ基準はこうなります ★住宅省エネ性能を総合的に評価することが求められます。 これまでの住宅の断熱性能に加え、各住宅に設置する設備機器 のエネルギー消費量の評価も必要になりました。 住宅の外皮(断熱)性能 各住宅に設置する設備機器の 一次エネルギー消費量 + 1 [2]平成 25 年省エネ基準の判断方法 ★省エネ基準には2つの入り口があり、以下の方法から判断します。 ◎ 建築主の判断基準 ◎ 設計・施工指針(本則)、(附則) ①建築主の判断基準 「建築主の判断基準」による外皮性能の計算方法には、次の 3 通りあります。 ・「当該住宅の異種断面比率により平均熱貫流率計算よる方法(詳細計算法: 面積加重平均で考える場合)」 ・「後述の手順②-1-bに示す、面積比率を用いる方法(簡略計算法①)」 ・「補正熱貫流率を用いる方法(簡略計算法②)」 があり、本マニュアルでは建築主の判断基準の計算として、簡略計算法①を解説します。 ②設計・施工指針(本則) 本則には 2 通りあります。 ・旭ファイバーグラス(又は評価協会登録)の部位別仕様表による計算 ・設計・施工指針の別表 1~7 の仕様による計算 ③設計・施工指針(附則) 2 ■外皮性能 [1]外皮平均熱貫流率とは ★熱貫流率とは 室内から室外にどのくらいの熱が移動するかを表す指標。 ★外皮平均熱貫流率とは 移動した熱量(住宅全体からの熱損失量)を、外皮合計面積※で割った値。 外皮平均熱貫流率(UA 値) →数値が小さいほど断熱性能が高い住宅 ※外皮とは、天井、壁、床、開口部のこと。 [2]冷房期の外皮平均日射熱取得率とは ★まず、日射熱取得率とは 入射する日射量に対して、室内に侵入する日射量の割合。 ★冷房期の外皮平均日射熱取得率とは 外皮から侵入した日射量(住宅全体の日射熱取得量)の合計(冷房期)を外皮合計面積※で 割った値。 冷房期の外皮平均日射熱取得率(ηA 値) →数値が大きいほど日射熱が入る住宅 ※外皮とは、天井、壁、床、開口部のこと。 基本的には 暖房期(冬期)は日射量が多いほうが暖かく、 冷房期(夏期)は日射熱が尐ないほうが涼しい住宅となります。 3 ■外皮性能の計算方法 [1]外皮平均熱貫流率の計算手順 手順①:各部位ごとに「外皮面積」を計算します。 手順②:各部位ごとに「熱貫流率(U 値)」を計算します。 手順③:各部位ごとに「外皮面積×U値×温度差係数」で熱損失量を求めます。 手順④:各部位の熱損失量の合計(外皮総熱損失量)を外皮面積の合計で割って外皮平 均熱貫流率を求めます。 手順④で計算した結果が上表に適合するか判定します。 4 (1)簡略計算法①について 手順①各部位の外皮面積を計算 天井、屋根、壁、床、外気に接する床、土間、窓、ドアの面積を計算します。 同じ部位でも断熱仕様が異なる場合は別に算出します。 (大壁、真壁で断熱仕様が異なればそれぞれ計算します) 外皮面積 屋根断熱のとき 天井断熱のとき 桁高さまでが 「壁」 天井高さまでが 「壁」 床上からの寸法。 床断熱材と床仕上げ材が接していない場合は床断熱材の上端から。 詳しくは、一般社団法人 日本サステナブル建築協会のホームページ (http://lowenergy.jsbc.or.jp/top/)から、「外皮平均熱貫流率、及び平均日射熱取得率算定の ための補助資料(PDF ファイル、約 0.3MB)」をご参照ください。 5 手順②-1 各部位の熱貫流率(U)を計算する時に必要な情報 a:部位を構成する部材の種類と厚さ 例)石膏ボード 12mm・断熱材アクリアネクスト 14K85mm 品・合板 12mm 等 b:部位の構造と熱橋面積比 構造や部位によって熱橋面積比が異なります。 「住宅の改正省エネルギー基準の建築主の判断基準と設計・施工指針の解説解説」より抜粋 c:部位の熱伝導率(λ) 例)天然木材一種:0.12 ・石膏ボード:0.22 ・アクリアウール:0.038 等 d:表面熱伝達抵抗 「住宅の改正省エネルギー基 準の建築主の判断基準と設 計・施工指針の解説解説」より 抜粋 6 手順②-2 各部位の熱貫流率(U 値)を計算 各部位の熱貫流率は、材料の熱伝導率、又は熱抵抗値、断熱材と木部の面積比率、およ び室内側・室外側それぞれの表面熱伝達抵抗を使って計算します。 注:計算に使う厚さの単位は「m」なので、ご注意ください。 例)9.5mm→0.0095m 構成によって熱橋面積比は ●「壁」の例 異なります。 ・軸組 or 枠組 ・充填断熱 or 外張断熱 熱伝達抵抗は部位ごと、 室内か室外ごとにそれぞ れ規定値があります。 ・壁の熱伝達抵抗は室内 側 0.09、室外側(通気層 に面する)0.09。 柱の厚さは断熱材の厚さに合わせます ●「天井」の例 構成によって熱橋面積比は 異なります。 ・天井の野縁上に敷き込む 場合には熱橋は考慮しませ ん。 天井の熱伝達抵抗は部 位ごと、室内側、外気側 ともに、「0.09」。 7 ●「床」の例 構成によって熱橋面積比は 異なります。 ・根太床 or 剛床 等 熱伝達抵抗は部位ごと、室内 側・外気側ごとにそれぞれ規 定値があります。 ・床の熱伝達抵抗は室内側 0.15、外気側(床下側)0.15。 ※「屋根」「外気に接する床」等が有る場合、それぞれ計算します。 手順③各部位ごとの熱損失量を計算 ※木造 2 階建 120 ㎡のモデル住宅での算出例 [6 地域] 部位 面積 土間長 さ [㎡] [m] 隣接空間 U:熱貫流率 温度差係数 [W/㎡K] [W/mK] 熱損失量 [W/K] 屋根 外気 0 ― 0 1.00 0 天井 外壁 小屋裏 外気 67.91 140.07 ― ― 0.232 0.487 1.00 1.00 15.755 68.214 開口部 窓 外気 28.69 ― 4.65 1.00 133.409 床 ドア 外気に接する床 外気 外気 3.51 0 ― ― 4.65 0 1.00 1.00 16.322 0 その他床 周長 床下 外気 62.10 ― 3.19 0.435 1.8 0.70 1.00 18.909 5.742 3.19 ― 1.8 1.8 0.70 ― 4.019 0 3.64 3.64 0.52 0.52 1.00 0.70 1.893 1.325 3.31 ― 0 ― 0 0 0 ― ― 0 0 1.00 0.70 0 0 基礎 玄関土間 床下 面積 基礎 浴室土間 周長 2.48 外気 床下 面積 基礎立上り 玄関土間、 浴室土間 外気側 床下側 外皮面積計(*) 308.07 熱損失量合計(*) *小数点第3位を四捨五入 *小数点第 2 位を四捨五入 手順④外皮平均熱貫流率(UA値)を計算 [6 地域]の例 熱損失量の合計(265.6)÷外皮面積計(308.07) ⇒外皮平均熱貫流率(UA 値) = 0.862≒0.87 ≦ 0.87 OK *小数点第3位を切り上げ 8 265.6 [2]冷房期の平均日射熱取得率計算手順 手順①:各部位ごとに「外皮面積」を計算します。 外壁と開口部については方位ごとに係数が異なりますので、 方位ごと、部位ごとに計算します。 手順②:各部位ごとに「日射遮蔽性能(η値)」を計算します。 窓以外の部位は U 値×0.034 で計算します。 窓はガラスの仕様により決まります。 手順③:各部位ごとに「外皮面積×η値×方位係数」で日射熱取得量を計算し、窓は「外皮 面積×η値×方位係数×補正係数」で計算します。 手順④:各部位の冷房期日射熱取得量の合計を外皮面積の合計で割って冷房期日射熱 取得率(ηA)を求めます。 手順④で計算した結果が上表に適合するか判定します。 9 ●躯体(天井・屋根・壁)の冷房期の平均日射熱取得率計算例 V A 地域、暖房期・冷房期で異なり 部位 面積 [㎡] [m] 方位 方位係数 屋根 天井 外壁 壁は方位ごとに ドア 南 1.000 1.000 0.434 東 西 北 0.512 0.504 0.341 西 北 0.504 0.341 熱貫流率 v×A×η 日射熱取得率 日射熱取得量 [W/㎡K] [-] [W/K] [W/mK] 0 0.000 0 0.232 0.008 0.536 0.487 0.017 0.238 0.487 0.017 0.250 0.487 0.017 0.245 0.487 0.017 0.271 4.65 0.158 0.151 4.65 0.158 0.087 - - - - - - -床、外気に接する床は、 - - -日射熱取得量を考慮しま - - -せん - - - - - - - - 1.778 0 67.91 33.14 29.52 29.35 48.06 1.89 1.62 62.10 床 その他床 基礎 周長 玄関土間 面積 基礎 周長 浴室土間 面積 η (U×0.034) U 2.48 3.31 279.38 外皮面積には床面積も含みます. ここに窓面積を足すと外皮表面積です。 躯体(天井・屋根・壁)とドアは熱貫流率(U)から日射熱取得率ηを求め、面積(A)を掛け、 合計日射熱取得量を出します。⇒1.78 ① ●窓の冷房期の平均日射熱取得率計算例 ガラス仕様で値が異なります 1)窓の入力 計算例(東面) 寸法(m) 窓番号 0.512 0.579 冷房期 日射熱 取得量 暖房期 日射熱 取得量 熱損失 取得日射量補正係数の算出 熱貫流率 幅 方位係数 高さ 日射熱 取得率 ※1 付属部材 の有無 デフォルト 値使用 庇による補正計算 Z y1 y2 3 1.65 1.30 4.07 0.4 0.15 0.00 1.30 0.41 0.36 8.73 4 1.40 0.70 4.07 0.4 0.30 0.00 0.70 0.14 0.10 3.99 16 0.60 1.10 4.07 0.4 0.30 0.06 1.10 0.13 0.11 2.69 0.68 0.57 15.40 窓 <東面> 各値合計 窓は、ガラス仕様ごとに決まっているη値に、面積を掛け合計します。 庇の出を考慮し補正することもできます。 ⇒ 0.68(東面)+4.26(南面)+0.32(西面)+0.75(北面)=6.01 ② ●冷房期の平均日射熱取得率(ηA 値)を計算計算 ①と②の合計(1.78+6.01=7.79)を、外皮表面積(UA 値計算で使用した外皮面積計と同じ㎡)で 割り、100 を掛けます。 7.79÷308.07×100≒2.52=2.6 6(旧Ⅳb)地域の基準は 2.8・・・・適合 10 *外皮計算書のホームページのご案内 「一般社団法人 住宅性能評価・表示協会」作成のものに、弊社で情報を追記したものです。 旭ファイバーグラス ホームページ(http://www.afgc.co.jp/) をご参照ください。 UA 値ηA 値計算書 (同じ計算書で計算しま す) 11 [3]評価協 外皮計算書【AFGC 追記版】を使用した 外皮計算手順 旭ファイバーグラスのホームページから「評価協外皮計算書【AFGC 追記版】を ダウンロードしていただき、下記の手順で入力します。 12 計算結果は自動計算されます。 13 14 15 16 17 [4]旭ファイバーグラスの部位別仕様表による計算 評価協の計算ソフトを使いますが、部位ごとの U 値は部位別仕様表から新・部 位 U 値シートに転記します。 ■天井・屋根・床等 旭ファイバーグラス部位別仕様表(天井より) 上表の色つき部は評価協の部位別仕様表データベースに登録してある仕様です。 部位別仕様表を巻末に掲載し ました。 ■壁 新・部位 U 値シートに熱貫流率を転記すると各方位のシートに数値が入力されます。 ■「開口部」、「基礎」、「共通条件・結果」 の入力手順は建築主の判断基準(簡略 計算法①)と同様。 18 [5]設計・施工指針(本則)の別表 1~7 部位別仕様表 下表の「仕様の詳細」を満たす場合、熱貫流率は表中の値を使うことができます。 住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する設計、施工及び維持保全の指針より 19 20 別表 3 の続き その他に別表第 4~7 があります。 別表第 4:鉄筋コンクリート造等の住宅 内断熱工法の仕様例 別表第 5:鉄筋コンクリート造等の住宅 外断熱工法の仕様例 別表第 6:鉄骨造の住宅仕様例 別表第 7:建具とガラスの組み合わせの例 21 [6]設計・施工指針(附則)による仕様基準の見直し 外皮性能及び一次エネルギー消費量に関する基準は、当分の間、設計・施工指針の附則の 規定によることができます。 (1)開口部比率について <見直し後の仕様の考え方> ・現行の仕様基準における仕様をベースに作成。 ・開口部比率に応じて、それぞれの仕様を設定。 (は) (ろ) (い) 開口部比率とは・・・・・ 22 ・開口部比率の条件は、地域区分ごとに戸建住宅と共同住宅等でそれぞれ定めます。 ・開口部比率に応じて、3 つの区分(緩和、現行、強化)を設定し、それぞれの区分ごとに開口部 の性能を定めます。 (い) (ろ) (は) (い) (ろ) (は) (い) (ろ) (は) 躯体の断熱性能に関する基準 設計・施工指針(附則)仕様を用いる場合、躯体各部位の断熱性能が、次表に示す「熱貫流 率の基準」又は「断熱材の熱抵抗の基準」に適合することが求められます。 【熱貫流率の基準】 住宅の種 断熱材の 類 施工法 部位 熱貫流率の基準値 (単位 1 平方メートル 1 度につきワット) 地域区分 木造住宅 (軸組・枠 組) 1、2 3 4、5、6、7 8 屋根又は天井 0.17 0.24 0.24 0.24 壁 0.35 0.53 0.53 外気に接する部分 0.24 0.24 0.34 その他の部分 0.34 0.34 0.48 0.37 0.37 0.53 0.53 0.53 0.76 床 土間床等 外気に接する部分 の外周 その他の部分 23 【断熱材の熱抵抗の基準】 住宅の種 断熱材の 類 部位 断熱材の熱抵抗の基準値 施工法 (単位 1 ワットにつき平方メートル・度) 地域区分 1、2 3 4、5、6、7 8 6.6 4.6 4.6 4.6 5.7 4.0 4.0 4.0 3.3 2.2 2.2 外気に接する部分 5.2 5.2 3.3 その他の部分 3.3 3.3 2.2 3.5 3.5 1.7 1.2 1.2 0.5 6.6 4.6 4.6 4.6 5.7 4.0 4.0 4.0 3.6 2.3 2.3 外気に接する部分 4.2 4.2 3.1 その他の部分 3.1 3.1 2.0 3.5 3.5 1.7 1.2 1.2 0.5 5.7 4.0 4.0 2.9 1.7 1.7 3.8 3.8 2.5 3.5 3.5 1.7 1.2 1.2 0.5 木造軸組 充填断熱 屋 根 又 屋根 工法の住 工法 は天井 天井 宅 壁 床 土間床等 外気に接する部分 の外周 その他の部分 枠組壁工 充填断熱 屋根又は 屋根 法の住宅 工法 天井 天井 壁 床 土間床等 外気に接する部分 の外周 その他の部分 木造軸組・ 外張断熱 屋根又は天井 枠組壁工 法の住宅 工法又は 壁 内張断熱 床 工法 外気に接する部分 その他の部分 土間床等 外気に接する部分 の外周 その他の部分 24 4.0 (2)設計・施工指針(附則)適合確認の手順(フロー) 25 [7]外皮性能計算に必要な初期情報 記入用紙 26 記入例 27
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