ミンコフスキー汎関数による 宇宙再電離期解析

ミンコフスキー汎関数による
宇宙再電離期解析
熊本大学 吉浦 伸太郎 名古屋大学 島袋 隼士
熊本大学 高橋 慶太郎 名古屋大学 松原 隆彦
目次
1. イントロダクション
宇宙再電離
21cm線, 輝度温度
2. ミンコフスキー汎関数
モデル比較(ビリアル温度)
モデル比較(スピン温度)
3. まとめ
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
宇宙再電離
21cm線
再結合
再電離
現在
Cosmic Microwave Background
宇宙はいったん中性化>中性水素で満たされる
初代の天体形成
銀河からの紫外線光子が中性水素を電離
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
21cm線
水素原子由来の超微細構造線
proton
超微細構造
electron
n1
n0
1420MHz
21cm
再電離以前、中性水素は宇宙に大量に存在していた
> 21cm線は再電離期の良いトレーサー
z=9の21cm線は赤方偏移して21cm (1+z)=2m
>>電波観測
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
スピン温度
中性水素のスピン状態から定義される
n1
= 3 exp
n0
✓
h⌫21
k B TS
◆
1
TS =
T
WF効果
1
1
+ x ↵ T↵ + x c TK
1 + xc + x↵
1
温度進化
天体から放射されたライマンα光子
によってスピン温度とガスの温度が
カップリングする。
gasとの衝突
Ts進化図
Heating
WF効果
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輝度温度
輝度温度z=8.58
実際の観測量
Ts T
Tb (⌫) =
(1
1+z
e
⌧ ⌫0
)
H
⇡ 27xHI (1 + nl )(
)(1
dvr /dr + H
1 + z 0.15 1 ⌦b h2
2(
⇥(
)
)[mK]
2
10 ⌦M h
0.023
T
)
Ts
重要な成分
中性率, 物質密度, スピン温度
主な解析手法
30[mK]
0[mK]
Power Spectrum, Bispectrum (島袋さんトーク)
Skewness (久保田君トーク)
+
ミンコフスキー汎関数
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
研究の目的
21cm線輝度温度は時代ごとに独特な分布をもつ
輝度温度の分布をそのまま解析
ミンコフスキー汎関数
輝度温度分布 : 21cmFASTによる計算結果
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
ミンコフスキー汎関数
Volume : V0 (⌫) =
Area : V1 (⌫) =
Mean curvature : V2 (⌫) =
Euler characteristics : V3 (⌫) =
Z
1
d3 x⇥(p(x) ⌫ ),
V V
Z
1
dA,
6V @F⌫
Z
1
dA[1 (x) + 2 (x)],
6⇡V @F⌫
Z
1
dA1 (x)2 (x)
4⇡V @F⌫
分布のもつ幾何学的情報を特徴づける
CMBの非ガウス性や銀河分布の構造を
調べる際に用いられてきた
ガウス分布の場合
正の値 : 孤立した領域が多い
V3
負の値 : 繋がった領域が多い
本研究ではこれを21cm線輝度温度分布に適応
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
ミンコフスキー汎関数
Volume : -> イオン化バブルの構造
輝度温度=0mK付近の振る舞い
V0:しきい値以上の値を持つ領域の体積
Area :
->イオン化率を反映
z=8.58, 中性率52%
-> Tb = 0 でV0=0.48と予想
実際は0.75くらい
スムージング
1Mpc SKA2の分解能 (z=10)
5Mpc SKA1の分解能 (z=10)
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ミンコフスキー汎関数
負のV3 : 繋がったイオン化バブル
正のV3 : 孤立したイオン化バブル
スムージングの影響で
イオン化バブルの一部は
Tb = 0 で無い所に影響
右のなだらかな部分は、
密度場の分布等の影響
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
ミンコフスキー汎関数
負のV3 : 繋がったイオン化バブル
正のV3 : 孤立したイオン化バブル
スムージングの影響で
イオン化バブルの一部は
Tb = 0 で無い所に影響
右のなだらかな部分は、
密度場の分布等の影響
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
モデル比較(ビリアル温度)
(1)電離源の質量を変えたモデルでの比較
LTvir
:
4
Tmin
=
2
⇥
10
[K]
vir
30[mK]
STvir
:
3
Tmin
=
5
⇥
10
[K]
vir
0[mK]
低質量の場合生じる小さなイオン化バブル
>多くの孤立領域(正のV3)
輝度温度=0の所にピークがたたない理由
>スムージングのため
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モデル比較(スピン温度)
MFsのモデル比較
(2)スピン温度無視
z=7.50
Ts=1197 K
z=8.58
Ts=581 K
z=11.90
Ts=99 K
z=15.13
Ts=22 K
MFsを用いた先行研究では、
TS >> T
!
として、
スピン温度の項を無視
1
T
⇡1
TS
スピン温度も電離が
起こる以前の輝度温度の
分布に十分影響する
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
モデル比較(スピン温度)
MFsのモデル比較
(2)スピン温度無視
z=7.50
Ts=1197 K
z=8.58
Ts=581 K
z=11.90
Ts=99 K
z=15.13
Ts=22 K
MFsを用いた先行研究では、
TS >> T
!
として、
スピン温度の項を無視
1
T
⇡1
TS
スピン温度も電離が
起こる以前の輝度温度の
分布に十分影響する
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
モデル比較(スピン温度)
MFsのモデル比較
(2)スピン温度無視
z=7.50
Ts=1197 K
z=8.58
Ts=581 K
z=11.90
Ts=99 K
z=15.13
Ts=22 K
MFsを用いた先行研究では、
TS >> T
!
として、
スピン温度の項を無視
1
T
⇡1
TS
スピン温度も電離が
起こる以前の輝度温度の
分布に十分影響する
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館
まとめ
宇宙再電離期の観測は21cm線
将来観測では21cm線輝度温度の三次元マップが得られる
!
輝度温度はイオン化バブルの影響で独特な構造をもつ
ミンコフスキー汎関数を用いて幾何学的情報を解析
!
・輝度温度のミンコフスキー汎関数は非ガウス性をもつ
・電離源の質量の違いを反映する
・スピン温度のもたらす再電離以前の構造
!
MFsを用いた再電離期のパラメーター推定
X-ray源のモデルを変化させた場合の解析 (Gyudon ?)
銀河進化と遠方宇宙 2015年 9月7 8日 @神戸市教育会館