SHIBAURA INSTITUTE OFTECHNOLOGY

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2015 年 12 月 16 日
~情報工学科教授と小説家が共同開発、初心者の小説執筆をサポート~
ゼロから小説の“あらすじ”作れるソフト
芝浦工業大学(東京都江東区豊洲/学長 村上雅人)情報工学科の米村俊一教授が、小説執筆時に何から
書き始めてよいかわからない初心者でも容易にあらすじを作ることができる小説創作支援ソフトを開発し
ました。研究では認知心理学の手法とプロの小説家の助言をもとに、文章構造や語彙を可視化。書き手が
各文節の例文を選択して組み合わせるだけで、あらすじの創作が可能となるシステムを構築しました。
現在も改良中でソフトの公開は未定であるものの、今後はスマートフォンやタブレット端末などで簡単
に操作ができるソフトを開発し、小説本体の執筆までサポートすることをめざしていきます。
■ 新システムの主要機能
文節単位で表現を例示
アイデア出しを支援
小説の中でよく用いられる表現を「例文」として表示。書き手が例文
を選んでいくことで文章を組み立てられるように支援します。
「あらすじの文型」を表示
アイデアの洗練を支援
あらすじを 13 行の“ログライン(=物語上の重要なシーンを
端的に説明する短い 1 文)
”で構成し、それぞれの文節を表示
することで、アイデアの洗練を支援します。
「章構成」を表示
ストーリー全体の質を高める支援
起承転結を色分けして明示し、ストーリーの型作りを支援。
小説の章立てと編集結果が常に反映表示されるため、あらすじ
全体のバランスを俯瞰しながら創作することを可能にします。
■ 経緯
これまで作家の構成力や想像力に委ねられていた「物語の作成手法」を形式化することが近年、小説の創作現場に
おいて試みられています。また、インターネットの普及により、簡単に投稿が出来るようになったことで、初心者が
小説を書き始める機会が増えてきました。その一方で、小説の創作を支援するシステムは存在しませんでした。
このため米村教授は昨年、認知心理学で用いられる手法を用いて、プロの作家の思考パターンを抽出することで、
小説家の執筆支援をシステム化。書き手がソフトのガイドに沿ってアイデアを記入していくことで、頭の中にある断
片的な思考をつなぎ、一つのあらすじにまとめることができるソフトを開発しました。
しかし、先行開発したソフトには、創作経験やアイデアが豊富なプロにはたやすく使えても、語彙や経験が乏しい
初心者には難しいという課題がありました。そこで、この課題を解決するため、
「創造的活動の認知モデル(Geneplore
Model)
」に基づいて以上 3 つの主要機能を備えたシステムを新たに構築しました。
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■ 従来のシステムの概要
先行研究では、プロの作家の思考パターンを抽出することで、小説家が創作を行う過程における「いつ」
「何を」
「どのように考える」といった認知プロセスを解明しました。この結果に基づいて、あらすじ作成プロセスをモデ
ル化し、創作支援ソフトの開発につなげました。
これまで作家が頭の中で行っていた
「創作の手順」をソフトがナビゲーション
各項目は自由記述方式
物語が動く「きっかけ」や「試練」など 11 項目の質問に
答えていくことであらすじが作られ、主人公の性格など
30 項目に回答することでキャラクターも設定されます
小説の文型やアイデアが頭の中にあれば書けますが、書きすぎてまとまらないことも。
また、それらを持たない初心者は書き出しからつまずいてしまい、時間がかかるという課題がありました。
■従来手法との比較実験結果
被験者(学生 10 名)に「従来手法」および「提案手法」の 2 つのシステムを用いてあらすじを創作してもらい、実験
終了後のアンケートと所要時間の計測により、初心者の使用において以下 3 つの目標を達成できたかを評価しました。
【達成目標】
①あらすじをつまずかないで書ける。
②効率的に創作を進めることができる。
(所要時間比較)
③出来上がったあらすじに満足ができる。
【被験者の感想】
(抜粋)
・あらすじ全体の流れが分かり易かったため物語の山場といった起伏のある物語らしい文章を書くことが出来た。
・従来手法だと入力に制限がないため、必要以上のアイデアを書き込んでしまい、物語としてまとめることができ
なかったが、ログラインの文型に当てはめるという制限があったことで、アイデアをまとめられた。
【総括】
アンケート評価と所要時間から、提案手法を使用した方が半分以下の時間でつまずかずに創作を行うことができる
ことが明らかになりました。その上、あらすじの出来映えの満足度は両手法でほぼ変わらないという結果が出ました。
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