事業の概況(平成 26 年度)

事業の概況(平成 26 年度)
国内経済の動向は、景気の自律拡大メカニズムが徐々に強まる中、消費税増税の先延
ばしによる物価上昇を通じた購買力低下の回避や、経済対策がプラスに作用して景気は
都市部を中心に堅調に推移しております。しかし、地方、農業関係は依然として厳しい
状態が続いています。
TPPについて、米国は農産物の重要品目を含めて関税撤廃を求め続けていますが、官
邸主導の内容が見えない交渉が続いており、国会決議を守るよう私たちは総力を挙げて全
国のJAグループと歩調を合わせTPP反対運動を展開致しました。
又、政府、与党による農協改革は一定の結論はでましたが、農協法改正の国会審議を注
視しつつ「食と農を基軸として地域に根ざした協同組合」として農業所得の増大と地域の
活性化を目指し、自己改革に取り組みました。
一方、農業情勢として、園芸野菜は台風による被害や 8 月の曇雨天による土壌消毒の効
果不足による作物の生育が心配されましたが、出荷も順調に行われ販売は出荷当初は単価
安、11 月以降は低温の影響で出荷量は減少、品薄感の中で前年を上回る単価で推移しま
した。
年明け以降も品薄が続き単価は昨年を上回り、野菜全体で 110%の販売となりました。
水稲は 8 月の日照不足、台風の影響により高知県の作況指数は 96(やや不良)となり
ました。
中山間地の基幹品目である柚子は、収穫量が全国的に少なく原料確保に大変な年でした。
本年度は、各事業が伸び悩み非常に厳しい事業展開でしたが、組合員・利用者の皆様に
は深いご理解とご協力により、当期剰余金 194,027 千円を挙げることが出来ました。以下、
各部門の事業報告・実績は次のとおりとなっております。
◇ 営農指導事業
昨年は竜巻や台風の被害が多く、特に 8 月の台風 11 号の被害は大きく、管内でハ
ウス施設 22 棟の全壊、被覆資材の破損は 662 件に及ぶ甚大な被害となりました。また
定植時の長雨や日照不足は植物の生長に大きな影響がありました。地球規模での温
暖化や異常気象など自然の猛威を感じさせる厳しい年となりました。
エコシステム栽培のナスは管内 100%を目標に取り組み、天敵利用技術が確立され
たことにより 99.3%となりました。ユズでは、昨年に引き続き市場視察を兼ねた販売会
①
議を東京・名古屋で行い、試食宣伝や料理コンテストも開催しました。また、花卉では、
花卉部各支部で県外市場視察を行い、市場担当者との意見交換を行うことにより消費
者ニーズの動向の把握に努めました。
無料職業紹介所アグリ・サポートでは、農家の高齢化による労働不足と規模拡大農
家をサポートするため求職者の募集を行いました。結果、求人登録農家 52 戸 90 名、
求職登録者 25 名、契約実績 61 件(農家 27 戸へ 23 人が就職)となりました。
◇ 信用事業
地域の金融機関として、組合員・利用者の立場に立った金融サービスの提供と、全職
員による地域密着型渉外活動を強力に展開し、夏・冬の貯金キャンペーンや 3 月の東
部博応援貯金キャンペーン、また年金相談会やJAカードの推進を実施いたしました。融
資につきましては、経済部門と連携し、ハウスや農家を訪問しての農業資金のPRや相
談の受付、また住宅ローンを中心に各種ローンのキャンペーンや相談会を実施いたしま
した。
この結果、貯金は約 10 億円増加し、年度末貯金残高は 1,031 億円となりました。
貸付金は、主力である農業資金・住宅ローンをはじめ、個人向け貸付金残高の伸長
に努めて参りましたが、地方公共団体向け貸付金の減少により、約 10 億 9,000 万円減少
し、年度末残高は 127 億円となりました。有価証券は、余裕金の運用のバランスと安全性
に重点を置いて運用を行い、計画を上回る収益を出すことができ、年度末残高は約 4 億
円増加し、75 億円となりました。
◇ 共済事業
平成 26 年度は、農業協同組合が理念とする「相互扶助(助け合い)」を事業活動の原
点とし、組合員・地域利用者の立場に立って考え、多様化するニーズに即したサービス
を提供していく為に、窓口対応の向上と迅速な引受・支払を目指したインストラクターの
養成に取組みました。
また、普及面では 3Q訪問活動によるあんしんチェックの徹底と、今後予測される南海
地震や大規模自然災害への対策として建物更生共済への取組強化など「ひと・いえ・く
るまの保障提案」により地域に安心と満足を提供するため、総合的かつ計画的な普及推
進活動を展開してまいりました。
結果、生存保障(計画比 103%)、建更保障(計画比 105%)は達成となりましたが、万
一保障が(計画比 88.9%)と未達成に終わり、全共連登録目標(390 億円)には僅かなが
ら達成に至りませんでした。
また、経営挑戦目標については、長期共済新契約目標 420 億円に対し 405.2 億円と
達成は出来ませんでしたが、年金共済は 4 億円の目標に対し 4 億 8,152 万円、医療系
共済については目標件数 1,500 件に対し 1,593 件と達成する事が出来ました。又、短期
②
共済(自動車共済・自賠責共済・火災共済・傷害共済)の伸長は、件数では前年割れとな
りましたが、短期共済全体の付加収入高では、1 億 4,443 万円(前年比 103.9%)の実績と
なりました。
◇ 経済事業
平成 26 年度の経済事業は、燃料価格の下落により重油供給量は現状維持となりヒー
トポンプ等省エネ機器への切替の影響は最小限となったものの環境保全型農業の普及
に伴う農薬等の使用量減少や消費税増税に対する先取りの影響が大きく、購買品供給
高は 51 億 1,508 万円と計画対比 94.7%となりました。
また、延滞購買未収金は弁済契約締結等、管理徹底と回収により残高は減少致しま
した。
◇ 園芸・販売事業
国内の景気は回復基調にあるものの、生産・出荷資材費の高騰やTPP交渉と農業関
係を取り巻く情勢は依然として厳しい状況である。この厳しい環境下ではありますが、地
域園芸戦略会議を中心に関係機関と連携を図り、系統出荷率向上の取り組み強化と出
荷品の取扱いシェアー拡大により販売高の上伸に努めた結果、加工事業も含めた総販
売・売上金額は 104 億 9,500 万円、内受託販売額は 100 億 4,233 万円(対前年 100.8%)
となりました。
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