Vol.004ブカツ女子に必要な食事とは?

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Vol.004 ブカツ女子に必要な食事とは?
ブカツ女子の適正な体重・体脂肪率とは?
中学から高校にかけて身体の変化は当たり前!
ブカツが本格的になる中学生から高校生にかけ
ての女子は、女性ホルモンの影響で身体つきが
変わってくる時期です。健全な身体の成長とと
もに、筋肉が増え、体脂肪が増えるので、体重
が増加する時期でもあるのです。
しかし、身体が変わってくると、指導者の方も
生徒自身も「この競技ではこのくらいの体重、
体脂肪率でなければならない」と思い込み、無
理なウエイトコントロールに走る傾向にありま
すが、望ましい体重・体脂肪率には個人差があ
ります。
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Vol.004 ブカツ女子に必要な食事とは?
適正な体重・体脂肪率の判断基準とは
適正な体重・体脂肪率とは「健康上問題なく、
無理せずに維持できる体重・体脂肪率」です。
風邪などを引かずに体調が良く、元気にブカ
ツをできることが基本です。「疲れが抜けに
くい」「元気が出ない」などの場合は、食事
量が足りていない可能性があります。
女子スポーツ選手は、疲れが抜けず競技力が
向上しない時に血液検査をすると、貧血にな
っているケースが多くあります。これは食事
量が少なくエネルギー不足が原因であること
がほとんどです。
コンディショニングワンポイント
女子中高生は、女性ホルモンの影響で身体が変わる時期!
無理せず維持できる体重・体脂肪率が適正です。
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Vol.004 ブカツ女子に必要な食事とは?
食事量不足・エネルギー不足の恐ろしさ、ご存じですか?
エネルギー不足と疲労骨折の関係
ブカツ女子の食事で最も気をつけなければなら
ないことは、食事量を減らすことで、栄養素不
足・エネルギー不足になることです。
食事量が少なすぎると、女子は月経不順が起こ
りやすくなります。さらに月経に伴って分泌さ
れる女性ホルモンが不足すると骨のカルシウム
が減って骨がもろくなり、疲労骨折につながり
ます。
体型が重視される新体操などの選手や、体重の
軽い方が一般的に有利とされる陸上長距離の選
手が、過度なウエイトコントロールによる月経
不順が原因で疲労骨折を繰り返していることが
問題になっています。
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Vol.004 ブカツ女子に必要な食事とは?
エネルギー不足は、競技力にも影響する
パフォーマンス維持に欠かせない水分補給
さらに、脳へのエネルギーが不足することで、
運動をすると筋肉で大量の熱が発生します。その熱が体の内部に溜まりすぎると、
集中力が低下し、ネンザや突き指などのケガに
内臓機能を低下させてしまいます。そういうときに私たちの身体は大量に汗をかいて、
つながる事も多くなりがちです。集中力の低下
内部の熱を外に放散しながら身体を元の状態に戻そうとするのです。
は、練習の質の低下にもつながります。
ある新体操の選手は、集中力が続かずクラブや
リングのキャッチミスが続いていたため、しっ
かりと食事を摂るようにしたところ、キャッチ
できるようになり練習の質が上がったそうで
す。試合はもちろん、練習も集中すれば競技力
が上がるのは当然なこと。競技力を高めたいな
ら、しっかりと食べることが必要です。
コンディショニングワンポイント
食事量不足・エネルギー不足は、疲労骨折などケガにつながり、
集中力の低下による競技力の低下にもつながります。
競技力を高めたいなら、しっかりと食べること!
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Vol.004 ブカツ女子に必要な食事とは?
ブカツ女子こそ、食事は3食しっかりと!
ブカツ女子に必要な栄養素
身体をつくるたんぱく質、貧血を予防する鉄や
骨の材料のカルシウム、エネルギー源となる炭
水化物は特に重要です。これらの栄養素は適正
な体重を維持できるように3食の食事をきちん
と食べていれば十分補給できます。間に合いま
す。
米やパン、麺類などの炭水化物は大切なエネル
ギー源です。しっかりと食べましょう。少量の
脂肪分があれば、より腹持ちが良くなります。
お腹がすいたときの補食としては、カロリーメ
イトはもちろん、ヨーグルトやチーズの乳製品
を摂ることもオススメです。
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Vol.004 ブカツ女子に必要な食事とは?
いつ、なにを飲むべきか?
体型が気になるお年頃、太ってきたと感じたときは?
「食べていないのに太る」と感じたときは、1
「 喉が渇いた」と感じたときには、
すでに脱 水は始まっている 日に食べたものを1週間ほどすべて書き出して
みてください。
ちょっとした空き時間にお菓子を口にしていた
練習中にあまり喉が渇いていないからといって油断をしてはいけません。
り、ウエイトコントロールしなくてはと食事を
水分が足りなくなってから、喉の渇きを脳がキャッチするまでには時間差(タイムラグ)が生じ
我慢したストレスで、じつは過食になっていた
るからです。
り、3度の食事以外に余分なエネルギーを摂取
していることがほとんどです。
太ったなと思ったら、食事量を減らすのではな
く、まずは毎日の食習慣を見直すことから始め
ましょう。
次回は、試合で勝つための食事の秘訣について
お話します。
コンディショニングワンポイント
ブカツ女子に必要な栄養素は、3度の食事をしっかり食べる
ことが基本。太ってきたと感じたときは、食事を減らす前に
毎日の食習慣を見直そう!
岡村 浩嗣さん
大阪体育大学
体育学部 大学院スポーツ科学研究科 学術博士/教授
筑波大学大学院体育研究科卒。専門は、スポーツ栄養学、運動栄養学。
著書に『 親子で学ぶスポーツ栄養( 八千代出版)』
『ジムに通う人の栄養学
スポーツ栄養学入門」
( 講談社 ブルーバックス)』
『市民からアスリートまでの
スポーツ栄養学(八千代出版)』