日本で発見された成人病T細胞白血病とその原因ウイルス

2015/7/28
成人T細胞白血病
みちのくウイルス塾
(Adult T-cell Leukemia, ATL)
(Adult T-cell Leukemia/Lymphoma, ATLL)
故日沼頼夫先生追悼講演
(平成27年7月18日)
ATL
T-ALL
日本で発見された成人T細胞白血病と
その原因ウイルス
菅村和夫
花びら様異型リンパ球
T細胞(B細胞ではない)
宮城県立がんセンター研究所
発がん制御研究部
皮膚病変1
皮膚病変2
成人に発症: 30-60歳代
高月 清先生
多くに皮膚病変あり
文化功労者
(1995)
患者の出生地:西南日本
Uchiyama T, et al.: Blood (1977)
(内山 卓先生)
ATLの地理病理学的特性
ATL原因ウイルスの発見者
Uchiyama T, et al.: Blood (1977)
秋田県山本郡八森町生まれ(1925)
研究歴:
・東北大学 (1951-1958)
抗生物質の探索
・Pennsylvania大学 (1958-1960) ポリオウイルス
・Roswel Park Memorial Institute (1965-1967) EBV
・東北大学 (1967-1971) EBV
・熊本大学 (1971-1980) EBV
出生地
・京都大学 (1980-1988) 成人T細胞白血病ウイルス
居住地
日沼 頼夫先生
“どうしてATL多発地で発見されなかったのか?”
文化勲章 (2009)
・塩野義製薬 (1988-2000) エイズウイルス
2015年2月4日逝去
ウイルス等の感染要因?
環境要因?
遺伝要因?
ATLの原因ウイルス発見
1911 Rous sarcoma virus
ウイルス感染が原因であるならば?
ATLがん細胞
ATL患者
Murine leukemia virus
Feline leukemia virus
“論文を書いて初めて実験したことになる”
原因ウイルス
ウイルス抗原
抗原抗体反応
免疫応答
Bovine leukemia virus
Y
Gibbon ape leukemia virus
1981 ATL原因ウイルス
1983 HIV
Hinuma, Y, et al:
Proc Natl Acad Sci USA (78) 1981
血清中
ウイルス抗体
Y
蛍光標識
抗ヒトIgG抗体
間接蛍光抗体法
“末梢血中ATLがん細胞はウイルス抗原を発現していない”
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ATLウイルス抗原検出
ATL由来
MT-1細胞株
セレンディピティーに出会える研究者
蛍光標識
抗ヒトIgG抗体
EBV-EA
EBV-VCA
EBV-EBNA
ウイルス抗原
ATL患者血清
(ウイルス抗体)
三好勇夫先生:
日沼頼夫著:
MT-1細胞株樹立
「ヒト癌ウイルスの探索」 勉誠出版
「新ウイルス物語」 中公新書
抗原検出日:
1980年11月24日
“偶然か、必然か:研究に棚から牡丹餅はない”
永田欽也氏提供
C型ウイルス粒子の同定
ATL由来ヒトレトロウイルスの発見
・MT-2細胞の樹立(1981)
逆転写酵素活性の証明
ATL患者(女性)リンパ球
+
健常人臍帯血(男性)リンパ球
MT-2細胞株樹立
臍帯血由来
Miyoshi, I, et al.: Nature,
1981
Iododeoxyuridine (IUdR)処理によるウイルス誘導
“実験科学者に必要なpositive思考”
ウイルス遺伝子配列決定
LTR
gag
pro
pol
env
pX
Yoshida, M, Miyoshi, I and Hinuma, Y:
Proc Natl Acad Sci, 1982
LTR
Seiki, M, et al.:
Proc Natl Acad Sci 1983
“ATL患者は例外なく
Adult T-cell Leukemia Virus
ATLVに感染している”
(ATLV)
Dr. Galloによる HTLVの同定
Dr. Robert C. Gallo: T-cell growth factor (TCGF、後のIL-2) の発見(1976)
TCGFを用いてmycosis fungoides(菌状息肉腫)より
HUT102細胞株を樹立
培養上清中にC型レトロウイルスを同定
Human Cutaneous T-cell Lymphoma Virus (HTLV )
Poiesz, BJ, et al. and Gallo, RC:
Proc. Natl. Acad. Sci 1980
HTLV-I感染経路とキャリア分布
HTLV-I感染経路:
全世界のキャリア数:1,500万~2,000万人
1)母子感染
母乳
経胎盤
経産道
2)輸血による感染
血球成分
HTLV = ATLV
3)性交感染
正式名称:Human T-cell leukemia virus type 1
Human T-lymphotropic virus type 1
男性
1-5%
女性
>1%
Proietti, FA, et al.: Oncogene, 2005
(HTLV-1)
HTLV-2 (hairy cell leukemia 細胞由来)?
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HTLV-I 感染からATL発症まで
ATL疫学:
ATL治療:
HTLV-1キャリア: 日本 100-200万人
世界 1,000-2,000万人
CHOP療法、LSG15療法
キャリアの生涯ATL発症率:約3%
造血幹細胞移植、ミニ移植
ATL発症者数: 年間約1,000人
IL-2
エトポシド(単剤)
自律増殖
HTLV-I
数10年の経過
Tリンパ球
モガムリズマブ(抗CCR4抗体)
ATL発症年齢ピーク: 70歳前後
IFNa/AZT療法
平均生存期間: 急性型 11ヶ月
リンパ腫型 20ヶ月
慢性型 24ヶ月
くすぶり型 3年以上
樹状細胞ワクチン療法
ATLがん細胞
GLUT1
増殖シグナル
Genetic and epigenetic 異常
IL-2受容体
Tax
HBZ
HTLV-1関連脊髄症(HAM)
HTLV-1関連ぶどう膜炎(HU)
CDKN2A
p53
Fas
Chromosomal
alterlation
NFkB
JAK-STAT
mTOR/AKT
Notch
RhoA
microRNA deregulation
宮城県立がんセンター研究所
東北大・がん医科学連携講座
(基礎系:6分野系、 臨床系:4教授)
NOGマウスセンター
Tissue Bank
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