支援センターの果たすべき役割について(久委員長)

支援センターの果たすべき役割について(久委員長)
市民活動センターはいったい何をすべきか、私もいくつかセンターを引き受けている
のでその経験をふまえて話をしていきます。
私が理事長をしている市民事務局「かわにし」なんですが、どんなことをしているか
というと、主に中間支援をしています。
中間支援というのはなじみのない言葉かもしれませんが、皆様方の団体でそれぞれ活
動されていと思います。ところが、中間支援の NPO というのは活動している皆様を応
援するための活動をする。そこはかなり他の団体とは違うと思います。自分たちが活動
するのではなく、活動している人たちを応援するというのが中間支援です。
これはなかなか難しいです。
市民事務局「かわにし」というのは、市民が運営しているもので、泉大津と同じく、
当初、センターを作るために懇話会があって、懇話会が提言を出して、「センターを誰
が担うのか、市民が担おうよ」という話になって、さまざまな団体から集まった方々で
作ったのが市民事務局「かわにし」ということになります。
なぜこの話から入らせてもらっているかというと、私は川西に縁もゆかりもなかった
が、たまたま懇話会のメンバーさんに NPO を作るから協力してもらえないかと呼ばれ
て理事長になりました。
なぜ私が呼ばれたかということも含めて、立ち上がりを説明すると、皆様の役に立つ
のかと思います。
懇話会で 1 年半ほど議論した仲ですから、お互いの気心は知れていたとは思いますが、
一緒に運営をしていくと、それぞれ思いの違いや、やり方の違いが出てきまして、なか
なかまとまらないという状況になり、私の方に調整役としても入ってくれないかとお声
がかかって理事長をしているという経緯です。
それともう一つは、懇話会のときは自分たちの活動をどう発展させるかという事で皆
さん入っておられたが、今度は自分が支援する側に回らないといけないということで、
役割が変わってくる。支援される側からする側になる、そうすると、自分が今まで担っ
てきた活動をやりつつ、支援をするというのは大変なので、やはりこれまでやってきた
活動に見切りをつけないといけないのです。
ですから、今の「かわにし」のスタッフは、今まで自分が行ってきた活動を別の方に
代表を任せて、自分は支援をするという事に専念して今に至っています。しかし、なか
なかそうした覚悟をもった人材が見つかるか、ということがポイントかと思います。
直営で運営しているなかには、こういうところまで踏ん切りがつかないというところ
もあります。具体的には、摂津市がそうで、摂津市は直営です。でも将来的には市民が
事務局を担うということで、しばらくはという約束のもとで動いています。
事務局から府内では支援センターが 18 立ち上がっていると説明がありました。その
うちの私は 9 つの市をお手伝いしています。堺、河内長野、富田林、箕面、茨木、八尾、
枚方、寝屋川、摂津です。
摂津以外はすべて市民が事務局を担っている。そして、ほとんどが懇話会のメンバー
が NPO をつくり、担っています。泉大津でもすぐにそのようなNPOができるかどう
か分かりませんが、最後にこのなかでお話をしていければと思います。摂津と泉大津は
よく似ているので、参考になればいいと思います。覚悟をつけて、やっていただける方
がいないので摂津市は直営でやっていますが、では泉大津はどうするのか、というのも
最後に話できればと思います。
中間支援というのは、どうやって支援していけばいいのかと言うと、市民事務局「か
わにし」が言っているのは、
「つなぎます、ささえます、つたえます」ということです。
色々な活動団体がおられますが、これらを誰かが繋いでいかないと、なかなか繋がって
いきません。そういう「つなぎ役になろうよ」というのがセンターであり中間支援の団
体にあたります。
第1回資料の1枚目のところに図がございます。このなかで、「つなぎます」にあた
るのが、「ネットワーク」です。これがまさしく「つなぎます」になります。それから
「コーディネーション」というのも「つなぎます」だと思います。こういう繋がりの場
を作っていく、自らが仲人役になってつなげていくのがコーディネーションになろうか
と思います。
もっと具体的に言うと、市民団体交流会を年何回か開催して、場を提供しますから、
その中でつながりを作ってくださいというお見合いパーティみたいなもので、でも仲人
みたいな団体同士の紹介はしない、各々が相手を見つけていくようなことも行ったりし
ます。
「コーディネーション」がどのような仕事かと具体的にいうと、例えば誰かが相談に
来ます。こんな人知りませんか、こんな団体知りませんか、という相談を受けます。そ
ういう時に、それならこの団体さんが得意じゃないの、と紹介し、仲人役として、個人
や団体をつないでいくのがコーディネーションです。
「ささえます」というのはどういうものかというと、一つは、悩み事の相談を受けて
解決していく、支援メニューからいうと相談助言というのが「ささえます」ということ
になります。皆さまが悩んだときにいろいろ聞きたい、アドバイスが欲しいということ
で、この相談助言が「ささえます」になります。もう一つの「ささえます」になるのが
人材育成で、
「ステップアップしてもらいましょう」
「ステップアップするときにいろん
な講座を開いて、そこでスキルを身につけてもらいましょう。」というのも「ささえま
す」になります。
例えば、NPO になれば、しっかりとした会計をしないといけない。そうすると、お
小遣帳程度ではだめで、貸借対照表をかけないといけないんです。そういう時に講座を
開きます。他にも広報のスキル。うまく発信すれば、団体の活動もステップアップ出来
ます。このようなスキルを上げるための講座を行いながら支えていくということもあり
ます。
「つたえます」ということですが、情報提供や発信としてつたえます。具体的には、
ニュースづくりです。こんな団体がありますという紹介をするためにニュースに載せた
り、あるいはこんな公募情報があります、資金を提供する団体がありますよという情報
を伝えていくのがこの「つたえる」になります。
このように、さまざまなことをつなげたり、ささえたり、つたえたりするのが中間支
援であり、それを拠点として行っていくのが支援センターのイメージです。
先ほどすでにテクスピアの3階の一部を予定しているというお話がありましたけれ
ども、この中にはおそらく会議室みたいなものができるんじゃないかと期待していた方
もおられたと思いますが、会議室をとれるスペースはおそらくないと思います。しかし、
会議室の貸し業務ではなく、団体をサポートする機能を果たすためのセンターなので、
貸館は他にたくさんあるので、そういったところを借りればいいと思います。
このかたちにいちばん近いのが堺市で、市民活動センターではないが、市民活動コー
ナーというものがあり、センターだと大規模だと思われがちなので、コーナーという形
で設置されています。ここはこじんまりとしたスペースになっていて、泉大津の規模だ
と堺市がぴったりかと思うので、見に行ってもらいましょうということになっています。
視察先の特徴をお話するために堺、河内長野の特色、経緯をお話させていただきます。
堺は貸館業務が全くない、センターの支援業務に特化したことをやっています。ただ、
スペースとしては、事務所があり、ちょっとした打ち合わせや、相談ができる小さなコ
ーナーがあり、そこは予約なしに数人のグループが使用できるフリースペースになって
います。あとは、印刷機やコピー機が使えるコーナーもあります。
立地は社協が持っている総合福祉会館の中にあります。元は市役所内にありましたが、
事業仕分で、社会福祉協議会のボランティアセンターと市民活動コーナーは同じような
ことをやっていると指摘があり、それに加え、二重に税金を投入しているのは無駄だと
いう指摘があり、事業仕分されました。そこで、合体した方がいいんじゃないかと、第
三者協議会で出てきて、将来的にはボランティアセンターと市民活動コーナーを統合さ
せようということで、今、協議が始まっています。ただ、少しずつ機能が違うし、支援
している対象団体も違います。私も入り、ざっくばらんに議論をしたところです。私自
身は別個でもいいと思うので、役割分担を明確にしていき、連携をしていく事が重要か
と思っています。
同じ業務をやっているのでは、堺市のように同じものは 2 つもいらないという事にな
るので、お互いが補って、連携していくことが必要だと思います。このあたりのヒント
を堺からいただけるのではないかと思います。
河内長野市は、それなりの大きさの施設ですので、ハード面ではあまり参考にならな
いかもしれません。ただ、河内長野の今の担い手の NPO さんはボランティア連絡会が
NPO になっていますので、そのあたりが一つ参考になるのではないかと思っています。
最初は皆、支援される側を期待して、センターの懇話会に集まっていたが、誰かがセン
ター長になり支援する側にまわらないといけないわけです。そこで、現センター長が手
を挙げてくださって、自身も活動をやっておられたのですが、今はセンター長に専念し
て、勉強されて今に至っています。河内長野市は、一歩一歩ステップアップされたセン
ターでありますので、目で見るよりも直に話を聞いていただきたいと思っています。
河内長野市は地域団体(自治会)もうまくサポートしています。なかなか市民活動団
体と地域団体がうまく折り合えないというのが、多くの地域の悩みなんですが、河内長
野はうまく地域活動団体も連携されています。もっと具体的にいうと、スペースの利用
が市民活動団体の方がきわめて多い。例えば、自治会は自治会館をもって活動ができる
が、自治会連合会が会合するときにどこで打ち合わせするかという時に使ってもらった
りしています。あるいは、自治会でもいろいろ刷り物があります。そういったときにコ
ピーは高くてもったいないので、センターの印刷機を格安で利用したりと、うまくセン
ターを活用しているといえます。
市民活動団体と地域活動団体との接点がないというのが、これまでセンターの共通の
悩みだったのが、その関係がうまくいけば、もっと面白い展開になると思っています。
ただ、1つネックなのは、市民公益活動というのは、非営利で活動しているので、その
線引きを市民活動団体がしてしまう。営利活動と非営利活動は違います。そういうとこ
ろで自ら壁を作ってしまいます。私は、両者の目的は違うけれども、お互いがどこかで
接点を持てれば、足らないとこを補えるのではないかと思います。さまざまな人が入っ
て議論して、連携できるところを増やしていけばいいのではないかと思っています。
ですから、今回これからの議論は立場の違う人同士ぶつかりあうのもいいと思ってい
ます。それでお互いの共通認識をして、つながりをみつけていってこそ、動きだしてか
らスムーズにいくと思いますので、最初は本音でぶつかり合って、乗り越えてこそいい
ものが見えてくるのではと思っています。