平成 27 年度 高次脳機能障害研修会(中信地域)を開催しました

平成 27 年度
高次脳機能障害研修会(中信地域)を開催しました
平成 27 年 11 月 7 日松本合同庁舎にて、長野県と拠点病院である桔梗ヶ原病院主催の高次脳機能障害研修会(中
信地域)が開催されました。
研修会には、一般 44 人、医療・福祉・就労支援関係者 159 人、合わせて 203 人の参加者がありました。
桔梗ヶ原病院
副院長
高次脳機能リハビリテーションセンター長
原
寛美先生より
2004 年に高次脳機能障害の診断基準が作られ、国の施策とし
て高次脳機能障害支援事業が開始されました。
長野県内において
も同年より高次脳機能障害支援拠点病院が設置されて、高次脳機
能障害の診断、専門的支援、就労援助、高次脳機能障害の理解と
援助のため研修会を開催してきています。
当初はゼロ予算事業で
したが、
現在は一般社団法人
日本損害保険協会の助成金を得て
研修会は開催されています。
現在、高次脳機能障害者支援コーディネーターは全国に 375 人に存在していますが長野県内には 5 人(桔梗ヶ原
病院に2名)。北海道では、全保健所管内に支援コーディネーターが設置されており、175 人の支援コーディネータ
ーが支援に携わっています。これは、全国の支援コーディネーターの約半数を占めており、長野県内を含めた支援
コーディネーターの増員が今後の課題となります。
平成 24 年4月より桔梗ヶ原病院 高次脳機能リハビリテーションセンターが中信地区の拠点機関となりました。
現在までに 84 名の高次脳機能障害患者が受診され、うち支援コーディネーターが 50 名の方々に対して、精神障害
者保健福祉手帳・障害年金・就労等の支援を行っています。平成 27 年 4 月~10 月までの相談件数は 257 件との基
調報告をしました。
講演1
「高次脳機能障害者の看護診断とケア」
名古屋市総合リハビリテーションセンター
脳卒中リハビリテーション認定看護師 藤山 美由紀先生
高次脳機能障害は、外見からは見えない障害と言われています。
高次脳機能障害は注意障害、記憶障害、遂行機能障害、社会的行動障害が
挙げられます。その具体的な症状や対応方法、精神的な支援、家族への支
援が重要となります。高次脳機能障害者と関わるうえで重要なこと、それ
は「1人ひとりの人生に想いをはせる」です。支援者からの、関わりの1
つ1つが“その方”にとってどう影響するのか、振り返り、きちんと考え、
関わっていくことが大切になると藤山先生は講演でお話されています。
藤山先生共同執筆 : NANDA-I の看護診断にもとづく高次脳機能障害の
標準看護計画 メディカ出版 2014 年 11 月
講演2
「高次脳機能障害者に対する就労支援のノウハウ」
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構 障害者職業総合センター特別研究員
田谷 勝夫先生
全国の高次脳機能障害者は約 25 万人、うち約 7 万人が就労支援の対象
者です。高次脳機能障害者の就労率は約 30%(20~45%)
、一般就労は約
20%(10~40%)
、福祉的就労は約 15%(7~20%)です。
独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構における高次脳機能障害
者の就労支援として、広域障害者職業センター、障害者職業総合センター、
地域障害者職業センターが関わっています。就労支援は、まず本人が受傷
から病識をもち代償手段を獲得していくこと、それから支援者が残存能力
の活用を重視し、ジョブコーチ支援事業等を活用し障害者と事業主両者へ
のきめ細やかな支援を行っていくことが就労支援、職場定着には求められ
ると田谷先生は講演でお話されています。
田谷先生の研究業績については、右記をご参照ください。http://www.nivr.jeed.or.jp/research/report/houkoku.html