OZASAHAYASHIのオープニング展覧会では、絵画、ドローイング、彫刻

この度、現代美術の企画ギャラリー、OZASAHAYASHIは2015年4月10日、京都御苑に程近い堺町夷川に開廊致します。
オープニング企画展、INAUGURAL EXHIBITIONとして、海外、国内から6人のアーティストによるグループ展を開催致します。
どうぞご
高覧頂けますようお願い申し上げます。
また、
ギャラリースペースのお披露目も兼ね、下記日程にてオープニングレセプションを催します。
京都の新たな空間から発進されるコンテポラリーアートを愉しみに、お気軽にご来場いただけますよう、心よりお待ちしております。
2015年4月 サクラ満開の京都より 林眞夕弓+小笹義朋
OZASAHAYASHIオープニング企画展覧会:INAUGURAL EXHIBITION@OZASAHAYASHI
今坂庸二朗、小田祐子、親谷茂、
ニールズ・カーストン、
ウリケ・ハイデンライヒ、横溝美由紀
期間:2015年4月10日
(金)
ー6月6日
(土)
開廊日時:木、金、土 12:00−18:00
*開廊日時以外はお電話、E-mailにてご予約をお願い致します。
オープニングレセプション:2015年4月10日
(金)
17:00ー19:00
ozasahayashi_kyoto
京都市中京区亀屋町175−8
Tel:075−744−6108
[email protected]
www.ozasahayashi.com
OZASAHAYASHIのオープニング展覧会では、
絵画、
ドローイング、
彫刻、
版画、
写真と異なる
素材、
コンセプトとアプローチを通して、
それぞれの声
(ボイス)
を深く遠くへ自身の中に、
そし
て外の世界へ形象化させる6人の美術作家、
今坂庸二朗、
小田祐子、
親谷茂、
ニールズ・カー
ストン、
ウリケ・ハイデンライヒ、
横溝美由紀によるグループ展覧会を開催致します。
ドイツ、
デュッセルドルフ在住の作家、
ウリケ・ハイデンライヒによる
『Ausblick (Panorama)』
の三作品は、
遠くに静かな雪の降り積もった山岳風景の鉛筆素描。
その風景を眺める鑑賞者
は、いつのまにか静謐な実景の中にいるような感覚を覚えるでしょう。
なぜなら美しく四角に
切り取られた箱庭のような額のなかには、
平面である紙を折り曲げ角度をつけることで、
遠近
間と距離感をもたらす立体的空間を存在させています。
NYの大学院でファインアートを専攻
したハイデンライヒの初期作品のほとんどは、
鑑賞者が作品に参加するインタラクティブな立
体作品を制作していました。
その後も鏡やガラスを使用したインスタレーション作品を発表し
てきた彼女が描き出す
『Ausblick (Panorama)』
は、
視覚的、
体感的な相互作用が鑑賞者との
間にもたらされる立体的なドローイング作品となっています。
1995年から国内外で数多くの空間インスタレーションを制作してきた彫刻科出身の横溝美
由紀は、
ここ3年ほど精力的に絵画を制作しています。
しかし、
横溝の作品も絵画というより、
彫刻的で身体性を帯びた平面作品といえるでしょう。
筆を使わずにキャンバスのうえに張っ
た糸に油絵の具をつけ、
それを指で弾きながら直線を左右、
上下に組み上げてグリッドを生
み出す。
線が積み重なることによって、わずかながらも厚みを帯びて絵具の色が光の粒のよう
に飛び散り、
そして糸を弾くという反復行為は、
制御不能な線のズレと響き合うノイズを生じさ
せ、
自身の知覚を呼び覚ます。
新作
『blank map』
は、
敢えて反復の行為を制限することにより
、
余白や余韻を含んだスペースが現れ、
その内には作家の心象風景が記され、
線の 間に残
された空間の存在を問いかけています。
ニューヨークで14年間の画家活動を経て、
日本では初の作品発表となる親谷茂。
そして初の
立体作品
『Empty Spot』
は、
倉貫徹の黒い環の彫刻作品(Cycle of Circles, 1992)とのコラボ
レーションを介して、
横溝美由紀の空間=存在の問いに呼応するかのような、
can't we
recognize the blank space as empty spot?/ただの余白を空っぽの空間と認識できるのか
?というコンセプトで制作されています。
また、
親谷はいくつもの言葉にできない物語で構成さ
れた絵画作品を発表し続けています。
新作絵画
『Golden Era』
は、
色鮮やかに塗り込められた
恐竜が、ハジマリとオワリが混合った失われし世界の記憶の欠片を集め、
新たな世界の幕開
けを知らせるかのようです。
それは日本をベースに制作を始めた作家自身へのオワリとハジ
マリを祝福するかのように。
10年近く油絵、
素描、
コラージュ作品を制作し発表し続けてきたニューヨーク在住のドイツ人
作家、
ニールズ・カーストンは、
2008年から独学で木版画を制作し始めた。
ベニヤ板を歯科
用ドリルで削って描き出したのは、
ロックミュージシャン達の名作レコードジャケットの数々。
しかし、
それらはLPサイズではなく等身大
(約170cm)
の白黒大画面。
その中に吸い込まれ、
平面に刻まれ残されたカーストンの執拗な手彫りの痕跡が浮かび上がり、
作家が作品に注
いだ熱を皮膚感覚で感じることができます。
削る、
彫る、
刷るという具体的行為によって変換さ
れたイメージは、すでに本来のレコードジャケットとしての意味を失い、
作家個人の意図を含
み、
よりメッセージ性の強い作品となっています。
日本において木版画誕生の地である京都で
、
カーストンの近作木版画が指し示す行方が楽しみです。
カーストンのアナログ技法のプリントメイキングに対し、
アメリカで彫刻を学んだ小田祐子は
3Dプリンターを用いた立体造形作品
『Unbearable Lightness and Heaviness of Being/
存在の耐えられない軽さ』を2010年から制作しています。
この作品は、
小田がアイロニカル
な意図をもって非生分解性の素材を選び、
デジタル技術を応用し、
自身が感化される自然の
カタチと現象をひもとく として創りだした、
蝶と木や植物の根っこが一体化したピース。
そし
て、
小田もまた、
近年積極的に平面作品に取り組んでいます。
日本画の顔料なども用いて描か
れている
『Departure』
も、
敢えて原画から長期保存可能なアーカイバルペーパーにデジタル
プリントされた作品を、
本展では彫刻作品と合わせて発表します。
ニューヨークシティのスタジオから北に2時間も運転すれば、
アップステイト、
キャッスキル山
地の自然のなかへ、
独り写真家、
今坂庸二朗はクラシック・ディアドルフ8x10フィルムのカメ
ラを抱え、
深く自身の裡へ分け入ってゆきます。
出 えたフィールドで長い時間をかけ何を感
じ、
何を見て、
何を伝えたいのかを、
自身の目を通して事象に触れ、
イメージを焼き付けプリン
トする。
122.5x147cmの
『A Man in the Water』
は、
白と黒の間にヒカリが潜み れた美し
い風景に引き込まれ、
そして気づかぬうちに画面の中で静かに水浴びをする人に思いを馳せ
てしまうような作品です。
『Bearsville』
は人気のない放置された納屋が、
やはり白と黒だけで
はない森の中にとけ込みながら、
かすかに人の営みの匂いを感じさせる。
そこには今坂によ
って写し残された時間が漂い続けているのかもしれません。