風に吹かれて 2015.6.13 自身のホームページに時々エッセイ

風に吹かれて
2015.6.13
自身のホームページに時々エッセイ風の文を掲載していこうという気になった。
そのコーナーの名前をどうしようかと考えたとき、すぐに頭に浮かんだのが「風に吹かれて」 だ。
ご承知のとおり、ボブ・ディランが1963年に発表したフォークソングの名曲で、ピーター、ポール&
マリーもこの曲をカバーした。
「どれだけ飛べば白い鳩は砂浜で休めるんだろう、どれだけ飛び交えば爆弾は永遠になくなる
んだろう、どれだけ年月がたてば人々は自由になれるんだろう、どれだけの時間見えないふりをす
るんだろう、どれだけの人の泣く声を聞けばいいんだろう、どれだけの死があればもうたくさんだと
分かるのだろう」。そんな問いかけのあとに、“The answer my friend is blowin' in the wind.
The answer is blowin' in the wind.” 「答なんて分からないよ、吹いている風の中さ」、と繰り返さ
れる曲である。
この曲が発表されて50年以上が経つが、この間に世界中で数限りなく行われ、現在も続いてい
る争いや殺し合いを見ると、ボブ・ディランが50年前に歌の中で繰り返した言葉
“The answer is
blowin' in the wind.” は、50年先までを見通していたのかという説得力を感じる。
ピーター、ポール&マリーは心にしみる美しい歌声とハーモニー、繊細なピッキング奏法のギタ
ーで感動的にこの曲を演奏した。ボブ・ディランは、飾り気のないボサボサの髪型とぶっきらぼうに
さりげなく語りかける歌とハーモニカ、そして、かき鳴らすようにストロークで弾くギターでこの曲を
演奏した。いまその映像を目にすると、昔のモノクロの映像ではあるが、風貌、歌、メッセージに新
鮮さを感じる。
私自身を振り返れば、ここまで35年間特別支援教育に携わり、定年退職、再任用をへて今年
は再任用最後の年、つまり、教員として勤務する最後の年となった。まだまだ特別支援にかかわる
仕事は続けていくつもりだが、区切り目の年ではある。
日々のことの中から、また、かつて経験したたくさんのことの中から、ボブ・ディランの「風に吹か
れて」のようにさりげなく、飾り気はないけれど新鮮さと説得力を感じてもらえるような、そんなことを
時々書いて掲載していきたいと思う。
鈴木彰典(すずき あきのり)