移民と社会問題 移民の歴史 移民と社会問題 -1 人口移動の活発化(16c ∼) □ヨーロッパ人による植民地化 *北米 *南米 *阿 *オセアニア □黒人奴隷 □華僑/印僑 □「未開地」の開拓 近代国家による移民の再定義 □国民と外国人の区別 □植民地から宗主国への移動 *カリブ/印パ➡英 *アルジェリア➡仏 □オイルショック後 *新規移民労働力募集の停止 *家族再統合による移民社会の拡大 © 竹中克行 2015 だれが移民なのか 移民と社会問題 -2 国籍付与の考え方 ❶血統主義:独 独人の子は独人,外国人の子は外国人 ❷出生地主義:仏 仏で生まれた人は仏人 国籍上の外国人と実態としての移民 □出生地主義の陥穽 *形式上は仏人 *身体的・宗教的差異で差別 □サン・パピエの正規化要求 *居住許可/難民認定の厳格化 *非正規滞在者への連帯 © 竹中克行 2015 外国籍市民の分布 移民と社会問題 -3 全 EU 3078 万(6.2%:域内 2.3%,域外 3.9%) スペイン 526 万(11.6%:域内 4.7%,域外 7.0%) ルーマニア,モロッコ,エクアドル ドイツ 726 万(8.8%:域内 3.1%,域外 5.8%) トルコ,イタリア,ポーランド フランス 367 万(5.8%:域内 2.0%,域外 3.8%) ポルトガル,アルジェリア,モロッコ ルクセンブルク 21 万(42.6%:域内 36.6%,域外 6.0%) © 竹中克行 2015 フランス社会におけるイスラーム 移民と社会問題 -4 ライシテ(laïcité)原則 □共和国の市民としての平等 □政教分離法(1905 年) *国家は宗教公認せず,資金提供せず *公共場での宗教的標識・行動の排除 「スカーフ事件」 □スカーフ着用女子への登校禁止措置 □公立校での宗教的着衣を統制する法 *イスラームの父権主義/過激主義 ■スカーフ着用の真の動機? *アイデンティティ *髪を晒すは恥 *性的嫌がらせの回避 □公共の場で顔を覆う服装を禁じる法律 © 竹中克行 2015 イスラームへの視線が生む問題 移民と社会問題 -5 メディアがつくるイスラームのイメージ □不寛容,暴力的,後進的 □近代欧が育てた価値観の裏返し ■ E・サイード: 『オリエンタリズム』(1978 年) 植民地支配から連続する視線 □後進的な存在を啓蒙する必要性 □強化される対抗的アイデンティティ 個人の平等に立脚する共和国理念 □宗教・民族マイノリティの権利認めず □共和国を脅かす共同体主義への警戒 © 竹中克行 2015 移民街の景観 移民と社会問題 -6 移民の生活を支える組織・サービス □ハラール/アルコールなしの店 □特定地区への集中 *ギリシャ系(5 区) *ユダヤ系(4 区マレ地区,11 区ベルヴィル, 19 区ビュット・ショーモン公園) *中国系(13 区) *アフリカ系(18 区グット・ドール地区) 閉塞感が漂う郊外住宅団地 □アクセシビリティの悪い住宅団地 □人口遷移による低所得層の滞留 □非行問題の深刻化と警察の取締り □差別がもたらす孤立化 © 竹中克行 2015 移民と社会問題 -7 不衛生住宅改修事業に追い立てられる移民 不衛生住宅に滞留する移民 □マグレブ系 □アフリカ系 □古い配管による鉛中毒 不衛生住宅改修事業 □アフリカ系シャトー・ルージュ地区 □住宅保護を受けられない非正規滞在者 事業の二面性 □公式見解 *政策目的は住宅の衛生状態改善 *それは住民からの要望でもある ■事実上,非正規滞在者を追い詰め © 竹中克行 2015 移民と社会問題 -8 鮮明化する EU の境界 EU の内と外 □シェンゲン協定による域内移動の自由化 □ EU パスポートと非 EU パスポート □欧州連合条約による EU 市民への地方参政権賦与 移民政策の共通化 □運輸事業者罰則指令 □安全な国から来た庇護申請者の強制送還 境界の再定義 ⇒ ⇒ ⇒ 国民/外国人 EU 市民/域外移民 © 竹中克行 2015
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