東邦チタニウム若松工場にてサウジアラビアから研修生を受け入れ(P48)

東邦チタニウム若松工場にてサウジアラビアから研修生を受け入れ
東邦チタニウムは、チタン事業の将来にわたる競争力の一層の強化を目的として、サウジアラビアでスポンジチタン製
造のための合弁会社を設立し、現在、新工場を建設中です。工場の操業を担うサウジアラビア人従業員の育成のため、
2015 年 4月から、国内のスポンジチタン主力工場である若松工場(北九州市若松区)に23 名を受け入れ、研修を開始し
ました。新工場完成予定の2017年前半まで約2年間、総勢74名の研修生を受け入れる予定です。
チタン需要の拡大が期待されるサウジアラビアで競争力のある新工場を建設
用されており、今後もその需要増が見込
酸化チタンメーカーであるクリスタル社などと現地におけるス
まれています。
ポンジチタン製造に関する合弁契約を締結しました。2015年5月
一方、現地ではその材料となるスポン
に新工場建設に着工し、2017 年末の商業生産開始を予定してい
ジチタンの製造は行われていないため、
ます。
東邦チタニウムは国内で長年培ってきた
チタンは、
「強い」
「軽い」
「錆びない」という優れた特性を有して
先進的な技術力を活用し、現地企業と合弁で新工場を建設するこ
おり、最先端の航空宇宙産業をはじめ、各種工業プラントなど幅
ととしました。新工場は、原材料である四塩化チタンのクリスタル
広い用途があります。中東地域では、経済成長に伴い、発電プ
社からの安定的な調達と、同国における低廉な電力の活用によ
ラントや海水淡水化プラントの建設が相次いでいます。海水淡水
り、世界的に卓越したコスト競争力を実現できる見込みです。
従業員
東邦チタニウムは、2014年12月にサウジアラビアの世界的な
化プラントでは、海水耐食性に優れたチタンが配管などに多く利
安定操業の鍵となるサウジアラビア人オペレーターを育成
新工場の安定操業を実現するには、オペレーターの育成が最重
ル工場である若松工場にて、現場研修を開始しています。2015
要課題の一つと考えています。そのため、新工場の完成後に操業
年秋にはさらに第二陣の 51 名が加わり、総勢 74 名の研修生を受
に従事することとなるサウジアラビア人の主要メンバーの研修を
け入れる予定です。
日本で実施することとし、第一陣が2015年3月に23名来日しまし
た。業務上のコミュニケーションは英語で行いますが、彼らが日本
での生活に早く適応できるよう、来日前後にそれぞれ1ヵ月間日
本語研修を実施しました。その後2015年4月から、新工場のモデ
voice
新工場は、操業開始当初は約60人の日本人技術者を含む計120 ~130人体制でスタートし、フル
操業時で200人体制に増員する計画です。最終的には日本人技術者は10人程度に絞り込む予定なの
で、現地人材の教育は急務です。操業開始は2年後ですが、既にその対応は本格的に始動しています。
受け入れにあたっては、研修生全員がイスラム教徒であるため、彼らの宗教に合わせた対応を行
いました(工場・寮に礼拝部屋を設置、ハラル食(豚肉や酒などを使用しない料理)の提供)
。また、
東邦チタニウム(株)
サウジプロジェクト本部 プロジェクト部 総務担当
鈴木 響
若松工場で働く日本人に対しても「イスラム教徒との接し方」を事前に学んでもらい、スムーズに研
修生を受け入れられるよう準備をしました。
研修生には、日本でしかできない経験を積みながら、人間としても成長し、新工場の中心として活
躍することを期待しています。
私は破砕工程
(スポンジチタン製造の最終工程)
の担当をしています。工程目視と包装をマスター
することが現在の目標です。工場では、毎朝仲間と一緒に「安全体操」をして現場に向かいます。業
務に関する知識を増やすことはもちろんのこと、日本人の時間管理の徹底ぶりやチームワークの良
さを見習いたいと思っています。私生活では、気候と食事の
違いを感じています。サウジアラビアでは夏と冬しかありま
東邦チタニウム(株)
サウジプロジェクト本部 プロジェクト部
Meshel Obaid
Alaofi
せんが、日本では四季が体験できるので楽しみです。
チタン製錬で世界有数の規模・設備を誇る若松工場での
研修は、大変貴重な機会であり、ここで得た知識や経験を、
新工場の稼働に役立てていきたいと考えています。
JX Nippon Mining & Metals Corporation Sustainability Report 2015
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