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コミュニケーションの
積み重ねから
信頼のパスは生まれる
営業・サポート編
これまで国内外のチームでプレーし、2015 年から INAC 神戸レオネッサに移籍、
さらには日本代表のキープレーヤーとして活躍する鮫島選手と、
当社の営業とサポートのメンバーが熱く語り合います。
お客さまとの関係でも仲間との付き合いでも、
「信頼」があるところに実りがあります。
信頼を築くためのポイントとは?
そのためのコミュニケーション術とは?
基本は笑顔、約束を守る、
相手に対する興味、
そして挨拶とお礼
―――――
今回は営業とサポートという、高いコミュニケーション能力が求められ
る職種の皆さんに集まっていただきました。お客さまの信頼を得るには、
コミュニケーションを重ねていく過程が重要だと思います。ご自身のコ
ミュニケーションの方法を教えていただけますか?
鮫 島
コミュニケーションは 得意なほうかもしれません。国内外で何度か移籍
を繰り返すうちに、チームに馴染むのもだんだんと早くなっていきました
ね。初めて海外のチームに移籍したときは、多少、言葉の苦労がありま
したが、サッカーの場合、ピッチ上でチームメイトと無理にでもコミュニ
ケーションを取らなくてはいけないので、あまり細かなことを考えなくて
も自然とチームに馴染んでしまうんです。
岡 田
私が、意識しているのは、お客さまが何を求めているのか、言葉だけで
なくお客さまの顔を見て考えるようにしています。コミュニケーションは
相手があって成り立つものですから。そのためには、自分自身が笑顔を
絶やさないこと。それを常に実践しています。
小 山
私は、自分でコミュニケーション能力が高いかどうかはわかりません。心
がけているのは、お客さまのところへ訪問する前にはしっかりと準備を
する、その後、繰り返して通う、約束をしっかり守る、問い合わせには素
早く対応する、そういった基本的な事を大切にすることで、信頼関係を
小山和幸
築いていこうと心がけています。
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岡田亮介
コミュニケーションの積み重ねから信頼のパスは生まれる
木 沢
私はもともと人と会話するのが得意ではありませんでした。特に年齢の
離れた人と話すのが難しく……。それを克服したいと思って営業職を選
びました。
鮫 島
そんなふうには見えないですよ!?
木 沢
営業を何年も続けてきましたが、コミュニケーション能力が上がったか
どうかはわかりません。ただし、これは強調しておきたいのですが、この
木沢恭之
人は何を考えているのか、何を求めているのか、という相手に対する興
味が持てるようになりました。その点はこの仕事をしていて、成長できた
部分ではないかと感じています。
鮫 島
私自身も、なぜ新しいチームにすぐに馴染めるかというと、そもそも、そ
のチームの一員になりたいという興味があるからなんです。ですので、い
まのお話は、とても共感できます。
長谷川
サポートは、商品の納品や操作説明の際に、インストラクターとしてお
客さまのところに伺います。すでに当社の営業とお客さまとの信頼関係
ができあがってからの仕事です。ですから、お客さまとの信頼関係のパ
イプがさらに太くなるようなコミュニケーションを心掛けています。具体
的には、挨拶とお礼は絶対に欠かさない、というのが私のモットーです。
個性を出したほうがうまくいくのか?
相手に合わせたほうがうまくいくのか?
―――――
それぞれ接する相手の社風、あるいはチームカラーが違っていて、苦労
する場合はありますか?
鮫 島
フランスのチームは、コミュニケーションを重視するというより、自分の
意見を主張することが美徳である、という考え方でした。チームのメン
バーとして生き残っていくためには、自分の意見を持って、それを発言し
ていかないと、なかなか認めてもらえません。最初、戸惑いましたが、サッ
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長谷川恵弓
コミュニケーションの積み重ねから信頼のパスは生まれる
カーだけでなく自分の人生にとっては、なかなか得難い、プラスの経験
ができたと思っています。
小 山
鮫島さんがフランスのチームで経験したように、社内の人たちとのコミュ
ニケーションに関しては、謙虚さは持ちつつも、できるだけ遠慮はせず
発言するようにしています。そのほうが、お互いに気持ちよく仕事ができ
る環境が作れるような気がしています。
木 沢
私は一般企業だけでなく、法律事務所に特化した営業も担当していま
す。一般企業であれば飛び込み営業をしても比較的話を聞いてくださる
のですが、機密情報を扱う法律事務所は「一見(いちげん)さんお断り」
の会社が少なくない。そのへんは、他の営業にはない苦労かもしれませ
んね。
岡 田
鮫島さんは、新しいチームのメンバーになるとき、自分のキャラクターを
アピールしていくタイプですか? それともチームのカラーに染まってい
くタイプですか?
鮫 島
私はチームのカラーに染まっていくタイプですね。以前に所属していた
ベガルタ仙台では年齢が上のほうだったので、チームを引っ張っていく
言動を求められていましたし、自分でもそうしなければいけないと思っ
ていました。一方、日本代表のときは、また、違う役割があって、チーム
の状況次第で、いま自分は何を必要とされているのかを考えながら行動
していくタイプです。
長谷川
サポートは、お客さまのペースを大切にする仕事です。でも、私は自分
のカラーを押し出してしまうタイプなので、いま鮫島さんのお話を聞き
ながら反省することしきりでした。
鮫 島
私は、そうやって自分のカラーが出せる人が羨ましいです! 日本代表
チームでは個性が強く、周りの選手に与える影響力が大きい選手も大
勢いて、そういう選手に憧れるんです。
木 沢
ちなみに、一番、影響力が強いのは誰ですか?
鮫 島
みんな強いですね(笑)。
小 山
新規開拓セールスの場合は、自分の個性を打ち出すようなことをしても
うまくいきません。繰り返し訪問して、まずは自分のことを覚えてもらう。
そして、お客さまが自分のことに興味を持ってくださったと感じるまで、
あまり個性をアピールするようなことは控えます。
木 沢
初対面の時、お客さまも私も緊張しています。そこからどうやって信頼を
得るかというと、小さな約束を重ね、それを果たしていくしかないと思っ
ています。繰り返すことで、お客さまに心を開いていただく。私は「信頼
の残高を積み重ねていく」と言っているのですが。
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コミュニケーションの積み重ねから信頼のパスは生まれる
岡 田
うまいたとえですね!
鮫 島
信頼という貯金ですね(笑)。
木 沢
サッカーと一緒です、地道に練習するしかない!
鮫 島
私はサイドバックなのでパスを受けることが多いのですが、動き出しのタ
イミングが遅いときは、
「パスが来ないかもしれない」と一瞬、躊躇して
いるとき、つまり、パスを出してくれる相手を信頼していないときなんで
す。でも、自分がベストなタイミングで走り出せるときって、
「あの選手
だったら絶対に、ここにパスを出してくれる」という信頼感がある。その
信頼がどうやって生まれるかは、やはり日々の積み重ねです。日々のコ
ミュニケーションから生まれるものですね。
個人が評価されるより
チームが評価されるほうが嬉しい
―――――
社内のスタッフ同士の信頼関係を築くためのポイントは何ですか?
岡 田
私たちが営業をしてきて商談がまとまれば、長谷川さんのようなサポー
トやカスタマーエンジニアとチームを組んで仕事をすることになるので、
お客さまとの最初の窓口になる営業としては、チームをまとめるために
リーダーシップをとらなくてはいけない。そのためには、社内の調整役と
しての働きが重要になってきます。
長谷川
チーム内のコミュニケーションが滞っていると、お客さまに対して100%
の能力が発揮できないので、まずはチームワークを大切にしています。
たわいのないことでも会話をする、他のメンバーと会えないときでも、メ
ンバーがいま何をしているか把握する、少しでも自分の仕事を助けても
らったり気遣ってもらったりしたときにはお礼を言う、忙しくなると忘れ
がちですが、信頼関係のベースになっていると思います。
木 沢
最初にお客さまとの窓口を作るのは営業ですが、その後は、いろいろな
部署の人に協力してもらって、新たに仕事をいただくわけで、一つのボー
ルをチームのみんなで繋いで、
ゴールへと向かうサッカーとも似ています。
鮫 島
たしかに、そうです。
木 沢
昔の営業は、個人が力を発揮して、個人が評価される、という風潮があ
りました。最近ではどの業界の営業も、チームで成果を上げて、チーム
が評価されるという時代に変わってきているようです。だから、自分だけ
能力が突出して手柄を上げるより、みんなで結果を残せることのほうが
嬉しいんです。
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コミュニケーションの積み重ねから信頼のパスは生まれる
信頼を得るための、それぞれのチャレンジ
―――――
海外のクラブチームや日本代表チームなど、鮫島さんは次から次へと新
たな目標に向かって挑戦し続けていらっしゃる。そのモチベーションの
源は何ですか?
鮫 島
私はサッカーが上手になりたいということも、もちろんありますが、サッ
カーを通して人生を豊かにしたいと思っています。このような場所で皆
さんとお話しさせていただくのも、また、海外のチームでいろいろな経験
ができたのも、サッカーにチャンスを与えてもらったことなので、挑戦と
いうよりも自分がしたいことをしているだけなのかもしれません。
木 沢
先ほども言いましたが、チームが評価されるためには、まずは自分が人
よりも倍の努力して、抜きん出た能力を持つことが大事だと思っていま
す。それが、いま私がチャレンジしていることです。
岡 田
私の場合は、所属するチームが2年連続で社長賞を獲得しました。それ
を続けてもらうことがチャレンジです。小山くんと僕は同期ですが、所属
する組織が違うので、なかなか会う機会がない。でも、賞をもらえば、表
彰式で彼とも会えるので、チャレンジのモチベーションになっています。
長谷川
IT 関連の商品は、どんどん新しいものが出てきて、しかも深い知識が必
要です。営業の人たちが取ってきた仕事を安心して任せてもらうために
は、商品の知識と操作するスキルを勉強していく。だから、毎日、チャレ
ンジの連続です。
小 山
私が所属しているチームは若いメンバーが多いので、まずは自分が率先
して動いてお手本になること、仲間を引っ張っていくことが、いまの私が
挑戦していることです。
鮫 島
理想のチームを作り上げていく考え方や、信頼を得るために皆さんが心
掛けていることなど、とても参考になりました。貴重なお話を聞かせてい
ただき、今日はどうもありがとうございました。
※この対談は2015 年 5月13日に行われました。
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