2015年1月22日 センター・リサーチにみる国公立大志望動向 センター試験平均点は文理で明暗 受験生の志望動向に影響 河合塾では、1月17・18日のセンター試験を受験された8割超の方から寄せられた自己採点・志望校データ(センター・リサー チ)をもとに、今年のセンター試験の概況と受験生の国公立大志望動向を分析しました。ここではポイントをご紹介します。 なお、センター試験やセンター・リサーチの結果に関する種々のデータは下記サイトにまとめております。ぜひご覧ください。 河合塾入試情報サイトKei-Net(センター試験特集ページ):http://www.keinet.ne.jp/center/ センター試験平均点 国語で大きく上昇、数学Ⅱ・数学B、地理Bなどでダウン <「センター・リサーチ」参加状況(前年比)> ■ 受験者数は前年並み 1月17・18日に実施されたセンター本試験の受験者数は、外国語 (筆記)ベースで524,211人(昨年526,108人:前年比99.7%)と前 年から大きな変化はなかった。このうちセンター試験受験者の8割 超にあたる434,690人の受験生に、河合塾が実施した「センター・ リサーチ」に参加いただいた。 右グラフはセンター・リサーチの参加者状況である。注目したい のは現卒別の参加者数の変化で、現役生は前年比104%と増加して いる一方、既卒生は85%と大きく減少している。大学入試センター が発表した志願者数の現卒別の内訳も、現役は前年比103%、既卒 は88%と同様の傾向となっている。既卒生の減少は今春入試のト ピックの1つである。 (前年 90% 85% 80% 全体 理系7科目型(900点満点) 598 583 581 578 550点 576 585 573 565 554 <61%> 563 557 576 571 542 545 450点 旧数学Ⅰ・旧数学A 62.08 数学Ⅱ・数学B (53.94) 旧数学Ⅱ・旧数学B 53.94 98.67 国語 物理基礎 化学基礎 理科① 生物基礎 地学基礎 物理 化学 生物 地学 理科② 物理Ⅰ 化学Ⅰ 生物Ⅰ 地学Ⅰ 世界史B 地歴 日本史B 地理B 現代社会 倫理 公民 政治・経済 倫理,政治・経済 '07 '08 '09 '10 '11 '12 '13 (62.08) (61.64) (69.42) (53.25) (50.22) 61.64 69.42 53.25 50.22 68.38 66.32 69.68 58.32 60.87 53.85 67.29 今年 118.48 35.74 62.67 70.30 41.95 50.22 116.44 32.39 35.67 27.02 28.61 62.31 59.94 49.09 43.44 69.43 64.75 56.93 59.00 67.90 63.75 60.62 60.80 54.02 56.48 60.41 差 -0.39 +2.58 (+0.59) +8.22 (-11.99) -3.72 +17.77 (+0.67) (-9.48) (-4.16) (-6.78) +7.79 -4.67 +3.68 +8.78 -0.48 -2.57 -9.06 +2.48 -6.85 +2.63 -6.88 ※数学・理科の昨年度は同一名称科目の平均点を記載 文系 (千人) 理系 (千人) 2015年度 2014年度 2015年度 2014年度 10 8 8 6 6 4 4 2 2 553 0 2005 '06 理系 ※今年の数値は1/21時点の大学入試センターの中間発表値 583 文系7科目型(900点満点) <50%> 昨年 118.87 33.16 10 582 606 文系 <「センター・リサーチ」7科目型得点分布> 631 604 教科・科目 英語 英語 リスニング 数学Ⅰ・数学A 数学① 数学② 下のグラフは「センター・リサーチ」参加者の7科目総合型 (900点満点)の平均点の推移である。文系7科目型で昨年から8 点アップ、理系7科目型で7点ダウンした。理系型の平均点がダウ ンしたのは、新課程の理科②が全体的に低い平均点となったことに 加え、理系受験者の多い「地理B」の平均点が大きく下がったこと が影響した。 「センター・リサーチ」参加者の成績分布(右下グラフ)をみる と、文系では得点率6~8割の層で参加者の増加が見られる。理系 では、平均点のダウンによって今年の分布は左にシフトしている。 ただし国立難関大合格の目安となる得点率8割以上の得点者は前年 並み、800点以上の高得点者層は増加と、成績上位層は平均点ダウ ンの影響は見られない。 601 既卒 <センター試験平均点の推移> ■ 総合型平均点 文理で明暗が分かれる <72%> 現役 ※文系・理系は本人のマークによる 右表は1月21日に大学入試センターが発表した中間集計による平 均点である。昨年、過去最低の平均点となった国語は大幅に上昇し た。一方、各科目の平均点が全体的に高かった地歴Bは軒並みダウ ン、とくに理系生の受験が多い「地理B」は9点のダウンとなっ た。数学・理科では新旧両課程の出題があった。数学では、新旧と も数学Ⅱ・数学Bの平均点が低く、特に新課程では平均点は42点と なっている。これは過去最低だった1998年の平均点と並ぶ低さであ る。旧科目も昨年から約4点低くなった。 理科①の平均点は「物理基礎」「化学基礎」は高め、「生物基 礎」「地学基礎」で低めとなった。理科①は2科目必須であるた め、科目の組み合わせによって、明暗が分かれる状況となった。理 科②でも「生物」「地学」で平均点が50点を下回っているのをはじ め新課程科目は軒並み低めの平均点となった。一方、旧課程科目で は、物理Ⅰが7割近い平均点となっている。理科②では科目間の平 均点差が大きく得点調整が行われる可能性がある。 <「センター・リサーチ」7科目総合型平均点の推移> 102% 102% 100% ■ 主要科目の平均点 国語で大きく上昇 理科②で科目間の差が大きく 650点 104% 102% '14 '15 (年度) 240 400 560 (得点) 720 900 0 240 400 560 720 900 (得点) 1 国公立大の志望動向 ■ 国公立大学出願予定者数の変化 国公立大出願予定者は前年並み 前期日程 後期日程 中期日程 100% 98% 101% 国立大学 公立大学 100% 102% 現役 既卒 103% 85% 80% 90% 100% 110% (出願予定者前年比) 120% ※国立・公立別、現役・既卒別は前期日程で集計 ■ 難関10大学の状況 東京大文科類は出願予定者増加 難関10大学 100% その他の大学 100% 北海道大 99% 東北大 100% 東京大 100% 難 東京工業大 関 一橋大 10 名古屋大 大 京都大 学 103% 102% 103% 100% 大阪大 100% 神戸大 99% 九州大 80% 国公立大入試の中心となる前期日程の出願予定者数は、前 年比100%と前年から大きな変化はない。 ただし、国立大・公立大とで分けて集計すると、公立大の 出願予定者が前年比102%と増加している。センター試験の 必要科目数が基本7科目となっている国立大とは異なり、公 立大では3~4科目で受験可能な大学が多くなっている。数 学、理科では今春から新課程に対応した問題となり、とくに 理科では出題範囲が広がったこともあり、センター試験の受 験教科・科目を減らす受験生が増えている。このため、少な い教科・科目で受験できる公立大の志望者が増えているよう である。 現役・既卒別に分けて集計すると、現役生が増加している 一方、既卒生が1割以上も減少している。既卒生志望者の割 合が高い難関大や医学科では、この既卒生の減少が志望動向 に影響を与えている。 97% 90% 100% 110% 120% 左は国公立大の前期日程の出願予定者を、旧帝大を中心と した難関10大学とその他の大学に分けて集計したもの。どち らも前年比100%と差は見られない。 難関10大学の個別の状況を見ても、極端な増減を示す大学 はない。 東京大の出願予定者は前年比100%。ただし、既卒生が1 割ほど減少しているのが特徴である。また近年の「文低理 高」の傾向に歯止めがかかり、文科類は全体で前年比105% と出願予定者が増加している。平均点上昇の影響もあってか 現役生の増加が顕著である。一方、理科類の出願予定者は全 体で前年比97%とやや減少している。とくに理科二類で減少 が目立つ。 ここ数年高い人気を示す京都大も出願予定者は前年比 100%となっている。ただし、文系学部全体ではやや減、理 系でやや増と緩やかな文低理高となっている。とくに法、経 済学部では出願予定者の減少が目立ち、東京大とは対照的な 動向となっている。理系では志願者の減少が続いていた理学 部や、理科の科目負担が軽減する医学科で出願予定者が1割 増と人気となっている。 (出願予定者前年比) ※前期日程で集計 ■ 学部系統別の動向 文系の人気回復、文低理高に変化 101% 文・人文 108% 社会・国際 103% 法・政治 経済・経営・商 100% 教育(教員養成課程) 100% 92% 教育(総合科学課程) 96% 理 102% 工 農 99% 医 99% 101% 歯 94% 薬 102% 看護 94% 医療技術・他 100% 生活科学 113% 芸術・スポーツ科学 97% 総合・環境・情報・人間 80% 90% 100% 110% (出願予定者前年比) 120% 左は国公立大の学部系統別の動向を集計したもの。文系で は、国際系の人気の高まりから「社会・国際」学系の出願予 定者が大きく増加している。また、長らく不人気が続いてい た「法・政治」「経済・経営・商」学系の出願予定者は、そ れぞれ前年比103%、100%と人気回復の兆しが見える。とく に、必要科目数が少ない公立大で出願予定者の大幅な増加が 見られ、人気となっている。教員養成系学部では、各地で総 合科学課程の廃止・縮小と教員養成課程の入学定員増加が続 くことから、総合科学課程の出願予定者が大きく減少してい る。 理系では「理」学系で出願予定者が減少、「工」学系で増 加している。この傾向は模試段階から続いており、比較的難 易度の高い「理」学系から幅広い難易度の大学がある「工」 学系へ、受験生の人気が移っている。なかでも機械、建築・ 土木分野の人気が上昇している。「農」学系では難関の獣医 分野で減少が目立つ。 医療系では、模試段階では人気だった「医」学科の出願予 定者が前年比99%と、理系の平均点ダウンの影響からか前年 並みに落ち着いた。「薬」学系は模試段階から不人気だった が、こちらも平均点ダウンが影響し、さらに不人気が鮮明と なっている。「看護」の出願予定者は前年比102%と増加し ているが、個別の大学をみると、センター試験で負担の軽い 理科①で受験できる大学で増加、理科①のみでは受験できな い大学で減少と、対照的な動向となっている。 ※前期日程で集計 2
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