日本の大学の国際競争力向上のための 研究費改革について

日本の大学の国際競争力向上のための
研究費改革について
平成27年6月15日
文部科学省 研究振興局 学術研究助成課
1.国際共同研究にかかる動向
2.我が国の研究費
3.科学研究費助成事業における国際化
1
1.国際共同研究にかかる動向
~海外勤務・国際共著論文の現状~
2
世界の研究者の主な流動
○米国、英国、ドイツなどと比べ、我が国において他国との間で移動した研究者は少ない。
出典:OECD “Science, Technology and Industry Scoreboard 2013”を基に文部科学省作成 3
海外における研究勤務経験の有無
○9割以上の研究者が海外勤務経験を有していない。
(%)
出典:科学技術政策研究所「科学技術人材に関する調査」NISTEP REPORT No.123(平成21年3月)
4
国内の自然科学系研究者の海外志向
○38歳以上の研究者の約4割は海外で研究活動を行いたいと考えている。
出典:「研究組織の人材の現状と流動性に関する調査(研究者調査)」(「NISTEP REPORT No.123 科学技術人材に
関する調査~研究者の流動性と研究組織における人材多様性に関する調査分析~」の一環として実施)
(平成21年3月文部科学省科学技術政策研究所)を基に科学技術政策研究所が集計
5
国内の研究者が海外に移籍したがらない理由
○国内から海外への流動性が先進諸国に比べ低い理由として、「海外へ移籍した後、日本に帰っ
てくるポストがあるか不安」を挙げる者が多い。
1
2
4
3
日本の方が海外よりも研究レベルが高い[N=547]
2.60
日本の方が研究施設や研究設備が充実している[N=539]
2.65
日本の方がポストを見つけやすい[N=531]
日本の方が研究資金が潤沢である[N=533]
3.21
2.38
日本の方が生活環境が良い[N=546]
日本の方が給与水準が良い[N=499]
5
3.67
2.86
他の先進国と距離的に離れている[N=541]
3.53
4.19
海外へ移籍した後、日本に帰ってくるポストがあるか不安[N=539]
3.81
海外の研究機関に移籍するためのコネクションがない[N=545]
3.32
海外へ出ることのデメリットの方が大きいので日本で研究していれば十分[N=535]
優秀な研究者は所属機関が手放さない[N=514]
1:全く該当しない
平均値
2:あまり該当しない 3:どちらでもない
3.16
4:やや該当する 5:非常に該当する
出典:科学技術政策研究所、文部科学省「我が国の科学技術人材の流動性調査」調査資料163(平成21年1月)
6
世界の科学出版物と共著論文の状況の変化
○2003年から2013年にかけて、世界全体で国際共著論文が大きく増えている。欧米中各国間の共著関係が増
加している一方、我が国の共著関係の伸びは相対的に少ない。
2003年
2013年
※各国の円の大きさは当該国の科学論文(学術誌掲載論文や国際会議の発表録に含まれる論文等)の数を示す。
※国間の数は、当該国を含む国際共著論文数を示しており、線の太さは国際共著論文数の多さにより太くなる。
出典:エルゼビア社「スコーパス」に基づき科学技術・学術政策研究所作成
7
日本の論文産出構造の時系列変化(国内、国際共著別)
○ 日本のトップ10%論文における科研費関与論文(W-K論文)(国際共著論文)の割合は、
22%まで増加している。
○ W-K論文全体の国際共著率は、23%(日本全体の国際共著率:25%)
出典:論文データベース(Web of Science)と科学研究費助成事業データベース(KAKEN)の連結による
我が国の論文産出構造の分析(2015年4月科学技術・学術政策研究所)
注)WoS-KAKEN論文(W-K論文)
:論文データベース(Web of
Science)に収録されている科研費の関わっている論文
データ: トムソン・ロイターWeb of Science XML(SCIE, 2011 年12 月末バージョン)およびKAKEN XML
(2012 年3 月16 日更新)を基に、科学技術・学術政策研究所が集計。整数カウント法による。
WoS-非KAKEN論文(W-非K論文):論文データベース(Web of
Science)に収録されている科研費が関わっていない論文
8
論文産出構造の国際比較(国内、国際共著別)
○日本全体の国際共著論文比率は約26%で、英国やドイツの状況(約50%)を大きく下回る。
90,000
国際共著率 52.4%
国際共著率 51.2%
国際共著率 26.4%
80,000
16,882
17,216
3,946
5,478
2,572
70,000
10,280
10,868
6,542
11,02713,612
7,212
60,000
14,649
3,297
12,102
1,285
17,907
21,98627,322
27,280
3,703
50,000
6,686
18,64222,686
12,288
40,000
60,24559,947
30,000
53,196
47,42945,961
20,000
42,659
40,440
38,052
56,022
41,63040,59042,159
10,000
英国
国内論文
ドイツ
国際共著論文(2国間)
2009-2011年
2004-2006年
1999-2001年
1994-1996年
2009-2011年
2004-2006年
1999-2001年
1994-1996年
2009-2011年
2004-2006年
1999-2001年
1994-1996年
0
日本
国際共著論文(多国間)
※「科学研究費助成事業データベース(KAKEN)と論文データベース(Web of Science)の連結によるデータ分析」
(2013年3月6日 研究費部会資料)より抜粋
9
Top10%補正論文数における国内論文数と国際共著論文数
(2国間共著論文数、多国間共著論文数)の時系列変化
○Top10%補正論文数について、我が国の国内論文数は欧州諸国とほぼ同程度であるが、国際共著論
文数で欧州諸国と差を付けられている
14,000
12,000
4,549 1,249 4,277 10,000
3,280 8,000
3,241 4,224 754 4,167 1,268 6,000
1,900 752 644 1,749 4,000
2,627 279 892 1,681 3,561 3,743 7,344 1,419 2,000
4,767 4,576 4,498 3,233 2,805 2,382 英国
ドイツ
国内論文
フランス
国際共著論文のうち
2国間共著論文
日本
2009‐2011年
2004‐2006年
1999‐2001年
1994‐1996年
2009‐2011年
2004‐2006年
1999‐2001年
1994‐1996年
2009‐2011年
2004‐2006年
1999‐2001年
1994‐1996年
2009‐2011年
2004‐2006年
1999‐2001年
1994‐1996年
2009‐2011年
2004‐2006年
1999‐2001年
1994‐1996年
0
中国
国際共著論文のうち
多国間共著論文
(注1)Article, Article&Proceedings (article扱い), Letter, Note, Reviewを分析対象とし、整数カウントにより分析。3年平均値である。
(注2)Top10%補正論文数とは、被引用回数が各年各分野で上位10%に入る論文の抽出後、実数で論文数の1/10となるように補正を加えた論文数を指す。
(注3)国内論文とは、当該国の研究機関の単独で産出した論文と、当該国の研究機関の複数機関の共著論文を指す。
(注4)多国間共著論文は、3ヶ国以上の国の研究機関が共同した論文を指す。
トムソン・ロイター社 Web of Scienceを基に、科学技術政策研究所が集計
出典:科学研究のベンチマーキング2012-論文分析でみる世界の研究活動の変化と日本の状況-(2013年3月文部科学省科学技術政策研究所) 10
サイエンスマップにおける日本の参加領域
○世界の動向を見ると、スモールアイランド型領域(小規模で入れ替わりが活発な領域)が40%を
占める。一方、日本はコンチネント型(大規模で入れ替わりが少ない領域)のシェアが高く、ス
モールアイランド型のシェアが低い。
サイエンスマップ
2012
参画領域数
100%
90%
80%
40%
35%
38%
28%
26%
29%
70%
60%
50%
23%
23%
24%
23%
40%
30%
17%
17%
19%
21%
世界( 823 )
米国( 741)
15%
20%
10%
22%
26%
19%
29%
25%
20%
21%
33%
25%
0%
コンチネント型
出典:科学技術・学術政策研究所「サイエンスマップ2010&2012-論
文データベース分析(2005年から2010年および2007年から2012
年)による注目される研究領域の動向調査-」NISTEP REPORT
No.159(平成26年7月)
英国( 504 ) ドイツ(
ペニンシュラ型
アイランド型
455 ) 日本 (274 )
中国( 322 )
スモールアイランド型
11
2.我が国の研究費制度
12
科学技術・学術分野の活動の国際戦略について
1.国際的な研究協力、共同研究の在り方
【問題意識】
・諸外国との研究交流や共同研究をより重層的で戦略的に推進するとともに、我が国として重視する国や地域と重点的な協力を進めるための仕組みの導入が必要。
・「外部資源の内部化」の考え方のもと、国際的に競争力のある研究チームとの共同研究を進める等の取組に資源を重点的に投入することが必要。
【施策の方向性】
・共同研究や社会実装を行うための国際協力によるオープンイノベーション拠点を相手国に設置・運営する新たな事業の検討。
(1)垂直的展開(研究フェーズの進展、研究の深化)及び水平的展開(周辺国への裨益、異分野融合)を目指し、
(2)課題解決に向け相手国の地域社会に根ざした形での社会実装により貢献するとともに、
(3)研究拠点において国内外の多様な研究者交流を積極的に推進し、国際的な頭脳循環のハブとなることを目指す。
2.国際研究ネットワークの強化、人材育成・確保
【問題意識】
・優れた人材の獲得競争が世界的に激化する中で、我が国において優秀な科学技術人材の育成・確保するとともに、人材の多様性を確保することが必要。
・我が国の大学等研究機関や研究グループが国際研究ネットワークを強化し、枢要な一角を占め、科学技術イノベーションを創出することが必要。
【施策の方向性】
・「Research in Japan」イニシアティブの取組の加速、展開。
(1) “「顔が見える」日本”として、外国人研究者の戦略的な受入れや国際研究ネットワークの構築を図る。
・優秀な外国人若手研究者の戦略的な招へい及び定着の促進、海外の研究機関との戦略的なネットワークを構築
・各国との情報交換・協力体制の構築、及び海外動向情報の収集・分析体制の充実等
(2) “「活躍できる」日本”として、ソフト・ハード両面で魅力的な国内の研究拠点の形成等に取り組む。
・大学・研究開発法人等において、世界最高水準の研究システム・設備を実現等
・我が国と協力相手国との間で相互に有益な関係を構築し、相互の信頼性を確保するため、我が国の科学技術イノベーションの質の高さ(日本の強み)に関する国際的な情報発信を
強化する。
・2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催を契機に、優秀な外国人研究者の受入れ拡大を図るとともに、大学等研究機関において、外国人研究者の割合を2020年までに20%
(2030年までに30%)とすることを目指す。
3.国際協力による大規模な研究開発活動の推進
【問題意識】
・先進国や新興国との間で、各国の強みを活かし研究開発活動による科学技術イノベーションの創出を図るとともに、一カ国では取り組むことが出来ない国際的な大規模プロジェクト
を参加各国で役割分担することが効率的・効果的であるとの観点から、国際協力は不可欠。
・我が国が、科学技術活動を一層進展させ科学技術のレベルを高めるとともに、我が国がアジアの科学技術を先導するリーダーとして、国際的な大規模な研究開発を通じたイノベー
ション創出の取組を強化することが必要。
【施策の方向性】
・我が国としての国際的な大規模研究開発活動への参画の在り方について、長期的な見通しと基本的な方針を検討する。
・国際的な政府間の対話の場(OECD/科学技術政策委員会(CSTP)・グローバルサイエンスフォーラム(GSF)等)の活用を検討。
・科学技術分野における国際的な交渉の場において活躍できる人材の育成と確保を検討。
4.産学官が一体となった科学技術外交
5.国別の特性を踏まえた国際戦略の基本的考え方
第7期国際戦略委員会 今後新たに重点的に取り組むべき事項について
~激動する世界情勢下での科学技術イノベーションの国際戦略~(平成26年7月)より抜粋
競争的研究費改革に関する検討会
1.趣旨
競争的研究費については、産業競争力会議の状況も踏まえ、次期科学技術基本計画に沿った施策展開をしていくために、
「研究成果の持続的最大化」のための競争的研究費に係る改革の方向性等について検討していく必要があり、有識者から助言
を得るため、「競争的研究費改革に関する検討会」を開催する。
2.検討事項
(1)競争的研究費に係る課題の分析に関する助言
(2)競争的研究費改革の方向性に関する助言
(3)その他
3.構成員
主査
濵口 道成
主査代理 大垣 眞一郎
有信 睦弘
井関 祥子
上山 隆大
甲斐 知惠子
小安 重夫
佐藤 勝彦
角南 篤
竹山 春子
知野 恵子
橋本 和仁
藤巻 朗
若山 正人
名古屋大学総長
公益財団法人水道技術研究センター理事長、東京大学名誉教授
独立行政法人理化学研究所理事
東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科教授
慶應義塾大学総合政策学部教授
東京大学医科学研究所教授
独立行政法人理化学研究所統合生命医科学研究センターセンター長
大学共同利用機関法人自然科学研究機構機構長
政策研究大学院大学教授
早稲田大学先進理工学部生命医科学科教授
読売新聞東京本社編集委員
東京大学大学院工学系研究科教授
名古屋大学大学院工学研究科教授
九州大学理事・副学長
(役職は平成27年2月現在)
14
競争的研究費改革に関する検討会における国際化に関する指摘
国際的な研究者
コミュニティにおける
ネットワークの形成
国際共同研究のため、
研究者の海外派遣や
海外研究者の招聘の促進
国際的研究者コミュニティを
リードすることによる
国際社会における
日本のプレゼンスの
維持・向上
海外研究者との
共同研究への支援
15
研究費制度における主な取組
科学研究費助成事業(科研費)
• 研究者のニーズに応じて国際共同研究や研究ネットワーク形成のための旅費を助成。
• 国際社会における我が国の学術研究の存在感を向上させるため、平成27年度に「国際共同
研究加速基金」を設置。
戦略的創造研究推進事業
• 国際的な合同ワークショップを開催し、国際的な研究ネットワークを構築して国際連携を推進し
たり、領域において国際公募に参加し、国際共同研究の推進を目指したりするなど、各研究領
域における国際活動の積極的な展開を推進。
• 「CREST」・「さきがけ」の領域で、二国間または多国間による共同支援(SICORP)と共通の研
究総括(PO)を設定し、一体的な研究領域運営を実施。
世界トップレベル研究拠点プログラム(WPI)
• 優れた研究環境と高い研究水準を誇る「目に見える拠点」の形成を目指し、海外の他機関との
有機的な連携や施設・設備の有効活用などを行い、拠点全体としての機能の補完・強化を図
るため、多くの拠点が海外研究機関と共同研究を実施。
16
今後期待される取組と課題
科学研究費助成事業(科研費)
• 「国際共同研究加速基金」を活用して国際共同研究等を促進するともに、新たな方策(海外の
優秀な外国人研究者を日本に招へいし、国際共同研究の中核とするための方策など)の可能
性について検討。
• 採択後に実際に渡航するまでの準備期間等の柔軟化など、研究者が海外での共同研究を進
めやすくするための仕組みについての運用改善を行っていくことが必要。
戦略的創造研究推進事業
• 戦略目標の策定過程において、設計当初から国際展開も踏まえて検討するなど、国際共同研
究が推進されるような運営に取り組むことが必要。
• 分野・領域の特性に応じて、外国人研究者を研究代表者として我が国研究機関に招聘して実
施するプロジェクトに重点支援を行うことの可能性を検討。招聘に当たっては、外国人研究者
に対する国際的な水準のサポート体制の構築が必要。
アワードイヤーギャップへの対応
• JSTの事業が運営費交付金で運用されていることのメリットを生かした複数年にわたる委託契
約の手法につき、他の研究費配分機関に対して推奨。
• 科研費の「国際共同研究加速基金」など、アワードイヤーギャップへの対応における基金化の
メリットについても留意することが必要
17
3.科学研究費助成事業における国際化
~「国際共同研究加速基金」の新設~
18
科学研究費助成事業(科研費)とは
科研費は、
全ての研究活動の基盤であり、「国力の源」となる「学術研究」を幅広く支援
する我が国唯一の研究助成制度
○ 研究活動:
・研究者が自由な発想に基づいて行う研究=「学術研究」
・あらかじめ重点的に取り組む分野や目標を定めてプロジェクトとして実施する研究
・具体的な製品開発に結びつけるための研究
○全ての研究活動のはじまりは「学術研究」
科研費:人文・社会科学から自然科学までの全ての分野にわたり、
独創的・先駆的な学術研究を支援
科学の発展の種をまき芽を育てることで、我が国の重厚な知的蓄積の形成、
イノベーションによる新たな産業の創出や安全で豊かな国民生活の実現に大きく貢献
19
科研費の位置づけ
研究の性格
資金の性格
競争的資金等
(公募・審査による
課題選定)
研究者の自由な発想に基づく研究
(学術研究)
【curiosity-driven research】
科研費による研究の推進
政策課題対応型研究開発
【mission-oriented research】
府省がそれぞれ定める
目的のための公募型研究
の実施
政府主導の国家プロジェクト
の実施
基盤的経費等
(運営費の交付等)
大学・大学共同利用機関等
における研究の推進
研究開発法人等における
戦略的な研究開発の推進
20
科研費の予算額・助成額の推移
2,700
2,600
2,500
2,400
2,300
2,200
2,100
2,000
1,900
1,800
1,700
1,600
1,500
1,400
1,300
1,200
1,100
1,000
900
800
科研費の推移
億円
2,633
基金化の導入、
採択率の改善
(H23年度)
2,566
2,381
2,307
2,318 2,305
2,204
間接経費の導入
(H13年度~)
1,830
1,880
1,895
1,913
17
18
19
1,932
20
1,970
2,276
2,000
2,318
2,273
※助成額
1,765
1,703
1,580
1,419
1,314
1,122
1,179
1,018
8
9
10
11
第1期基本計画
(+495億円)
12
13
14
15
16
21
第2期基本計画
第3期基本計画
(+461億円)
(+120億円)
22
23
24
25
26
27 年度
※予算案
第4期基本計画
※ 予算額は、当初予算額を計上。
※平成23年度から一部種目について基金化を導入したことにより、予算額には、翌年度以降に使用する研究費が含まれることとなったため、
予算額が当該年度の助成額を表さなくなった。そのため、当該年度に助成する金額を「助成額」として、予算額とは別に表記している。
作成:文部科学省
21
科研費の応募・採択件数、採択率の推移
(件数)
(採択率)
120,000
30.0%
28.3%
27.6%
100,000
27.3%
26.9%
93,888 96,528 71,043 72,262 21.3%
24.0%
21.2%
80,000
89,568 88,808 68,406 76,068 25.0%
71,944 20.0%
60,000
44,787 55,026 36,414 40,000
28,620 20,000
15.0%
19,166 25,118 19,844 13,196 16,150 25,643 26,003 19,073 10.0%
0
H2
H7
応募件数(新規)
H12
H17
採択件数(新規+継続)
H24
H25
採択件数(新規)
H26 (年度)
採択率
※「科学研究費」:特別推進研究、特定領域研究、新学術領域研究、基盤研究、挑戦的萌芽研究、若手研究及び研究活動スタート支援について分類
22
科研費の種目の構成
特別推進研究
国際的に高い評価を得ている研究
3~5年 制限なし (5億円程度)
H26配分額 57億円
新学術領域研究
基盤研究(S)
若手研究 39歳以下
若手研究者の自立支援
2~4年 (A) 500~3,000万円
(B)
~500万円
H26配分額(A) 64億円、 (B)160億円
独創的・先駆的研究の格段の発展
原則5年 5,000万~2億円程度
H26配分額 125億円
〔研究領域提案型〕 5年
異分野連携等による新領域の形成
共同研究等による領域の格段の進展
年間1,000万~3億円程度
H26配分額 249億円
基盤研究(A)
研究者個人の独創的・先駆的研究
研究活動スタート支援
3~5年 2,000~5,000万円
H26配分額 193億円
2年以内 年間150万円以内
H26配分額 18億円
基盤研究(B)
研究者個人の独創的・先駆的研究
3~5年 500~2,000万円
特別研究員奨励費
H26配分額 311億円
3年以内 年間150万円以内
H26配分額 3億円
基盤研究(C)
研究者個人の独創的・先駆的研究
挑戦的萌芽研究
挑戦的で高い目標設定を掲げた芽生え期の研究
1~3年 ~500万円
H26配分額 104億円
3~5年 (C) ~500万円
若手研究者の自立支援
H26配分額 359億円
新領域の形成、挑戦的研究
基盤研究の支援
23
H26年度科研費の配分について
【新規分の状況】
○応募件数: 100,462件(対前年度2,698件増)、配分額:約629億円(対前年度38億円減)
○採択件数: 26,714件(対前年度359件増) 新規採択率 26.6%(対前年度0.4%減)
うち女性研究者の採択件数:4,826件、件数に占める割合:18.1%
若手研究者の採択件数:9,755件、件数に占める割合:37.4%
○採択機関数:国立大学86機関、公立大学79機関、私立大学506機関、その他383機関
(合計:1,054機関)(対前年度32機関増)
【最近5年間の新規分の応募件数、
採択件数の推移】
【採択件数における機関種別の割合】
研究機関別
分野別
注1:研究機関別の応募件数及び採択件数は、奨励研究及び特設分野研究
を除いた件数である。
注2:分野別の採択件数は新規+継続分の採択件数である。
24
平成26年8月 科学技術・学術審議会学術分科会
我が国の学術研究の振興と科研費改革について(中間まとめ) 概要
1.成熟社会における学術研究
○ 世界の先頭を競っている分野の持続的発展、優秀な研究者が学際的・分野融合的領域に取り組む環境の醸成、世界の先頭を
走ることになる分野の苗床となるような学術研究の質の高い多様性の確保、若手研究者の確保・育成のためには、大学政策、学
術政策、科学技術・イノベーション政策が連携しながら、基盤的経費と競争的資金の両面で大学の教育研究を支えるという「デュ
アルサポートシステム」の「再生」を図ることが必要。
○ 競争的環境の中で大学の研究活動を支える研究費として独自の重要な役割を担っている科研費は、成熟社会における学術研
究のあるべき姿(挑戦性、総合性、融合性、国際性)を見据えながらの議論が必要。
2.科研費の展開と「不易たるもの」
○ 大正7年以来の一世紀にわたる科研費の展開を踏まえ、以下の4点について堅持。
① 専門家による審査(ピアレビュー)
② あらゆる学問分野について、大学等の研究者に対して等しく開かれた唯一の競争的資金制度
③ 自らの発想と構想に基づいて継続的に研究を推進させることができる唯一の競争的資金制度
④ 学術研究の特性を踏まえた、基金化や繰越手続きの大幅な簡素化などの不断の改善
3.科研費の「流行」を考察する上で検討すべき要素
(1)研究費をめぐる国際的動向 :学術政策や研究費の審査や配分は、世界各国が共通した課題に直面
(2)科研費の在り方についての関係者からの様々な意見や指摘
○ 科研費を活用する観点に立った意見等
・重複制限により新しい分野への発展的移行困難。
○ 審査の改善に関する指摘
・大規模科研費のグローバル化を踏まえた審査や評価の
・専門分野が異なる審査委員同士が時間をかけて議論する機会の
改善を図る必要。
確保、創造的な研究が評価されるような仕組み。
・研究主体の多様性への留意。
・「審査委員」を育成する場と過程を形成。
・国際共同研究の推進、国際的コミュニティにおける
・審査コメントを通じた審査委員と研究者のコミュニケーション
・プレスクリーニング導入や審査コストの再配分等の工夫。
若手研究者のネットワーク形成等
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4.科研費改革の基本的な方向性~科研費改革に求められるもの~
①科研費の基本的な構造の改革
審査分野、審査方式、審査体制は基本的に全ての種目共通
に設定されており、申請数増加や重複制限による弊害が指
摘。
一定規模以上の種目へのスタディ・セクション方式の導入の検討、審査委員育成・コ
メントフィードバック・プレスクリーニング等の条件整備、大規模科研費の審査や評価
の改善検討。
②自らのアイディアに基づく継続的な学術研究推進の観点からの見直し
過度な集中は避けつつ、優秀な研究者が進展を踏まえなが
ら継続的に研究を進められることが必要。
重複制限の見直し、早期終了・最終年度前年度応募の活用、ライフイベントに配慮し
た支援、帰国前予約採択の検討。
大型設備・高度機器の共用の推進。
③国際ネットワーク形成の観点からの見直しと体制整備
他者との交流・対峙が常に求められる。また、個人の研
究の発展や学際・融合分野の推進に交流とネットワーク
構築が必要。
大規模科研費における国際共同研究のための研究者の海外派遣、海外研究
者の招聘等による国際社会における存在感の維持・向上。個人ベースでの多
様で柔軟な国際ネットワークの形成。
④「学術助成基金」の充実
丁寧な審査の導入や国際共同研究等の推進では、会計年
度の制約が支障になる可能性。
アワードイヤーの導入による丁寧な審査の実現と会計年度が国際共同研究の制約
とならないための、「学術助成基金」の充実による研究費の成果を最大化。
⑤研究成果の一層の可視化と活用
学術研究の成果を応用研究・実用化研究につなぎ、戦略的
な基礎研究を推進
科研費成果等を含むデータベースの構築等。
※ これらを通じ、①分科細目の壁、②国境の壁、③産業界との壁を越えて、質の高い多様な学術研究の活性化と新しい社会的
価値の創出のために「科研費」の投資効果を最大化
5.科研費以外の制度に求められる改革の方向性
大学改革に求められるもの
科研費以外の競争的資金改革に求められるもの
○ 強みに結び付く水準の高い学術研究の多様性の推進
○ 教育・研究の卓越性や全学的なビジョン・戦略に基づく
学内資源配分の最適か
○ 研究現場に与える影響の考慮した制度新設
○ イノベーションシステム全体の強化の観点から、
制度全体を俯瞰し、バランスの取れた制度を設計
※科研費改革の具体的な改革案、工程については、今後、作業部会で更に検討
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平成27年度助成額:231,790百万円(※)
(平成26年度助成額:230,451百万円)
【対前年度:+1,339百万円】
平成27年度予算額:227,289百万円
(平成26年度予算額:227,616百万円)
【平成27年度予算の概要】
科研費はすべての分野にわたり、あらゆる「学術研究」を幅広く支援。特に、質の高い多様な学術研究
を推進するとともに、我が国研究者の国際共同研究の強化など、卓越した知の創出力を強化するため、
科研費の抜本改革に着手。
<我が国の学術研究の課題>
・ 物理学、化学、材料科学、免疫学、生物学、生化学など
我が国が世界の先頭を競っている分野の持続的発展
・ 例えばイギリスやドイツとの比較において存在感が低い
学際的・分野融合的領域の研究推進
・ 国際的に注目を集めている研究領域への参画という観点
から相対的に低い我が国の学術研究の多様性の向上
1)国際社会における我が国の学術研究の存在感を向上させるための国際共同研究等の促進
(基金額109億円、助成額48億円)
①科研費に採択された研究者が一定期間海外の大学や研究機関で行う国際研究を強化
②新学術領域研究に「国際活動支援班」を創設し、我が国が強い研究領域をベースとした国際共同研究の推進や海外ネットワーク
の形成(国際的に評価の高い海外研究者の招聘やポスドクの相互派遣等)を促進
③海外の優秀な日本人研究者の予約採択:海外の日本人研究者の「呼び戻し」
2)細目にこだわらない分野融合的研究を引き出す新しい審査方式の先導的試行(特設分野研究)の充実
(基金額29億円、助成額14億円)
○特設分野研究の特枠化
◎「学術研究助成基金」の交付対象の見直しにより研究費の成果を最大化
・ 拡大・融合する学術研究のフィールドを積極的に押さえ国際的なプレゼンスを確立するため、科研費の質を高める国際共同研究や分野融合
研究について、投資効果を最大化するために基金を活用
・ 研究者の研究時間を確保するとともに、研究費の柔軟性を確保するため、基金・補助金の混合種目(「基盤研究(B)」、「若手研究(A)」)を解
消して補助金を交付することにより、複雑、煩雑な制度を簡素化
【※補足】平成23年度から一部種目について基金化を導入したことにより、予算額(基金分)には、翌年度以降に使用する研究費が含まれるため、予算額と当該年度中に
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研究者に助成される見込の額である助成額を並記。助成額には、前年度以前に造成した基金からの助成分を含む。
国際共同研究加速基金の概要(趣旨・目的)
 現在、我が国は、少子高齢化や人口減少等の課題を抱えつつ、エネルギー問題等のグローバルな課題に
直面。学術研究が、「挑戦性、総合性、融合性、国際性」といった現代的要請に着目しつつ、学術研究の本
来的役割を最大限発揮することが求められている(平成27年1月学術分科会報告)。
 一方、「近年、世界では、国際頭脳循環の活発化などにより国際的な研究ネットワークの構築が進展して
いるが、我が国はそうした大きな流れから取り残されている」との懸念が示され(平成25年8月29日学術
分科会研究費部会)、我が国の研究活動を活性化させるための方策が求められている。
(独)日本学術振興会
科研費「国際共同研究加速基金」
海外特別研究員
科研費
国際共同研究
加速基金
国内研究者
トップ層
約7万人
①「国際共同研究強化」
将来にわたり当該研究分野を
牽引する教授、准教授等を厳
選して国際共同研究を強化
400名
②新学術領域研究
「国際活動支援班」の設置
我が国の強い研究領域に
おける国際共同研究等の加速
40領域
派遣
海外の
第一線の研究者
海外で活躍する
日本人研究者
20名
国際交流事業
交流拠点形成の支援
国際研究集会の支援
優秀な外国人研究者の招聘
帰国支援
③日本人研究者の
「帰国発展研究」
海外の日本人研究者の
「呼び戻し」
約1万人
ネットワークの先駆け
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