行政書士会知多支部研修会 テーマ 行政書士業務と業際問題 日時 場所 平成 27 年 2 月 28 日(土) 14:00 開会 アイプラザ半田 第1章 行政書士の業務 Ⅰ 独占業務 1. 独占業務(第 1 条の 2) ① 官公署に提出する書類を作成すること ② 権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること ③ 前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律において制 限されているものについては、業務を行うことができない。 2. 官公署に提出する書類を作成する業務 ① 官公署に提出する書類とは、 a. 官公署に提出する申請書 b. 官公署に提出する各種届出書、報告書、同意書 c. 上記申請、届出、同意の添付書類(事実証明に関する書類) 3. 官公署に提出する書類作成に関する代表的な業務 ① 車両関係業務 a. 一般(特定)貨物自動車運送事業許可申請 b. 自動車保管場所証明申請 c. 自動車登録申請 d. 倉庫業関係 ② 農地関係業務 a. 農地法第 3 条許可申請 b. 農地法第 4 条第 5 条許可申請 c. 農地法第 4 条第 5 条届出 d. 農振地域地区除外申請 e. 現況証明願 ③ 開発行為許可関係業務 a. 開発行為許可申請 b. 建築制限解除許可申請 c. 建築行為等許可申請 d. 生産緑地解除申請 ④ 森林関係業務 a. 林地開発行為許可 b. 保安林の解除申請 c. 保安林の立木伐採許可申請 d. 伐採の届出 ⑤ 道路・河川・水路関係業務 a. 境界確認申請 b. 道路法第 24 条施工承認申請 c. 道路使用許可申請 d. 用途廃止申請 e. 国有財産売払申請 ⑥ 砂防・地すべり・その他災害防止関係業務 a. 砂防法指定地内行為許可申請 b. 地すべり防止区域内行為許可申請 c. 宅地造成規制法許可申請 ⑦ 会社・法人関係業務 a. 株式会社設立 b. NPO 法人設立 c. 宗教法人設立 ⑧ 環境衛生関係業務 a. 飲食店業営業許可申請 b. 旅館営業許可申請 c. 理容美容許可申請 d. 食品製造業許可申請 ⑨ 風俗関係業務 a. 風俗営業許可申請 b. 深夜酒類提供飲食店申請 ⑩ 各種営業許認可手続業務 a. 古物商許可申請 b. 貸金業登録申請 c. 宅地建物取引業免許申請 ⑪ 建設業関係業務 a. 建設業許可申請 b. 経営事項審査申請 c. 入札参加資格申請 ⑫ 産業廃棄物関係業務 a. 産業廃棄物処理業許可申請 b. 一般廃棄物処理業許可申請 ⑬ 国際関係業務 a. 帰化申請 b. 在留資格認定証明書交付申請 c. ビザ取得申請 d. パスポート取得申請 ⑭ その他の許認可業務 a. 酒類小売業免許申請 b. 墓地経営許可申請 4. 他法令で制限されている主要な官公署提出業務 ① 弁護士法 ・・・ 検察庁・裁判所 ② 司法書士法 ・・・ 裁判所・法務局 ③ 土地家屋調査士法 ④ 税理士法 ・・・ 税務署 ⑤ 社労士法 ・・・ 労働基準監督署・公共職業安定所・年金事務所 ⑥ 海事代理士法 ⑦ 弁理士法 ・・・ 特許庁・経済産業省 ⑧ 建築士法 ・・・ 県建築指導課 ・・・ 法務局 等 ・・・ 国土交通省の機関、法務局 等 等 等 5. 権利義務又は事実証明に関する書類 ① 権利義務に関する書類とは、 権利の発生、存続、変更、消滅の効果を生じさせることを目的とする意 思表示を内容とする書類 ② 事実証明に関する書類とは、 社会的に証明を要する事項について自己を含む適任者が自ら証明する ために作成する文書(証明書の類)をいう。 我々の実生活に交渉を有する事項を証明するに足りる文書 6. 代表的な権利義務・事実証明に関する書類の作成業務 ① 官公署提出添付書類作成業務 a. 位置図、計画図等各種図面類 ② 遺言相続業務 a. 遺産分割協議書作成 b. 相続関係図作成 c. 遺言書原案作成 ③ 契約書等作成業務 a. 賃貸契約書作成 b. 売買契約書作成 c. 贈与契約書作成 d. 金銭消費貸借契約書作成 e. 請負契約書作成 f. 離婚財産分与契約書作成 ④ 内容証明郵便作成業務 a. 内容証明書作成 ⑤ 成年後見関係業務 a. 親族関係図作成 b. 任意後見契約書作成 ⑥ 定款・議事録等作成業務 a. 定款作成 b. 議事録作成 c. 払込証明書 d. 就任承諾書 ⑦ 交通事故関係業務 a. 事故状況報告書 b. 後遺症認定書 Ⅱ 非独占業務 1. 非独占業務(第 1 条の 3) ① 官公署に提出する書類の提出手続についての代理すること(第 1 項) ② 契約その他に関する書類を代理人として作成すること(第 3 項) ③ 行政書士が作成することができる書類の作成について相談に応ずること (第 4 項) 2. 税理士との共管業務 ① ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、事業所税その他法令で定める租 税に関し税務書類の作成を業として行うことができる。 (税理士法第 51 条 の 2) ② 石油ガス税、不動産取得税、都道府県たばこ税、市町村たばこ税、特別土 地保有税及び入湯税(税理士法施行令第 14 条の 2) 3. 社会保険労務士との共管業務 ① 昭和 55 年 9 月 1 日以前に行政書士会に入会している行政書士は、社労士 法第 2 条第 1 項第 1 号及び 2 号に掲げる事務を行うことができる。 ② 常時雇用している従業員が 10 人以上を雇用する会社でない就業規則の作 成 4. 出入国管理法に規定される行政書士業務(申請取次業務) 弁護士又は行政書士が、外国人に代わって入局管理局の手続をするときは、 一定の手続について、依頼した外国人の出頭を要しない。 Ⅲ 行政書士業務の付随業務 1. 誰でもできる業務 ① 記帳業務 ② 調査業務 a. 探偵業務 ③ ・・・支援業務 a. 遺言作成支援業務 b. 国際結婚支援業務 c. 成年後見支援業務 ④ 財産管理業務 法律で認められているのは、弁護士、司法書士 (参考) 行政書士法 (業務) 第 1 条の 2 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署提出する書類(その作成に 代えて電磁的記録(電子的方式電磁的方式その他他人の知覚によっては認識する ことができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に 供されるものをいう。以下同じ。 )を作成する場合における当該電磁的記録を含 む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する 書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。 2 行政書士は、前項の書類の作成であっても、その業務を行うことが他の法律 において制限されているものについては、業務を行うことができない。 第 1 条の 3 行政書士は、前条に規定する業務のほか、他人の依頼を受け報酬を得て、次に 掲げる事務を業とすることができる。ただし、他の法律において業務を行うこと が制限されている事項については、この限りではない。 一 前条の規定により行政書士が作成することができる官公署に提出する書類 を官公署提出する手続き及び当該官公署提出する書類に係る許認可等(行政手 続法(平成 5 年法律第 88 号)第 2 条第 3 号に規定する許認可等及び当該書類 の受理をいう。次号において同じ。 )に関して行われる聴聞又は弁明の機会の 付与の手続その他の意見陳述のための手続において当該官公署に対してする 行為(弁護士法(昭和 24 年法律第 205 号)第 72 条に規定する法律事件に関 する法律事務に該当するものを除く。 )について代理すること。 二 前条の規定により行政書士が作成した官公署に提出する書類に係る許認可 等に関する審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁に対する不服申立ての 手続きについて代理し、及びその手続について官公署に提出する書類を作成す ること。 三 前条の規定により行政書士が作成することできる契約その他に関する書類 を代理人として作成すること。 四 前条の規定により行政書士が作成することできる書類の作成について相談 に応ずること。 2 前項第 2 号に掲げる業務は、当該業務について日本行政書士連合会がその会則 で定めるところにより実施する研修の課程を修了した行政書士(以下、 「特定行政 書士」という。 )に限り、行うことができる。 第2章 Ⅰ 他士業の業務 弁護士 1. 弁護士の業務 ① 依頼を受けて法律事務を処理することを職務とする。 2. 法律事務とは、 ① 民事事件について、法律相談、和解・示談交渉、訴訟活動や行政庁に対する 不服申立などの法律事務 ② 刑事事件において、弁護人として被害者や被告人の弁護活動 3. 非弁行為について 「法律で許されている場合を除いて、弁護士法に基づいて弁護士の資格を持た ずに報酬を得る目的で、弁護士法第 72 条の行為を反復継続の意思をもって行 うこと」 (弁護士法 72 条) 「弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的 で訴訟事件、非訴訟事件及び審査請求、異議申立て、再審査請求等行政庁 に対する不服申立事件に関する行為その他一般の法律事務に関して鑑定、 代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋 をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に 別段の定めがある場合は、この限りではない。 ① 要件について a. 報酬について 「金銭に限らず、物でもサービスでも充たる。現実に報酬を得たことは 成立要件ではない。 」 b. 対価性について 「依頼人からに限定されず、第三者からの受領も含まれる」 「入会金や 会費も報酬に当たる。 」 c. 訴訟事件、非訴訟事件、行政庁に対する不服申立、その他一般の法律事件 について 「訴訟事件」… 訴訟として裁判所に係属する民事、刑事及び行政の各 事件 「非訴訟事件」… 裁判所の裁量によって一定の法律関係を形成する裁 判をする本質を持つ事件 「行政庁に対する不服申立事件」… 行政不服審査法上の審査請求、異 議申立、再審査請求、その他の行政庁に対する不服申立全般 「一般の法律事件」… 法律上の権利義務に関し、争いがあり若しくは 権利義務に疑義があり、又は新たな権利義務関係を発生する 案件 弁護士法 72 条に例示する訴訟事件、非訴訟事件、異議申立、 再審査請求、その他の行政庁に対する不服申立事件に類似し、 又はこれと同等の性質価値を持つ法律事件 「一般の法律事件に該当するもの」 ・自賠責保険金の請求・受領 ・債権者の委任に基づく請求・弁済受領・債務免除 ・自由刑の執行延期申請 ・賃貸借契約を解除し、建物からの退去・明渡の事務を行うこと ・登記・登録の申請、許等の申請、裁判外紛争解決機関に対する 各種申立 d. 業について 「反復継続の意思があれば 1 回でも」 e. 非弁行為にかかる事件性について ・事件性不要説 ・・・ 日弁連 紛争性の有無にかかわらず全ての法律行為 ・事件性必要説(広義説) 弁護士法 72 条に列挙された訴訟事件その他の具体的例示に準ずる 程度に法律上の権利義務に関して争いや疑義を有するもの ・事件性必要説(狭義) ・・・ 日司連 日行連 紛争性は、裁判になっているか否かで判断されるとするもの ② 弁護士違反とされた裁判例 a. 単なる債権取り立て行為 b. 自動車交通事故自賠法に基づく保険金支払い請求、任意保険契約に基づく 保険会社との損害賠償金の示談交渉、その取りまとめ行為 c. 不動産の占有者との明け渡し交渉 d. 相続人に代わって、相続人間の紛議の解決、土地占有者との明渡し交渉、 不動産の処分、相続税その他の税の納税に関する事務等 ③ 事例 a. 「交通事故事例」 過失割合の認定や賠償額の認定 ・・・ 為(不要説) 専門的判断が必要 ⇒ 非弁行 過失割合の認定・・・事実認定、賠償額の交渉 ⇒ ・・・ 単なる金銭交渉 非弁行為にならない(必要説) 加害者が、事故責任を否認している場合や賠償交渉において、相手 方が交渉提案の内容を否認している場合 ⇒ 事件性あり 非弁行為 になる。 b. 「交渉事務」 内容証明郵便作成 ・・・ 原則、非弁行為の対象となる。 当然(不用説) 通常、支払遅延等の紛争がある。 (必要説) 内容証明の発送 ・・・ 代理人の氏名で発送した場合非弁行為になる という見解がある。 和解案の交渉 ・・・ 損害賠償の意思を相手方が表明していても、損 害賠償額についての対立がある場合には、和解内容についての示 談交渉は非弁行為になる。 (必要説) 当事者本人が示談交渉をする際に依頼者の主張を法的に整理 する限りで代理作成する行為は、非弁行為に当たらないとす る見解あり。 遺産分割協議 ・・・ 特定の相続人の提案が関係相続人全員に直ちに 受けいられる場合を除き紛争性が認められる。判例 他の相続人に分割方法や法令や裁判例の説明をする場合であ っても、法律相談として非弁行為になる余地がある。 Ⅱ 司法書士 1. 司法書士の業務 ① 独占業務(本来業務) 法第3条第1項第1号~5号 a. 登記・供託に関する手続についての代理 b. 法務局又は地方法務局に提出し、又は提供する書類の作成 c. 法務局又は地方法務局の長に対する登記又は供託に関する審査請求の手 続の代理 d. 裁判所・検察庁に提出する書類又は筆界特定の手続において法務局若し くは地方法務局に提出し若しくは提出する書類の作成 e. 上記に関する事務に関しての相談 ② 付帯業務 法第29条第 1 項、施行規則第 31 条 a. 当事者及び関係人の依頼又は官公署の委嘱を受けて、管財人、管理人そ の他これに類する地位に就き、他人の事業の経営、他人の財産の管理若 しくは処分を行う業務又はこれを代理し、若しくは補助する業務 b. 当事者及び関係人の依頼又は官公署の委嘱を受けて、後見人、保佐人、 補助人、監督委員その他これに類する地位に就き、代理、同意若しくは 取り消しを行う業務又はこれらの業務を行う者を監督する業務 2. 非司法書士業務 ① 他人の依頼を受けて、登記手続についての代理したり、登記所に提出する書 類等を作成したりする事務 ② 登記所に提出する書類には、登記申請書やその添付書類も含まれる。 3. 行政書士業務と類似業務 ① 登記申請に添付する書類(登記情報)の作成 = 権利義務又は事実証明に 関する書類の作成 a. 商業登記に係る定款、株主総会議事録、取締役会議事録など b. 不動産登記に係る売渡証書、贈与証書、遺産分割協議書など 4. 業際問題 ① 相続関連業務 a. 遺言書作成補助 … b. 相続人調査・確定 行政書士・司法書士 … c. 遺産分割協議書作成 … d. 特別代理人選任手続き e. 相続登記手続き f. 行政書士・司法書士 … 行政書士・司法書士 … 司法書士・弁護士 司法書士・弁護士 相続放棄(限定承認)手続 g. 調停・審判手続き … … 司法書士・弁護士 司法書士・弁護士 ② 会社設立 a. 定款の作成・認証手続き b. 設立登記添付書類作成 … … c. 法務局での設立登記手続き Ⅲ 行政書士・司法書士 行政書士・司法書士 … 司法書士 土地家屋調査士 1. 土地家屋調査士の業務 ① 不動産の表示に関する登記について必要な土地又は家屋に関する調査又は 測量 ② 不動産の表示に関する登記の申請手続についての代理 ③ 不動産の表示に関する登記に関する審査請求の手続についての代理 ④ 筆界特定の手続についての代理 ⑤ 土地の筆界が明らかでないことを原因とする民事に関する紛争に係る民間 紛争解決手続についての代理 ⑥ 上記各号に掲げる事務についての相談 2. 測量業務と業際問題 ① 登記に関係する測量 ・・・ 土地家屋調査士 ② 基本測量・公共測量 ・・・ 測量士 ③ その他の測量 ・・・ 行政書士 登記に関頸の無い土地、家屋に関する調査・測量 測量図作成のための測量 Ⅳ 測量士 1. 測量士の業務 ① 基本測量、公共測量に関する測量 ② その他の測量全般 2. 測量と共管業務 ① 基本測量、公共測量 ・・・ ② 登記申請に関わる測量 ③ その他の測量 Ⅳ ・・・ 1. 建築士の業務 ① 建築物の設計及び管理 ・意匠設計 ・構造設計 ・設備設計 等 b. 工事監理業務 ・・・ 土地家屋調査士と共管業務 行政書士と共管業務 建築士 a. 設計業務 測量士の専業 ・手続等業務 ・設計前の調査・企画 ・建築工事契約に関する事務 c. 鑑定業務 d. 開発許可等の手続業務 e. 各種コンサルティング業務 等 ② 定義 建築士の名称を用いて、建築物に関し、設計工事監理その他の業務を行う ものをいう。 ③ 行政書士のできる業務 a. 確認申請 ・建築士が設計するもの以外の小規模な建物 ・木造 100 ㎡以下かつ 2 階以下の木造建物 ・述べ面積が 30 ㎡以下、2 階以下で高さ 13m又は軒高 9m以下の 建物 b. 工作物の確認申請 ・行政書士、一級建築士、2 級建築士 c. 開発許可申請 ・1 ヘクタール以上の開発行為は、一級建築士等の専管業務であ るが、1 ヘクタール未満の開発行為に係る許可申請は、行政書 士、一級建築士、2 級建築士等ができる。 Ⅲ 弁理士 1. 独占業務 特許、実用新案、意匠、商標等に関する手続、異議申立、裁定に関する手続 の代理、鑑定その他の事務を行うこと ① 出願代理業務、鑑定業務(弁理士法第 4 条第 1 項) ② 紛争処理業務(弁理士法第 4 条第 2 項) ③ 取引関連業務(弁理士法 4 条第 3 項) ④ 補佐人業務(弁理士法第 5 条) ⑤ 訴訟代理業務(弁理士法第 6 条) 2. 弁理士の仕事 ① 特許・意匠・商標などの出願に関する特許庁への手続に関する代理 ② 知的財産に関する仲裁事件の手続きについての代理 ③ 特許や著作物に関する権利、技術上の秘密の売買契約、ライセンスなどの契 約交渉や契約締結の代理 ④ 特許法に規定する訴訟に関する訴訟代理 3. 行政書士のできる業務 ④ 著作権登録や品種登録 ⑤ 権利化後の産業財産権の譲渡契約書作成や特許庁への移転登録申請手続き ⑥ 特許庁に対する特許に関する証明の請求 ⑦ 権利化後の知的財産権の実施・使用の許諾を受けた人の権利保護のための 「専用実施権」 「通常実施権」「専用使用権」 「通常使用権」の登録申請を特 許庁への代理手続 ⑧ 特許調査 Ⅲ 税理士 1. 税理士の業務 ① 税務代理 ② 税務書類の作成 ③ 税務相談 ④ 上記、他の法律において制限されていない税理士業務に付随した業務 2. 納税等に係る税務代理について ① 法第 2 条第 1 項第 1 号に規定する「税務代理」には、分納、納税の猶予等に 関し税務官公署に対してする陳述につき代理することを含むものとする。 ② 代理代行とは、 法第 2 条第 1 項第 1 号に規定する「代理」とは、代理人の権限内にお いて依頼人のためにすることを示して同号に規定する事項を行うことを いい、「代行」には、事実の解明、陳述等の事実行為を含むものとする。 3. 税務書類の作成について 法第 2 条第 1 項第 2 号に規定する「作成する」とは、同号に規定する書類 を自己の判断に基づいて作成することをいい、単なる代書は含まれないものと する。 4. 政務相談について 税務相談法第 2 条第 1 項第 3 号に規定する「相談に応ずる」とは、同項に 規定する事項について、具体的な質問に対し答弁し、支持し又は意見を表明 することをいうものとする。 5. 相続税業務と業際問題 ① 相続財産の調査 ・・・ 行政書士、税理士 ② 相続財産の評価 ・・・ 行政書士、税理士 ③ 相続の相談 ・・・ 行政書士、税理士、その他 ④ 相続税の相談 ・・・ 税理士 ⑤ 相続税の計算 ・・・ 税理士 ⑥ 相続税の申告書作成・申告 ・・・ 税理士 6. 行政書士のできる税理士業務 ① 行政書士が行う税務書類の作成 行政書士又は行政書士法人は、それぞれ行政書士又は行政書士法人の名 称を用いて、他人の求めに応じて、ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車 税、事業所税その他法令で定める租税に関し税務書類の作成を業として行 うことができる。 (税理士法第 52 条) (行政書士が行う税務書類の作成) 行政書士又は行政書士法人は、 それぞれ行政書士又は行政書士法人の名称を用いて、他人の求めに応 じて、ゴルフ場利用税、自動車税、軽自動車税、事業所税その他法令 で定める租税に関し税務書類の作成を業として行うことができる。 ② 税理士業務の対象としない租税に関する業務 法第 2 条第 1 項本文かっこ書及び税理士施行令第 1 条の規定により税理 士業務の対象としない租税に関する事務は、法第 2 条 2 項及び税理士法施 行規則第 21 条に規定する事務に含まれることに留意する。 (税理士法施行令 第 1 条) (税理士業務の対象としない租税) 税理士法第 2 条第 1 項に規定 する政令で定める租税は、印紙税、登録免許税、自動車重量税、電 源開発促進税、関税、当別とん税及び狩猟税並びに法定普通税 ( )及び法定外目的税( )とする。 ③ 特別な判断を要しない機械的事務 令第 1 条の 3 に規定する「特別な判断を要しない機械的事務」とは、簿 記会計に関する知識が無くてもできる単純な事務をいい、電子計算機を使 用して行う単純な入出力業務もこれに含まれるものとする。 次の各号に掲げるような事務は、簿記の原則に従って会計記帳を記録し、 その会計記録に基づいて決算を行い、財務諸表等を作成する過程において、 簿記会計に関する知識を必要とするものであり、令第 1 条の 3 に規定する 「特別な判断を要しない機械的事務」には、含まれないことに留意する。 a. 簿記上の取引について、簿記の原則に従い取引仕訳を行う行為 b. 仕訳帳から各勘定への転記事務 c. 元帳を整理し、日計表又は月計表を作成して、その記録の正否を判 断する事務 d. 決算手続に関する事務 e. 財務諸表の作成に関する事務 f. 帳簿組織を立案し、又は原始記録と帳簿記入の事項とを照合点検す る事務 Ⅵ 社会保険労務士 1. 社会保険労務士の業務 労働関連法や社会保障法令に基づく書類等の作成代行等を行い、企業を経営 していく上での労務管理や社会保険に関する相談・指導を行う。 ① 人事労務管理のコンサルティング a. 以下のコンサルティング ・就業規則の作成変更 ・労働時間休日等の労働条件 ・賃金制度の設計 ・人事関係 ・安全衛生管理・福利厚生 ② 年金相談 a. 年金の加入期間、受給資格等の説明 b. 年金の請求書の代理作成 c. 行政機関への請求書提出 ③ 労働社会保険手続きの代行 a. 労働社会保険の手続き b. 労働保険の年度更新 c. 社会保険の算定基礎届出 d. 各種助成金の申請 e. 給与計算、労働者名簿、賃金台帳の調整 2. 行政書士との共管業務 ① 経過措置会員 昭和 55 年 9 月 1 日以前に行政書士会に入会している行政書士は、社労 士法第 2 条第 1 項第 1 号及び 2 号に掲げる事務を行うことができる。 ② 就業規則作成 常時雇用する従業員の数が 10 人以下の会社の従業規則の作成は、行政 書士と社会保険労務士の共管業務となる。 Ⅶ 海事代理士 1. 海事代理士の業務 海事代理士は、海事代理士法に基づき他人の依頼によって、船舶登記や船舶 登録、検査申請、船員に関する労務、その他海事許認可など、海事に関する行 政機関への申請、届出その他の手続及びこれらの手続に関し書類の作成を代 理・代行することを業とする。 2. 行政書士ができる業務 総トン数 20 トン未満の小型船舶に関する諸手続き書類の作成 船舶のトン数の速度に関する申請書の作成 内航海運業法、船舶職業安定法に基づく諸手続 (共管業務) 第3章 Ⅰ 業際問題 相続に関する業務 1. 相続手続き関係 ① 死亡届 ② 火葬(埋葬)許可 ③ 葬祭費請求 ④ 未給付年金・遺族年金・死亡一時金の請求 ⑤ 生命保険金の請求 2. 遺産分割協議関係 ① 相続人調査 ② 相続財産調査 ③ 相続関係図作成 ④ 特別代理人選任申立て ⑤ 遺産分割協議 ⑥ 遺産分割協議書作成 3. 遺言書関係 ① 遺言書の検認手続 ② 遺言執行手続 4. 相続税関係 ① 相続財産評価 ② 相続税の申告書の作成 ③ 相続税の申告 5. 相続登記関係 ① 申請書・付属書類作成 ② 登記申請 6. 財産確定関係 ① 未登記建物名義変更手続 ② 金融機関等名義変更手続 Ⅱ 交通事故に関係する業務 ① 自賠責保険請求 ② 任意保険請求 ③ 現場調書作成 ④ 交通事故原因調査 ⑤ 過失割合調査 ⑥ 損害額の算定・請求書の作成 ⑦ 後遺障害等級認定請求手続き及び異議申立書作成 ⑧ 第三者行為届・健康保険等の切り替え手続き ⑨ 政府補償制度への請求手続き ⑩ 内容証明書の作成・送付 ⑪ 調停・交通事故紛争処理センターの和解のサポート ⑫ 相続手続き ⑬ 上記各号の相談業務 Ⅲ 内容証明関係 1. 内容証明(郵便)作成 ① 内容証明(郵便)作成は、行政書士業務である。 a. 権利義務又は事実証明に関する書類を作成すること(行政書士法第 1 条 の 2) b. 内容証明(郵便)の代書・発送はできるが、代理人となって相手方との 交渉は、できない。 c. 行政書士が作成することできる書類の作成について相談に応ずること (行政書士法第 1 条の 3 第 4 項) 2. 内容証明(郵便)の業務と業際問題 ① 弁護士法に抵触する場合 a. 「法律上の権利義務に関し争い若しくは疑義があり、又は新たな権利義 務関係を発生する案件」であるとき ・すでに当事者間で数度の交渉があり、紛争性が高い場合 ・内容証明(郵便)だけでは解決することが難しいと思われる場合 ・新たな権利に関する請求をする場合 b. 「一般の法律事務に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律 事務を取り扱う場合」であるとき ・依頼人を代理し、内容証明(郵便)の回答後も相手方との交渉を行う ことを依頼された場合 ・事件の解決まで一括しての依頼を受けた場合 ・裁判手続きを前提としている場合 ・内容証明(郵便)を代書ではなく代理して作成する場合 ② 法に違反する場合 a. 内容証明(郵便)と職務上請求書を使用しての調査 ・内容証明(郵便)の相手方本人が不明な場合に世帯主などから相手を 特定するために職務上請求書を使用しての調査することはできない。
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