CD 合唱曲集 「コールジュン15周年 記念コンサート」

CD 合唱曲集 「コールジュン15周年 記念コンサート」
ライブ盤
(こーるじゅん 15しゅう ねん きねん コンサート)
澄んでいて伸びやかな、そして時に力強い <Chor Jun>の歌声!
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女声合唱
指揮
CD番号
定価
発売元
販売元
演奏時間
: Chor June
: 甲田 潤
: NOOI-5007 <STREO>
: ¥2,500-(税込み)
: (有)風樂
:(株)キングインターナショナル
: 79分01秒(演奏 29曲)
曲目一覧
■六つの子供の歌
作曲:中田 喜直
1. うばぐるま
作詞:西條八十
演奏時間:2'06"
2. 烏
作詞:小川未明
演奏時間:1'14"
3. 風の子供
作詞:竹久夢二
演奏時間:2'22"
4. たあんき ぽーんき 作詞:山村暮鳥
演奏時間:1'51"
5. ねむの木
作詞:野口雨情
演奏時間:2'19"
6. おやすみ
作詞:三木露風
演奏時間:2'15"
■木とともに 人とともに
作曲:三善晃 / 作詞:谷川俊太郎
1. 木とともに 人とともに
演奏時間:3'17"
2. 空
演奏時間:4'29"
3. 生きる
演奏時間:6'22"
4. 悲しみは
演奏時間:2'25"
■キャロルの祭典
A Ceremony of Carols Op.28
作曲:Benjamin Britten
1. Procession
演奏時間:1'38"
2. Wolcum Yole!
演奏時間:1'25"
3. There is no Rose
演奏時間:2'32"
4a. That yongё child
演奏時間:1'33"
4b. Balulalow
演奏時間:1'18"
5. As dew in Aprille
演奏時間:1'01"
6. This little Babe
演奏時間:1'32"
7. Interlude
演奏時間:3'34"
8. In Freezing Winter Night
演奏時間:3'40"
9. Spring Carol
演奏時間:1'05"
10. Deo Gracias
演奏時間:1'13"
11. Recession
演奏時間:1'36"
■カムイの森で
作曲:廣瀬 量平 / 作詞:萩原 貢 /編曲:甲田 潤
1. ヒグマのうた(キムンカムイ)
演奏時間:5' 47"
2. シマリスのうた(カスエクルクル)
演奏時間:3' 25"
3. コノハズクのうた(トキットカムイ)
演奏時間:3' 39"
4. クマゲラのうた(チプタチカップカムイ)
演奏時間:2' 26"
5. シマフクロウのうた(コタンクルカムイ)
演奏時間:5' 43"
<Encore>
■見上げてごらん夜の星を
作曲:いずみたく /作詞:永 六輔 / 編曲:甲田 潤
演奏時間:3'12"
■夢
作曲:甲田潤 / 作詞:甲田潤
演奏時間:3'11"27
CD・Chor Jun 15周年記念盤
CD解説
このCDは、指揮者、作曲家である甲田潤のもとに結成された女声合唱団Chor Junの十
五周年の演奏会をライブ録音したものである。最初に子供をうたった大人の歌曲、次に女の愛
と命と生活をうたった作品、三曲目はキリストの降誕を祝いながら平和への願いを込めた作品、
四曲目は北の自然と大地を讃える作品、そして希望と夢をうたった最後の2曲をならべていて、
長年にわたる女声合唱団の成果と志を示すに足る選曲である。さらに、澄んでいて伸びやかな、
そして時に力強いChor Junの歌声がそれぞれの作品に寄りそっていて、心を打つ。
甲田 潤 PROFILE
東京音楽大学作曲科卒業。同大学研究科修了。作曲を伊福部昭、松村禎三の諸氏に、指揮法
を三石精一氏に師事。主な作品に「管弦楽のための抒情断章」「ピアノと弦楽四重奏のための三章」
「『紫苑』-尺八と琵琶のために-」「シタール、タブラ、タンプーラ、打楽器、箏と十七弦のための
SAMAAE<時>
「芝・増上寺、縁山流声明と絃楽のための『四智讃』『錫杖』」「真言声明と箏・十七絃による『対
揚』」、また出版された楽譜には「ピアノのための『変容』」「フル-ト・25絃箏とマリンバためのラプソデ
ィ-」(日本作曲家協議会)、編曲として女声合唱組曲「展覧会の絵」(ムソルグスキー作曲、全音楽
譜出版社)等がある。他に「熱中時代スペシャル」「火曜サスペンス」等のTV音楽、劇団「東俳」「ス
テージ・ドア」”ONTHE ROCKS”等の芝居の音楽も担当した。
合唱指揮者としては特に2004年5月、サントリー・ホールで行われた「伊福部昭卒寿記念コンサ
ート」で、師の大曲「交響頌偈『釈迦』」の演奏に参加し、高評を博した。
日本現代音楽協会、日本作曲家協議会各会員。東京音楽大学民族音楽研究所専任研究員。
曲目解説
六つの子供の歌
中田喜直(1923~2000)は、「早春賦」の作曲家中田章を父として、「夏の思い出」(1949)、
「めだかの学校」「かわいいかくれんぼ」(各 1951)、「雪の降る街を」(1952)などをはじめとする
童謡や大衆的な歌で広く親しまれている作曲家である。中田は、数多くの優れた声楽作品を作
曲していて、芸術的な代表的作品のいくつかは海外の声楽家たちによってたびたび演奏をされ
ている。
「六つの子供の歌」の歌詞は菊池寛が刊行した小学生全集全 88 巻(興文社 1927)のうち西
條八十編日本童謡集の中から慎重に選択されていて、楽曲は緩急をみたびくりかえす構成を
とる。歌の旋律は、日本語の特性、民謡の伝統などを踏まえて様々な新しい試みが仕組まれて
いる。ピアノ伴奏部分はピアニストをめざした作曲家の面目躍如たるものがあり、歌詞の背景を
支えるピアニスティックな技巧が作品の表現世界を豊かなものにしている。なお女性合唱版へ
の編曲は、作曲者によってなされている。
木とともに 人とともに
三善晃(1933~)は、数多くの合唱曲を作曲していて全国の合唱愛好家からの敬愛を一身に
うけている。歌詞に沿った美しい旋律と和声、これとは対照的に躍動的なパラルランド
(parlando:語るように)でかたちづくる世界、どのような歌詞にも寄りそう自在な変拍子と思いも
かけない響きなど、これまでの作曲家では味わえなかった自在で豊かな音楽が三善の声楽作
品にはある。
三善は音響の質感に敏感だ。管弦楽やオペラの作品では、一貫して、戦争の犠牲者への鎮
魂や反戦、理不尽な権力への抵抗の思いを込めて、激しい“音響”を伴った難解且つ身体に直
接的に訴えかけるかのような音楽を作曲して、自身の合唱作品とは隔絶した世界を構築する。
作曲者は、この女声合唱曲をこう語っている。「≪木とともに 人とともに≫はピアノとともに音
節の浮上感が増し、≪空≫は詩の一人称の切実感が深まり、≪生きる≫は女性らしいひたむき
な祈りが・・・、例えば灯篭流しの情景のように聴こえてくる。こういう転換は、楽器ではできない。
人と言葉だからこそ、変容が新たな生命を生む。中略・・・≪悲しみは≫・・・これこそは、女声の
音触が織り紡ぐ心象のタブローだと思う。」
谷川俊太郎の詩は、空と緑と地獄と光と風と、時には見えるものと聴こえるものと人のぬくもり
などを歌うことで、ひとりの女の日々の暮らしの中の愛と命を綴っていて、その中のゆれうごく悲
しみと喜びと希望が錯綜する情景に深い感銘を受ける。
キャロルの祭典 A Ceremony of Carols
ブリテン(1913-1976)は、20 世紀を代表するイギリスの作曲家である。この作品は、第二次
世界大戦中の 1942 年ウェストミンスター大聖堂少年合唱団のために作曲された。
作品は 11 曲から構成されていている。最初と最後の曲には「今日、キリストは生れた」とグレ
ゴリオ聖歌が引用されていて合唱の入場を促す。挟まれるその他の曲にはキリストの誕生を謳う
中世の英国の詩が作曲者の手によって選ばれている。なお、第7曲はハープ独奏による間奏曲
である。
ブリテンは三善晃と同じように終生、反戦の意をこめた作品を作曲した。この作品も、キリスト
の誕生をキャロル(賛頌歌)として歌いながら、同時に戦争への抵抗を暗に表明している。
1.入堂
グレゴリオ聖歌“今日、キリストは生まれた”が歌われて、典礼が開催される。
2.うれしい主の降誕よ!
喜びに満ちた降誕祭を迎える。
3.そのようなバラはない
聖母マリアを最高のバラとたとえて、称える。
4a.あのおさなごが
4b. こもり歌
みどりごを抱き、美しい子守歌を歌う聖母。
神を讃えるこもり歌。
5. 四月の朝露のように
聖なる静かでうつくしい夜を歌う。
6. このみどりごは わたしたちのみどりご、キリストとともに平和を乱す者たちと戦おう、
と歌う。
7. 間奏曲
第1曲のグレゴリオ聖歌が引用される。
8. 凍てつく冬の夜に
動物たちとキリストが寒さに震えて眠る貧しい馬屋は宮殿であり、
わたしたちは重要な役目を果たす音楽隊。たからかにキリストを誉め讃えよう。
9. 春のキャロル
10. 神に感謝
11. 退堂
春に例えて、キリストの誕生の喜びを歌う。
キリストによって救罪されたことを讃え、喜びを歌う。
第1曲、入堂と同じグレゴリオ聖歌が歌われて、祭典が終わる。
カムイの森で
廣瀬量平(1930~2008)は、北海道函館に生れた。北海道大学教育学部を卒業後に東京藝
術大学作曲科で池内友次郎、矢代秋雄らに学んだ。作風をふたりの師とは大きく異にしていて、
日本にある音楽としての音の根源に遡ろうとする作風にくわえて伝統とは異なる邦楽器の可能
性を探求したり、東アジア的あるいはインド的な音楽世界を深めていった。また、合唱作品の数
は決して多くないが、室内楽や管弦楽作品とはまったく別な世界を築き上げている。
この作品は、1972 年にNHKの委嘱によって作曲されている。青年期までを過ごした北海道
のアイヌと共にある動物たちを歌った萩原の詩に触発されて、素朴で優しく同時に荒々しく力強
い北の自然や音楽がひとの声に託されて歌われている。
廣瀬量平から認められた、この作品の女声合唱版は甲田潤によって編曲されている。
見上げてごらん夜の星を
1960 年に大阪労音によって制作された同名のミュージカルの劇中主題歌として作曲された。
伊藤素道によって歌われたが、1963 年、坂本九の歌唱によって広く知られる様になったが、東
日本大震災からの復興の希望を託す歌としても歌われている。
夢
Chor Junの指揮者甲田潤によって作詞作曲された作品である。
曲は、夢をもった人と人との出会いと別れ、そして再び出会う希望を歌っていて、さまざまな
人びとが集まって聴く一夜の演奏会の最後を飾るにふさわしい。