) 月 日 図書教材新報 第3種郵便物認可 教研式新学年別知能検査 ―サポート・学習支援システム―の紹介 を処理する機能のことをいいます。つまり、「学力」 が こ れ ま で に「 学 ん だ 力 」 だ と す れ ば、「 知 能 」 は 度を、全国での標準化実験から得られたデータに照 らしてみることが可能になっています。また、個人 内の知的機能の特徴をみることができ、学習素材へ の適性・作業のペースや正確さなどと合わせて一人 ひとりの学習スタイル診断を行うことが可能になっ ています。 2.サポートの知能観 この検査では、ギルフォードの知能構造モデル説 を 採 用 し て い ま す。 ギ ル フ ォ ー ド は、 知 的 機 能 を、 最終的に「認知」 「記憶」 「拡散思考」 「集中思考」 「評 価」の5つの働きに分類しました。これは、学力構 造の研究を行ったブルームの分類ともほぼ対応して おり、検査から得られた結果を、より有効に教科学 習の指導場面で活用できることを念頭に置いて、こ の理論を採用しました。 3.サポートから得られるデータ I 総合的指標 ①知能偏差値(ISS) 「知能偏差値(ISS) 」があ 発達の指標として、 ります。これは、年齢別尺度となっていて、個人の 知能を、集団の平均値からのずれを用いて相対的に 発達段階と知的な機能の特性を理解することができ 一人の被検査者に対して実施する個別式知能検査に 目的とした、集団式知能検査です。一人の検査者が この検査は、主として学級集団の単位で児童・生 徒の知的能力(学習の基礎能力)を測定することを 別 尺 度 と な っ て い て、 「 現 時 点 で 同 学 年 の 児 童・ 生 学習の基礎能力をあらわす指標として「学習基礎 能 力 偏 差 値( B S S ) 」 が あ り ま す。 こ れ は、 学 年 示します。 「学習ペースが速い/ふつう/ゆっくり」 ます。「特性を知って指導に活かす」ということは、 比べ、多人数についての情報を短時間(通常1時限 ま た、 知 能 検 査 を 解 釈 し、 利 用 す る 際 に 重 要 な ポ イ ン ト は、 あ る 児 童・ 生 徒 の 知 的 な 機 能 が 高 い ・ 低 に立つといえます。 ており、生活年齢や学年集団における知的発達の程 トがあります。また、 名前の通り学年別の構成となっ 内で実施が可能)で得ることができるというメリッ 3月生まれの子どもたちが一斉に学ぶこと、また学 り」と解釈します。実際の学習場面では、4月から 徒のなかでは学習ペースが速い/ふつう/ゆっく ②学習基礎能力偏差値(BSS) と解釈します。 一人ひとりの学習を指導する場面において非常に役 1.教研式新学年別知能検査サポートとは 解することです。 あり、その発達状況に個人差があるということを理 また「知能」は不変なものではなく発達するもので 能は何か、 というような「個人内差」に注目すること、 (一般財団法人 応用教育研究所) い と い う 個 人 差 で は な く、 そ の 子 の な か で 優 れ た 機 6 2015年 平 (成 年 25 紹介します。 こ れ か ら「 学 び 取 る 力 」 と い う こ と が で き ま す 。 知 黒沢 奈生子 5 が得られるポイント(場面・方法)などをご 0.知能検査とは何か いて、実際の授業における活用例、より効果 「 知 能 」 と は、 学 習 を し て い く 上 で 基 本 と な る 知 的 な 働 き の こ と で あ り、 学 習 場 面 で 出 会 う 情 報 内 容 一般財団法人 応用教育研究所 『サポート・学習支援システム』 27 ☆日図協加盟出版社の発行している教材につ 能 検 査 を 実 施 す る こ と に よ っ て、 そ の 児 童・ 生 徒 の な お こ くろさわ 第 78 回 教材活用シリーズ た り、 発 展 的 学 習 へ の 効 果 的 な 移 行 の 配 慮 を 検 討 し ①・ ② の 指 標 い ず れ に お い て も、 学 習 ペ ー ス が 速 い 児 童・ 生 徒 の 場 合 に は、 学 習 ス テ ッ プ を 大 き く し り合理的なものとなるよう工夫された数値です 。 力 検 査 の 結 果 と の 相 関 的 利 用 を 考 え、 そ の 利 用 が よ イミングや、机間指導の順番を考えることなどにも されます。それぞれのタイプの特性から、発問のタ が正確な場合「慎重型」など、9つのタイプで判定 合「 効 率 型 」 、速いが不正確な場合「性急型」 、遅い う2つの観点からとらえています。速くて正確な場 のような特徴をもっているかを、速さと正確さとい 立つコメント・アドバイスが示されます。 教師用のみならず、児童・生徒へのフィードバッ クのための個人票が得られ、一人ひとりの学習に役 という結果帳表が打ち出されます。 5.標準学力検査とのバッテリー利用 たりということができます。また、ゆっくりな児童・ 役立ちます。 標 準 学 力 検 査 と の バ ッ テ リ ー 利 用 を 行 う こ と で、 知的能力に応じた学力を発揮しているかどうかをみ 重ねられてきており、その名称を「サポート・学習 この検査は、コンピュータ診断によって、教科学 習に有効な情報をより豊富に提供できるよう改訂を バ ー」 、知的能力に比べて不十分な学力に留まって た 学 力 を 発 揮 し て い る 場 合 に は「 オ ー バ ー ア チ ー ランスドアチーバー」 、知的能力よりもさらに上回っ 知的能力に応じた学力を発揮している場合には「バ 4.コンピュータ返却資料の活かし方 生 徒 に は、 学 習 ス テ ッ プ を 小 さ く す る、 や や 時 間 を か け て 内 容 を 学 習 さ せ る、 基 礎 的 学 習 を 十 分 に 行 わ せるなどの配慮を検討することができます。 支援システム」としています。 いる場合「アンダーアチーバー」というように判定 る こ と が で き ま す。 「学力偏差値―知能から期待さ ①結果一覧表 されます。特に「アンダーアチーバー」と判定され より詳細にみると、新しい知識を獲得する「認知」 → 獲 得 し た 知 識 を 保 存 す る「 記 憶 」 → 問 題 を 解 決 す 意 で あ り、 B 式 偏 差 値 優 位 の B タ イ プ で は、 図 形 ・ 学 習 適 性 の 情 報 が 示 さ れ ま す。 A 式 偏 差 値 優 位 の A タ イ プ で は、 言 語 的 な 素 材 を 用 い た 学 習 活 動 が 得 ②A式偏差値・B式偏差値 ます。 図られたりするような教育的配慮が必要と考えられ 能 に お い て は、 そ の 機 能 を 補 っ た り、 着 実 な 理 解 が した学習指導は、まさにエビデンス(証拠)に基づ のであると思います。また同時に、知能検査を利用 用的な測定用具として、お役に立つことができるも それを毎日の学習指導に活かすことができる知能検 からこそ、児童・生徒一人ひとりの知的特性を知り、 がたくさんの努力を重ねておられます。そんな今だ 文科省による全国学力・学習状況調査が毎年実施 され、子どもたちの学力向上を目指して現場の先生 6.おわりに 指導を行っていくことが必要と考えられます。 れ る 学 力 偏 差 値 」 の 式 を 用 い た 新 成 就 値 に よ っ て、 ①機能からみた知能の特徴 ②学習スタイル診断カード(教師用)/あなたに た 児 童・ 生 徒 に は、 そ の 原 因 は 何 か を 考 え な が ら、 Ⅱ.機能別指標など サ ポ ー ト の 知 能 観 で 述 べ た、「 認 知 」「 記 憶 」「 拡 散思考」「集中思考」「評価」という知的な働きのど あった勉強法(児童・生徒用) の段階が優れているかをみることができます。 ③学習スタイル活用シート る た め の 新 し い 発 想 に 気 づ く「 拡 散 思 考 」 → そ の 発 想 に 基 づ い て 論 理 的 に 問 題 を 解 決 す る「 集 中 思 考 」 →問題解決の過程等が基準を満たしているかどうか を判断する「評価」となっています。 絵 画・ 記 号 と い っ た 非 言 語 的 な 素 材 を 使 っ た 学 習 活 いた教育であり、学力向上への近道である、といえ 25 考し、広いご利用をいただければと願っております。 7 得 意 と さ れ る 機 能 に お い て は、 学 習 場 面 で そ の 働 き を 活 か し て い く 工 夫 を す る と と も に、 不 得 意 な 機 動が適しています。 るのではないでしょうか。是非知能検査の価値を再 5 査は、古いようでもっとも新しく、また現実的・実 ③知的作業の特質 ) 月 日 図書教材新報 第3種郵便物認可 そ れ ぞ れ の 児 童・ 生 徒 が 知 的 作 業 を 行 う 時 に 、 ど 2015年 平 (成 年 27
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