イェーナ・フリードリヒ・シラー大学

Friedrich-Schiller-Universität Jena
■所在地
Fürstengraben 1,  07742 Jena,  Germany
ホームページ: http://www.uni-jena.de/
主な対象学部
外国語学部:語学留学(独・英)
「緑の中の町」と呼ばれる大学都市イェーナは、光学機械・ガラス・薬品を中心とした工業の盛んなこと
でも知られる。イェーナ大学の名称は詩人・劇作家として有名なシラーが同大学で歴史学を教えたことに
由来する。また、フィヒテ、シェリング、ヘーゲルなどの哲学者も教鞭をとり、ゲーテが総長だった由緒あ
る総合大学である。創立は 1558 年。学生数は約 20,000 名。
沿
革
特
色
宿
泊
学生寮。
生
活
イェーナには、これまでに麗澤大学に留学経験のあるドイツ人学生が多く、生活面でいろいろな助言を
してくれる。タンデムやシュタム・ティッシュ(週に一回食事に集まる)、イェーナ市の各種スポーツ・ク
ラブや音楽サークルで、現地の学生や社会人と交流する機会が多い。
条
件
留 学 時 期
UHG
(大学中央棟)の塔
シラーが歴史学を講義した講堂
◦ドイツ語専攻:麗澤大学の委託授業で、クラスは麗大生のみ。英独プログラムの科目も英語力次第で受 講できる。
◦クロス留学:イェーナ大学の英語学科に留学し、英語学科の学部授業を履修する。英独プログラムの科 目も履修できる。
◦英独プログラム:麗澤大学の委託授業で、クラスは麗大生のみ。英語とドイツ語を週に各 6 コマ学ぶ。
成績によってはクロス留学用の科目も受講できる。
◦ドイツ人学生と 1 対 1 で勉強するタンデムや、ドレースデン、ベルリンなどへの研修旅行がある。
◦日本の文化を紹介するイベントに参加したり、ホームステイやインターンシップの機会も設けられてい
る。
◦留学開始までにドイツの生活環境に慣れるため、9 月にドイツ各地で行われる語学研修に参加すること
を推奨する。
◦ドイツ語専攻:「Start Deutsch1」に合格、またはそれと同等の能力があると認められる場合(独検の
合否、授業成績などから総合的に判断する)。留学前に「ドイツ語基礎演習ⅢまたはⅣ」
を修了。
◦クロス留学:留学前に「ドイツ語ⅢまたはⅣ」を修了していること。TOEIC 700 点以上/ TOEFL(ITP)
540 点以上。
◦英独プログラム:留学前に「ドイツ語ⅢまたはⅣ」を修了していること。TOEFL/TOEIC450 点以上、夏 学期から参加する場合は TOEIC500 点以上が望ましい。
◦ドイツ語専攻/英独プログラム:原則として 2 年次第 2 学期から半年または 1 年間、3 年次第 1 学期か ら半年または 1 年間。
◦クロス留学:2、3 年次第 2 学期、3 年次第 1 学期から半年または 1 年間。
学生寮
ドイツでの 一年間
外国語学部英語・英米文化専攻 2013年留学 石橋 千愛
8 月、一年間のドイツ留学を終え、日本に帰ってきました。人の目線、ド
アノブや鏡の位置、天井の高さ、全てが低く感じられて、まるで巨人の国
から小人の国に来たような気分です。街中にコンビニエンスストアがあ
り、駅には改札が、信号は夜中でも消えることはないし、日曜でも店は営
業しています。そんな日本だったら当たり前のことが全て新鮮に感じられ
るほど、ドイツでの一年間は私に大きな変化を与えたのだと思います。
留学の目的の 1 つは語学力の向上でした。私の参加した英独プログラム
は、英語専攻の学生がドイツに留学するプログラムで、英語とドイツ語の
2 つの言語を同時に学ぶことができます。しかし、2つの言語を並行して
学んでいくというのは、私が考えていた以上に大変なものでした。英語も
ドイツ語も起源を同じくする言語で、似ている部分が多く存在します。そ
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イェーナ・フリードリヒ・シラー大学[ドイツ]
イェーナ・フリードリヒ・シラー大学[ドイツ]
イェーナ・フリードリヒ・シラー大学
の点では、英語の知識がドイツ語学習に役立つこともありますが、ある程度
ドイツ語が話せるようになってくると、英語とドイツ語がたびたび混同し、
全く言葉が出てこなくなってしまうということがありました。日常的に
使っているドイツ語の方がすらすらと口をついて出てくるのですが、語彙
力は英語の方があるため、分からない単語は英語になってしまい、英語とド
イツ語が混ざり、話している相手を困惑させてしまうこともしばしば。ま
た、ドイツ語の発音は法則性がありアルファベットはローマ字読みのため、
英語の文章もドイツ語読みになってしまい、授業の音読で苦戦していまし
た。しかし、それでも根気よく授業に参加し、冬学期を乗り越えて夏学期が
始まるころには、ドイツ語と英語が混同する問題も少しずつ解消されてい
きました。
このような生活の中で私が一番考えさせられたのは、ドイツ人の結婚に
対する考えと将来の仕事への考え方でした。まず、結婚に対する考えについ
てですが、ドイツでは事実婚の家庭が非常に多いです。戸籍上では結婚して
いなくても、同棲していて子供がいます。日本では事実婚の印象はあまり
良いとは言えませんし、疑問に思いドイツ人の友人に尋ねました。それは、
ドイツの法律で離婚するのがとても難しく、時間もお金もかかるからだと
いうことです。そして逆に、なぜ結婚するのかと尋ねられました。好きな
人と一緒にいたいからと言うと、同棲すればいいじゃないかと言われ、子
どもが欲しいからと答えると、結婚しなくても子供は作れると反論されま
した。日本では、結婚して同棲し、子供を作るという流れが一般的で、それ
に疑問を持ったことがなかったため、結局言葉に詰まってしまいました。
そしてもう一つ、将来の仕事への考え方ですが、ドイツでは付きたい職
業に必要な勉強を専門的にします。小学生の年齢ですでに職業教育を受け
るかギムナジウムで大学進学を目指し勉強するか選択する必要があり、将
来付きたい仕事というものを具体的に考え、それを目指して進路を選択し
ます。日本でもそのように具体的な職から進路選択をする場合もあります
が、興味のある分野を大学で勉強し、勉強しながら将来の職業を選択する
構内
ことも多いように思います。私自身もその一人で、英語を使う仕事をした
いと思い勉強に励んでいますが、だからと言ってそのような仕事につける
とは限りません。ドイツに居るときに、英語とドイツ語を学んでいると言
うと、では将来は先生になるのですね、と言われることが何度かありまし
た。私は教員を目指しているわけではなかったので、先に述べたような話
をすると、不思議そうな顔をされたり、変な考え方だと言われたりして、そ
う言われるとそうかもしれないが、日本ではこれが普通で、そこに自分は
何の疑問も持たずにいたことに気が付きました。
ドイツで生活することで、全く違う文化・考え方に触れ、当たり前のこ
とですが、日本の常識は世界の常識ではないということを、身を持って体
験することができました。こうして日本を離れたことで、日本が見えるよ
うになった気がします。この一年間の留学生活でドイツを知り、客観的に
日本を見直すことで、多くのことに気づくことができたと思います。
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