136 - ミード社会舘へ

№136
2015 年 10 月 20 日
障がい者雇用の
実践での気づき
ミード社会舘 総務部長
八木 哲三
ミード社会舘における障がい者雇用への初めての取り
組みは、2010 年にスタートした。障害者雇用促進法を満た
すためのものでもあるが、岡本千秋前理事長がよく言われ
(ミード社会舘の園庭にある柿木。今年もたわわに実りました。)
ていた『ノーマライゼーション(障がいを持つものと持た
あるスマートフォンのフェイスブックの話になると活き
ないものとが平等に生活する社会の実現)
』を自ら実施す
活きとし、休憩中、よく受付に話をしに来る。そのような
るためでもあった。
特徴を生かした仕事をと考え、現在では、大阪コミュニテ
ハローワークのトライアル雇用制度を利用し、採用候補
ィワーカー専門学校でパソコンのデータを入力する作業、
者は、当時 18 歳の自閉症の男性で、就労支援機構の修了
居宅介護支援事業所でのシュレッダー作業、彼の立派な体
生であったことと、実習訓練の結果が良かったことで採用
格を生かした力仕事なども業務の中に入れている。これら
を決めた。トライアル期間中の彼は温厚実直で、真面目に
の仕事をするとき、彼は実に楽しそうである。
働く意思と姿勢が見られたため、初めての試みに安堵し
た。
また、彼には一日の仕事のスケジュールが分かる手順書
を渡し、理解できるように丁寧に説明を行っている。時と
まもなく一緒に仕事をする先輩の女性の指導を受けな
して手順書を忘れることがあり、そんな時は来客中の職員
がら、舘内の清掃を中心とし業務がスタートした。しかし、
に話し掛けてしまう等、周りの状況がよく理解できていな
トライアル期間中には見えなかった様々な問題がでてく
い時もある。その場で言葉として注意を行うこともある
ることになった。
が、理解しやすいように、後で注意事項を紙に書いて説明
清掃の熟練者であった当の女性から、清掃のやり方で注
するように心がけている。
意を受けることが次第に増え、そのたびに図書室に籠って
現在、彼に対する指導は総務部であるが、今後はミード
しまうようになったのである。このことを振り返って考え
社会舘の職員全員が、彼の「障がい」と彼の特性を理解し、
てみると、当事者である彼や熱心に指導してくださった女
日常的な彼との関わりを通してお互いが成長していける
性の問題ではなく、ミード社会舘として彼の「障がい」に
職場の環境作りを考えていかなければならない。それは、
対する正しい理解が不足していたこと、彼の特性に合わせ
彼だけの問題ではなく、他の「障がい者」にとっても、そ
た職場環境や彼の思いを受け止める体制が整えられてい
して私たち一人ひとりにとっても働きやすい職場環境作
なかったこと、そして、彼をどう指導し、彼の成長をどの
りへと繋がっていくものである。
ように支えていくのか、受け入れる側の私達の中での共通
「障がい者」を雇用したという事でその取り組みが終わ
認識、共通理解ができていなかったことが問題であった。
ったのではない。試みを振り返り、新たな目標を掲げ、更
彼は「掃除の後片付け」をよく忘れたり、
「部屋の隅々
に実践を積み上げていく次の段階へと進んで行かなけれ
まで綺麗にすること」が実は苦手なようであるが、興味の
ばならないと考えている。
シリーズ⑪
地域包括支援センター報告
地域の方に助けていただいた5年間・・・
淀川区南部地域包括支援センター職員
中西
恵美
振り返れば、ミードでヘルパー2級の講座に学び、穏やかな笑顔
で仕事をされる職員にあこがれて、ファミリーケア協会でヘルパー
の仕事を始めて10数年が経ちました。また、南部地域包括支援セ
ンターの立ち上げに携わってからも5年が過ぎようとしています。
ヘルパーとして一人ひとりの利用者さんの身近な生活支援をして
いた時と比べると、地域という大きな枠で考えなければいけない地
域包括の仕事に最初は戸惑い、何が出来るのかと悩んだものでし
た。介護保険サービスを利用していただきながら、利用者さんの生
活を支えていると自負していましたが、実は地域の皆さんの地道な
支えがあることに気付かされました。例えば皆さんも目にしたこと
(医療と介護の連携を図る南部地域包括圏域交流会の様子
みなさんの前で話をしているのが中西さん)
があるかと思いますが、子ども達の登下校を見守ってくださっている老人会や町会の皆さん、独居の高齢者の方へ民生委員
さんは定期的に友愛訪問をしてくださっています。その地域で実際に生活をしているからこそ気づく様々なことがあり、そ
うして見守ってくださる方々と私達包括支援センターは連携を取っていかなければならないと強く思っています。地域の方
から、「あそこのおばあちゃん、この頃見かけないよ。
」「○○さんの家、最近いろんなもので溢れてきているよ」「変なセー
ルスの人を頻繁に見かけるけど大丈夫?」等々、気づいたことや困りごとを気軽に相談していただき、私たちと一緒に解決
に向けて活動していける、そんな風に地域の方々に思っていただけるセンターでありたいです。
「なんでも包括」と自嘲している一方で、
「地域包括支援センターってなに?」とご存じいただけていない方が多いことも
感じています。この地域にお住まいの高齢者・その家族・支えてくださっている地域の皆さんに少しでも知っていただける
よう、これからも職員は毎日自転車を走らせていきます。
ミードの
夏の風物詩「夏祭り!」
小規模多機能型居宅介護 ミード愛ホーム職員
月本 芳美
7 月の流しそうめん大会に続き、愛ホームとデイサービスで『夏祭り!!』を 8 月 5 日と 25 日の 2 日間に分けて行いまし
た。準備を始めるに当たり、ご利用者に「お祭りって何を思い浮かべますか?」とお尋ねすると、
「盆踊り」
「花火」「夜店」
「提灯もあって楽しかったなぁ」
「うちわ」等々、いろんなお話が出てきました。そこで、夏祭りに向けて愛ホームではご利
用者と提灯作りを、デイサービスではうちわ作りというように、ご利用者も一緒に楽しみながらお祭りの準備に参加してい
ただきました。その分、ご利用者の皆様は当日のお祭りをとても楽しみに待っておられたようです。
愛ホームでは、この暑い夏の間も毎日水やりや草抜きをして大事に夏野菜を育ててきました。そこで、その野菜を使って
昼食作りをすることになりました。育てている時は、野菜作りに詳しい方がおられ、
「そろそろ肥料あげなくっちゃ」「花が
咲いてるよ~、ええのが出来るよ~」とワクワクされ、収穫する時には、料理の得意な方が「これは美味しいで~!」と目
を輝かせていらっしゃいました。1 日目の昼食は夏野菜カレー、2 日目はちらし寿司で、カレー作りでは男性のご利用者が人
参の皮を剥いてくださったり、
「玉葱は飴色まで炒めにゃ!」
「わし、やったるで~」とフライパンと木べらを握り手際よく
作ってくださいました。女性のご利用者からは「男性の作ったものは美味しいからな~」と嬉しい言葉が溢れる食事になり、
いつも見つめているだけでなかなか食事が進まない方もスプーンをしっかり握り、大きな口でペロリと召し上がられていま
した。
1日目の午後には、十三小学校の子ども達による『こいや踊り』
、2 日目は神津女性会の方々による『盆踊り』を披露して
いただきました。子ども達の踊りには、
「可愛いなぁ~」と目を輝かせて拍手を送り、ご利用者も職員も一緒に踊れるように
用意してくださったAKB48の「恋するフォーチュンクッキー」
では、みんな一緒に手を繋ぎ、曲に合わせて身体を揺らし楽しく踊
っておられました。盆踊りも「一緒に踊りたい!」とやぐらを囲み、
ご存じの曲では歌ってくださるご利用者もいらっしゃいました。
ご利用者の笑顔がたくさん溢れる夏祭りとなりました。日本の夏
は風情があり、みんなを笑顔にする不思議な力があるのでしょう
ね。ご利用者の心に素敵な思い出として残し
ていただけたら幸いです。
(ご利用者が子ども達と踊りを楽しんでおられる様子)
今後の学校運営はどうなるのか?
~
フィリピンの現状視察を通して
続編
~
大阪コミュニティワーカー専門学校 事務局長
野村
昭仁
9 月 11 日から 13 日にかけて、さざなみグループの理事長、林康夫氏のお誘いを受け、フィリピンのマニラ
に出張してきました。
(ささなみグループでは、来年度フィリピン人を介護職として施設に受け入れ、また、本
校に留学生として入学、卒業させた後に、施設の正式な介護福祉士のスタッフとして雇用する予定でいらっし
ゃいます。
)今回の出張は、現地の日本語教育アカデミーの現状視察と、どの程度のニーズがあるかなどの実情
を自分の目で確かめることが目的でした。さて私が見たフィリピンの実情は、想像以上に日本への留学を希望
する意欲の高さでした。
最初に案内された現地の日本語アカデミーには男女合わせて 40 人の受講生がいました
が、このクラスは医療・介護職希望者が集まっているせいもあって、現地の通訳を通して「現在、日本の国会
で、介護福祉士の国家資格に合格した留学生は就労ビザを与えるという法案が審議されており、来年本校に入
学される学生には、その制度が適応されるでしょう」と伝えると、歓声が上がりました。
日本で学んで日本で働きたい。そんな彼らの思いがひしひしと伝わってきました。ただ、言葉の問題もさる
ことながら、外国人学生を受け入れる最大の障壁は、経済的な問題です。貧富の差が大きいフィリピンでは、
留学費用が準備できる富裕層の留学生は介護には興味を持っていません。一方、介護職として日本で働きたい
と考えている若者のほとんどは貧困層の若者です。ですから、彼らを本校の学生として向かえるためには、働
く場所と住居を保障する必要があるのです。ちなみに、彼らが母国で日本語を学ぶ学費は無料です。日本語学
校には国から多額の助成がおこなわれているそうです。観光による収入より、海外で働く人から母国への仕送
りの総額のほうが多いフィリピンならでは
の国情といえます。本校では、すでに外国
人の受け入れをしている施設や外国人の雇
用に前向きな施設に対して、本校に入学す
る学生に働く場を提供し奨学金を出すこと
で、将来的に優秀な人材が確保できるシス
テムの参加要請を積極的におこなっていま
す。
来年の 4 月には多くの外国人留学生がミー
ド社会舘にやってくる予定です。みなさん、
暖かく迎えてくださいね。
(熱気あふれるマニラでの日本語学校留学フェアの様子)
(4)
第 46 回
日程
ミードバザー 今年も開催
11 月 22 日(日)
10 時~15 時
(雨天決行)
今年で第 46 回となりますミードバザーを 11 月 22
日の日曜日に開催いたします。例年ですと 23 日の開
催ですが、22 日のほうが、お手伝いいただくボランテ
ィアの方々や職員の力を結集できるのではないかと
いうことで、ミードバザー実行委員会で日程を決定い
たしました。何かとお忙しいとは存じますが、足をお
運びいただければ幸いです。尚、今年のテーマは『ミ
ードバザーは地域とともに』となっております。日頃
よりミード社会舘、並びに淀川区地域のためにご尽力
いただいております皆様に楽しんでいただけますよ
う、バザー当日は心からのおもてなしをさせていただ
きたく存じます。
(今年のバザーポスターです)
皆様のお越しをお待ち申し上げております。
■後援会及び一般寄付のお願い
皆様から頂戴しましたご寄附は、保育園施設の充実、ミード高齢者配食サービスの充実や送迎車両の整備・購入準備金
等、大切に使わせていただいております。引き続きミード社会舘の活動にご支援くださいますよう、何卒よろしくお願い
申し上げます。
後援会献金申込口座名
社会福祉法人キリスト教ミード社会舘
後援会会長 金津 博直
理事長
榎原 良行
舘長
岩佐 美奈子
会費 年額
郵便振込口座
加入者名義
1口
5,000 円何口でも可)
00900-2-47186
社会福祉法人キリスト教ミード社会舘
☆ぜひ学校見学会にお越しください☆
…お問い合せ・資料請求は…06(6309)3232 http://www.mead-jp.com/school/
訪問介護(ヘルパー派遣事業)
大阪市生活支援型食事サービス
※お問合せ先 ミード社会舘内
地域活動部 6309-7125 担当 古賀