Case Study 株式会社 日建設計 Adobe Creative Cloud エンタープライズ版導入事例 統一フォーマットにより、設計図書の制作効率とデザイン品質を大幅に向上 建築・土木のプロジェクトでは様々な設計図書が作成され、中でも基本計画書はプロジェクトの初期段階で クライアントの信頼を獲得するための重要な役割を担っている。日本最大手の総合設計事務所である株式会 社 日建設計(以下、日建設計)では、基本計画書をはじめとする設計図書の作成に、PhotoshopやIllustrator、 InDesignなどのアドビ製品を長年にわたって使用してきた。 株式会社 日建設計 基本計画書を作成するにあたり、制作効率および品質の向上、コスト削減、デザインの統一を図るため、同社 1900年(明治33年)創業、建築の設計監理、 では、2013年に包括ライセンス契約(ETLA)によるAdobe Creative Cloud エンタープライズ版を導入した。 都市 計画およびこれらに関連する調 査・企 画・ コンサルティング業務を行う日本最大手 これにより、かねてから取り組んできた社内統一フォーマットをInDesignで実現。さらに、ライセンス管理やコ の総合設 計事務所。国内のみならず世界中 ストにおける課題解決にも大きく貢献した。統一フォーマットとそのシステムづくりに取り組んできた同社の でプロジェクトを手掛けており、行政・産業・ 佐藤 恒 氏と斉藤 安生 氏に、Creative Cloud導入の背景と、導入後の効果についてお話を伺った。 教育文化・医療福祉・住宅などあらゆる分野 に豊富な実績を持つ。代表作品として、東京 タワー、東京ドーム、京都迎賓館、東京ミッド タウン、東京スカイツリーなどがある。 ■ Creative Cloud エンタープライズ版導入の背景と課題 ● 不統一な環境とフォーマットが招いた制作効率の低下 日建設計ではこれまで設計図書のフォーマットは、部門毎あるいはプロジェクト毎にその都度作成してい た。 そのためフォーマットが統一されず、作業担当者のスキルによって最終成果品としての仕上がりだけでな く、作成時間でも差が生じていた。また、各部門が既存のフォーマットを提出し合い、その中から最適なもの を選んで2次利用するケースもあった。 そこで問題視されていたのが、制作環境の不統一だ。 「各部門毎に使用するソフトがバラバラで、保存されているデータ形式もバラバラ。そのため、やっと最適 なフォーマットを見つけてもすぐには使えず、データの変換作業にかなりの時間をとられていました。 また、使 用するソフトによってフォントやサイズ、色などの設定が異なり、デザインの統一性が図れない状態でした」と、 当時プレゼンテーション部に所属していた佐藤 恒 氏(現 広報室)は話す。 さらに、社員数に対するライセンスの数が圧倒的に不足していたため、 ソフトの使用者を絞り込まなくては 株式会社 日建設計 ならず、慢性的な人材不足に陥っていたという。また、ソフトの利用を希望する社員と、利用頻度の少ない社 広報室 員のライセンス入替え作業も非常に煩雑化していた。 佐藤 恒 氏 ● デザインチーム結成により、書類デザインの見直しを図る そうした状況の中、2010年から、統一したイメージで日建設計のビジュアル・アイデンティティーを訴求し、 ブランド力を向上させるため、総務、営業、広報、意匠、構造、設備の各部門から担当者を募り、 「 Document Design Team」が設立された。見やすさ、伝わりやすさ、 そして作成のしやすを追求するために、各書類のデザ インの見直しを図った。そこでまず、使用するソフトとフォーマットを統一化するために新たなシステムソ リューションを試験導入したものの、 そのシステムに精通する人材が少なく、 また複雑な作業に対しての機能 が不十分であったことから、社内に浸透させることはできなかった。 ● 包括ライセンス契約によるCreative Cloudの導入を検討 その頃、InDesignやIllustratorを使用する社員から、新しいバージョンにアップグレードしたいという要望 が数多く寄せられていた。同社では使用するソフトのバージョンは、互換性や信頼性を優先するため一番古 株式会社 日建設計 コーポレート部門 情報サービス部長 斉藤 安生 氏 いバージョンに合わせなければならない。しかし、全体をバージョンアップするにはコストのインパクトが大 きすぎる。 そこに飛び込んできたのが、 アドビからの包括ライセンス契約の提案だった。 「バージョンアップの必要性は感じていました。とはいえ、Illustrator、Photoshop、InDesign、合わせて 2,000本近いライセンスのバージョンアップはコスト的に無理があった。さらに不足分の追加購入を考えると、 もはや現実的ではありませんでした。しかし、包括ライセンス契約の提案を受けて検討してみると、思ってた 以上にコストが抑えられることがわかりました。しかも人数の制限なく使用できることにメリットを感じまし た」と、コーポレート部門 情報サービス部長 斉藤 安生 氏は話す。 Creative Cloud導入による作業状況の変化 部門ごとの作業 ● 導入前 制作担当者による取りまとめ 様々なデータ形式 .ppt .doc .dwg .dxf .xls .vsd など ● ● 大幅な調整作業が発生 ● データの変換 印刷 ページレイアウト ▶ InDesign コンテンツ作成 ▶ Illustrator ▶ Photoshop 画像処理 製本 フォント種類・サイズの不一致 クライアント様 提出 スケジュール短縮 によるメリット ● 導入後 統一フォーマットの活用 フォーマット作成・収集時間 の削減、レイアウト等の初 期作業の効率化、 フォント・ サイズ・カラーの統一 ● 効率的な 調整作業 調整作業の 大幅な削減 印刷 製本 クライアント様 提出 コスト削減 品質の向上 オブジェクトの配置場所、 フォントの種類やサ イズなどが細かく指定された基本設計書の フォーマット。 グリッドを利用して効率的にレイ アウトを作成することができる。 ■ 導入後の成果 ● フォーマットの利用率が80%まで向上 「設計図書のフォーマットは基本的なものだけでなく、内容に合わせて数パターン作成しました。他にも、 フォーマットの使用、 フォントやカラーの設定に関するマニュアル・ガイドラインを作成したり、社内に浸透させ る た め の 講 習 会を東 京・大 阪・名 古 屋・九 州 の 各 地 区 事 務 所で 開 催しました 。契 約 の 際 にアドビ から、 InDesignによるフォーマットの作成や使い方についてのサポートを受けられたのも大きなメリットでした。導 入前からそうした啓蒙活動が行えたこともあって、導入後のフォーマットの利用率は導入前の15%から80%に まで向上しました」 (佐藤氏) フォーマットの社内普及により、設計図書全体の統一感を保つことができ、 ブランド力の向上とともに、 クラ イアントに対してより伝わりやすい提案が可能となった。作業時間も従来より短縮され、各担当者のスキルに 関わらず、一貫したデザイン品質を維持できるようにもなった。従来のライセンス不足が解消されたことも、 フォーマット利用率向上の要因と言えるだろう。 ● 手間のかかるインストール作業からの解放 Creative Cloudの利用開始と同時に、利用者がPCに必要なソフトを自分でインストールできるシステムを 導入した。 これにより、 ソフトのアップデート時の作業が大幅に緩和されたという。 「以前は、利用者数を調整しながら担当者が手作業でインストールしてまわっていました。それが、包括ラ イセンス契約によりライセンス数の管理が不要になったため、同時に導入したインストールシステムをフル活 用して、利用者がボタンを押すだけで済むようになった。 これだけでも包括ライセンス契約に切り替えた甲斐 がありました」 ( 斉藤氏) ■ 今後の取り組み・展望 日建設計では、 フォーマットのさらなる充実を目指す。 そのためにはフォーマットの利用範囲を広げていくこと が重要だという。 「現状、A3サイズ/ヨコ片面を想定しているので、両面とか見開きとかA4サイズ/タテなどにも対応していき たいですね。 フォーマットを増やせば、設計図書だけでなく他の用途でも積極的に利用してもらえるはずです。 それから、デザインの拡充や品質の向上も考えていかなければなりません。以前は、同じページ内でバラバラ なイメージの図版が使われていたりしましたが、そういった細かい部分もガイドラインを策定して統一化を 図っていきたいと思います」 (佐藤氏) 製品に関する詳細 www.adobe.com/jp/creativecloud/ 今後は、 アドビのサポートを得ながら、新人研修をはじめとする基礎的な講習会やエキスパート向けの講習 会、あるいはワークショップ形式の勉強会なども継続的に開催し、利用者のスキル向上を積極的に支援してい く構えだ。日建設計のあらゆるドキュメントが統一フォーマット化される日も、 そう遠くはないかもしれない。 ※掲載された情報は2015年6月現在のもです。 アドビ システムズ 株式会社 〒141-0032 東京都品川区大崎1-11-2 ゲートシティ大崎イーストタワー www.adobe.com/jp/ Adobe Systems Incorporated 345 Park Avenue San Jose, CA 95110-2704 USA www.adobe.com Adobe, the Adobe logo, Creative Cloud, Illustrator, InDesign, and Photoshop are either registered trademarks or trademarks of Adobe Systems Incorporated,in the United States and/or other countries. © 2015 Adobe Systems Incorporated. All rights reserved. Printed in Japan.
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