第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会

◆首長懇談会◆
第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
期日:平成26 年11 月4 日(火)
会場:都市センターホテル701会議室
出
(国会議員) 衆議院議員
(首長)
(国)
席
者(敬称略)
佐田玄一郎
北海道東神楽町長 山本
進
岩手県紫波町長
熊谷
泉
福島県田村市長
冨塚 宥暻
茨城県東海村長
山田
修
埼玉県和光市長
松本 武洋
千葉県酒々井町長 小坂 泰久
新潟県佐渡市長
甲斐 元也
岐阜県山県市長
林
奈良県斑鳩町長
小城 利重
鳥取県岩美町長
榎本 武利
広島県呉市長
小村 和年
福岡県田川市長
伊藤 信勝
宏優
福岡県うきは市長 髙木 典雄
佐賀県吉野ヶ里町長 多良 正裕
長崎県川棚町長
熊本県苓北町長
山口 文夫
国土交通省水管理・国土保全局下水道部長
田嶋 章二
塩路 勝久
国土交通省水管理・国土保全局下水道部下水道事業課長 増田 隆司
総務省自治財政局準公営企業室長
(協会)
大沢
公益社団法人日本下水道協会会長
小村 和年(再掲)
公益社団法人日本下水道協会理事長
曽小川久貴
公益社団法人日本下水道協会常務理事
石川
公益社団法人日本下水道協会常務理事
佐伯 謹吾
清
博
懇談会会場風景
衆議院議員
佐田玄一郎先生
司会の小村和年呉市長
第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会は、平成26 年11月4 日(火)都市センターホテ
ルにて開催され、国土交通省及び総務省の講演の後、佐田玄一郎衆議院議員のご挨拶を頂いたあ
と、社団法人日本下水道協会会長小村呉市長の進行により、国土交通省塩路下水道部長同席のも
と、出席者による意見交換が行われた。講演では、国土交通省下水道部の増田下水道事業課長が
「新下水道ビジョンと平成27年度下水道事業予算概算要求内容等について」説明を行い、総務省
の大沢準公営企業室長から「下水道財政の現状と課題について」説明が行われた。
意見交換では、参加の首長から、東日本大震災対策の継続や集中豪雨による内水対策、高齢
化・人口減少による使用料収入の減少問題、接続率の向上、10年概成と財政・技術力の支援、市
町村合併に伴う流域下水道の移管・再編、企業会計導入、集排と公共下水道との接続など様々な
自治体が抱える課題に対して、経営や環境を意識した意見や情報が出された。これに対し、佐田
玄一郎衆議院議員からは国政の重要課題としての対応についてご助言をいただくとともに、国土
交通省塩路下水道部長からは、現在の取組状況や参考となる事例の紹介、今後の検討・支援に関
する発言があり、引き続き国と事業主体が連携して下水道事業の課題解決に向けて協力していく
方向性が示された。
意見交換会の内容は以下のとおり。
第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
の委員をやってまいりまして、特に下水道関係は議連
の幹部をやらせていただいており、税調、つまり自民
党の正式組織のほうでも幹部をやらせていただいてい
る状況でありまして、言うまでもありませんけが、下
水道は地域の環境をよくしていくという意味におきま
して、私は一番のものだと思っています。ぜひこれか
らも管理者の皆様方におかれましては、ぜひ地域のた
めにも、速やかに下水道整備を行っていただきたい
と、こういうふうに思っています。
10 数年前に浄化槽法の改正がありまして、私は下
水道の立場で、一方農林省の立場の議員がいて、その
ときは、浄化槽は環境省ではなくて厚生労働省だった
か、三つどもえで連日、これからの、水管理のために
どうしたらいいかということを議論し、法律をつくり
ました。
法の中身は、10 年以内に、計画が立たないような
地域におきましては、合併浄化槽で計画する。10 年
以内に下水道が来る場合は、10 年以内に計画を立て
て、下水道が来ますよねと。そういうところに合併浄
化槽をつくらなくても、来るんだから単独浄化槽でい
いじゃないのと。10 数年前はこういうふうな法律だ
ったんです。
その後、10 年経っているんですけど、未だに単独
浄化槽が6~7割残っている。こういうことを考えま
すと、しっかりとやっぱり地域のためにも、早く下水
道整備を進めて、環境整備をしていかなくてはいけな
いなと、こういうふうに思っています。
また、下水道は、今でもどんどん進んでいるんだけ
れども、逆に老朽化もどんどん進んでいまして、1万
キロ以上は既に毎年数百カ所も陥没して、非常に危険
な状況になっています。こういうこともあり、我々は
新規の下水道をつくるということと、老朽化した下水
道の更新の問題を含めて、しっかりと議論をしていか
なくてはいけないんじゃないかと思っています。
昔みたいに開削しなくても、ライニングして安くや
れるということも聞いております。そういう研究も
我々はやっております。
私は党のPFI調査会の会長もやっていまして、こ
の会にはなじまないかもしれませんが、PFIで下水
道をやったらどうだなんていう意見もあります。
今、浜松市の市長さんから相談を受けております。
これからそういう意味では、できるだけ予算だけでや
るのではなくて、できる限り民間投資でやれるものは
やっていったらどうかと、考えております。
それだけには、ただやるだけじゃなくて、やるイン
センティブを与えるためには、税調も、税制も絡んで
来ます。私は税調の副会長もやっていますが、できる
だけ民間投資をやるためには、税制面も優遇して規制
期日:平成 26 年 11 月4日(火)
場所:都市センターホテル 7F会議室
事務局 お待たせいたしました。これより意見交
換会を開催いたします。
本日ご来賓としてご出席いただきました、衆議院
議員佐田玄一郎先生は、平成2年に群馬1区から出馬
され、当選8回。現在、衆議院の国土交通委員会委
員、予算委員会委員など、要職につかれております。
それでは衆議院議員、佐田玄一郎先生をご紹介申し
上げます。
ありがとうございました。
次に、本日ご出席の市町村の皆さんをご紹介させて
いただきます。
北海道東神楽町、山本進様でございます。
岩手県紫波町、熊谷泉様でございます。
福島県田村市、冨塚宥暻様でございます。
茨城県東海村、山田修様でございます。
埼玉県和光市、松本武洋様でございます。
千葉県酒々井町、小坂泰久様でございます。
新潟県佐渡市、甲斐元也様でございます。
岐阜県山県市、林宏優様でございます。
奈良県斑鳩町、小城利重様でございます。
鳥取県岩美町、榎本武利様でございます。
広島県呉市、小村和年様でございます。
福岡県田川市、伊藤信勝様でございます。
福岡県うきは市、髙木典雄様でございます。
佐賀県吉野ヶ里町、多良正裕様でございます。
長崎県川棚町、山口文夫様でございます。
熊本県苓北町、田嶋章二様でございます。
続きまして、オブザーバーでご参加していただいて
おります、国土交通省水管理・国土保全局、塩路下水
道部長をご紹介申し上げます。
ありがとうございました。
日本下水道協会の紹介は省略させていただきます。
国会議員の先生から、お一言いただきたいと思いま
す。衆議院議員佐田玄一郎先生、よろしくお願いいた
します。
佐田議員 ただいまご紹介にあずかりました、衆
議院の佐田玄一郎でございます。
本日は市町村の下水道事業を考える首長懇談会とい
うことで、北は北海道から、南は九州まで、本当に遠
いところをおいでいただきまして、心から感謝を申し
上げる次第でございます。
私も、紹介がありましたけれども、国土交通委員会
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第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
緩和もしていきましょうということを、言っておりま
す。
最終的にいろいろなやり方はありますが、文化地域
として一番大事なのは、目に見えないけれど下水道で
すから。どうかこれからも首長の皆さん方のご指導、
ご鞭撻を賜りながら、我々も国の立場で予算が割ける
ように、できるだけ予算がつくように全力で頑張るこ
とをお誓い申し上げまして、ご挨拶にかえさせていた
だきます。
呉市長さん、これからも頑張ってください。ありが
とうございます。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございま
す。
事務局 先生、どうもありがとうございました。
次に、本日の意見交換会の進め方でございますが、
お手元に首長様方からいただきましたコメントをご用
意させていただいております。首長様方からコメント
をご披露いただいた後、国会議員の先生からもご発言
をいただきたいと存じます。
なお、国会議員の先生におかれましては、公用のた
め、17 時ごろには退席させていただきますので、よ
ろしくお願いします。
でございます。
資料3に町の現状を記載させていただいています
が、岩手県は県全体でいいますと、東日本大震災で沿
岸の市町村で、下水の管路が壊滅的にやられていると
ころがあって、移転地域で新しくつくり始めていま
す。そちらのほうの予算は、震災の関連もあって、あ
る程度は確保されていますが、そちらのほうをまずお
願いをしたいと思います。
私の町の事情ですが、ある程度、管路のところは、
エリアは決まっておりまして、それ以外のところは全
部浄化槽でやる方法で、PFIを取り入れました。あ
る時間は順調にいったんですが、高齢化に伴って、今
後は家庭の状況がよくわからないというか、年寄りの
方は、いや、これ以上はということで、なかなかこれ
からの普及が鈍化しています。それはSPCの会社も
わかっていて、そちらは、いろいろインセンティブを
つけて、町としても余り圧をかけないで、少しずつや
るしかないと思っていました。
あと1つは、ここに書いていないのですが、岩手県
では昨年8月9日に、ゲリラ豪雨があって、我が町も
時間当たり 71 ミリの降雨がありました。毎回浸水の
区域があって、役場がある市街地ですが、その対策を
迫られていて、排水ポンプでは、どうしても対応でき
ないということがわかりました。
このエリアの中に遊水池というか、ある意味、そう
いうものも考えながらやらなければならないのかなと
思っていますが、余りにも大きな事業なので、技術的
に町でやるのは無理なので、専門家に、土木も含め
て、最小限のコストでどれが一番効果的なのか、その
辺のご指導をいただきたいというふうに思っておりま
す。以上です。
広島県呉市(小村市長) どうもありがとうござ
いました。
それでは順番に進めさせていただきたいと思います
皆さんからのご発言をいただきたいと思いますので、
恐れ入りますが、3分程度でご発言をお願いいただけ
ますでしょうか。
続きまして、福島県田村市の冨塚市長さんからお願
いいたします。
福島県田村市(冨塚市長) 福島県の田村市であ
ります。 旧町村当時、隣の町のほうにダムが建設さ
れるので、国から下水道を普及させてくださいという
ことで、流域の4町で下水道がスタートしました。そ
ういう中で、4町が合併すると、今度は、流域下水道
が 10 年で打ち切られるという状況にあった福島県田
村市であります。
全国に、市町村合併による流域下水道移管につい
て、現在、協議会の仲間が、京都府南丹市の佐々木市
初めにお願いしておりましたとおり、本日の懇談会
の議事内容につきましては、下水道協会誌などで概要
をご紹介させていただきます。よろしくお願いしたい
と思います。
これから意見交換会に入りたいと思います。
ここからは本会会長・小村呉市長にご座長をお願い
したいと思います。首長懇談会の意見交換会の進行を
お願いしたいと存じますので、よろしくお願いいたし
ます。
広島県呉市(小村市長) それでは早速、意見交
換会を始めたいと思います。
先ほど事務局のほうから説明がありましたとおり、
新下水道ビジョンを初め、各自治体が抱えておる問題
点について、いろいろ皆さんからご意見をいただいて
おります。
また、コメントをいただいていない首長の方にも、
それぞれの各自治体のいろんな状況があると思います
ので、ご発言をお願いしたいと思います。
では、この資料に沿いまして進めさせていただきた
いと思います。
最初に、岩手県紫波町の熊谷町長さんからお願いで
きますでしょうか。
岩手県紫波町(熊谷町長) 岩手県紫波町の熊谷
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第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
長が会長を務め、福島県では田村市と二本松市、奈良
県の宇陀市、四国のさぬき市、新潟県の佐渡市、栃木
県の佐野市がございます。
現在、流域再編と施設移管のほうに分かれています
が、移管してもしなくても、後々の事業遂行に差が生
じないよう、補助率の維持や交付税措置の充実を求め
るものであります。
もう一つは、川上と川下の格差是正であります。上
流のほうをきれいにしなさいと。でも、恩恵を受ける
のは下流もであります。そういうことからいくと、負
担が公平ではないという立場から、川下のほうから
も、上流のほうの地域に対して温かいご支援、あるい
は負担をいただければというふうに考えております。
そういう状況の中で田村市も、人口減少への対応、
そしてまた、供用をスタートして間もない時期であり
ますから、合併浄化槽というお話もありますが、これ
は本音で言うと、下水道をやるなら一軒一軒に 200 万
円くらいを差し上げたほうが、あとは個人負担ですか
ら、よほど楽です。
でも、下水道はスタートすると、全ての維持経費が
全て市町村に掛ってまいります。そうなると、人口減
少というのは、世帯数もどんどん減っていくため収入
があがりません。じゃあ、これからどうするかという
ことが大きな悩みになってくると思いますので、そう
いう点でいくと、相当な額を投資したのにもかかわら
ず、まだ供用は一部であります。これから投資してい
くと、相当なお金もかかる。
これまでは県がやって、合併したのであなた方に移
管するから、今までの負担分を返しなさいと。約 40
億円です。こんなばかげたことを言われながらも流域
の再編になっているわけでありますが、こういう状況
も鑑みていただいて、よろしくご配慮いただきたいと
思います。
広島県呉市(小村市長) どうもありがとうござ
いました。
またコメントをいただくとして、一通りざっと皆さ
んからご発言をいただきたいと思います。
それでは続きまして、茨城県東海村の山田村長さん
のほうから、よろしくお願いします。
茨城県東海村(山田村長) 東海村の山田です。
東海村は3万 8,000 人ぐらいの人口で、村といえど
も市並みの規模を持っていまして。今回の下水道ビジ
ョンは、オールジャパンとしては多分そうなんだと思
いますが、市町村ベースでいうと、人口規模も違いま
すし、置かれている環境が違うんで、市町村レベルに
応じていくと、かなり難しいかなと思います。
今回、持続と進化とに分けていますが、市町村から
すると、全て盛り込んだ上で事業管理計画を立てなけ
ればならないと思っています。それは、最新の雨水管
理のスマート化もそうでしょうし、汚水処理の最適化
も全て、これから先、取り込めるものは全て考えた上
での事業管理計画じゃないと、現状のままで計画をつ
くっても、なかなか現実性がないのかなというふうに
思います。
市町村レベルの、ビジョンとか計画をつくる意味で
は、市町村も規模が全然違いますので、それぞれのモ
デルケースになるところ、そこをある程度抽出して、
本省なり、下水道協会が現場に来て、一緒につくるぐ
らいの気持ちでやってもらって、それを市町村のほう
に示していただけるとありがたいと思っています。
東海村も、下水道については認可区域を広げたの
で、今後どうやって縮めるか審議会をつくって議論し
ていますが、住民の理解です。公共下水道じゃなけれ
ばだめだというように思い込みが強いので、合併処理
浄化槽でも、十分生活環境は保てるという理解がいた
だけない。一般の住民の方には、公共下水道しかない
というような思いが強過ぎるので、そのアピールをど
うしていくかというのもあわせてお願いできればとい
うように思っています。以上です。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
引き続きまして、佐渡の甲斐市長さん、お願いいた
します。
新潟県佐渡市(甲斐市長) 佐渡の甲斐でござい
ます、よろしくどうぞ。
私もこのビジョンというものも読ませていただきま
したし、きょうも説明を聞かせていただきましたけれ
ども、土台にはやっぱり sustainable、どう継続をこ
れからしていくかということが肝になっているわけで
あります。この継続をするためには、どうやって負担
というものが解決していくかということになるわけで
あります。
佐渡市の立場から申し上げますと、ポイントが3つ
ありまして、1つはやっぱり合併というものが、10
年経ったわけでありますから、今後それをどういうふ
うに乗り越えていくのかということが1つ。
もう一つは、人口減少というものに対して、負担の
問題がどうなってくるのか。
もう一つは、これから更新時期に入っていくという
ことです。
こ の 3 つ と い う も のを 解 決 し な い 限 り は 、
sustainable なんて言葉を使ったからといって、前に
進まないわけであります。
先ほどお話がございましたけれども、合併 10 年で
いわゆる流域、これが今進んでいるわけであります
が、私どもも県のほうと話をしていますが、今まで県
3
第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
がやってきたものについて、10 年たったから、市の
ほうでやりなさいという話になっているわけで、これ
はちょっとおかしいんじゃないかということで、今も
協議を進めているわけであります。ほぼ押し切られた
というような状況でございます。
それから、もう一つは人口減少の問題でありまし
て、これは日本全国同じことかと思いますが、人口が
減ってくるということになると、接続率の問題もそう
ですし、とにかくお金が高くなる、負担金が高くなる
ということです。
佐渡市は、本当は1位~3位というのは一番いいこ
とでありますけれども、この場合、逆でありまして、
市民の負担が高い、新潟県で一番高いんです。本当は
一番高いというのはいいことでありますけれど、これ
だけは逆でありまして、一番低くならなければならな
いわけであるのに、一番高いということで、これも人
口が減っているということでございます。
そういう意味では、合併の後の対応をどうしていく
のか。それから、人口減少がこれから起きてきます。
さらに、更新の時期を迎えてきます。合併をして、私
どもが流域から外れますと、補助率が全然違ってきま
す。流域の段階では私どもは6分の1ですか、それ
が、2分の1になってしまうわけです。これはとても
じゃないけれど、こういう話にはならないわけであり
ますから。
かけ声の sustainable というようなこと、あるいは
ここに書いているような活用・再生ということを、私
はそのとおりだと思っていますが、それをやるために
は、私が今申し上げました3つのことを、どうやって
解決するのか具体的なところで議論をお願いしたいと
思っているところであります。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
引き続きまして、岐阜県山県市の林市長さんからお
願いいたします。
岐阜県山県市(林市長) 失礼します。岐阜県の
山県市でございます。
私どもの町は平成 15 年の4月1日に合併をしまし
て、それまで2町1村でございましたけれども、1つ
の町と1つの村はおおむね集落排水事業で行っており
ました。供用開始は平成 20 年の4月でございます
供用開始が遅れたこともありまして、町の中も合併
浄化槽がかなり普及をしております。事業の着手が遅
いこともございまして、4~5人の一般家庭の下水道
料金が 4,000 数百円になり、かなり料金が高くなって
います。あと3年ほどで現在の、全体の計画が完成し
ますが、多く見積もっても 50%行かないのではない
かということが見込まれておりまして、課題として
は、少しでも、事業者の方につきましては、割り増し
で単価が高くなっていますけれども、そういった単価
を下げながら、少しでも利用率を上げることが一番の
課題でございます。
そしてもう一つは、合併前の町ですが、これは山間
地でございまして、かなり広いエリアに、投資的な経
費が少なくなっています。これからビジョンによりま
して、進めていきたいというようなことを考えており
ます。以上でございます。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
それでは引き続きまして、奈良県斑鳩町、小城町長
さん、お願いいたします。
奈良県斑鳩町(小城町長) 今、国では汚水処理
が未普及の地域を解消すべく、早期の改正に向けた取
り組みの推進を示され、3省統一の都道府県構想策定
マニュアルが策定されました。都道府県に対し、早急
な構想の見直しを求められておるわけでございます。
そのような中、市町村においても、今後 10 年程度
をめどに汚水処理の改正を目指した、各種汚水処理施
設の整備に関するアクションプランを速やかに策定す
ることが求められておりますが、財政力の弱い町村が
おおむねとはいえ、10 年で整備を終えることは極め
て困難であります。
申すまでもなく、全国の町村においては公共下水道
の整備を鋭意推進しておりますが、都市部に比べて小
規模、分散的であることから、建設費や維持管理費が
割高となることの中で、コストキャップ手法や、クイ
ックプロジェクトなど、低コストの下水道整備手法を
積極的に取り入れるなど、それぞれの自治体が工夫を
重ねながら、それぞれの地域に合った手法を選択し、
財政部局とも十分協議した上で、完了年次を含め、計
画を立て、施策として責任を持って遂行しているので
あります。
このような自治体の実情を斟酌することなく、一律
におおむね 10 年と期限をくくられることは、決して
容認できるものではないと考えております。国の財政
状況も十分理解しておりますが、町村が置かれている
実情をくみとっていただき、財政力や技術力の弱い町
村に対しては引き続き支援を望むものであり、ぜひと
もそれらの町村に適した柔軟な対応をお願いしたいと
考え、意見とさせていただきます。
広島県呉市(小村市長) 小城町長さん、ありが
とうございました。
続きまして、鳥取県岩美町の榎本町長さんからお願
いします。
鳥取県岩美町(榎本町長) 別添の資料を用意し
ましたが、面的な整備はほぼ終えております。接続率
4
第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
は公共下水が 86.4%、集落排水が 94.5%、合併処理
の浄化槽が 79.7%ということで、公共に2処理区を
持っています。
公共の大谷処理区には平成元年に供用開始になった
漁業集落の排水処理施設があって平成 20 年頃に処理
場を統合いたしました。そうした中、昭和の終わり頃
から下水道に一生懸命取り組んでまいりました。補正
予算が出れば町も補正をして、汚水処理ができるよう
に取り組んできた経緯があります。
我が町には、国立公園の山陰海岸や渚 100 選や白砂
青松など国から指定を受けている環境があって、世界
ジオパークの仲間入りにもなっている地域でございま
す。そうしたこともあって、平成9年から町長をやっ
ていますけれども、下水道は、インフラの整備で町が
やらなければならない最も重要な事業という位置づけ
で取り組んでまいりました。
処理場については、平成 16 年に公共の浦富処理場
が完成して、接続を一生懸命行っていますが、コスト
的に非常に高いものについていまして、使用料が持参
した資料の3ページ目にあるように、20 立米当たり
で 4,494 円というような、全国の平均からすれば 1.7
倍になるような、全国でもベスト 10 に入る高料金と
いうことでございます。
それから、5ページに財政の見通しで、元利償還金
と償還の計画を載せていますけれども、平成 20 年に
起債が 45 億円ありました。償還のピークが 30 年ごろ
に参りまして、2億 9,000 万円近くを償還しなくては
ならなく、町の町税収入は 10 億円ございません。9
億円余りしかなくて、今後のシミュレーションをかけ
る中で、企業会計ということを想定すると、財政的に
破綻をしかねない状況を抱えています。
人口減少のなか、この町に住み続けてもらおうとい
うことの中では、近隣の下水道料金に比べて非常に格
差があります。
このように、高い投資になった経過としては、やは
り塩害対策であるとか、県の要請もあって水産加工団
地の処理水も入れるような処理場づくりを行ったこと
や、観光客の入り込みも入れることで、海水浴の地域
を抱えていますので、漁集でやった東区は 2,740 人と
いうような数字が出ています。これは人口で言えば、
1,000 人ないような地域的な状況がありまして、そう
した中で人口が減少し使用料は年々減ってしまう状況
にあります。
同様に、可燃ごみの分別も進んだりして、リサイク
ルも進めることもさることながら、やはり基本的に人
口が減るので、処理量も減ります。
こうした会に出させていただくことによって実情を
訴え、何かいい方策があれば、ぜひお教え頂きたい。
本日は、いても立ってもいられないようなことで出て
きたような経過であります。ありがとうございまし
た。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
続きまして、福岡県田川市の伊藤市長さんから、お
願いをしたいと思います。
福岡県田川市(伊藤市長) 初めて出席をさせて
いただきます。
本市は下水道事業に、今年度からアクションプラン
の策定に取り組んでいるところであります。皆さん方
のご報告を聞きながら感じたことは、このアクション
プランはモデル的に今、取り組もうとしているわけで
すけれども、やはり早く完成して、そして、安全で経
営管理がうまくいく方法……。どこも先進地は財政的
に公共下水道で行き詰まっていると。また、管理にも
いろんな課題を抱えているということをまず勉強させ
て……。我々としては、これはやらなければならない
事業であるということで、決死の覚悟で取り組んでい
ます。
下水道の未来を切り開くためには、やはり何らかの
早い方法、そして、この事業がもうかる事業じゃなく
ても、とんとんに行けるようなシステムづくりという
のを、知恵を出してつくっていかなければならないと
思っています。国に頼るだけではなくて、自ら何がで
きるかということもやはり踏まえた上で、これを進め
ていかなければならないと思っています。
そういう中で、10 年概成というのは大変重い課題
でもあるけれども、これができる方法が何らかにある
ならば、教えていただきたいし、また、これをやらな
ければ1つの目安が立たないと。10 年でできなけれ
ば 20 年で、20 年でできなければ 30 年という中に、ま
ず 10 年は1つの目安ではないかなと思っています。
非常に重いハンディキャップを負いながらも、これに
取り組もうとするのは、やはり将来に向けて、21 世
紀は環境の時代と言われながら、住民の暮らしをいか
に引き上げるか。
そういう中で今、直面しているのは、既に企業側か
ら、加入については非常に、この使用コストが高いと
いうような批判も出てきています。しかし、どうすれ
ば……。じゃあ、そういった企業について、入らなく
ても完全に処理をしていただければ、公共下水道では
なくても、自己で完全処理ができるような仕組みをと
いうことで、使用者責任も考えていかなければならな
いというように思っています。
行政の負担と、それぞれ個人が出す、または企業が
出す汚水処理について、いかにあるべきかをこの 10
年間、真摯に取り組んでいきたいと思っております。
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第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
今後とも、国、県の皆さんの技術的な助言等をいただ
きながら進めてまいりたいと思います。
将来にわたってはやはり、今後、国あたりから出て
きているような、今後の汚水処理だけではなくて、地
域環境、それから、自然災害における、こういったも
のへの波及を考えて取り組んでいかなければならない
と思っておりますので、今後ともどうかご指導のほど
をよろしくお願い申し上げまして、私の意見とさせて
いただきます。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
続きまして、福岡県うきは市の髙木市長さんから、
よろしくお願いします。
福岡県うきは市(髙木市長) 福岡県のうきは市
でございます。
当市は平成8年に供用開始をスタートしましたの
で、かなり後発に位置しているのですが、この 20 年
近くで汚水普及率が 93%まで進んできました。本来
ですと 27 年で完成する予定でしたが、一昨年の九州
北部豪雨で全域が甚大な被害を受け、当初計画より3
~4年延びるような状況になっていますが、しかしな
がら、大体完成が見えてきたかというような状態にあ
ります。
そういう中で、2つほど頭を痛めている話がござい
ます。
1点目は内部的な話ですが、非常に接続率が低く
て、6割しかありません。これをどう高めて、経営の
安定を図っていくかというのが、大きな課題であるの
と、もう一つは、3~4年で完成した場合に、最終的
に終末処理場の増設整備が必要になってきますが、増
設のタイミングが、国土交通省と、会計検査院のニュ
アンスが微妙に違っています。
会計検査院は処理状況の実態に視点を置くので、タ
イムラグが出てくるというか。仮に3~4年後に完成
しますと、全ての土木職員をそこに傾注しているので
すが、一旦そこからちょっと組織の見直しをして、下
水道担当者が不在となる。その後、接続率が上がって
きて、新たに終末処理場に手をかけるようになります
と、4~5年の空白が出てきて、技術力が非常に衰退
しているところをどうまた復元していくのかというの
が、非常に頭が痛いなと。
我々としては管渠工事の仕上げの段階に終末処理場
も増設したいという思いを持っていますので、そこは
国土交通省、下水道協会にご相談申し上げて、ぜひそ
ういうことをやらせていただきたいなと。こういう悩
みを持っているということであります。以上でござい
ます。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございま
す。
続きまして、長崎県川棚町の山口町長さんから、お
願いいたします。
長崎県川棚町(山口町長) 先ほど新下水道ビジ
ョンの説明を受け、その中でアセットマネジメントに
ついては5年以内にということ、それから下水道整備
についてはあと 10 年以内で概成をするというような
方向性が示されたわけでございますけれども、あと
10 年、下水道事業に財政負担ができるかという、そ
ういった厳しい問題に直面いたしております。
川棚町は長崎県でも早くから下水道事業に着手をし
たのですが、平成元年に事業着手をしまして、8年に
供用開始をしております。平成 20 年度で全体計画を
完成させようとしていましたが、現在も続けていまし
て、68.5%という状況でございます。
これから周辺部に事業を進めていきますので、事業
の効率化という問題も出てきまして、下水道事業で進
めるべきか、あるいは先ほども話がありましたが、合
併浄化槽に移行すべきではないかといったいろんな議
論をしております。
新下水道ビジョンを示していただきましたが、果た
してどの程度の国の財源、財政支援を町村にしていた
だけるのか、大変心配しているところでございます。
それから、特に高齢化が進んでいまして、水洗化率
が鈍化しています。そういったことで、下水道使用料
の収入も計画どおりに入ってきませんので、経営も大
変でございます。財政的に非常に厳しいので、支援を
ぜひ、国のほうでお願いしたいというのが率直な願い
でございます。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
コメントをいただいております首長の皆さんから今
ご発言いただきましたけれども、コメントをいただい
ておりませんけれども、ご出席いただいております首
長さん方に、またよろしくお願いをしたいと思いま
す。
まず北海道東神楽町の山本町長さんからお願いしま
す。
北海道東神楽町(山本町長) 初めて参加をさせ
ていただきました、北海道東神楽町の山本でございま
す。
私どもの町は旭川市の隣にありまして、旭川空港に
隣接しています。そのこともあって、下水道の供用開
始は昭和 57 年にはじまり、比較的早く供用開始をで
きたところでございます。
しかしながら、40 年近く経って、長寿命化計画を
立てているのですが、下水道をどうやって長く持たせ
るかという問題があります。
6
第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
私どもの町は、5,000 人ぐらいの町から、人口が増
えて、現在1万人を超えたところでございます。
その中で、昭和 50 年代に工事をした職員が退職す
ると、その後、平成元年から宅地開発をしていってい
ますが、開発行為でやっているものですから、実際に
役場の建設関係の職員で下水道工事を担当したことが
ない、という職員が増えてきています。その意味では
技術的な継承の問題、さらには、さまざまな事象があ
ったときに、どうやって対応するのかというのが、実
は問題になってくるところでございます。
今後はテクニカルな部分でありますとか、それか
ら、長寿命化に対する、特に私どもの町は寒冷地でご
ざいますので、寒冷地に適した工事の手法等々につき
まして、ぜひご指導をいただければというふうに思っ
ているところでございますので、どうぞよろしくお願
いいたします。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
それでは埼玉県和光市の松本市長さん、よろしゅう
ございますか。
埼玉県和光市(松本市長) はい。
広島県呉市(小村市長) お願いします。
埼玉県和光市(松本市長) 和光市でございま
す。
和光市では下水道供用開始から 30 年ほどたってお
りまして、これから更新等のビジョンを視野に入って
くるころになっております。
今年の6月 25 日に集中豪雨がありまして、内水氾
濫で駅前のアンダーパスがつかった様子が全国に流れ
まして、衝撃を受けました。この地域は分流式にして
いるのですが、内水氾濫で排除し切れない、105 ミリ
の雨が降った中でのことでした。今後の内水氾濫を防
ぐどういうふうな施設をつくったらいいのかなという
ふうなことも悩んでおりまして。そういったこともあ
りまして、今回参加させていただいたわけでありま
す。
1つは内水氾濫の際のことを踏まえて、事前にバイ
パスじゃないのですが、緊急用の施設をつくって、危
うくなったらそこに入れてしまうようなことを含め
て、果たしていいのかどうかとか、そういったことを
随分悩んでおります。以上でございます。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
続きまして、千葉県酒々井町の小坂町長さん、よろ
しくお願いします。
千葉県酒々井町(小坂町長) 酒々井町の小坂で
ございます。
私の町は、汚水対策につきましては平成 26 年度よ
り法的化をしております。今後、使用料での資金回収
等、その辺を明確にして経営を、確認していきたいと
考えています。
下水道につきましては、市街化区域は終わりました
が、調整区域が分散していまして、合併浄化槽でやる
しかないなという場所もありますが、それではないと
ころ、かなり人口があるところがありますが、そこへ
の事業をやりたくてもなかなか予算の確保ができない
ということで、非常に苦労しています。
それと、もう一つは浸水対策ですが、特に市街地で
の内水対策です。今までは時間 50 ミリという、実際
に話があると思いますが、私どもは、浸水対策は全く
未着手ですので、実際 10 ミリから 15 ミリくらいでか
なりつかってしまうようなところがございます。これ
をまた、今ゲリラ豪雨とかいろいろあって、50 ミリ
どころではない、100 ミリと、こういう話があります
ので、これに対する対応が必要です。
少し細かい話になりますが、それを地下の管とか、
ポンプで排水しようということになると、なかなか排
水先の河川部分が改修されていませんので、はけませ
ん。そういうことで、安価にやる方法としてはどうし
ても調整池といいますか、貯留池といいますか、その
辺とポンプをうまく組み合わせると、安価にできるの
かなというのがありまして、この辺のところも含めた
対応を、下水道できちっと対策が図れるといいのかな
と、思っております。
いずれにしましてもこれから、国が言われています
ように長寿命化計画といいますか、事業管理計画をき
っちり立てていく中で、しっかりとした下水道整備を
していきたいと思っています。
一番の問題が予算の確保だと思っていますので、予
算確保のときには最大限協力させていただきたいと思
っています。以上です。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございま
す。
先生、45 分ぐらいまでよろしゅうございますか。
佐田議員 大丈夫です。
広島県呉市(小村市長) それでは一通り回って
から、ちょっとコメントをいただきたいと存じます。
佐田議員 5時ちょっと前ぐらいまでは大丈夫です
から。
広島県呉市(小村市長) よろしくお願いしま
す。
それでは続きまして、佐賀県吉野ヶ里町の多良町長
さんから、お願いいたします。
佐賀県吉野ヶ里町(多良町長) 多良でございま
す。
吉野ヶ里町は、平成 18 年の3月に1万人の町と、
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第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
6,000 人の村が合併しまして、現在1万 6,200 人ぐら
いの町でございます。1万人規模の町が公共下水で、
6,000 人規模の村が集排で、処理場が3カ所あったと
ころでございます。平成4年ごろに設置され、全国で
も集排は全集落といいますか、村全体を全面的に網羅
したというのは全国で初めてということで、いろいろ
視察を、20 年ぐらい前は受けたところでございま
す。町のほうも全体的に、面的なものは大体終わって
います。
そういう中で、ポンプ等の更新をするとか、いろん
なところの修理等が今後出てきますが、現在お願いを
して、公共下水のほうに集排を全部つなぐことで、地
形的に山の裾野にあって、自然流下が可能なものです
から、その集排を全部公共下水につなぐというのを、
26 年、27 年でやっているところでございます。一部
の取り組みをされているところは、全国的にもあるか
と思いますけれども、全面的にするというのは私ども
のところではなかろうかと考えています。
特に全面的に下水の整備をしたということで……。
吉野ヶ里と隣の町が自衛隊の駐屯地を抱えているとこ
ろでございまして。それと、佐賀県では 10 市 10 町ご
ざいまして、鳥栖市というところと、私どもと、もう
一つの上峰の3市町が、佐賀県でもこれから先、20
年後は、私のところが減になっても 90%でとまるん
じゃなかろうかと。よそのところは 100%を超えるよ
うなところでございまして。県内でも進んで下水道事
業に取り組んできたということで、民間が宅地造成を
すると、造成の傍ら売れていくので、若い人たちは、
下水があるということで、魅力を感じていただいてい
るというように思っています。
そういう中で、今回、承認いただいて、つないでい
ただいたおかげで……。集排のところの地区に企業等
もあったのですが、集排はこれまで企業がつなぐこと
ができなかったわけです。それがつなげるようになっ
て、それもリンガーハットとかという、野菜を洗うよ
うな工場がございますので、大口のところをつなぐよ
うにしたものですから、相当な収入見込みができるよ
うに思っています。
そういう中では、今後企業誘致するにも公共下水と
いうようなことをピーアールしていけば、企業誘致も
まだまだ可能かなというように思っているところでご
ざいます。
そういう中で、課題としましては、合併浄化槽も余
りないのでくみとり業者が運営できなくなるので、集
落排水の施設の管理をさせていたのですが、管をつな
ぐことで、それができなくなってくるとくみとり業者
の存続が危うくなってきます。
値上げの要望等が来ていますが、この業者さんがな
くなってしまうと、個人の合併浄化槽なりを、誰がど
う管理するのかと。そういう業者さんを育成するとい
うのも、また1つの問題というように考えていまし
て、新たな、老朽化している管の管理なり、そういう
公共下水の中での業者さんに受け持ってもらう業務
が、どういったものがあるのかなというのが今後課題
であります。
その業者さんにも続けてもらわないことには、行政
としてくみとりをできるかというと、そういうわけに
もいきませんので。特殊な車両でもありますし、そう
いったところが非常に組合も強いもんですから、そう
いったところの中で、今後どういった対応をしようか
というのが、ちょっと悩みでございます。以上でござ
います。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
苓北町長さん、よろしゅうございますか。
熊本県苓北町(田嶋町長) はい。
広島県呉市(小村市長) それではよろしくお願
いします。
熊本県苓北町(田嶋町長) 熊本県の苓北町長の
田嶋でございます。
苓北町を議員会館で提出しますと、受付の方たちが
お読みになれません。振り仮名をつけておりますが、
苓北の苓というのは甘い草、カンゾウという意味で
す。薬の原料になる甘草です。苓北町は熊本県の西南
に浮かぶ、120 余りからある天草諸島の一番大きな
島、下島というんですけど、そこの最北端に私の町が
ございます。ちょうど有明海の出入口、町長室からは
雲仙普賢岳、そして長崎市の野母半島、そして鹿児
島、それだけしか見えません。あとは一衣帯水、東シ
ナ海、中国大陸でございます。
国立公園の真っただ中で、すばらしい環境を誇って
いたわけでございますが、有明海側の閉鎖水域が非常
に汚れているということで。私は平成3年1月から町
長をやっていますが、最初の選挙のときに、下水道を
やるのは町長じゃなければだめだということで方向転
換をいたしまして、町長選に立候補いたしました。立
候補したときの第一声が、海の汚れは町民皆様方が毎
日流される生活排水が原因ですと。下水道を整備し
て、公共水域の環境浄化をいたしますということを申
し上げて、それから計画が始まったわけでございま
す。
やはり人口が少ない上に、山間部と平野部が大分分
かれておりまして、山間部はやはり合併浄化槽じゃな
いかなということで、と、農業集落排水事業を併用い
たしました。そして住宅密集地域については特定環境
保全公共下水道をお願いしたところでございます。
8
第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
これは非常にお国の、ここにもいらっしゃる方々の
ご支援、ご指導で随分早く進んだんですが、進んだ一
因はそういったご支援があったということと、県から
の補助が全くなかったから早く進んだのではないかな
と、県に対していつも皮肉を申し上げております。そ
ういった意味で、本当に県の補助があると一定金額で
区切られますので、なかなか進み具合が悪くなるとい
うことで。
先ほど、流域下水道に県が相当お金を出しておられ
るというのを聞きましたら、非常にうらやましく思い
ました。我々も2分の1補助をいただきまして、今、
ちょうど借金のピークを過ぎたところでございます。
先ほどから皆様方がおっしゃったとおりでございまし
て、人口は減っていく、経営はどうするかと。
こういった過疎地域でございますので、経営のこと
を考えたら絶対にやれない仕事だと覚悟をいたしてお
りました。そういった意味で、上水と下水は国民が全
て享受できるナショナルミニマムだと常に思っていま
す。ですから、財政の許す限りとことん努力をしなが
ら下水道を、今、全面やり遂げましたけれども。
やはりどこも同じで、高齢者の方々はなかなか入っ
ていただけません。やっぱりその辺のところの解決策
をどうするかということが課題になっていますし、企
業会計に早くしろということをおっしゃっていただい
ているんですが、企業会計になれるわけがないんで
す。これは一般会計から出さないとできないです。
要するに密集地域と過疎地域の、そこが差なんで、
経営が成り立つところは本当にうらやましいわけです
が、でも、経営が成り立たないからといって、下水道
をやめるというわけにはいかないんです。これは絶対
に一人一人にとって大事なものですから。
そこのところをどう解決していくのかというのは、
我々の努力も大事ではございますが、きょうは佐田先
生もお見えになっておられます。やっぱりお国の力、
あるいは県の協力、そして当然、それを享受する町
民、市民、住民の方々の協力も大変大事になってくる
と思います。そういった意味では、全てが協力し合っ
た中で、下水道をしっかり守っていければいいなと、
そういうように思っているところでございます。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
一通りご発言をいただきました。お聞きしながら、
全く同じ共通した課題と、それから、各市町によって
こういう問題もあるのかというような、いろんな点を
お聞かせいただきましたけれども。
時間が迫ってまいりましたので、先生のご予定もあ
るかと思いますので、恐縮ですが先生からご発言をい
ただけたらお願いをいたしたいと思います。
佐田議員 こういう機会を、私も単独でうちの
……。私は群馬県ですから、群馬県は前橋市というの
が 30 万都市で、あとは大体小さい町が多いんです。
沼田市というのが4万人ぐらいですから、そういう意
味では本当に小さい町、村が多いんですけれども、そ
ういうところからいろいろ聞いているんですけれど
も、きょうの日本全国の、基礎自治体の皆さん方の、
本当にいろんな立場のいろんなお話がありまして、聞
いておって私も非常に勉強になりました。まだまだい
ろんな意見があろうかと思いますし、それに皆さんは
もっとざっくばらんに言いたいなと、こういうふうに
お思いなんじゃないかなと、こういうふうに思ってい
ます。
はっきり言って、地方の財政面では大変な状況でも
ありますし、合併は今もお話があるように、合併をや
ったら今度は流域から公共下水にしろと言って、補助
率が変わると。こんな話があるかというご不満もあろ
うかと思いますし。
群馬県も随分合併したんです。相当に合併しており
ますし、そういうご批判も、私も受けています。
10 年単位でこういうビジョンをつくってやりなさ
いよと言っても、なかなかこれは予算の問題もある
し、使用料の問題もあるから、大変ご苦労をかけてい
るんだなと。だから、我々もちゃんと予算を組んで、
しっかりとやっていかなくてはいけないし。
それは、例えば住んでいる方々にすれば、下水とい
うのは見えないから、もっと違うところに予算をつけ
たらどうだなんて言う人もいるんです。ただ、やっぱ
り文化地域というように考えたら、下水だとか合併浄
化槽はしっかりと整備していく。今お話があったけれ
ども、切実に思います。
企業なら、もうからないところはやらなくていい
と。だけど、水の浄化というのは、この辺は人がいな
いからやらなくていいというわけにはいかないですか
ら。そういう意味におきましては、我々はしっかり
と、これはユニバーサルサービスじゃないけれども、
地域のために全力でやっていきたい。
明日の朝8時から、下水道の議員連盟があります。
皆さん方の意見を議員の皆さん方に、報告をしますの
で、しっかりと皆さん方が意志を統一して、地域の、
基礎自治体のために全力で頑張っていただきたい。
中央が行革をするにしろ、地方分権をするにしろ、
私はこういう会は非常に重要だと思います。これから
は県もそうだけれども、やっぱり基礎自治体の皆さん
方の意見を中心にやっていかなかったならば、日本全
体の本当の意味の行革であるとか地方分権はできない
と。私はそういうふうに思っていますから、これから
もそういう意味で続けていきたいと、こういうふうに
9
第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
思っています。
我々も基本的には今、集落排水と公共下水、流域下
水、合併浄化槽、これをあした、議連で議論すると思
いますが、部長さんは来られるかどうかわかりません
が、そういう中でしっかりと議員として、どういうふ
うにビジョンを持ってやっていくのか、地域はどうい
うふうにして、我々は支えていくのかと、こういうこ
ともしっかりと我々は考えていきたいと思います。
簡単に言うと、下水だと、公共下水と集落排水をど
うするの、これからと。それとか、または、この合併
の話もありましたけれども、あとはやっぱり合併浄化
槽、こういうふうな組み合わせをどうしていくのかと
いうことを、具体的に議論していきます。
先ほどもよい話を聞いたんだけれど、うちもそうだ
けど、集落排水は閉じてしまっているわけです。そこ
に集落排水のための処理場だとか、公共下水のための
処理場じゃなくて、集落排水を公共のほうの処理場に
つないで、やって、できるだけ使用料を下げることに
よって、工場等に来てもらって活性化を図っていく。
これは非常に今、吉野ヶ里の多良町長さんのお話でし
たけど、なるほどと。うちのほうもじゃあ、それをや
らせようかなと。
そういうことをこれから、例えば道路だけ来て企業
誘致といっても、なかなか難しいですから、そういう
ところでできるだけ、接続料だとか、または使用料を
安くして来てもらうと。こういう、やっぱり今までみ
たいに集落排水は集落排水、工業用水は工業用水、合
併浄化槽は合併浄化槽じゃなくて、お互いに協力しな
がら、やっていくという考え方というのは、もっと、
きょうは部長さんもお見えですが、余り壁をつくらず
に、各役所でそういういい案が来たらどんどん取り入
れて、無駄をなくしていくということは、非常に大事
だなと、今つくづくと感じています。
それと今、PFIの話。皆様方も本当に財政はご苦
労されているんだなと、今聞いておって。この間、浜
松の市長さんと、宮城の知事さんも来て、話してい
て、PFIでどうしても下水道をやりたいと。浜松も
大きい市だけれども、やっぱり財政も厳しいんだなと
つくづくと思いました。
だからその中で、できるだけ、例えば民間がやって
くれるということになれば、民間に対してある程度イ
ンセンティブは与えてやらなくてはいけないわけで
す。ここはニーズが少ないから、ほったらかしだなん
て、民間のレベルの考えでやられたら困るわけですか
ら、それに対してきちっと全部やってもらうためのイ
ンセンティブを、国としても予算以外でも、税制面と
か、規制緩和であるとか、こういうことでしっかり
と、やっていかなくてはいけないと思います。
例えば、固定資産税を少なくするとか、いろんな意
味で、法人税の問題とか、こういうことを含めて、や
ろうというところの企業に対しては、我々もPFI、
PPPで対応していきたいなと。
私も今、PFIの会長をやっていますので、成長戦
略でコンセッション事業を、日本全国で 10 兆円ぐら
いしようと、こういうふうに今考えています。関西国
際空港は今、なかなか売れないんだけど、2兆数千億
円で売り出しているんですけど。仙台はこの間、知事
が来て、仙台空港もコンセッションでやると、こうい
うふうに言っていますから、いろんな意味で……。
ただ、きょうはちょっと下水の話で、こんなことを
言って申しわけないんだけれども、公的な土地という
のが必ずあります。公的な土地。だから、私はこの
間、自分の、群馬県の市長さんが来て、学校を建てた
いと言って。でも、財政が厳しいんで、お金がない
と。
じゃあ、市長さん、周りにちょっと何かいい土地が
あって、その公的な場に、何でもいいからお金のもう
かる施設をつくって、民間の人に収益施設をつくって
もらって、そこの賃料で少し学校を建てる費用に充て
たらどうですかというふうに言ったんですけど。
皆さんこれから……。全然話が離れて本当に申しわ
けないんだけど、PFIというのはどういうことなん
だろうと。よくわかんないなという人も相当いると思
うんです。そのときに今までだと、今、国土交通省が
この間、各市町村だとか県だとかに対して、PFIの
募集をしたんです。そうしたら、半分ぐらい当選、当
選というかうまくいって、2,000 万円~3,000 万円の
調査費みたいなのをつけたと。あとの半分はだめだ
と。
だから、そういうことは今度からやめなさいと言っ
ています。今は地方の創生をやっているんだから、も
しもわかんないんだけどやりたいんだというところに
対しては、国から、要するにPFI室から行って、相
談に乗りなさいと言っています。
ぜひ、これは関係ないんだけれども、うちはどうな
の、やれるのかなPFIというのがあったならば、内
閣府にPFI室、国土交通省にもPFIの担当があり
ますから、私が全部の担当ですから、よく言ってあり
ますから。相談に来たら必ず受けて、懇切丁寧に説明
しなさいと。この下水もやりたいというところは結構
来ていますので。
ぜひ、そういう意味においては、皆さん方の意見
を、あしたの下水道の議員連盟でしっかりと皆さん方
にお伝え申し上げます。以上です。ありがとうござい
ました。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
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第8回市町村の下水道事業を考える首長懇談会
た。
先生、本当にお忙しいところを、大変ご理解をいた
だいたご発言をいただきまして、ありがとうございま
した。
佐田議員 きょうは本当に、地域でご苦労されて
いる皆さん方の生の声を聞けて、大変勉強になりまし
た。どうもありがとうございました。今後ともよろし
くお願いいたします。
広島県呉市(小村市長) ありがとうございまし
た。
あしたの議連、よろしくお願いします。ありがとう
ございました。
先生、ありがとうございました。
(佐田議員退席)
この後、オブザーバー参加の国土交通省塩路下水道
部長から、10 年概成推進に向けての各自治体の理
解、協力と前向きな取り組みへの期待及び国交省の支
援について、また、市町村合併と流域再編についての
各県と自治体との円滑な協議への期待、既存の処理施
設の能力アップのための担体投入などの手法の紹介、
100 ミリ安心プランと河川部局との連携などについて
ご助言をいただくとともに、国交省としても下水道事
業推進に向けて、各自治体が抱える課題、悩みなどの
相談について積極的に対応していく所存だとの発言が
ありました。
以上。
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