世界のITS動向(2013年版第6章より)

2013年版
第 6章
世界のITS動向
2013年版
第 6 章 世界の I TS 動向
まとめ:日米欧 3 極の ITS 動向の概観、欧州、米国の交通、ITS に関わる政策、戦略
およびプロジェクトの動向、アジア太平洋地域の国や地域の交通や ITS の状況等、最
新の動向を交え世界の ITS の動きをまとめた。特にミャンマーを新たに加えた。ま
た、第 19 回 ITS 世界会議ウィーン、第 12 回アジア太平洋地域 ITS フォーラムクアラ
ルンプールの報告を資料編に掲載した。
ティリティ、交通等を包含し全体での最適化を図るスマー
波数帯の設定が日本・米国で行われ、欧州でも検討されて
トシティ構想の議論も活発化してきている。
いる。将来に向けては、自動車専用の周波数の活用も検討
交通情報、安全情報の受信、通信網の完備に関し、本
されている。
来の目的以外にもいろいろな応用が考えられており、特
一方、スマートフォンとそのコンテンツサービスの利
に DSRC での決済機能があるものは、駐車場の支払いなど
用増による携帯電話のデータ通信量の増大に対応すべ
いろいろな用途での活用が進められている。既存の通信
く、より電波利用効率、応答性がよい LTE(Long Term
メディアとして携帯電話網の活用、専用狭域通信、FM 放
Evolution)が導入されてきている。この LTE システムを
送、地上デジタル放送、衛星放送などがある。さらに先進
ITS にも利用していく動きもでてきており、今後安全分野
的なアプリケーションを導入していくために DSRC 専用周
への応用も検討段階にきている。
図表 6 − 1 DSRC の ITS 専用周波数の割り当て
1. 概説
1)日米欧の ITS の取り組み
Car2Car コンソーシアムをベースとした協調システムの
EC プロジェクト(DRIVE C2X)の推進と、EU 全域にわ
①政策および戦略
たるクロスボーダーな eCall の実現に力を入れている。
日米欧ともに、まだまだ経済的不況を十分には脱してい
米国においては、Connected Vehicle Research におい
ないが、将来に亙る持続的経済成長のためのモビリティの
て、2013 年に予定されている Regulatory Decision を実用
拡大と効率化という観点から、道路・鉄道・海運における
化への大きなマイルストーンと考え、車車間協調システム
総合的交通インフラ整備において、安全および環境、すな
に関するドライバーの受容性判断のためのデータ収集、分
わち効率化とエネルギー消費、CO2 削減の両立が必須であ
析を目的とした Safety Pilot が進められている。
り、そのためにはグローバルな ITS の活用・普及促進が重
日本においては、すでに ITS スポットサービス(DSRC)
要であるとの考え方のもと、戦略的、積極的な取り組みが
や DSSS が実用化フェーズ入って来ており、どう拡げてい
進められている。
くかに論点が移ってきている。また、IT 戦略本部が 2010
年 5 月に新たな情報通信技術戦略をスタートさせ、2011 年
②予算
12 月には関係府省庁、産業界からの委員からなる ITS 推
日本では、研究開発予算、実行予算とも各省庁ごとに策
進協議会が設置され、発展 ・ 普及の促進が図られている。
定、運用されるが、費目が大くくりのため、欧米に比べ全
また、東日本大震災の経験を経て、災害時への ITS の役割
容がやや見えにくくなっている。
の重要性の認識を踏まえ、具体的な適用について取り組み
欧州では、欧州委員会(EC)が、統合化された研究開発
が加速されてきている。
プログラム(フレームワークプログラム)等に予算を配分
し、多くの研究開発プロジェクトを推進してきたが、課題
も浮き彫りになって来ていたため、2010 年に策定された
2)ITS を取り巻く環境および通信環境
(出典:S.Oyama,"Spectrum Allocation for Wireless LAN and ITS in Japan" IEEE802.11-11-0090r2,Jan.2013.)
3)標準化
ITS の技 術は、情報 技 術と通信技 術であり、国際 標
案を進めている。また、米国の ITS 通信システム WAVE
準化は、図表 6 − 2 に示すように ISO(国際標準化機構:
(Wireless Access in Vehicular Environments)は IEEE
International Organization for Standardization)、IEC
802 委員会で検討が進められている。この方式は欧州でも
(国際電気標準会議:International Electrotechnical
ほとんどの ITS 実証実験に使用されている。なお、標準化
情報受信端末として、スマートフォンの普及は著しく、
Commission)、JTC1(合同専門委員会 1:Joint Technical
における国際協調として、日米欧において、各々 2 者間で
する重要な手段の一つとして、予算配分の枠組み全体が見
多くのユーザーが ITS 関連サービスに関心を向けるきっか
Committee1)および ITU(国際電気通信連合:International
の協力関係の契約が締結された。対象としては、車車間、
直され、あらたに 2014 年~ 2020 年の研究・イノベーショ
けとなっている。このため、モバイルによるコネクティビ
Telecommunication Union)などで行われている。なかでも
路車間協調システムが選定され、研究開発と国際標準化の
ンへの予算枠組みとして “HORIZON2020” が策定された。
リティと位置情報サービスによるシステムが創出されるこ
ISOの TC204(Technical Committee204)が中心的な存在で
取り組みの効率化と促進が図られている。2009 年 1 月に、
米 国 で は 、 連 邦 の 陸 上 交 通 予 算 が 連 邦 運 輸 省( U S
とで、複雑なシステムが多くのユーザーにとって使いやす
ある。
欧州委員会の情報 ・ メディア総局(DGINFSO;現在は
DOT:US Department of Transportation)の管理の下で、
いものになって来ている。スマートフォン、コンテンツ /
現在の TC204 の WG(分科会:Working Group)の組織
DG CONNECT:2012 年 7 月に改称)と US DOT の RITA
費目、実施責任が明確にされているが、実行フェーズでの
サービス等のテレコム業界が新たに ITS へ流れ込んできて
構成は図表 6 − 3 の通りである。日米欧とも実用化フェー
(Research and Innovative Technology Administration)
運用は、各州ごとに権限があるため各州政府の合意が必要
おり、ITS 自体に変革を起こし始めている。一方、環境へ
ズに入って来ている自律型システムや車車間、路車間協調
が期間 5 年間の ITS 研究開発と国際標準化に関する協力の
になっている。
の ITS の活用がますます求められてきている。渋滞緩和技
システム等の安全運転支援システムについては、システ
覚書に署名した。引き続き、2010 年 10 月には、国土交通
術や EV、ハイブリッド等の次世代車の導入や物流におけ
ムのグローバルな展開のために、標準化が戦略的にも重
省道路局と RITA との間で協力覚書が締結された。さら
③プロジェクト等の取り組み
る輸送需要マネジメント、隊列走行、マルチモーダル等、
要な課題となって来ている。5.8GHz 帯狭域通信やミリ波
に、2011 年 6 月には、国土交通省道路局と DGINFSO との
欧 州 に お い て は 、 開 発 ・ 研 究 か ら 実 証 実 験( F O T )
多角的、総合的に取り組みが進められているが、今後の都
ITS 通信システムについては、ITU-R で検討がなされ、日
間で協力覚書が締結された。
フェーズへの移行をさらに推し進めてきている。特に、
市のあり方の観点から、IT をベースにエネルギー、ユー
本から 700MHz 帯を使った高度 ITS 無線システムの技術提
ISO に関する最近の主な動きとしては、WG8(公共交
212
213
第6章
欧州の中期成長戦略 “Europe 2020” の実行を確実なものと
2013年版
第 6 章 世界の I TS 動向
まとめ:日米欧 3 極の ITS 動向の概観、欧州、米国の交通、ITS に関わる政策、戦略
およびプロジェクトの動向、アジア太平洋地域の国や地域の交通や ITS の状況等、最
新の動向を交え世界の ITS の動きをまとめた。特にミャンマーを新たに加えた。ま
た、第 19 回 ITS 世界会議ウィーン、第 12 回アジア太平洋地域 ITS フォーラムクアラ
ルンプールの報告を資料編に掲載した。
ティリティ、交通等を包含し全体での最適化を図るスマー
波数帯の設定が日本・米国で行われ、欧州でも検討されて
トシティ構想の議論も活発化してきている。
いる。将来に向けては、自動車専用の周波数の活用も検討
交通情報、安全情報の受信、通信網の完備に関し、本
されている。
来の目的以外にもいろいろな応用が考えられており、特
一方、スマートフォンとそのコンテンツサービスの利
に DSRC での決済機能があるものは、駐車場の支払いなど
用増による携帯電話のデータ通信量の増大に対応すべ
いろいろな用途での活用が進められている。既存の通信
く、より電波利用効率、応答性がよい LTE(Long Term
メディアとして携帯電話網の活用、専用狭域通信、FM 放
Evolution)が導入されてきている。この LTE システムを
送、地上デジタル放送、衛星放送などがある。さらに先進
ITS にも利用していく動きもでてきており、今後安全分野
的なアプリケーションを導入していくために DSRC 専用周
への応用も検討段階にきている。
図表 6 − 1 DSRC の ITS 専用周波数の割り当て
1. 概説
1)日米欧の ITS の取り組み
Car2Car コンソーシアムをベースとした協調システムの
EC プロジェクト(DRIVE C2X)の推進と、EU 全域にわ
①政策および戦略
たるクロスボーダーな eCall の実現に力を入れている。
日米欧ともに、まだまだ経済的不況を十分には脱してい
米国においては、Connected Vehicle Research におい
ないが、将来に亙る持続的経済成長のためのモビリティの
て、2013 年に予定されている Regulatory Decision を実用
拡大と効率化という観点から、道路・鉄道・海運における
化への大きなマイルストーンと考え、車車間協調システム
総合的交通インフラ整備において、安全および環境、すな
に関するドライバーの受容性判断のためのデータ収集、分
わち効率化とエネルギー消費、CO2 削減の両立が必須であ
析を目的とした Safety Pilot が進められている。
り、そのためにはグローバルな ITS の活用・普及促進が重
日本においては、すでに ITS スポットサービス(DSRC)
要であるとの考え方のもと、戦略的、積極的な取り組みが
や DSSS が実用化フェーズ入って来ており、どう拡げてい
進められている。
くかに論点が移ってきている。また、IT 戦略本部が 2010
年 5 月に新たな情報通信技術戦略をスタートさせ、2011 年
②予算
12 月には関係府省庁、産業界からの委員からなる ITS 推
日本では、研究開発予算、実行予算とも各省庁ごとに策
進協議会が設置され、発展 ・ 普及の促進が図られている。
定、運用されるが、費目が大くくりのため、欧米に比べ全
また、東日本大震災の経験を経て、災害時への ITS の役割
容がやや見えにくくなっている。
の重要性の認識を踏まえ、具体的な適用について取り組み
欧州では、欧州委員会(EC)が、統合化された研究開発
が加速されてきている。
プログラム(フレームワークプログラム)等に予算を配分
し、多くの研究開発プロジェクトを推進してきたが、課題
も浮き彫りになって来ていたため、2010 年に策定された
2)ITS を取り巻く環境および通信環境
(出典:S.Oyama,"Spectrum Allocation for Wireless LAN and ITS in Japan" IEEE802.11-11-0090r2,Jan.2013.)
3)標準化
ITS の技 術は、情報 技 術と通信技 術であり、国際 標
案を進めている。また、米国の ITS 通信システム WAVE
準化は、図表 6 − 2 に示すように ISO(国際標準化機構:
(Wireless Access in Vehicular Environments)は IEEE
International Organization for Standardization)、IEC
802 委員会で検討が進められている。この方式は欧州でも
(国際電気標準会議:International Electrotechnical
ほとんどの ITS 実証実験に使用されている。なお、標準化
情報受信端末として、スマートフォンの普及は著しく、
Commission)、JTC1(合同専門委員会 1:Joint Technical
における国際協調として、日米欧において、各々 2 者間で
する重要な手段の一つとして、予算配分の枠組み全体が見
多くのユーザーが ITS 関連サービスに関心を向けるきっか
Committee1)および ITU(国際電気通信連合:International
の協力関係の契約が締結された。対象としては、車車間、
直され、あらたに 2014 年~ 2020 年の研究・イノベーショ
けとなっている。このため、モバイルによるコネクティビ
Telecommunication Union)などで行われている。なかでも
路車間協調システムが選定され、研究開発と国際標準化の
ンへの予算枠組みとして “HORIZON2020” が策定された。
リティと位置情報サービスによるシステムが創出されるこ
ISOの TC204(Technical Committee204)が中心的な存在で
取り組みの効率化と促進が図られている。2009 年 1 月に、
米 国 で は 、 連 邦 の 陸 上 交 通 予 算 が 連 邦 運 輸 省( U S
とで、複雑なシステムが多くのユーザーにとって使いやす
ある。
欧州委員会の情報 ・ メディア総局(DGINFSO;現在は
DOT:US Department of Transportation)の管理の下で、
いものになって来ている。スマートフォン、コンテンツ /
現在の TC204 の WG(分科会:Working Group)の組織
DG CONNECT:2012 年 7 月に改称)と US DOT の RITA
費目、実施責任が明確にされているが、実行フェーズでの
サービス等のテレコム業界が新たに ITS へ流れ込んできて
構成は図表 6 − 3 の通りである。日米欧とも実用化フェー
(Research and Innovative Technology Administration)
運用は、各州ごとに権限があるため各州政府の合意が必要
おり、ITS 自体に変革を起こし始めている。一方、環境へ
ズに入って来ている自律型システムや車車間、路車間協調
が期間 5 年間の ITS 研究開発と国際標準化に関する協力の
になっている。
の ITS の活用がますます求められてきている。渋滞緩和技
システム等の安全運転支援システムについては、システ
覚書に署名した。引き続き、2010 年 10 月には、国土交通
術や EV、ハイブリッド等の次世代車の導入や物流におけ
ムのグローバルな展開のために、標準化が戦略的にも重
省道路局と RITA との間で協力覚書が締結された。さら
③プロジェクト等の取り組み
る輸送需要マネジメント、隊列走行、マルチモーダル等、
要な課題となって来ている。5.8GHz 帯狭域通信やミリ波
に、2011 年 6 月には、国土交通省道路局と DGINFSO との
欧 州 に お い て は 、 開 発 ・ 研 究 か ら 実 証 実 験( F O T )
多角的、総合的に取り組みが進められているが、今後の都
ITS 通信システムについては、ITU-R で検討がなされ、日
間で協力覚書が締結された。
フェーズへの移行をさらに推し進めてきている。特に、
市のあり方の観点から、IT をベースにエネルギー、ユー
本から 700MHz 帯を使った高度 ITS 無線システムの技術提
ISO に関する最近の主な動きとしては、WG8(公共交
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第6章
欧州の中期成長戦略 “Europe 2020” の実行を確実なものと
2013年版
通)において、公共交通の運賃支払いに係わる標準化が最
(DT)を設置して、他の WG の協力を得つつ、規格作成を
終段階に入りつつある。一方、日本から旅行者情報提供の
進めている。更に 2 つの SWG;SWG1(Harmonization)、
ための標準化を提案し、欧米と協調をとりながら標準化を
SWG2(Gap analysis)を新設し、全体的な調和活動を推進
推進している。日本では、ナビタイムや乗換案内等、既存
しようとしている。特に SWG2 に関しては、日本のリー
のシステムに代わる新しいシステムについて国土交通省
ダシップが期待されているが、活動の焦点を明確にする必
の標準方式の導入を計画している。WG14(走行制御)に
要がある。
ついては、本年 4 月のシアトル会議において、危険通知、
<参考>
車線逸脱防止、歩行者衝突回避に関し、日本から新たに
DT1:欠番
PWI(予備作業項目)を提案する予定である。また NP(新
DT2:Application management
作業項目)になった駐車支援に関し、ドイツと分担して規
DT3:LDM
格作成を進めることになった。WG16(広域通信)につい
DT4:Architecture
ては、欧州の M453 に対応し、ETSI が規格作成を急ピッ
DT5:Applications/In-vehicle signage
チで進めてきた。これらの成果が WG16 に反映され。既
DT6:Message handling
存の ISO 規格の見直しが欧州主導で進められている。一
DT7:Applications/Contextual Speeds
方、日本はプローブに注力しており、最近はプローブサー
DT8:C-ITS Message Set
ビスアーキテクチャの PWI 提案を行い、プローブ標準化
DT8.1:SpaT,MAP,SRM,SSM
の主導権を確保するべく検討を進めている。また、WG18
DT8.2:PVD,PDM
(協調システム)については、8 つのドラフト作成チーム
図表 6 − 3 ISO/TC204 組織図
(出典:公益社団法人自動車技術会「ITS の標準化 2012」)
DT8.3:IVI
4)日米欧 3 極の ITS 推進組織の概要
図表 6 − 2 ITS に関する標準化機関等の関連図
①組織概要
図表 6 − 4 に ERTICO、ITS Japan、ITS America の組織概要を示す。
図表 6 − 4 ITS Japan、ITS America、ERTICO の組織概要
ITS Japan
設立
設立経緯
(役割)
法人格
ERTICO-ITS Europe
1991 年 IVHS America
1994 年 ITS America(名称変更)
1991 年 ERTICO
ITS 世界会議のアジア太平洋地域(AP)の
事務局
米国運輸省の ITS の諮問機関(法律で規定)
現在は普及促進団体
EC、各国運輸省、欧州産業界の主導
NPO(2005 年)
NPO ベルギー法による会社組織
会長
渡邉浩之
(出身母体) (トヨタ自動車)
Ann Flemer
Gunter Zimmermeyer
(Metropolitan Transportation Commission) (Robert Bosch)
会員数
256
446
100
職員数
32 名
約 25 名
約 30 名
事業規模
約 188 百万円(FY2012)
約 5.3 百万ドル(FY2010)
約 5.68 百万ユーロ(FY2011)
年会費
・一般会員
・理事会社
・常任理事会社
・学は個人会員
・官の規定なし
・入会金
・民間:
$800 ~ $17,000
(売上げにより設定)
・公共分野:
国関連 $800 ~ $2,850
学 $1,150
他
・一般
・官
EU 加盟国
EU 非加盟国
(投票権なし)
・入会金
会員構成
民間
団体
個人会員
地域 ITS 団体
民間
46%
公共分野 54%
民間
官
インフラオペレータ
民間会員
NEC、沖電気、住友電気、デンソー、
東芝、トヨタ、日産、パナソニック、
日立、富士通、本田技研、三菱電機、他
インフラ
オペレータ
会員
その他
会員
¥30 万
¥150 万
¥300 万
¥1 万
¥20 万
61%
10%
24%
5%
関係 4 省庁関連団体
中日本高速道路、日本電信電話、
KDDI、他
AAA, AT & T, Battelle, BMW,
California DOT, Chrysler, Delcan,
Denso International America, Econolite,
ERTICO, Ford, GM, Hewlet-Packard, Honda,
IBM, Hi-Tech Solutions, Intel, Iteris,
JAFA Technologies, Kapsch TrafficCom,
KPMG LLP, Laser Technology,
Michigan DOT, NAVTEQ, Nevada DOT,
Park Assist, Qualcomm, Reytheon Company,
SAE, SWRI, Simrex, Telvent, Tom Tom,
Toyota, TRANSCOM, UCLA,
VolvoTechnology of America, Xerox,
Ygomi LLC 他
€ 30,000
€ 15,000
€ 30,000
€ 10,000
44%
31%
5%
Ericsson, TomTom, Logica, Nokia, AVL,
Denso, NEC, Bosch, BMW, Fiat, Nissan,
Toyota, Honda, Volvo, 他
Austria, Czech, Belgium, France, Germany,
Hungary, Ireland, Italy, Norway,
Saudi Arabia, Spain, Sweden, Netherland, UK
他
ASFA, ASFINAG, Egis, Kapsch, Siemens,
Vodafone Q-Free, Xerox 他
ACEA, FIA, innovITS, IRU 他
(注:ITS Japan のデータは 2013 年 4 月 1 日時点。ERTICO、ITS America は 2011 年度年次報告書を参考とした。
)
214
215
第6章
官公庁
会員
(出典:公益社団法人自動車技術会「ITS の標準化 2012」
)
ITS America
1994 年 VERTIS
2001 年 ITS Japan(名称変更)
2013年版
通)において、公共交通の運賃支払いに係わる標準化が最
(DT)を設置して、他の WG の協力を得つつ、規格作成を
終段階に入りつつある。一方、日本から旅行者情報提供の
進めている。更に 2 つの SWG;SWG1(Harmonization)、
ための標準化を提案し、欧米と協調をとりながら標準化を
SWG2(Gap analysis)を新設し、全体的な調和活動を推進
推進している。日本では、ナビタイムや乗換案内等、既存
しようとしている。特に SWG2 に関しては、日本のリー
のシステムに代わる新しいシステムについて国土交通省
ダシップが期待されているが、活動の焦点を明確にする必
の標準方式の導入を計画している。WG14(走行制御)に
要がある。
ついては、本年 4 月のシアトル会議において、危険通知、
<参考>
車線逸脱防止、歩行者衝突回避に関し、日本から新たに
DT1:欠番
PWI(予備作業項目)を提案する予定である。また NP(新
DT2:Application management
作業項目)になった駐車支援に関し、ドイツと分担して規
DT3:LDM
格作成を進めることになった。WG16(広域通信)につい
DT4:Architecture
ては、欧州の M453 に対応し、ETSI が規格作成を急ピッ
DT5:Applications/In-vehicle signage
チで進めてきた。これらの成果が WG16 に反映され。既
DT6:Message handling
存の ISO 規格の見直しが欧州主導で進められている。一
DT7:Applications/Contextual Speeds
方、日本はプローブに注力しており、最近はプローブサー
DT8:C-ITS Message Set
ビスアーキテクチャの PWI 提案を行い、プローブ標準化
DT8.1:SpaT,MAP,SRM,SSM
の主導権を確保するべく検討を進めている。また、WG18
DT8.2:PVD,PDM
(協調システム)については、8 つのドラフト作成チーム
図表 6 − 3 ISO/TC204 組織図
(出典:公益社団法人自動車技術会「ITS の標準化 2012」)
DT8.3:IVI
4)日米欧 3 極の ITS 推進組織の概要
図表 6 − 2 ITS に関する標準化機関等の関連図
①組織概要
図表 6 − 4 に ERTICO、ITS Japan、ITS America の組織概要を示す。
図表 6 − 4 ITS Japan、ITS America、ERTICO の組織概要
ITS Japan
設立
設立経緯
(役割)
法人格
ERTICO-ITS Europe
1991 年 IVHS America
1994 年 ITS America(名称変更)
1991 年 ERTICO
ITS 世界会議のアジア太平洋地域(AP)の
事務局
米国運輸省の ITS の諮問機関(法律で規定)
現在は普及促進団体
EC、各国運輸省、欧州産業界の主導
NPO(2005 年)
NPO ベルギー法による会社組織
会長
渡邉浩之
(出身母体) (トヨタ自動車)
Ann Flemer
Gunter Zimmermeyer
(Metropolitan Transportation Commission) (Robert Bosch)
会員数
256
446
100
職員数
32 名
約 25 名
約 30 名
事業規模
約 188 百万円(FY2012)
約 5.3 百万ドル(FY2010)
約 5.68 百万ユーロ(FY2011)
年会費
・一般会員
・理事会社
・常任理事会社
・学は個人会員
・官の規定なし
・入会金
・民間:
$800 ~ $17,000
(売上げにより設定)
・公共分野:
国関連 $800 ~ $2,850
学 $1,150
他
・一般
・官
EU 加盟国
EU 非加盟国
(投票権なし)
・入会金
会員構成
民間
団体
個人会員
地域 ITS 団体
民間
46%
公共分野 54%
民間
官
インフラオペレータ
民間会員
NEC、沖電気、住友電気、デンソー、
東芝、トヨタ、日産、パナソニック、
日立、富士通、本田技研、三菱電機、他
インフラ
オペレータ
会員
その他
会員
¥30 万
¥150 万
¥300 万
¥1 万
¥20 万
61%
10%
24%
5%
関係 4 省庁関連団体
中日本高速道路、日本電信電話、
KDDI、他
AAA, AT & T, Battelle, BMW,
California DOT, Chrysler, Delcan,
Denso International America, Econolite,
ERTICO, Ford, GM, Hewlet-Packard, Honda,
IBM, Hi-Tech Solutions, Intel, Iteris,
JAFA Technologies, Kapsch TrafficCom,
KPMG LLP, Laser Technology,
Michigan DOT, NAVTEQ, Nevada DOT,
Park Assist, Qualcomm, Reytheon Company,
SAE, SWRI, Simrex, Telvent, Tom Tom,
Toyota, TRANSCOM, UCLA,
VolvoTechnology of America, Xerox,
Ygomi LLC 他
€ 30,000
€ 15,000
€ 30,000
€ 10,000
44%
31%
5%
Ericsson, TomTom, Logica, Nokia, AVL,
Denso, NEC, Bosch, BMW, Fiat, Nissan,
Toyota, Honda, Volvo, 他
Austria, Czech, Belgium, France, Germany,
Hungary, Ireland, Italy, Norway,
Saudi Arabia, Spain, Sweden, Netherland, UK
他
ASFA, ASFINAG, Egis, Kapsch, Siemens,
Vodafone Q-Free, Xerox 他
ACEA, FIA, innovITS, IRU 他
(注:ITS Japan のデータは 2013 年 4 月 1 日時点。ERTICO、ITS America は 2011 年度年次報告書を参考とした。
)
214
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第6章
官公庁
会員
(出典:公益社団法人自動車技術会「ITS の標準化 2012」
)
ITS America
1994 年 VERTIS
2001 年 ITS Japan(名称変更)
2013年版
②域内の ITS 組織
図表 6 − 5 欧州の ITS 組織
図表 6 − 7 アジア太平洋地域および南北アメリカの各国の ITS 組織
図表 6 − 5 に ERTICO が事務局
を務める欧州各国・地域の ITS 推
進団体によるネットワーク組織を
示す。現在、27 組織が参加して
いる。これらの ITS 推進団体は、
そもそも ERTICO の会員ではな
いが、このようなネットワーク組
織により連携を取っている。
米国内の各州の ITS 普及促進の
ために、ITS America は、State
Chapter と呼ぶ米国各州の ITS 推
進団体による州支部組織を作っ
ている。現在、全州の半数とな
る 26 組織が参加している。図表
6 − 6 に米国各州の ITS 組織を示
2. 欧州の取り組み
す。また、南北に亙るアメリカ
大陸の ITS 組織のネットワークと
1)概要
して Pan-America ITS という組
織体制を作って連携を取ってい
欧州委員会は、プロジェクトのより一層の推進の
エネルギー総局(DG TREN)がリードし、情報・メディ
る(ITS America より情報入手:
ため、2008 年 12 月に ITS 関連 5 総局合同で ITS アク
ア総局(DG INFSO)、研究総局(DG RTD:Research
ションプラン(Action Plan for the Deployment of
and Inovation)、企業総局(DG ENTR:Enterprise and
Intelligent Transport Systems in Europe)を策定し発
Industry Directorate General)、環境総局(DG ENV:
表した。6 つの重点分野と 24 のアクションが提示され
Environment)が連携するとした。なお、情報・メディ
ている。欧州委員会主導で推進するとともに、これを
ア 総 局( D G I N F S O )は 、 2 0 1 2 年 7 月 1 日 に 通 信 ネ ッ
フォーラムを機会に、日本主導に
基に欧州指令(Directive 2010/40/EU:Framework for
トワーク・コンテンツ・技術総局(DG CONNECT:
より設立されたアジア太平洋地域
the Coordinated and Effective Deployment and Use of
Communications Networks, Content and Technology)と
の ITS 推進団体のネットワークで
Intelligent Transport System)を出して、国際標準化・実
名称を変更し、急速に変化している ICT 環境に応じる体
ある ITS Asia-Pacific がある。現
証実験を経て普及促進を図ることを狙っている。運輸・
制となった。
2012 年)。
(出典:2013 年 3 月 25 日現在の ERTICO Web サイトより)
http://www.itsnetwork.org/en/members/members.htm
1996 年に東京で第一回が開
催されたアジア太平洋地域 ITS
図表 6 − 6 米国各州の ITS 組織(State Chapters)
在 12 ヶ国が覚書に署名している。
図表 6 − 8 ITS アクションプラン
図表 6 − 7 にアジア太平洋地域お
よび南北アメリカ各国の ITS 組織
を示す。
図表 6 − 7 アジア太平洋地域および南北アメリカの各国の ITS 組織
第6章
http://www.itsa.org/state-chapters
216
(出典:第 7 回日本 ITS 推進フォーラム 2012 国際セッションでの ERTICO 報告より)
217
2013年版
②域内の ITS 組織
図表 6 − 5 欧州の ITS 組織
図表 6 − 7 アジア太平洋地域および南北アメリカの各国の ITS 組織
図表 6 − 5 に ERTICO が事務局
を務める欧州各国・地域の ITS 推
進団体によるネットワーク組織を
示す。現在、27 組織が参加して
いる。これらの ITS 推進団体は、
そもそも ERTICO の会員ではな
いが、このようなネットワーク組
織により連携を取っている。
米国内の各州の ITS 普及促進の
ために、ITS America は、State
Chapter と呼ぶ米国各州の ITS 推
進団体による州支部組織を作っ
ている。現在、全州の半数とな
る 26 組織が参加している。図表
6 − 6 に米国各州の ITS 組織を示
2. 欧州の取り組み
す。また、南北に亙るアメリカ
大陸の ITS 組織のネットワークと
1)概要
して Pan-America ITS という組
織体制を作って連携を取ってい
欧州委員会は、プロジェクトのより一層の推進の
エネルギー総局(DG TREN)がリードし、情報・メディ
る(ITS America より情報入手:
ため、2008 年 12 月に ITS 関連 5 総局合同で ITS アク
ア総局(DG INFSO)、研究総局(DG RTD:Research
ションプラン(Action Plan for the Deployment of
and Inovation)、企業総局(DG ENTR:Enterprise and
Intelligent Transport Systems in Europe)を策定し発
Industry Directorate General)、環境総局(DG ENV:
表した。6 つの重点分野と 24 のアクションが提示され
Environment)が連携するとした。なお、情報・メディ
ている。欧州委員会主導で推進するとともに、これを
ア 総 局( D G I N F S O )は 、 2 0 1 2 年 7 月 1 日 に 通 信 ネ ッ
フォーラムを機会に、日本主導に
基に欧州指令(Directive 2010/40/EU:Framework for
トワーク・コンテンツ・技術総局(DG CONNECT:
より設立されたアジア太平洋地域
the Coordinated and Effective Deployment and Use of
Communications Networks, Content and Technology)と
の ITS 推進団体のネットワークで
Intelligent Transport System)を出して、国際標準化・実
名称を変更し、急速に変化している ICT 環境に応じる体
ある ITS Asia-Pacific がある。現
証実験を経て普及促進を図ることを狙っている。運輸・
制となった。
2012 年)。
(出典:2013 年 3 月 25 日現在の ERTICO Web サイトより)
http://www.itsnetwork.org/en/members/members.htm
1996 年に東京で第一回が開
催されたアジア太平洋地域 ITS
図表 6 − 6 米国各州の ITS 組織(State Chapters)
在 12 ヶ国が覚書に署名している。
図表 6 − 8 ITS アクションプラン
図表 6 − 7 にアジア太平洋地域お
よび南北アメリカ各国の ITS 組織
を示す。
図表 6 − 7 アジア太平洋地域および南北アメリカの各国の ITS 組織
第6章
http://www.itsa.org/state-chapters
216
(出典:第 7 回日本 ITS 推進フォーラム 2012 国際セッションでの ERTICO 報告より)
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