ビル環境総研レポート V BCPに関しこれまで5編のレ

ビル環境総研レポート
V
BCPに関しこれまで5編のレ
ポートと特別付録を配信してき
ました。今回特集号としてその
エッセンスを抽出してご紹介し
ます。
特集号
B
C
P
1.レポート編の振り返り
2.特別付録編を貫く考え方
3.特別付録編に見る実践事例
《今回の特別付録》
BCPポイント集
日本ファシリティマネジメント協会 JFMA賞 奨励賞受賞
事業継続推進機構『BCAOアワード2014』 奨励賞受賞
text by 電通ワークス ビル環境総合研究所
サスティナブルな社会づくりの
契機となるべく発信。
継続的なレポート発信という小冊子戦略を取ることで、様々な立場の方がこのコミュニケーション
の輪に参加し、活発な議論や行動が誘発され それが課題解決の一助になればとの思いで発信し
ています。
人はなぜ、頭では分かっていても、動こうとはしないのか。われわれ「ビル環境総研」の関心のひ
とつは、その解明でもありました。ビル環境総研とは、電通ワークス内に創設されたビル領域全般
の研究機関ですが、現在のわれわれのテーマは「ビル管理者にとってのBCP」という喫緊の課題に
シフトしています。
ビル管理のBCP とは、そこに居住する企業BCP を支える根幹であり、その重要性が叫ばれてい
るにもかかわらず、未だ形式的記述かつ一部の暗黙知の域に留まっています。この状況をわずか
でも打開できないものかと、BCP を人間学や心理学の視点から見つめ直すことにトライし、われわ
れは、すでに5 編のレポートとして発信してきました。
レポートの発信方法は二段構え。
ビル管理領域はチョットという方々が、手に取り読みたくなるようなレポート編。
そして、実務者のお役に立つ様な資料集・ノウハウ集・モデル事例の特別付録。
コンセプトはサスティナブル(持続可能)な社会
づくりのため。テーマが偏らないよう、4象限に
分類し環境関連のテーマからスタートしました。
Vol.3以降は安心・安全ゾーンに特化していま
す。
あの日から日本の行動基準が変わりました。
「これに優先されるべきテーマが他にある
だろうか?」 「災害の記憶を活かすのは今をお
いてない」その思いから安心・安全ゾーンの特
にBCPにフォーカスしたのです。
レポート編の振り返り
レポート編はビル事業
門外にいる方へ。
一般ビジネスマンが読む気になるような
編集を工夫しました。
その背景には「実効性あるBCPは、
BCP関係者だけで
実現することは困難であり、
傍観者である大多数を巻き込むためには
声高な掛け声だけでは無策にすら思える」
そんな思想があります。
Vol.3
釜石の小中学生た
ちは、いかにして大
津波から逃れたか?
成果を上げた防災教
育「津波三原則」に
は、事業継続計画の
運用に通じるヒント
がいっぱいあります。
Vol.4
BCP運用のための
国際規格ISO22301
があの時代に存在し
ていれば、最悪の悲
劇も最小限にとどめ
られたかも!?エピソー
ドの検証から、事業
継続計画の勘所を
紹介します。
Vol.5
BCPとは信念の表明
であり、最優先され
るべき経営課題。い
ざというその日に
BCPが機能するよう
ちょっとしたヒントを
紹介します。
Vol.6
不測の事態に備える
「事業継続計画」の
思想を、予測不能な
競技サッカーに当て
はめてみたら。
サッカーをモチーフ
にBCPに関する
ISO22301規格が要
求する基本理念を紹
介します。
Vol.7
大阪堂島の自社テ
ナントビルをモデル
にBCPの「自分ごと
化」にトライ。
プロセスを通じて再
認識した「BCP推進
の3つのカギ」を紹介
します。
特別付録編を貫く考え方
特別付録編は実存するビルの実例を
示し、広く社会にBCPの考え方や計画を
浸透させようとするもの。
難度の高いプロジェクトに傍観者を引き込むには定石があり、
それは「自分ごと化」「浸透化」「巻き込み化」という手順を踏む、
それがBCP普及の近道であると確信しています。
企業の事業継続及び防災の取組に関する
実態調査では、「BCP策定済み」が大企業で
53.6%ですが、不動産業のくくりでは大企業と
中小企業を合わせても13.9%と低い策定率です。
国内98%(60万棟)を占める中小ビルではBCPは
浸透しているのか? 参考例が見当たらないの
では?と考え、そんな思いから自分たちが住み、
管理するテナントビル(堂島ビル)でISO22301を
活用したBCMS文書作成を試み、さらにBCMS
運営委員会の実践を関係資料としてまとめました。
●なぜISO 22301を活用したのか?
・第三者認証にも使える継続的改善の国際規格
・ステークホルダーへの説明責任がし易い
・現場の参画意識の確立、高揚になる
・サプライチェーンとの整合性がとれる
・経営のコミットメントを求めている
●BCMS文書化の着眼点
・自分ごと化 「目標復旧時間」「優先すべき事業」
の実例を示し自分の問題としての契機とした
・浸透化 浸透させるツールを提供モデル事例とし
て「堂島BCMS文書」のハウツーを開示した
・巻き込み化 テナント、FM会社、ビル管理会社で
組織する「BCMS運営委員会」を発足した
●BCMS運営委員会の実践
テナント側やオーナー側では発注先の管理会社に
任せた問題と考え易く、管理側は受託なので指示
により動くBCPは発注側の問題と考える、見合う状
態が多いと考えた
やはりBCPはファシリティを良く分かっている
管理側がリードすべきと
特別付録編に見る実践事例
ネットでも見当たらない実際の実践例こ
そが参考になると公開。
大阪に実在する電通恒産堂島ビルで「BCMS文書」に基づき相互協力協定を
結びBCMS運営委員会を発足し、運用を始めました。
その様子をレポートしています。
大規模災害時、閉じ込めが起こった時にエレベーター会社
が緊急対応してくれればいいのですが、当然公共性の高い
建物、病院等が優先されるでしょう。そんな時、助けられる
人も助けられないことを危惧し、最悪の状態では自ら救出で
きる訓練をしておくことを運営委員会で決議し、数回の訓練
を実施しています。現在、救助活動のできる人は20人に。
「災害時、各社は安否確認システムを導入し各社ごとに運用
していますが、全テナントの安否・被害状況の確認をどうやっ
てするのか?」「同じ屋根の下で力を合わせなければならない
のはテナント同士!」そんな悩みからNTTのサービスを使える
ようにトレーニングするのが、現実的かつ有用だろうとの判断
から運用しています。
手弁当な災害対応マニュアルです。ビルのエントランスに置
いています。テナント入居者のみならず、たまたま来館中に
災害に合うことも想定されます。その時にこれを見れば最低
限のことがわかる内容です。どこに逃げればよいか?エレ
べーター内で地震がおきたら?カーリフト内で地震がおきたら
どんな初動をとればよいか?非常時の連絡方法は?このビル
の特徴は? そんな情報を開示しています。
特別付録編から抜粋したBCPポイント集
過去発行のVol.3~Vol.7のポイントを集め今回の特別付録として編集しました。
中でも「事業影響度分析」、「目標復旧時間」、「ビルの安全確認」のページは必見です。
ビル管理に携わるわれわれが何に悩み、何を考えたか?
これを読めば「あっそうか!」といった、BCPの勘所は掴めます。
特別付録 全37頁
電通ワークス ビル環境総合研究所では、全8弾のレポートと特別付録をホームページで公開しています。どうぞアクセスしてください。
企画・制作 ㈱電通ワークス ビル環境総合研究所 2015年7月24 日発行
お問い合わせ先 03‐5551‐8124 (担当:坂本・齊藤) dworks‐[email protected]
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