若い社員に“プロフェッショナルとしての使命感”を

プロフェッショナル人材
若い社員に
“プロフェッショナルとしての使命感”
を、
若い世代のお客さまに
“資産形成の大切さ”
を、お伝えしていきたい。
日本の社会全体に投資マインドを
広げていくために
いをさせていただくことは、信託銀行で働く私たちの使命であり、や
りがいだとも言えます。
いくためでした。以来、若手社員を中心に研修や業務サポートを行っ
1958年(昭和33年)生まれ。1982年に三菱信託銀行(当時)入社。
若手社員に伝えたい、
お客さまとの信頼関係づくりの重要性
てきましたが、最近では、お客さま向けのセミナーで講師役を務める
̶̶̶お客さま向け活動の一方で、若手社員への指導・教育も重要
など、直接お客さまと接する機会も増えています。
な仕事です。
̶̶̶BSジャパン「日経モーニングプラス」への出演や、著作活動
私一人で対応できるお客さまの数には限りがあります。
しかし、私
もそうした活動の一環というわけですね。
が培ってきたノウハウや知見、そして投資に対する考え方を、日々、
その通りです。私がお客さまにお伝えしようとしているのは、大切
お客さまと接している社員一人ひとりに受け継いでいくことで、より
な資産を将来にわたって守り続けていくうえでの、投資活動の重要
多くのお客さまへのお手伝いをすることができると考えています。
性です。というのも、日本では社会全体に投資に対する意識が低く、
̶̶̶若手社員への指導・教育にあたって重視していることは何で
投資に踏み込もうとする方は限定的です。私はその最大の原因は、
しょうか?
長きにわたってデフレ環境が続いてきたからだと考えています。
大きく2つあります。1つは「過去に学ぶこと」です。いかに知識と
デフレ環境下では、物価に対してお金の価値が上がりますから、低
経験があっても、未来を正確に見通すことは誰にもできません。
しか
利回りの預貯金でも資産価値を維持できます。
しかし、アベノミクス
し、投資活動は人間が行うことですから、過去の出来事を学ぶこと
政策などでデフレからインフレへと変わりつつあるなか、今後も預貯
で、将来の見通しのヒントを得ることができます。また、特に高齢のお
金のままでは資産価値が目減りしていく恐れがあります。
客さまと接する場合、過去の大きな出来事を知ることは、お客さまの
̶̶̶インフレ環境下で資産価値を守るために、投資活動が必要
心理の理解や話題の共有にもつながります。
だということですね。
̶̶̶もう1つの重視していることも教えてください。
投資には、
リスクをとってでも資産を大きく増やそうとする
“攻めの
少しの時間でもよいので、必ず毎日「相場に向き合え」ということ
投資”
もあれば、
リスクを低く抑えつつ、物価上昇に対応できるよう資
です。相場は
“生き物”
と言われるように、刻一刻と変化するものです
たをモチーフに、シンプルかつわかりやすい形式で、資産運
用のコツや投資情報を学べる、万人にやさしい投資本です。
が、その変化を常に見据え、背景や理由を考え、予想し、時には裏切
られることで、はじめて自分なりの相場観を磨いていくことができま
はかるた』
(毎週月曜~金曜朝7:15~7:20頃)
に出演中。著書に書かれてい
今後は将来ある若い世代を中心に
“守りの投資”
の重要性が高まって
す。私自身、社内のイントラネット上で「デイリーコメント」を発信して
る内容を紹介しています。
いくと考えています。
いますので、そうした情報も参考にしながら、日々、欠かすことなく、
̶̶̶とはいえ、投資に対して興味や知識のなかった方に、その必
相場に向き合ってほしいですね。
要性を理解いただくのは容易なことではないと思います。
̶̶̶若い社員には、そうした取り組みを通じて、どんな資質を身
確かに、金融や投資についての専門知識がない方々へご理解い
につけてほしいと思われますか?
ただくためには、社内向けの説明とは頭を切り替える必要がありま
知識やノウハウはもちろん、それ以上に大切にしてほしいのが、お
す。そこで、著書やBSの番組などでは「いろはかるた」を使って親し
客さまから信頼されるだけの
“人間性と専門性”
を磨くことです。先述
みやすくするなどの工夫をしています。また、お客さまへ発信する前
したように、いかに投資のプロといえども、未来を正確に読み通すこ
に、まずは投資の知識を持っていない妻に説明し、何度もダメ出しさ
とはできません。時には正解を導けないこともありますが、それでも
れながら
(笑)、修正をしています。
お客さまから信頼していただけるのは、常にお客さまのために行動す
三菱UFJ信託銀行レポート 2015
日経BPコンサルティングより2015年7月発売。いろはかる
産価値を維持したいという
“守りの投資”
もあります。これまで投資と
運用の最前線で投資業務に携わる。25年以上にわたるキャリアを活かし
行っている。
「資産活用いろはかるた“い”の巻」
いえば、富裕層による
“攻めの投資”
ばかりが注目されてきましたが、
1985年より為替ディーラー、ファンドマネージャー、エコノミストなど、資産
て、マーケットレポートの執筆や投資に関するセミナー講師なども精力的に
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任感を持ち、資産価値を守るために投資マインドを育んでいくお手伝
私はもともと資産運用の分野で25年以上にわたって経験を積み
重ねてきました。2011年にリテール部門へと異動したのは、そうし
荒 和英
考えることが必要です。若い世代の方々が、自らの資産に対する責
̶̶̶まずは現在の業務内容について教えてください。
て培ってきたノウハウを、日々、お客さまと接している社員に伝えて
リテール企画推進部
受信・投資商品企画グループ
担当部長
の変化にアンテナを張り、大切な資産をどう扱うべきか、より真剣に
̶̶̶そうした仕事に取り組むうえでのやりがいとは?
る誠実さがあってこそ。当社が掲げる「Fiduciary Duty(フィデュー
経済のグローバル化が進む今、海外諸国の政治・経済状況が、私た
シャリー・デューティ)」という言葉の意味をしっかりと理解し、信頼さ
ちの現在や将来の生活に大きく影響を及ぼすことは避けられませ
れる人間性と高い専門性を備えたプロフェッショナルを目指して、た
ん。将来にわたって生活を守るためには、国内外の社会や経済環境
ゆまぬ自己研鑽を続けてほしいと思います。
BSジャパンで放送中の「日経モーニングプラス」のコーナー
『資産活用いろ
三菱UFJ信託銀行レポート 2015
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