講演者名:土井美和子 (国立研究開発法人監事/日本学術会議オープンサイエンスの取組に関する検 討委員会委員長) 要旨: 研究不正問題などから論文根拠データの管理や公開が注視されている。これらの視点も重要である が、日本学術会議は、これらのオープンアクセスの視点については検討済みであるので、人文・社会 科学から自然科学にまで及ぶ学術の総合的発展を重視する立場から、科学技術に資するオープンサイ エンスとは何かを検討している。 各分野へのヒアリング結果より、オープンサイエンスについて以下の論点整理を行った。 ・データ=現物+デジタルデータ ・オープンの意味=よりオープンにする ・オープン化のインセンティブ(分野別型):研究成果再利用による迅速化など ・オープン化のインセンティブ(分野横断型):学際性や社会実装によるイノベーション ・オープンサイエンスのコスト=データ生産コスト+データ流通コスト+流通のための標準化にかか る研究者負担+保存コスト データ生産コストやデータの商用性・活用性などの分野別の差が大きく、オープン・クローズ戦略 やデータ流通戦略は、分野別の対応が重要である。従来の同一研究者がデータ生産、流通、活用を担 っていたものから、データ生産者、データ流通者、データ活用者としての研究の分業化が進展してお り、分野横断でデータ流通者やデータ活用者のキャリア設計を行う必要がある。 1月中旬から行っている関係学協会へのアンケート結果を踏まえ、今後は科学技術イノベーションに 資するオープンサイエンスのプラクティスのヒアリングなどを行い、提言をまとめていく予定で ある。(678 字)
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