フィリピンの財務報告における公認会計士による証明書添付の

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フィリピンの財務報告に
おける公認会計士によ
る証明書添付の義務化
(財務報告における
BoA の新ルールおよび
新ルールに係る Q&A)
PwC フィリピン日系企業部
フィリピンの財務報告における公認会計士による証
明書添付の義務化(財務報告における BoA の新ル
ールおよび新ルールに係る Q&A)
今回は、2016 年 1 月 19 日付けで会計委員会(BoA)が発行したフィリピンの財務報告における新ルール
(BoA Resolution No.3-2016)及びその後 1 月 27 日に同 BoA から発行された新ルールに関する Q&A の概
要をご紹介します。BoA は、公認会計士の資格の発行や行動規制を行う組織であり、フィリピンの職業的専
門家(医者、弁護士、公認会計士等)の規制を行う専門職規制委員会(PRC)の下に位置付けられます。今回、
BoA は、財務報告にかかる新ルールを公表し、今後は BoA の認証(Accreditation)を受けた公認会計士の
みが財務諸表及びその注記を作成することができると定め、且つ、作成した公認会計士が署名する証明書
(Certificate)を財務諸表に添付して、証券取引委員会(SEC)及び内国歳入庁(BIR)に提出する義務を新た
に課しています。なお、本号の内容は、2016 年 2 月 12 日時点で公表されている情報に基づいています。
◆新ルールにおける変更点と変更の背景
前述の通り、従来ルールからの最も大きな変更点は、財務諸表及びその注記の作成が BoA の認証を受けた
公認会計士のみによって行われ、証明書の提出が求められるようになったことです。これまでも一定の要件
(SEC:資本金 5 万ペソ以上・BIR:四半期の売上高が 15 万ペソ以上)を満たす会社は、公認会計士による法
定監査を受けた財務諸表及びその注記の提出が求められていましたが、財務諸表の作成者自身が公認会
計士であることまでは求められていませんでした。
今回、Resolution No.3-2016 やその Q&A において、財務情報の作成・開示は会計業務の実践であり専門
的能力が必要となること、また作成を担った公認会計士が証明書にサインすることにより、財務諸表の作成責
任がより明確になることなどが、新ルール導入の背景として述べられています。またその結果、SEC や BIR に
提出される年次の財務諸表の信頼性がより高まることも期待されています。一方で、実務上、在比日系企業
は社内に公認会計士を有していないケースも多く、また有している場合でも今後 BoA の認証を受けるために
速やかな対応が必要であることから、会社の財務報告・経理実務に与える影響が非常に大きいルールである
といえます。
◆新ルールの適用時期
新ルールの適用時期について、当初発行された BoA Resolution No.3-2016 では、直近の 2015 年に係る財
務諸表から適用するとされ、既に 2015 年 12 月期に係る会計監査も始まっている中での唐突なアナウンスに
大きな混乱が生じました。しかし、その後 1 月 27 日に発行された Q&A において、新ルールは会計期間の末
日が 2016 年 6 月 30 日以降の財務諸表において強制適用となり、それ以前の財務諸表については適用は
任意であることが説明されています。従って、2015 年 12 月期の財務諸表、2016 年 3 月期の財務諸表につ
いては、本ルールの適用は強制ではなく任意であり、12 月決算会社の場合は 2016 年 12 月期以降の財務
諸表から適用が強制されると考えられます。
◆今後求められる対応
-社内に公認会計士を有している場合:
社内の公認会計士が実際に財務諸表の作成業務を担っている場合、BoA の認証を受けられるよう、前述の
提出期限(2016 年 2 月 29 日)までに BoA に必要書類を提出する必要があります。
-社内に公認会計士を有していない場合:
BoA の認証を受けた外部の公認会計士もしくは監査法人に、財務諸表及びその注記の作成業務を依頼する
必要があります。ただし、財務諸表の作成と監査を同一の公認会計士(監査法人)が行うことは自己監査とな
り認められないため、この場合、会社の法定監査を現在行っている公認会計士以外の公認会計士に作成業
務を委託する必要があります。
-会社が認証の申請期限である 2016 年 2 月 29 日の後に新たに公認会計士を採用した場合:
公認会計士が、証明書の提出義務のある会社に 2016 年 2 月 29 日以降に雇用され、財務諸表作成業務を
担う場合、雇用日から 1 ヶ月以内に BoA に認証の申請をする必要があります。
【お問い合わせ】
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◆東城 健太郎(シニア・マネージャー)
+63 (2) 459 2065(直通)
[email protected]
◆野原 文音(シニアコンサルタント)
+63 (2) 459 3476(直通)
[email protected]
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