小・中学校教員志望学生の放射線に関する認識

日本科学教育学会研究会研究報告 Vol. 30 No. 4(2016)
小・中学校教員志望学生の放射線に関する認識調査
Preservice Elementary and Secondary Teachers’ Recognition of the Radiation
佐藤 寛之 A,松森 靖夫 A,佐藤 正和 B
SATO,HiroyukiA
MATSUMORI,YasuoA
SATO,MasakazuB
山梨大学大学院総合研究部 A,山梨大学教育人間科学部 B
Graduate School Department of Interdisciplinary Research, University of YamanashiA
University of YamanashiB
[要約]中学校理科の学習指導要領において放射線に関する学習内容が追加されたことや,
東日本大震災に起因する災害の影響から,近年放射線に関する教育内容は重視されてきて
いる。そこで,本研究では,質問紙法を用い,教員志望学生を対象として放射線に対する
認識状態を調査した。その結果,学生の放射線に関する低い認識状態が明らかとなった。
このことは,放射線について具体的に学習する機会が少なく,各々の想像の域を脱するこ
となく放射線を認識していることに起因していると考えられる。
[キーワード]放射線,教員志望学生,自然認識,認識調査
1.
原子力発電利用やエネルギー問題に関する意識
はじめに
調査を行った。塩見らは,被験者である学生や大
現行の中学校理科の学習指導要領において放
学院在学中の教師が原子力発電の安全性に対し
射線に関する学習内容が追加されたことや,東
て否定的な考えをもつ傾向があることを報告し
日本大震災に起因する災害等の影響もあり,放
ている。その他にも,林(2014)は,質問紙法を
射線に関する教育内容は近年注目を集めている。
用いて,大学生の放射線や原子力発電の学習履歴
国内外において,放射線に関する認識調査研究
等に関する調査を行い,「約半数の学生は原子力
が多数行われており,教員志望学生(以下,学
発電について学習経験があり,約3割の学生は放
生と略記)を対象として,放射線に対する認識
射線について学習経験があるが,放射線に関する
状態を調査している研究も散見される(例えば,
教育を受けてきたという意識が低いこと」を報告
Neumann,S.,2014;塩見ら,2002;林,2014)。
している。
例えば,オーストリアの学生を対象にして放
上述した先行研究において,放射線や原子力発
射線に対する誤概念(misconception)について
電に対する大学生の認識状態が明らかにされて
研究した Neumann,S.(2014)は,「学生達は放
きた。しかしながら,いずれの研究においても,
射線の話題に一層興味を示しているものの,学
放射線に関する様々な知識の認識状態を,詳細か
生の多くが『放射線は人工的なものである』
『放
つ直接的に把握するまでには至っていない。
射線は有害なものである』『放射線は可視化で
また,周知の通り,平成 20 年度版学習指導要
きないものである』といった誤概念を抱いてい
領においては,放射線に関する学習内容につい
ることが明らかになった。」と学生の認識状況
ての見直しが図られ,中学校理科に放射線の性
について報告している。
質や利用例に関する内容が導入されたことを考
同様に,我が国においても放射線に対する認識
慮すると,現在の学生の多くは放射線の性質等
調査は行われており,例えば塩見ら(2002)は学
について学習していると考えられる。それ故に,
生と大学院在学中(現職派遣)の教師等に対して,
学生の放射線に関する認識状態を詳細に把握し,
質問紙法や個別面接聴取法等の研究手法を用い,
その認識が不完全なものであれば変容・再構成
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を行うことで,理科授業を担当する教師が具備
問群Ⅰ,放射線に関する知識について問う設問群
すべき物理学的資質の向上を図る必要がある。
Ⅱ,具体的場面における放射線の影響や放射線の
そこで,本研究では,放射線に関する様々な
利用例について問う設問群Ⅲのように,3つの学
知識の認識調査の分析から,放射線に対する学
生の認識状況について調査した。設問6~設問8
生の認識状態についての知見を得ることを研究
の問題文に,設問1~設問5の回答に影響を与え
の目的とし,調査を実施した。
る語句が含まれていたため,設問1~設問5まで
2.
を1部,設問6~設問8までを1部ずつ用意し,
調査の実施
設問1~設問5を回収後に,設問6~設問8の回
2.1. 調査期日及び調査対象
答・回収を行う形式をとった。合計 30 分程度の
本研究における調査は,2015 年5月に実施し
た。調査対象は,山梨大学に在籍し,科目「初等
回答時間を設け,それぞれ回答させた。
2.3. 調査結果
理科教育学」を履修している学生計 127 人(男子
51 人,女子 76 人)である。本科目は,学校教育
課程の小学校教員免許状一種または二種の取得
本調査の設問1から設問8まで回答の結果を,
以下に順に示す。
を希望する学生(主に1年生)を対象とした,卒
(1) 放射線の学習経験について
業のための必修科目の一つである。
放射線の学習経験の有無について,調査対象の
また,調査対象の学生のうち,高等学校で物理
学生は,はい 38 人
(29.9%)
,
いいえ 49 人
(38.6%),
に関する科目を履修した調査対象の学生は,6割
覚えていない 40 人(31.5%)と回答しており,
に満たないことが理解できた。
放射線について学習経験のある学生は,約3割に
2.2. 調査内容と方法
留まることが示された。
(2) 放射線について
本研究では,質問紙による調査を行った。質問
紙における設問は質問1から質問8までの計8
放射線の定義や性質を問う設問2に対する回
題となっており,それぞれの設問内容と設問の意
答結果を次頁の表2に示す。放射線の定義や性質
図は,表1に示した通りである。
を理解し説明できた学生は2割に満たないこと
設問における回答形式は自由記述形式が中心
が示された。
となっており,放射線の学習経験について問う設
表1
設問群
Ⅰ
Ⅱ
Ⅲ
質問紙調査の結果の概要
設問の内容
設問の意図
1. 放射線の学習経験の有無
放射線を学んだことはあるか
2. 放射線の定義
放射線をどのように認識しているか
3. 放射能の定義
放射能をどのように認識しているか
4. 放射線を放つ物体や物質
様々な物体・物質が放射線を放つことを認識しているか
5. 放射線の種類
放射線にはいくつかの種類があることを認識しているか
6. 放射線の影響
放射線が与える影響を認識できているか
7. 放射線から身を守る手段・方法
8. 放射線の利用
放射線から身を守るためにはどんな手段・方法があるか
認識しているか
放射線を利用した技術・産業を認識しているか
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表2
医療機器・電子機器,原子力発電所などを挙げ
設問 2 に対する回答
回答
定義を述べている
成り立ちを説明している
性質や具体物を挙げて説明した
説明に誤りを含んでいた
説明が部分的であった
説明が全く間違っていた
る学生が多いことが結果から読み取れる。
人数(%)
(5) 放射線の種類について
4 人(3.1%)
設問5は,「線」「紫外線」「X 線」「線」
17 人(13.4%)
70 人(55.1%)
「赤外線」「中性子線」「線」「可視光線」の
それぞれが放射線か否かについて,「はい」「い
いえ」「わからない」の選択肢から回答し,その
36 人(28.4%)
選択理由を問う設問であった。それぞれの物質に
ついての回答選択肢の割合を図1に示す。
(3) 放射能について
放射線と混同して理解していることの多い放
回答率(%)
射能について尋ねた設問3に対する回答結果を
表3に示す。放射能の定義が理解できていない学
紫外線
生が9割を超える結果となった。
表3
赤外線
人数(%)
定義を述べている
10 人(7.9%)
説明が部分的であった
放射線や放射性物質
と混同していた
説明が全く間違っていた
α線
15 人(11.8%)
可視光線
62 人(48.8%)
56.7
48.0
7.1
16.5
11.8
7.94.7
44.9
67.7
28.4
18.1
45.7
17.3
はい
図1
40 人(31.5%)
15.8
53.5
10.2
54.3
いいえ
44.1
28.4
わからない
設問 5 の回答結果
調査対象の約半数の学生が「放射線」であると
回答した物質(「はい」と回答した物質)を多い
(4) 放射線を放つ物体・物質について
順に列記すると,「X 線(111 人(87.4%))」,「
設問4では,「あなたが知っている『放射線』
を出す物体や物質を3つ挙げてください」と尋ね
た。この設問に対する回答結果を表4に示す。学
生にとって身近な物体・物質である元素名や
表4
中性子線
44.9
87.4
γ線
回答
4.7
31.5
X線
設問 3 に対する回答
説明に誤りを含んでいた
50.4
β線
線(64 人(50.4%))」,「線(61 人(48.0%))」,
「線(58 人(45.7%))」であった。しかし,「
線」「線」「線」という放射線については,「わ
からない」と回答した学生も,それぞれ多い順に,
「線(57 人(44.9%))」,「線(57 人(44.9%))」,
設問 4 に対する回答
「線(56 人(44.1%))」であったことから,X
回答
人数(%)
元素
62 人(48.8%)
医療機器・電子機器
43 人(33.9%)
原子力発電所
28 人(22.0%)
天体(太陽・隕石等)
16 人(12.6%)
以下に示す設問6・①~③の3つの状況下で
核物質
10 人(7.9%)
の放射線の影響について,「まったく影響しな
すべての物質
2 人(1.6%)
い」「ほとんど影響はない」,「影響するとも
線以外の放射線源については,理解が不十分であ
ることが示された。
その他(生物・震災がれき・食品等) 22 人(17.3%)
(6) 放射線の影響について
しないとも言えない」,
「少なくとも影響する」,
「甚大な影響を及ぼす」の5つの選択肢から選
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択させた後,その選択理由を尋ねた。それぞれ
影響に関する認識が理解できた。設問6①につい
の設問における学生の回答結果を,それぞれ図
ては,「ほとんど影響はない」と回答した学生が
2-1,図 2-2,図 2-3 に示す。
最も多く(78 人(61.4%)),「まったく影響しな
・健康診断を受け,瞬間的に胸部レントゲン写真
い(23 人(18.1%))」と回答した人数と合せると,
約8割の学生が健康診断の胸部レントゲンを1
を1回撮った場合に受ける影響(設問 6・①)
回撮影しただけでは「放射線の影響」はないと考
0
選択肢
25
50
75
100 (%)
えていた。しかしながら,次に学生にとって身近
18.1
まったく影響しない
な話題であるといえる設問6③に関しては,「ま
61.4
ほとんど影響はない
影響するともしないとも言え
ない
ったく影響しない(22 人(17.3%))」「ほとんど
3.2
影響はない(42 人(33.1%))」と回答した学生の
17.3
少なくとも影響する
割合は約半数まで減少し,「影響するともしない
甚大な影響を及ぼす
0.0
とも言えない」と回答する割合が増加した(4人
回答していない
0.0
(3.2%)→36 人(28.4%))。多くの学生が科学的根
図 2-1
拠のない理由から「ほとんど影響はない」を選ん
設問 6・①の回答結果
でおり,入浴回数や時間に注目して正答を選択し
・チェルノブイリ原子力発電所事故当時,チェル
た学生は2割程度だった。また,設問6②では,
ノブイリ原子力発電所から半径 80km 以内の地
80km 以内という距離に関する要因をどのように
域に住んでいた場合に受ける影響(設問 6・②)
捉えたかは別として,8割以上の学生が何らかの
選択肢
0
25
50
75
影響があると認識していた。
100 (%)
まったく影響しない
0.8
(7) 放射線を防ぐ手段・方法について
ほとんど影響はない
1.6
外部被ばくを防ぐ手段・方法を尋ねた設問7に
影響するともしないとも
言えない
13.4
対する代表的な回答結果(複数回答可)を図3に
45.6
少なくとも影響する
段・方法に対して約8割弱の学生は「放射線を遮
38.6
甚大な影響を及ぼす
断する(101 人(79.5%))」等のように,具体的方
0.0
回答していない
図 2-2
示す。図3に示したように,外部被ばくを防ぐ手
策を考慮していない回答をし,また,「放射線濃
設問 6・②の回答結果
度が高い所から離れる(67 人(52.8%))」のよう
・ラジウム温泉に 30 分程度1回入浴した場合に
約半数存在した。
受ける影響(設問 6・③)
0
選択肢
25
75
100 (%)
項目
影響するともしないとも
言えない
放射線濃度が高い所
から離れる
放射線に関する知識
や情報を得る
被ばくしたものを洗
浄する
放射性物質を排除す
る
28.4
15.7
甚大な影響を及ぼす
2.4
回答していない
3.1
0
25
50
75
設問 6・③の回答結果
その他
回答結果からは,以下のような学生の放射線の
― 44 ―
図3
100 (%)
79.5
放射線を遮断する
33.1
ほとんど影響はない
図 2-3
50
17.3
まったく影響しない
少なくとも影響する
に「避難する」という方法や手段を考える学生が
52.8
8.7
7.9
7.9
22.8
設問 7 に対する回答
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「人間が水力,火力,原子力など多様な方法で
エネルギーを得ていることをエネルギー資源の
特性と関連させながら理解させるとともに,エ
ネルギーを有効,安全に利用することの重要性
を認識させることがねらいである。日常生活や
社会で利用している石油や天然ガス,太陽光な
ど,エネルギー資源の種類や入手方法,水力,
火力,原子力,太陽光などによる発電の仕組み
やそれぞれの特徴について理解させる。
その際,原子力発電ではウランなどの核燃料か
らエネルギーを取り出していること,核燃料は
放射線を出していることや放射線は自然界にも
存在すること,放射線は透過性などをもち,医
療や製造業などで利用されていることなどにも
触れる(文部科学省,2008)。」
(下線部は筆者が追記)
(8) 放射線の利用例について
放射線を利用した技術について尋ねた設問8
に対する代表的な回答結果(複数回答可)を図4
に示す。この設問に対する学生の回答で最も多い
ものは,「医療分野(レントゲン,放射線治療,
美容等:119 人(93.7%))」であり,次いで多いも
のに,「科学技術( 14𝐶𝐶 年代測定,X 線検査,電
子機器等:69 人(54.3%))」「農業分野(遺伝子
組み換え作物,除草剤等:22 人(17.3%))」等の
回答が得られた。
項目
0
25
50
75
100 (%)
93.7
医療分野
54.3
科学技術
図5
17.3
農業分野
学習指導要領における「放射線」の取扱い
学習すべき内容(放射線について(設問群Ⅱ:
軍事利用
7.9
設問2と設問4),放射線の利用(設問群Ⅲ:
その他
9.4
設問8))を中心にして,学生の放射線に関す
無回答
2.4
図4
3.
る認識状態について述べていく。
設問 8 に対する回答
3.1. 放射線に関する学習履歴について
先述した通り,調査対象である学生のうち,
本調査の結果から理解できる学生の放射線
放射線について学習経験があると認識している
に関する認識
学生は,約3割に留まることが理解できた。つ
中学校理科の学習指導要領では「放射線」は,
まり,多数の学生は「放射線」についての情報
理科第 1 分野の「(7)科学技術と人間」の「(イ)
を学校での学習以外のメディアから得ていると
エネルギー資源」のなかで取り扱う内容となっ
考えていることが明らかとなった。
ており,中学校学習指導要領解説理科編には「内
3.2. 放射線の定義や性質について
容の取扱い」について,図5に示すような説明
本研究の調査結果から,放射線の定義や性質
がなされている。
上記の解説からも明らかなように,中学校理
を理解し説明できた学生は2割に満たず,約8
科における「放射線」は,他のエネルギー資源
割の学生が放射線について誤った認識をしてい
の特性やその有効活用の学習のなかで取り扱わ
ることが示された。このような結果に至った背
れ,我々がエネルギー資源を活用するための方
景には,学習指導要領における「放射線」の取
法の一つである原子力発電の説明を初発として,
扱いでは「核燃料は放射線を出す」「放射線は
放射線の特性や利用法等についての言及がなさ
自然界にも存在する」「放射線は透過性などを
れるものであることが理解できる。
もつ」等の特性に関する記述のみであることに
そこで,本稿では中学校理科における学習指
起因するのではないかと推察できる。すなわち,
導要領での「放射線」の学習における内容の取
「放射線とは,どのようなものであるか」とい
扱いに関連する学習履歴(設問群Ⅰ:設問1),
う科学概念の構築が中学校段階では,必ずしも
行われているとはいえない状況にある。
― 45 ―
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学習内容について「未習である」あるいは,
「覚
現在までに学校での理科学習のなかで放射線
の概念規定がなされていないことが,放射線に
えていない」と回答したことからも明らかだが,
ついての「学習経験がない」と設問1で回答し
学生自身が身近な問題となりつつある放射線に
たことと,少なからず関係があるのではないか
関して関心や興味をもったとしても,実際に見
と推察できた。
たり感じたりすることができないため,具体的
また,設問4では,放射線を放つ物体や物質
に放射線について学習する機会が乏しく各々の
について,9割近い学生が最低1つは回答する
想像の域を脱することなく放射線を認識してい
ことができていた。具体的には,表4に示す通
ることが,本研究の調査における記述内容から
り,「元素名」,「医療機器・電子機器」,「原
理解できた。
子力発電所」を挙げる学生が多く,また,回答
今後は,放射線に対する学生の知識や思考を
数が少ない学生のほとんどが「元素名」の項目
より明確かつ詳細に把握するとともに,将来の
に属する回答をしていた。このことは,東日本
教壇に立つ学生に有用な効果的な学習指導資料
大震災時のマスメディアの報道等において,頻
を作成していきたい。
繁に「ウラン」,「プルトニウム」,「セシウ
附記
ム」等の元素名が登場し,学生が放射線をそれ
本研究は JSPS 科研費 25350242,25350208 の
らの元素と関連づけて解釈していたためである
助成を受けたものである。
と推測できた。
引用・参考文献
3.3. 放射線の利用について
放射線を利用した技術について問う設問では,
林渉:教師志望学生の『原子力発電,放射線,エ
医療分野での利用例を挙げる学生が9割以上で
ネルギー・環境問題』に関する意識調査‐教師
あった。これはレントゲン等の技術が学生にと
を志望する学生と,教師以外を志望する学生と
っても身近なものであり,想像し易いことに起
の比較から‐,東海学園大学研究紀要. 人文科
因すると推察できた。また,学生の約半数が科
学研究編,19,179-194,2014
学技術での利用例を挙げていたが,科学技術で
文部科学省:中学校学習指導要領解説 理科編,
大日本図書,2008
の利用例として多く挙がっていたものは,X線
を用いた技術による検査(非破壊検査等)であ
文部科学省:小学生のための放射線副読本,http:
り,これもレントゲン検査同様の技術を用いて
//www.mext.go.jp/component/b_menu/other/__ics
いるため,学生の多くは,「放射線の利用」=
Files/afieldfile/2014/03/03/1344729_1_1.pdf,(20
「モノを透過して見ることのできる技術」と認
15 年 10 月現在閲覧可能)
識していることが理解できた。しかし,「科学
文部科学省:中学生・高校生のための放射線副読
技術」での利用例の中には電子機器の名称を挙
本,http://www.mext.go.jp/component/b_menu/ot
げる学生が少なからずおり,このような認識に
her/__icsFiles/afieldfile/2014/03/03/1344729_2_1.
ついては,電磁波全てを放射線と捉えているこ
pdf,(2015 年 10 月現在閲覧可能)
とが原因ではないかと推察される。
4.
N, S.:Three Misconceptions About Radiation‐And
What We Teachers Can Do to Confront Them,
結語と今後の課題
本研究での調査により,放射線に関する学生
達の非常に低い認識状態が明らかになった。こ
THE PHYSICS TEACHER,52(6),357-359,2014
塩見哲郎・多田恭之:教師志望学生の原子力発電
と環境問題に対する態度,INSS JOURNAL 9,
のことは,被験者である学生が,現行の学習指
35-47,2002
導要領施行下での中学校理科の放射線に関する
― 46 ―