20160210週次レポート

Precious Metals Weekly Update
th
9 February 2016
WEEK IN REVIEW:
先週金曜日に発表された米1月非農業部門雇用者数は市場予測の19万人を下回る15.1万人と、失望を買う結果となった。1月
中は米国北東部では大雪が降るなど厳しい天候ではあったが、それ以上に同結果は米経済の減速に拍車がかかっている事を
示すこととなった。ゴールドは揉み合った後、同結果を受けて上昇基調に戻ったが、失業率が低下し平均時給が上昇したことで
米国債利回りが上昇、年末以前に米国の金利引上げが実施される見通しが僅かに強まった。これを踏まえるとゴールドの上昇
は長続きしない可能性がある。今週は中国が旧正月で休場となるほか、米連邦準備制度理事会(FRB)のイエレン議長の議会
証言が水曜日と木曜日に予定されており、値動きが激しくなる可能性がある。
プラチナ
プラチナはゴールドに連れて上昇し、10 月後半以来初めて 100 日移動平均を突破し、3 か月振りの高値水準で取引された。プ
ラチナ上昇はファンダメンタル要因によるものというよりもゴールドに連れた部分が大きく、したがってプラチナは近日中にゴー
ルドに連れて下落する可能性がある。
先週、プラチナは強気に転じて 10 月高値と 1 月安値を結んだ 38.2%フィボナッチリトレースメントの水準を初めて試し、更に
100 日移動平均である$898/oz を上抜けて 3 か月振りの高値水準となる$900/oz 上で取引された。現在は同 50%フィボナッチリ
トレースメントの水準である$918/oz を試しているが、ゴールド価格下落・米ドル上昇によってこの勢いが失速する可能性がある。
パラジウム
パラジウムは$500/oz から上昇しきれず、50 日移動平均である$526/oz にも届かず、パラジウムの上昇幅は他の貴金属と比
べると僅かであった。
パラジウムは米雇用統計の結果を受けて安全資産として買われることはほとんどなく、再び工業用コモディティとしての側面が
投資家に強く捉えられ原油価格の下落に連れたため他の貴金属に比べて地合いが悪かった。プラチナ・パラジウムレシオは現
在 1.8 とパラジウムがプラチナに対して割安となっており(昨年 8 月以来の水準)、パラジウムは短期的に上昇する可能性があ
る。先物市場においてパラジウムに対する投資家心理は依然としてネガティブであり、先週ネット・ロングは再び減少して足元
は 10.9t となっている。
ゴールド
先週ゴールドは極めて堅調に推移、$55/oz上昇し2015年10月以来の高水準を付けた。ゴールドの上昇基調はテクニカル面を
意識した相場の過剰反応から始まっており、今週中国が旧正月に入ることで現物需要が後退し、ゴールドは重要なサポート要
因を欠くことになる。
ゴールドは先週、200日移動平均と普段あまり意識されない水準である300日移動平均を次々と突破、相対力指数によると短期
的に買われ過ぎの水準に突入した。2015年10月高値と2015年12月安値を結んだ76.4%フィボナッチリトレースメントを突破した
現在、2015年10月高値の$1,192/ozを目指して推移しており、これを突破すると次の水準は500日移動平均とほぼ同水準である
$1,200/ozにあると考えられる。500日移動平均は偶然にも2015年1月の最高値の水準と一致している為、ゴールドは同水準で
上値を抑えられると考えられる。ゴールドが200日移動平均を上回って数日間推移していることは過去2年間でも珍しいことから、
現在の価格水準で利益確定の売りが大量に入ることがあれば、ゴールドの上昇は止まると見ている。
年初来のゴールドETF残高の増加も顕著であるが、異常とまではいかない。ゴールド価格が$57上昇したことに伴い、2016年1
月全体では約43.5tのゴールドETFが投資家によって買われた。ETF購入ペースは、65.3tの買いによりETF価格が$89も上昇し
た2015年1月とほぼ一致している(0.75t買われる毎にゴールド価格は$1上昇する)。ゴールド価格上昇の勢いが衰え始めれば、
2015年2月・3月にみられたようにゴールドETFは売り手仕舞われるだろう。
Platinum prices $/oz
Palladium prices $/oz
Gold prices ($/oz)
Silver prices ($/oz)
last week:
last week:
last week:
last week:
1-Feb
5-Feb
Change: 5.0%
Support: $861
Resistance: $943
Outlook:
1-Feb
5-Feb
Change: 1.0%
Support: $447
Resistance: $516
Outlook:
1-Feb
5-Feb
Change: 5.0%
Support: $1,081
Resistance: $1,200
Outlook:
1-Feb
5-Feb
Change: 5.2%
Support: $14.50
Resistance: $15.50
Outlook:
Precious Metals Weekly Update
th
9 February 2016
ゴールドの現物需要に関しては、中国が旧正月に入る為、上海黄金交易所(SGE)が2月15日まで休場となるなどサポート要因
を欠くことになり、昨今のゴールド価格を下支えしていた主要因の1つを失うことになる。中国の旧正月後、現物需要は徐々に後
退し、それに伴って価格も下落すると考えられる。
シルバー
先週はゴールドの堅調な推移に連れて、シルバーも2015年5月以来最も堅調に推移した。100日移動平均に達し、現在200日
移動平均の水準である$15.11/ozを突破しようとしている。
シルバーは先週も堅調に推移したが、この価格上昇は ETF 市場にはあまり影響を及ぼさず、2016 年年初以来の流れを受け
シルバーETF 残高は減少した。COMEX において、投機筋のネット・ロングポジションは 1 月 27 日から 2 月 2 日までの週で増
加している。今週予定されている FRB のイエレン議長の議会証言では、次回の金利引き上げ時期の動向を左右する現在の製
造業の減速と原油価格の下落に対する FRB の受け止め方が明らかになるだろう。フェデラルファンド金利先物レートによると、
次回の利上げは年内には行われないと現在見込まれている。もし今週のイエレン議長の議会証言において年内の次回利上げ
の可能性が示されれば、ドルと米国債利回りは上昇し、シルバーはゴールドと同様に再度下方圧力に晒される可能性がある。
ECONOMIC CALENDAR Source – Bloomberg
Feb-8
EU:
2 月センティックス投
資家信頼感指数
前 9.6 予 7.4
US:
1 月労働市場情勢指
数
前 2.9 予 2.5
Anglo American 社
決算発表
9th February, 2016
Feb-9
Japan:
1 月製造者物価指
数
前 -3.4% 予 -2.8%
1 月マネーストック
M3
前 2.5% 予 2.5%
1 月工作機械受注
前 25.7%
US:
1 月 NFIB 中小企
業楽観視数
前 95.2 予 94.5
12 月卸売在庫
前 -0.3% 予 -0.1%
Feb-10
US:
MBA 住宅ローン申請件数
前 -2.6%
イエレン議長
下院議会証言
三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部
Feb-11
US:
新規失業保険
申請件数
前 28.5 万人
予 28.0 万人
イエレン議長
上院議会証言
Feb-12
US:
1 月小売売上高
前 -0.1% 予 0.1%
2 月ミシガン大学消費者信頼感指数
前 92.0 予 92.5
転用・転送 堅くお断りいたします
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Precious Metals Weekly Update
Spot
Gold
Forwards
Silver
Platinum
Leases
Palladium
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9 February 2016
Futures
Rhodium
Options
Ruthenium
Swaps
Iridium
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9th February, 2016
三菱商事 RtM ジャパン(株)貴金属事業部
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