神戸市建築基準法施行細則の一部改正(案)の概要 Ⅰ.背景・目的 建築基準法(以下、 「法」という。 )では、一定の建築物、昇降機及び換気設備等の建築設備等について、 それらの所有者・管理者に対し、専門技術を有する資格者に調査・検査をさせ、その結果を特定行政庁(神 戸市)へ報告することを義務付けています。 この定期報告が義務付けられる建築物や建築設備等については、従来は特定行政庁が指定することとな っていましたが、今般の法改正(平成 28 年 6 月 1 日施行)により、不特定多数の者等が利用する建築物 など安全性の確保を徹底すべき建築物等については国が政令で定めることとなり、また、国が定めるもの 以外については、従来通り特定行政庁が地域の実情に応じて指定を行うこととなりました。 この法改正に伴い、神戸市における定期報告の対象等の整理を行い、それらを具体的に定めている神戸 市建築基準法施行細則の一部改正を行います。 その他、構造計算適合性判定に関する手続きの改正に伴う、全体計画認定における手続きの変更など、 法改正に対応する所要の改正を行います。 Ⅱ.改正(案)の概要 1.定期報告の対象等の整理について (1)建築物について【改正後の定期報告の対象建築物一覧表は別紙1参照】 ◆対象建築物の追加など 改正後の建築物の定期報告については、現在市が指定している建築物に加え、政令で指定される建 築物が対象となりますが、神戸市における従来からの指定の考え方との整合を図るため、①「サービ ス付き高齢者向け住宅、認知症高齢者グループホーム、障害者グループホーム」については政令で定 める規模のものに加え「建物全体で 300 ㎡を超えるもの」を、また、②「児童福祉施設等のうち政令 で指定されないもの(児童養護施設など)」については現在市が指定している規模のものに加え「2 階で 300 ㎡以上のもの」を新たに神戸市独自の対象建築物(図1「 」部分)として指定します。 また、現在市が指定している建築物のうち、今回政令で指定される建築物(下図「重複部分」)に ついては、市の指定から除外します。なお、除外された部分は政令で指定されるため、定期報告は引 き続き必要です。 【定期報告の対象建築物のイメージ(図1)】 改正後の対象建築物(太枠内) 現在市が指定している建築物 市の指定により 新たに対象となる建築物 (上記①+②) 政令で指定される建築物 (重複部分) 政令の指定により 新たに対象となる建築物 (2)建築設備等について【改正後の定期報告の対象建築設備等は別紙2参照】 ◆対象建築設備の追加など 現在市が指定している建築物に加え、政令及び市の指定により新たに建築物の定期報告の対象とな る建築物(図1「 + 」部分)に設置されている建築設備についても、定期報告の対象として追 加します。なお、対象となる建築設備の種類(※)の変更は行いません。[※:機械換気設備(煙感知 器連動防火ダンパーを設けた建築物)、機械排煙設備、非常用の照明装置(電池内蔵型でないもの)] - 1 - また、現在市が定期報告の対象として指定している昇降機(エレベーター、エスカレーター、小荷 物専用昇降機)及び準用工作物(観光用エレベーター、ジェットコースター、観覧車など)について は、今回の法改正により政令で指定されるため、市の指定から除外します。なお、除外された昇降機 及び準用工作物は政令で指定されるため、定期報告は引き続き必要です。防火設備については、政令 で指定されるもの(随時閉鎖式の防火戸など)が、定期報告の対象となります。 ◆その他、所要の変更 共同住宅の住戸内における建築設備については、報告の対象となっているものはごく少数であり、 また、これまでの定期報告の実績から居住者等において適正に管理されていると判断されることから、 共同住宅の住戸部分に設置した建築設備については定期報告の対象から除外します。その他、現在の 運用を明確化するための表現の変更を行います。 (3)定期報告の時期及び間隔について ①建築物 8月1日から同年 11 月 30 日の間に、3つのグループに分類した用途に応じて3年ごとに行うもの とします。[変更なし] ②建築設備(昇降機を除く)及び防火設備 8月1日から同年 11 月 30 日の間に、毎年行うものとします。[変更なし(防火設備については新規)] ③昇降機及び準用工作物 4月1日から翌年3月 31 日の間に、毎年行うものとします。[変更なし] 2.全体計画認定における手続きの変更等について 従来、全体計画認定を行う建築物の構造の安全性については、認定後に行われる建築確認時におけ る構造計算適合性判定において確認を行っていましたが、法改正により構造計算適合性判定を建築確 認に先立って行うことが可能となりました。この制度改正を受け、構造計算適合性判定の結果等を全 体計画認定の申請添付書類として求めることにより、認定時にあらかじめ構造の安全性確認が行える よう、手続きの変更及び添付書類の追加を行います。 [改正前] 建築確認 全体計画認定 構造計算 適合性判定 工事 着工 [改正後] 構造計算 適合性判定 全体計画認定 (適合性判定通知書(写)等添付) 建築確認 全体計画認定とは: 既存不適格建築物の改修工事等を複数の段階に分けて行う場合において、改修工事等の計画 が最終的に現行基準に適合するものであることを特定行政庁が認定した場合には、途中段階の 工事に係る建築確認においては現行基準に適合しなくてもよいとするもの。 Ⅲ.施行期日(予定)及び経過措置 1.施行期日 原則、平成28年6月1日を予定しています。 ただし、全体計画認定における手続きの変更等については平成28年8月1日の施行予定です。 2.経過措置 ・この施行細則の改正により新たに報告対象となる建築設備(図1「 + 」部分の建築物に設置 されている建築設備)の追加指定については、平成29年4月1日から適用することとします。 (新た に追加指定される建築設備の定期報告については、平成28年度は不要です。) ・防火設備の定期報告については、その最初の報告を平成28年8月1日から平成29年11月30日の間に 行えばよいこととします。 - 2 - 別紙1-1 ■定期報告の対象建築物(改正後) 用途 改正前(神戸市指定) 規模・階数 用途 劇場、映画館、演劇場 劇場、映画館、演劇場 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超えるもの ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの 観覧場(屋外にあるも ③ 建物全体で200㎡を超えるもの 観覧場(屋外にあるも のを除く。)、公会 のを除く。)、公会 堂、集会場 堂、集会場 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する 博物館、美術館、図書 もの 館、ボーリング場、水 ① 地階の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で2,000㎡を A 泳場、スポーツの練習 超えるもの ② 3階以上の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で2,000 場 ㎡を超えるもの 学校、体育館 体育館(学校に附属す るものを除く。)、博 物館、美術館、図書 館、ボーリング場、ス キー場、スケート場、 水泳場、スポーツの練 習場 改正後(政令指定+神戸市指定) 規模・階数 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超えるもの ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの ③ 建物全体で200㎡を超えるもの ④ 主階が1階にないもの(劇場,映画館,演芸場に限 る。) 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 3階以上の部分で100㎡を超えるもの ② 建物全体で2,000㎡以上のもの 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの もの 学校、体育館(学校に ① 地階の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で2,000㎡を ① 地階の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で2,000㎡を 附属するものに限 超えるもの 超えるもの る。) ② 3階以上の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で2,000 ② 3階以上の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で2,000 ㎡を超えるもの ㎡を超えるもの 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの 百貨店、マーケット、 もの 百貨店、マーケット、 ① 地階の部分で100㎡を超えるもの 物品販売業を営む店 ① 地階の部分で100㎡を超えるもの 物品販売業を営む店 ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの 舗、展示場 ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの 舗、展示場 ③ 建物全体で500㎡を超えるもの ③ 建物全体で500㎡を超えるもの ④ 2階の部分で500㎡以上のもの ※建築物の報告時期:平成28年8月1日から同年11月30日までとする。以後、これを始期とし、3年目ごととする。 別紙1-2 ■定期報告の対象建築物(改正後) 用途 改正前(神戸市指定) 規模・階数 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する 病院、診療所(患者の もの 収容施設があるものに ① 地階の部分で100㎡を超えるもの 限る。)、児童福祉施 ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの 設等 ③ 建物全体で300㎡を超えるもの B ホテル、旅館 用途 改正後(政令指定+神戸市指定) 規模・階数 病院、診療所(患者の 収容施設があるものに 限る。)、児童福祉施 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する 設等 もの ① 地階の部分で100㎡を超えるもの 共同住宅及び寄宿舎 ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの (サービス付き高齢者 ③ 建物全体で300㎡を超えるもの 向け住宅、認知症高齢 ④ 2階の部分で300㎡以上のもの 者グループホーム又は 障害者グループホーム に限る。) 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超えるもの ホテル、旅館 ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの ③ 建物全体で300㎡を超えるもの 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超えるもの ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの ③ 建物全体で300㎡を超えるもの ④ 2階の部分で300㎡以上のもの 左の用途に供する部分の床面積が、建物全体で1,000㎡を超 左の用途に供する部分の床面積が、建物全体で1,000㎡を超 事務所、その他これに 事務所、その他これに え、かつ、その用途に供する部分の「地上階数+地下階数」 え、かつ、その用途に供する部分の「地上階数+地下階数」 類するもの 類するもの が5以上であるもの が5以上であるもの ①児童福祉施設等 令第19条第1項に規定する児童福祉施設等(要援護者の収容施設があるものに限る。)をいう。 ※建築物の報告時期:平成29年8月1日から同年11月30日までとする。以後、これを始期とし、3年目ごととする。 別紙1-3 ■定期報告の対象建築物(改正後) 用途 共同住宅 C 公衆浴場 キャバレー、カ フェー、ナイトクラ ブ、バー、ダンスホー ル、遊技場、待合、料 理店、飲食店 改正前(神戸市指定) 規模・階数 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で500㎡を超 えるもの ② 6階以上の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で500㎡ を超えるもの 用途 共同住宅(サービス付 き高齢者向け住宅、認 知症高齢者グループ ホーム又は障害者グ ループホームを除 く。) 改正後(政令指定+神戸市指定) 規模・階数 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で500㎡を超 えるもの ② 6階以上の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で500㎡ を超えるもの 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で500㎡を超 公衆浴場 えるもの ② 3階以上の部分で100㎡を超え、かつ、建物全体で500㎡ を超えるもの 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超えるもの ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの ③ 2階の部分で500㎡以上のもの ④ 建物全体で3,000㎡以上のもの 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超えるもの ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの ③ 建物全体で500㎡を超えるもの 左の用途に供する部分の床面積が、次のいずれかに該当する もの ① 地階の部分で100㎡を超えるもの ② 3階以上の部分で100㎡を超えるもの ③ 建物全体で500㎡を超えるもの ④ 2階の部分で500㎡以上のもの キャバレー、カ フェー、ナイトクラ ブ、バー、ダンスホー ル、遊技場、待合、料 理店、飲食店 ※建築物の報告時期:平成30年8月1日から同年11月30日までとする。以後、これを始期とし、3年目ごととする。 別紙2 ■定期報告の対象建築設備(改正後) 対象建築物 対象建築設備 報告時期 左記の対象建築物に設置されている、下記の建築設備(※) (共同住宅の住戸の部分にあるものを除く) 定期報告対象建築物 (政令指定+神戸市指定) ・機械換気設備(煙感知器連動防火ダンパーを設けた建築物に設置されている 法第28条の機械換気設備) 毎年8月1日から11月30日までとする。 ・機械排煙設備 ・非常用の照明装置(電池内蔵型でないもの) ※[経過措置]この施行細則の改正により新たに報告対象となる建築設備の追加指定については、平成29年4月1日から適用することとする。 ■昇降機、防火設備、準用工作物の定期報告(改正後) 用途・規模 (政令のとおり) 種別 (政令のとおり) 昇降機 報告時期 (神戸市指定) ・エレベーター ・エスカレーター ・小荷物専用昇降機(テーブルタイプのものを除く) 毎年4月1日から翌年3月31日までとする。 準用工作物 防火設備 ・観光用エレベーター ・ジェットコースター ・観覧車 など 随時閉鎖式の防火戸など 毎年8月1日から11月30日までとする。 [経過措置] 最初の報告については平成28年8月1日から成29年11月30日の 間に行えばよいこととする。
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