お水取り - 奈良国立博物館

※資料に関するお問い合わせ先
奈良国立博物館 学芸部
情報サービス室
Tel 0742-22-4463(直通) Fax 0742-22-7221
平成 28 年 2 月 5 日
奈良国立博物館
特別陳列
お水取り
Treasures of Tōdaiji’s Omizutori Ritual
プレスリリース
[1]会
場
奈良国立博物館
[2]会
期
平成 28 年 2 月 6 日(土)~3 月 14 日(月)
休 館 日
東新館
2 月 15 日(月)、22 日(月) 、29 日(月)
開館時間 午前 9 時 30 分~午後 5 時
※2 月 8 日(月)~14 日(日)は午後 8 時 30 分まで(「なら瑠璃絵」開催期間中)
※3 月 1 日(火)~11日(金)
・13 日(日)・14 日(月)は午後6時まで
(東大寺二月堂修二会
本行の期間)
※3 月 12 日(土)は午後 7 時まで(東大寺二月堂修二会
籠松明の日)
※いずれも入館は閉館の 30 分前まで
[3]主
催
[4]観覧料金
奈良国立博物館・東大寺・仏教美術協会
一
大
学
般
520円(410円)
生
260円(210円)
※ ( ) 内は以下の料金です。
① 責任者の引率する 20 名以上の団体
② 子どもといっしょ割引[子ども(中学生以下)と一緒に観覧される方]
※ 高校生以下および 18 歳未満の方、満 70 歳以上の方、障害者手帳をお持ちの方(介護者 1 名を含む)
は無料です。
※ この観覧料金で、同時開催の特別陳列「銅造伊豆山権現像修理記念
伊豆山神社の歴史と美術」
(西
新館)
、名品展「珠玉の仏教美術」(西新館)もご覧になれます。
※ 中国古代青銅器[坂本コレクション](青銅器館)、仏像写真展「大和の仏たち ー奈良博写真技師
-1-
の眼ー」(地下回廊)
、開館 120 年記念「写真でたどる奈良国立博物館のあゆみ」(地下回廊)は無
料でご覧いただけます。
★ 2 月 6 日(土)~3 月 10 日(木)の午前中までの間、東大寺二月堂・東大寺ミュージアムにおい
て配布される無料券をご持参の方は、3 月 8 日(火)
・9 日(水)
・10 日(木)に限り、1 回につき
2 名様まで本展を無料で観覧できます。
[5]展覧内容
しゅ に
え
お水取りは東大寺二月堂でおこなわれる仏教行事で、正式には修二会 と言います。行事の
さんげ
け
か
目的は、仏の前で罪過を懺悔すること(悔過)。現在 3 月 1 日から 14 日間にわたっておこな
れん ぎょうしゅう
われる本行では、心身を清めた僧(練 行 衆 )が十一面観音の前で宝号を唱え、荒行によっ
てん か あんのん
て懺悔し、あわせて天下安穏などを祈願します。
じっ ちゅう か しょう
お水取り(修二会)は、天平勝宝 4 年(752)に東大寺の実 忠 和 尚 が初めて十一面悔過
ふ たい
ぎょうぼう
を執行して以来、一度も絶えることなく不退の 行 法として約 1260 年にわたって実施され続
けてきました。そこには東大寺が歩んできた長い歴史が刻み込まれています。
本展は、毎年、東大寺でお水取りがおこなわれるこの時季にあわせて開催する恒例の企画
です。実際に法会で用いられた法具や、歴史と伝統を伝える絵画、古文書、出土品などを展
示します。お水取り(修二会)への理解が深まる一助となれば幸いです。
[6]出陳品
65 件(うち重要文化財 17 件)
[7]主な出陳品
1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
※図版は後掲
に がつどう まん だ
ら
二月堂曼荼羅
に がつどう え ん ぎ
二月堂縁起
け ごん きょう
に がつ どう やけ ぎょう
華厳 経 (二月堂焼 経 )
東大寺
奈良
東大寺
当館
しゃくじょう
錫 杖
重要文化財
奈良
こうずいしゃく
香水杓
に がつどう れん ぎょうしゅうばん
重要文化財 二月堂練 行 衆 盤
に がつどう じん みょうちょう
重要文化財 二月堂神 名 帳
に がつどう じ ど う し ほっそく
二月堂時導師法則
-2-
奈良
東大寺
奈良
東大寺
奈良
東大寺
奈良
東大寺
奈良
東大寺
[8]公開講座
◆2 月 27 日(土)「不退の行法
十一面悔過 ―「お水取り」がたどった棘の道―」
橋本 聖圓 師(東大寺長老)
※奈良国立博物館講堂において、午後 1 時 30 分より 3 時まで。
聴講無料、定員 194 名。
(午後 1 時より開場。講堂入口で入場券を配布します)
※入場の際には、展覧会の観覧券もしくはその半券、国立博物館パスポート等を
ご提示ください。
[9]問い合わせ先
奈良国立博物館 Nara National Museum
〒630-8213
奈良市登大路町 50(奈良公園内)
NTT ハローダイヤル
050-5542-8600
ホームページ(URL)http://www.narahaku.go.jp/(PC 用)
http://www.narahaku.go.jp/mobile/(携帯用)
〈交通案内〉近鉄奈良駅下車徒歩約 15 分
またはJR 奈良・近鉄奈良駅から市内循環バス外回り「氷室神社・国立博物館」下車すぐ
-3-
【主な出陳品】
にがつどう ま ん だ ら
1.二月堂曼荼羅
奈良
東大寺
絹本著色 室町時代(16 世紀)
しゅ に
え
修二会の本尊である十一面観音が、雲に乗って二月堂の上空に
あ
か
い
や
う
現れています。右下の閼伽井屋付近には黒・白二羽の鵜が描かれ、
こうずい
鵜に続いて香水が湧き出たという修二会の創始にかかわる説話を
あ
か
き
表しています。説話では、二月堂の本尊は閼伽器の上に乗って海
の彼方から現れたとされますが、この絵では雲に乗って現れる
らいごう
「来迎」の姿で表されるのが印象的です。
にがつどう え ん ぎ
2.二月堂縁起
奈良
東大寺
紙本著色 室町時代 天文 14 年(1545)
しゅ に
え
りやく
修二会の創始から二月堂観音の利益 までの説話
を表した絵巻です。写真は、本尊の十一面観音
こうずい
に供える香水 が湧き出た場面です。画面下の岩
う
から白黒 2 羽の鵜が飛び出し、そこから香水が
あ
か
い
や
湧き出しました。現在の閼伽井屋はその場所で、
この香水を汲むことから修二会は「お水取り」と
も呼ばれているのです。
け ごん きょう
に がつ どう やけ ぎょう
3.華厳 経 (二月堂焼 経 )
当館
紺紙銀字 奈良時代(8世紀)
じっ ちゅう き
2月5日の実 忠 忌 に用いられたと考えられて
いる六十巻本の『華厳経』で、江戸時代に二月
堂が全焼した際、焼け跡から発見されました。
ぎん でい
かい せん
紺紙に銀泥で界線を施し、同じく銀泥で経文を
書写しています。一部は焼け焦げながらも、紺
色の料紙に浮かび上がる銀色の文字は独特の美
しさを醸し出しています。
-4-
(上巻・部分)
しゃくじょう
4. 錫 杖
奈良
東大寺
頭部=銅製 鍍金 柄=鉄製
江戸時代(18~19 世紀)
そうりょ
ゆぎょう
たくはつ
錫杖は僧侶の用いる道具で、山野での遊行や托鉢に用
いられるほか、儀礼に当たって宗教的雰囲気を高める
し ゅ に え
げ しちにち
ためにも使用されます。本品は修二会の下七日(後半
じん じょう
の7日間)の半夜、晨 朝 に行われる「錫杖」の儀礼
にょう
に際して鈴( 鐃 )とともに打ち鳴らされるもので、
頭部に刻まれた銘文から修二会に用いるために二月
堂に寄進されたものであることがわかります。
こうずい しゃく
5.重要文化財 香水 杓
銅製
奈良 東大寺
鎌倉時代
その 1:建長 5 年(1253)
その 2:建長 7 年(1255)
に が つ ど う ほんぞん
こうずい
さんけいしゃ
二月堂本尊に香水を供えた後、堂内の参詣者
ひしゃく
に香水を分ける際に柄杓として用いたもの
で、注口のついた形はお水取り独特のもので
つぼ
せん こくめい
せにゅうしゃ
す。壺の側面に線刻銘があり、施入者がわか
ります。
に がつどう れん ぎょうしゅうばん
6.重要文化財 二月堂練 行 衆 盤
木製
奈良 東大寺
漆塗
鎌倉時代 永仁 6 年(1298)
じきどう
練行衆が食堂で食事をとる際に用いる丸盆です。はじめ
は机の下に据えられ、
食後に食器類を載せて片付けるの
ろくろ び
に使用されます。ケヤキの一枚板を轆轤挽きで成形した
のち、全面に黒漆、表には朱漆が塗り重ねられており、
摩滅した朱漆からのぞく黒漆が温雅な味わいを見せて
います。裏面の朱漆銘から永仁 6 年(1298)に制作さ
れたとわかります。
-5-
(上:その 2 下:その 1)
に がつどう じん みょうちょう
7.重要文化財 二月堂神 名 帳
奈良 東大寺
紙本墨書 巻子装
室町時代 大永 8 年(1528)
しゅ に
え
ごん ぎょう
しょや
修二会の期間中、練行衆が 1 日に 6 度おこなう勤 行 のうち、初夜の行中に読み上げられる
かんじょう
のが神名帳です。これは、日本各地の神々を二月堂の守護神として勧 請 するためのもので、
しょうみょう
ふし
練行衆による他の 声 明 と同じように、独特の節とリズムが付けられています。本品は二月
堂の神名帳の写本では現存最古のもので、読み仮名や読み上げ時の節を示す注記も付けられ
ています。
に がつどう じ ど う し ほっそく
8.二月堂時導師法則
奈良
東大寺
紙本墨書 袋綴装
江戸時代 享保 14 年(1729)
しゅ に
え
にっちゅう
にちもつ
ご
や
じん じょう
修二会の行中、練行衆は日 中 ・日没・初夜・半夜・後夜・晨 朝 という六時の勤行を毎日
おこないますが、それぞれの勤行時に声明のリード役となるのが時導師で、練行衆のうち
平衆 7 人が交代で務めます。本品は時導師の所作を書き記した参考書で、図版は「南無観
ほうごう
自在菩薩」あるいは「南無観自在」の宝号の節と、それを唱える回数を記した箇所です。
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