京都大学フォーミュラプロジェクト KART 月例活動報告書

2016 年度 11 月期(第 2 号)
京都大学フォーミュラプロジェクト KART
月例活動報告書
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今月の活動概要
○2016 年度車両設計
○京機会総会
○鈴鹿サーキットデモラン
今月ご支援頂きました方々
今月の各班報告
鈴鹿サーキットのピットレーンに展示される KZ-RR13
ご挨拶
唐突な冬の訪れを感じる今日この頃,皆様におかれ
ましてはいかがお過ごしでしょうか.11 月のカレンダーが
めくられ,早くも今年度プロジェクトの 4 分の 1 が過ぎよう
としております.
昨年度喫したリタイアは,私達がエンジンに関するトラ
ブルを,根絶しきれていないことを実感させるものでした.
その主たる原因は,9 号機・10 号機で痛感したはずの
「熱害」であり,過去の教訓が生かされていないと言われ
ても致し方ありません.挑戦し続ける姿勢に加えて,自
分達に足りなかったものは何であるのかを顧みる慎重さ
を持ち,私達 KART は活動してまいります.引き続き,温
かな目でお見守りいただけましたら,幸甚に存じます.
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2016 年度 11 月期(第 2 号)
今月の活動概要
2016 年度車両設計
先月で今年度車両KZ-RR14の主要なパー
めに再度設計するといった,本来は必要の
ツレイアウトが決まったため,今月は各部
ない作業を減らすことを狙うとともに,車
品の詳細な設計を行いました.必要に合わ
両完成後の整備性の向上を目指します.
せて構造解析と流体解析を用いて細部まで
設計の優先度の高いパーツを明確にして
形状を検討し,要求された値を達成できる
チームメンバーにタスクを割り振り,設計
よう,設計を進めております.
完了を目指します.また,設計変更の可能
また3DCADを活用し,部品同士の干渉
性のないパーツを中心に製作を開始してお
確認や,工具のアクセス性と各パーツの取
ります.
り付けやすさ・取り外しやすさを考慮した
来月からフレーム本体の製作をめざして,
組み付け手順の確認を入念に行っておりま
車両設計を進めてまいります.
す.これにより製作後の干渉等不具合のた
京機会総会
11 月7日に開催されました京都大学工学部
また,KART へのご支援を募り,多くの方よ
機械系の同窓会である京機会の総会,懇親会
り今後の KART の活躍を期待して寄付を頂戴
に,弊チームから 3 名が参加いたしました.懇
いたしました.いただきましたご寄付金は今後
親会の場で KART をご紹介する機会をいただ
の活動に大切に使用させていただきます.ご
き,2015 年度の大会結果と 2016 年度の体
支援していただきましたサポーターの皆様,懇
制,車両についてプレゼンテーションをさせて
親会でのご紹介の場を提供してくださり,当日
いただきました.懇親会では,多くの方から総
の運営にもご尽力くださいました関係者の皆
合優勝への激励の言葉をいただき,一同身が
様には心よりお礼申し上げます.
引き締まる思いでした.
鈴鹿サーキットデモラン・PR 展示
7 日と 8 日の 2 日間にわたり,鈴鹿サーキッ
た車両はそのまま展示され,多くのギャラリー
トにて学生フォーミュラ車両のデモラン並びに
に囲まれました.夕方には,学生向けにスーパ
展示が行われました.これは毎年スーパーフォ
ーフォーミュラのピット見学の機会が設けられ,
ーミュラの最終戦に合わせて行われているイ
プロのレーシングチームの車両や作業の様子
ベントで,KART は今年で 4 回目の参加となり
をごく間近で見せて頂くことができました.8 日
ます.最も注目の集まるデモランは 7 日の昼
はピットと入口の広場で車両が展示され,多く
に行われ,学生フォーミュラの車両 6 台が,鈴
の子供たちがコクピットに座り笑顔を見せてく
鹿サーキットのストレートを最高時速約 140km
れました.
で駆け抜けました.その後,ピットレーンに戻っ
年々認知度が高まりつつある学生フォーミュ
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2016 年度 11 月期(第 2 号)
ラの更なる PR に,今後とも取り組んでまいりま
す.イベントを企画・運営して下さった関係者
の皆様に,この場をお借りして厚く御礼申し上
げます.
デモラン出走待機中の KZ-RR13
今月支援していただきました方々
今月は以下の方々にご支援をいただきました.厚く御礼を申し上げますとともに,今後とも温かい
ご声援のほど,よろしく願い致します.
スポンサー様
琵琶湖スポーツランド 様
(走行場所を提供していただきました)
サポーター様
中川 哲 様
田村 憲司 様
牧野 俊郎 様
小澤 三敏 様
西脇 一宇 様
泉井 一浩 様
吉田 英生 様
井出 亜里 様
今月の各班報告
シャシ班
今月は 12 月からの本格的な車両製作に向
の構造の中でバルクヘッドの位置を固定する
け,フレームの治具の製作を始めました.今年
ための治具を製作しました.
度のフレームも昨年同様バルクヘッドをパイプ
設計に関しましては昨年度のサスペンション
で繋ぐ構造にしました.11月はフレーム全体
ジオメトリの設計シートを改良しました.具体的
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2016 年度 11 月期(第 2 号)
には,キングピンを軸とした転舵時のタイヤの
すことでブレーキディスクの径を大きくし,昨年
動きを,行列を用いて三次元的に解くことで,
度のフロントのブレーキ力不足を解決しようと
今まで二次元的に近似して解いていたキャン
考えております.フロントのキャリパーを外側に
バゲインなどといったパラメ―タをより正確に解
出しブレーキディスク径を大きくするには,キャ
くことが可能となりました.また今年はフロントの
リパーに追加工を施し上部のバンジョーの位
アップライト周りを昨年度に比べて大きく変更
置を変更する必要があるので,その改良試験
し,ブレーキキャリパーをナックルの外側に出
を 12 月中に行う予定です.
エンジン班
今月エンジン班では,今年度車両およびベ
かったギアポジションセンサについて,既存の
ンチの設計を行いました.まず,今年度車両の
ニュートラルセンサに 1 速から 5 速の他のポジ
コンセプトであります「低重心化」を達成するた
ションでも検出できるように追加工を行いまし
め,各パーツの配置の再検討を行いました.
た.
特に,吸気系のコンプレッサーハウジングおよ
次に,スーパーチャージャーを含む新設計
び冷却系は,エアロデバイスの設計を変更す
の吸気系を搭載できるようにするためにエンジ
ることで,昨年度より低い位置に配置できるよう
ンベンチの設計を行いました.吸気系につい
検討しました.同様にファイナルギアボックスも
て今年度車両搭載と同様の配置に決定し,そ
昨年度より 20 ミリ低く配置しました.電装系の
れに合わせてマウントを設計しました.来月以
設計も進めました.昨年度製作の間に合わな
降は,実際にベンチ周りの製作を進めます.
エアロダイナミクス班
今月は,3DCFD によるエアロパーツの形状
方法を確立するとともに,今年度車両での実
の設計と油膜法を用いたフロービズを行いまし
走行によるウイングの迎角の調整を行いたいと
た.
考えております.
フロービズとは,流れの可視化のことをいい
3DCFD での設計に関しましては,車両前方
ます.油膜法では走行前の車両の翼の表面
から後方に向けて順に形状の最適な形状の探
等に油を吹き付け,その油膜が走行風によっ
てどのような模様を示すかを観察します.これ
を行うことにより,パーツ表面での気流の剥離
の有無がわかります.剥離が発生すると翼の
効果が大きく減少するため,それを防ぐ形状に
設計することが重要です.昨年度車両でテスト
した結果,車体後方に配置されたウイングの一
部で剥離が発生していることがわかりました.
今後も走行の度にこのテストを行い,使用する
リアウィングフロービズの様子
油の種類などの検討をおこなうことで,テストの
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2016 年度 11 月期(第 2 号)
索を行いました.パラメータスタディの活用によ
るためです.
り昨年度に比べて効率よく解析を回すことがで
今後は,冷却性能と排気を活用したリアディ
きました.一通り最適化を終えた後に,カウル
フューザーの検討を行い,製作方法やマウント
内部の気流を含めた解析モデルを作成しまし
を反映した詳細な CAD の作成を行っていきた
た.このようなモデルを作成したのは,昨年度
いと考えております.
車両でのエンジンのオーバーヒートを解消する
ためにエンジンルームの空気の流れを検証す
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