2月8日号を発行いたしました。

2016 年 2 月 8 日
<今週の市況展望>
マイナス金利を受け、反転上昇か
先週は、日銀が新たな緩和策(マイナス金利)の導
入を決定したことを受け、日本株は上昇してスター
ト。金利低下メリットを享受できる不動産株やその他
金融株などが上昇。一方、利ざやの縮小や国債運
用益が見込みにくくなった銀行株などは売りが先行
した。
今週は、米国で10日に下院金融サービス委員
会、11日に上院銀行委員会でイエレンFRB議長の
議会証言がなされる。当議会証言で、今後の利上
げペースに関する発言があるかに注目が集まる。仮
に、米国が利上げペースの鈍化を示唆する内容と
なれば、世界的にリスクオンの株高、原油高、ドル高
(円安)の動きが強まることとなろう。
また、日銀の緩和策によって、10年国債利回りは
初めて0.1%を割り込んだ。長期金利の低下により、
日本株の配当利回りの魅力が相対的に高まり、株
式市場に資金が流入しやすくなったと見られる。
一方で、日本企業の決算発表がピークを迎えて
いるが、中国などの新興国の影響などもあり、出足
投資の視点
エコノミスト Eye
為替展望
グローバル投資戦略
は不調。しかし、大企業製造業の15年度下期の想
定為替レートは1ドル118円(12月調査の日銀短観)で
あり、1ドル121円台のドル円相場が継続すれば、業
績拡大の追い風になるものと見られる。
こうした中で、今週の日経平均は急反発後の利
食い売りを消化しながら、昨年末の1万9000円程度
を目指すと予想する。
(関 邦仁)
<製造業の想定為替レートとドル円実勢レート>
130
120
115
110
実勢レート
105
100
95
想定為替レート
(大企業・製造業)
90
想定為替レート
2015年度
上期
下期
120.84円 118.00円
85
通期
119.40円
80
75
12/11
13/05
14/05
14/11
15/05
15/11
<今週の主な予定>
2月8日 (月)
2月9日 (火)
2月10日 (水)
2月11日 (木)
2月12日 (金)
12月の経常収支
1月の企業倒産件数
1月の景気ウォッチャー調査
1月のマネーストック
日本
1月の工作機械受注(速報)
日本
1月の企業物価指数
米国
イエレンFRB議長、下院金融サービス委員会で議会証言
米国
イエレンFRB議長、上院銀行委員会で議会証言
ユーロ圏 10-12月期GDP(速報)
米国
1月の小売売上高
日本
予定は変更されることがあります。東海東京調査センター作成
長期金利 0.1%割れの衝撃
日銀のマイナス金利とマクロインパクト
日銀のマイナス金利でドル高円安再開
年初安からの反転が期待される世界の株式市場
今週で決算発表は一巡、建設株に注目
13/11
(出所)日銀短観より東海東京調査センター作成
逆風強まる中で勢いを増すフィリピン経済
株式分析
円
125
◇◆ 今週の参考銘柄 ◆◇
芙蓉総合リース(8424)
東洋建設(1890)
◇◆ 海外企業紹介銘柄 ◆◇
マクドナルド(米国・MCD)
クアルコム(米国・QCOM)
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
投資の視点
長期金利 0.1%割れの衝撃
1月29日、日銀はマイナス金利の導入を発
第一に外債投資。例えば、米国の10年物国
表、株高、円安、長期金利低下が進行した。市
債利回りは1.9%台。マイナス金利導入の発表
場の予想では年80兆円の資金供給額を増や
前、日米の利回り倍率は10倍弱だったが、発表
すかと思われたが、実際は供給額を維持しなが
後は30倍弱に拡大した。これはドル高円安の
ら、その資金を金融機関が0.1%の金利がつく
流れを持続させるのに十分な格差と言える。
日銀当座預金に「滞留」させるのではなく、マイ
第二に株式投資。東証1部の予想配当利回
ナス金利 (-0.1%) にして当座預金を「敬遠」さ
り (加重平均) も1.9%台。マイナス金利導入の発
せ、各種貸し出しや内外の投資対象にスムー
表前、10年債利回りの10倍弱だったが、発表後
ズに導く「経路」を作った点は見事と言える。
は30倍弱に拡大した。これは配当取りの買いを
株高、円安、長期金利低下の中で最も驚い
持続させるのに十分な格差と言える。
たのは長期金利低下だ。10年物国債利回りの
第三にREIT(不動産投資信託)投資。東証REIT
0.2%台でも十分低すぎると思われたが、当座
指数ベースの配当利回りは1日時点でも約3%
預金の0.1%の金利がなくなった途端、金融機
で、10年債利回りの40倍強。金融機関にとって
関が10年債を買い上げ、利回りは一気に0.1%
最も有力な貸出先は不動産市場という事情も
を割り込んだ (1日時点で0.07%)。長期金利0.1%
加わり、量的緩和とマイナス金利導入は、東証
割れの衝撃は各種貸出金利の他、投資マネー
REIT指数が昨年1月につけた高値をうかがう原
の行き先を持続的に左右する。
動力となりそうだ(下図)。
2100
2003年3月31日の
時価総額=1000
(隅谷 俊夫)
2005(15/1)
1900
400
兆円
< 東証REIT指数と日銀当座預金残高 >
1885
(16/2)
350
東証REIT指数
(月足)
1700
300
年80兆円
増加予想
1500
250
1300
200
1100
150
異次元緩和
スタート
(13/4)
▼
900
100
日銀当座預金残高
700
500
50
(出所:日銀、QUICK、東海東京調査センター作成)
12
13
0
14
15
- 1 -
16
年
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
エコノミスト Eye
日銀のマイナス金利とマクロインパクト
②貸出支援基金(30兆円程度)、③被災地支援オ
初の“マイナス金利”の導入
ペ (3000億円程度) を合計した40兆円近い金額
日銀は1月29日の金融政策決定会合で、「マ
は、「マクロ加算残高」としてゼロ%の金利が適
イナス金利付き量的・質的金融緩和」の導入を
用される。▲0.1%のマイナス金利が適用される
決定した。各種報道では「日銀による初のマイ
のは、当座預金残高のうち上述の基礎残高と
ナス金利」と伝えられ、市場にも大きなインパク
マクロ加算残高を超える「政策金利残高」につ
トを与えた。しかしその具体的なスキームにつ
いてのみである。この金額はマイナス金利の適
いては複雑であり、そのインパクトも含めて現段
用される2月時点では10兆円以上になると考え
階では日銀の新しい金融政策に関する十分な
られるが、金融機関は依然2000億円程度のプ
理解が行き渡っているとは言い難い面もある。
ラスの利子を受け取れる。更にゼロ金利の適用
本稿では今回日銀が導入した“マイナス金利政
されるマクロ加算残高については、今後裁量的
策”のスキームを概観するとともに、マクロ経済
に増額されていく予定であり、金融機関経営を
に与えるインパクトについて考察する。
過度に圧迫しないように一定の配慮がなされて
いる。
今回の具体的スキームについて
マクロ経済へのインパクト
現在、日銀の当座預金残高は15年12月時
点で約250兆円程度、このうち9兆円弱は金融
今回の政策変更により、為替レートは1ドル
機関が日銀に預けることを義務付けられている
120円台を回復し、長期金利は0.1%を割り込む
「所要準備」といわれる部分である。これを超え
大幅な低下となった。円安方向へのシフトは企
る240兆円強の金額は「超過準備」といわれる
業収益の改善を通じてマクロ経済を間接的に
部分であり、これまではこの部分に対して0.1%
下支えすることが期待される。一方で長期金利
の金利が付与されていた。今回のマイナス金利
に関しては、これまでも既に十分に低下してお
はこの0.1%を▲0.1%に変更する意味ではな
り、クレジットクランチのような状況が起きている
い。そのようなことをすれば金融機関は5000億
わけでもないため、設備投資等に与える直接
円規模の損失を被ることになる(240兆円×▲0.2%
的な効果は限定的と思われる。また日銀は今
=▲4800億円) 。今回の措置は金融機関の収益
回の政策変更を踏まえた上で、16年度のコア
を過度に圧迫しないように、15年1~12月まで
CPIの見通しを大幅に下方修正しており(1.4%⇒
の間の超過準備の平均残高(212兆円程度)につ
0.8%)、このこと自体、今回の”マイナス金利”が
いては「基礎残高」という形で従来通り0.1%の
「物価安定目標」の早期達成にはほとんど寄与
プラスの金利を付与することとされている。金融
しないことを示したものといえよう。今回の追加
機関は今後もコンスタントに2000億円以上の利
緩和は、マクロ経済へのインパクトという意味で
子を受け取ることができるわけである。またこれ
は効果は限定的と思われる。
とは別に前述の①所要準備に相当する部分、
(武藤 弘明)
- 2 -
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
為替展望
日銀のマイナス金利でドル高円安再開
日銀は1月28~29日の金融政策決定会合
ナス金利のユーロを借り入れ、高金利通貨に換
で、マイナス金利を導入した。原油安と中国経
えて運用する「ユーロキャリートレード」が活発
済の減速で国内の景気や物価の下振れ懸念
化し、ユーロ安が進行した。日本でも同様に、
が高まっていることに対処したもの。黒田日銀
「円キャリートレード」の拡大による円安進行が
総裁は、金融機関の収益圧迫などを理由に、こ
見込まれる。また、本邦投資家は少しでも有利
れまでマイナス金利に慎重姿勢を貫いてきた。
な運用先を求め、海外資産の運用を増やす可
だが、日銀当座預金の一部だけにマイナス金
能性がある。さらに、シカゴ投機筋は、昨年来
利を適用(金融機関はこれまでより受取利息が減るもの
のリスクオフの流れから、4年ぶりの水準まで先
の、日銀の当座預金全体ではプラス金利がつく仕組み)。
物でドル売り円買いポジションを積み上げた。
金融機関の収益圧迫を和らげながら、「量」と
円先安観の拡大で、こうした投機筋は再びポジ
「質」に「マイナス金利」を加えた3次元スキーム
ションを転換してくることが予想され、ドル買い
で緩和するウルトラCを発表した。
円売り圧力の上昇につながりやすい。
サプライズ効果もあって、市場は劇的な株
ドル・円は昨年1月以降の取引の中心だった
高・円安・債券高 (金利は低下) で反応。今後も、
1ドル=120円を上抜けてきたことから、ドル高円
円の実質金利低下を通じた円安進行が予想さ
安トレンドが再開する流れとなろう。当面は120
れる。ECB (欧州中銀) は日銀に先駆け2014年6
円前後を下値のメドに、いずれ黒田シーリング
月からマイナス金利を導入済み (当初はマイナス
とされる125円を試す展開を予想する。
0.1%だったが、現在はマイナス0.3%)。市場ではマイ
(柴田 秀樹)
<ユーロ・ドルおよびドル・円とECBおよび日銀のマイナス金利政策>
85
1.50
ユーロ・ドル(日足、右軸)
90
95
100
1ドル=円
逆目盛
1ユーロ=ドル
ECBがマイナス金利を初めて導入
マイナス0.1%
2014年6月5日
1.40
ユーロ安
ドル高
ECBが再引き下げ
マイナス0.2%
2014年9月4日
1.30
ECBが再引き下げ
マイナス0.3%
2015年12月3日
105
ドル・円(日足、左軸)
1.20
1.10
110
円安
ドル高
115
日銀がマイナス金利を導入
マイナス0.1%
1.00
2016年1月28~29日
120
0.90
125
(出所:ブルームバーグデータより東海東京調査センター作成)
2015年
2014年
01月
04月
07月
10月
01月
04月
- 3 -
07月
10月
2016年 0.80
01月
04月
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
グローバル投資戦略
年初安からの反転が期待される世界の株式市場
大きく下方に低下(1月29日時点で8年物国債までが
まだ終わらない世界的な金融相場
マイナス金利となった)し、今後余剰資金がさらにリ
原油安や中国情勢[景気減速、人民元安(資金流
スク資産に流れやすい環境が整った。
出)、株価急落等]への懸念などを背景に続いた年
<日本国債の利回り変化(1 月 28 日~29 日)>
初からの世界的な株安だったが、ここにきてよう
1.4
1.2
1.0
0.8
0.6
0.4
0.2
0.0
-0.2
やく収束の兆しが見えてきた。そして今回、株
価反転の契機となったのが、日米欧の各中央
銀行による政策対応だ。
%
2016/1/28
2016/1/29
(マイナス金利導入後)
ベーシスポイント
0
まず口火を切ったのはECB(欧州中銀)。ドラギ
-5
ECB総裁は1月21日、次回3月10日のECB理事
-10
-15
会での追加緩和の可能性を示唆し、株価反転
2016/1/28~/1/29の利回り変化
-20
1年 2年 3年 4年 5年 6年 7年 8年 9年 10年 15年 20年 30年 40年
のきっかけを作った。そして27日に公表された
出所: ブルームバーグより東海東京調査センター作成
1ベーシスポイント=0.01%
FOMC(米連邦公開市場委員会)の声明文では、昨
米国が利上げを開始したとはいえ、世界的な
年終盤に見られた米国経済の減速、あるいは
金融相場の流れはこの先も継続するものと見込
海外経済や金融市場の動向への配慮の必要
まれる。
性など、今後の追加利上げの判断をより慎重に
原油価格の反発も支援材料だが・・・
させるだろうとみられる項目が明記された。これ
を受け、次回3月 (15-16日) のFOMCで+0.25
ロシアとOPEC(石油輸出国機構)が減産につい
%の追加利上げが行われるとする市場の予想
て協議するのではないかとの観測を背景に、原
確率 (フェデラルファンド金利先物から算出)は、14.0
油価格が安値から反発を見せている。
%にまで低下した(1月29日現在)。
しかし、実際には減産合意へのハードルは
かなり高いと思われる。核問題による経済制裁
<米利上げ予想確率>
60
が解かれたイランは、増産を始めたばかりで減
%
産に反対を貫くだろう。またサウジアラビアとイラ
50
市場参加者の利上げ予想確率
(3月のFOMCで+0.25%)
40
ンは断交しており、OPEC加盟諸国が簡単にま
30
とまるとの見方は少ない。さらに、減産を決めて
20
も一部の国がそれを守らない可能性や、米国
10
のシェールオイルの増産に対する懸念も根強
1/29: 14.0
0
2015/8
2015/10
い。加えて、シリアのアサド政権を巡るロシアと
2015/12
サウジアラビアの意見対立といった中東情勢も
出所: ブルームバーグより東海東京調査センター作成
そして「とり」を飾ったのが29日の日銀による
問題を複雑化させる要因となっている。原油価
予想外のマイナス金利の導入だ。これにより、
格の動向については、この先も予断を許さない
日本国債の利回り曲線は全ての期間において
状況が続くとみておくべきだろう。 (長田 清英)
- 4 -
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
グローバル投資戦略
逆風強まる中で勢いを増すフィリピン経済
らの直接投資が拡大する、③コールセンターに
旺盛な内需が景気を押し上げ
代表されるBPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)
1月28日に発表されたフィリピンの15年10~
産業の成長によってサービス輸出が拡大する、
12月期の実質GDP (国内総生産) 成長率は前年
等も成長を支えるものと見込んでいる。
同期比+6.3% (前期:同+6.1%) と市場予想 (同
株価調整で投資魅力が一段と高まる
+5.9%)に反して伸びが加速した。
各需要項目をみても、物価情勢の沈静化が
こうした良好な国内経済情勢にも拘らず、株
消費を刺激し、インフラ開発など政府予算が着
価は年初からの世界的なリスクオフの流れに巻
実に進捗するなど総じて良好な内容となった。
き込まれる形で大きく下落。フィリピン総合指数
中国経済の減速がASEAN各国の成長を下
は一時、約2年ぶりの安値圏まで売り込まれた。
押しすると警戒されてきたが、今回のGDP統計
GDP発表後は、外部環境の逆風が強まる中
では、改めてフィリピン経済が中国の景気動向
で国内経済がむしろ勢いを増していることを好
に左右されにくいことが確認されたといえる。
感した買い戻しが広がっている。しかし、同指
<フィリピンの株価指数と実質 GDP 成長率の推移>
数は依然として昨夏のチャイナ・ショック後に付
(前年同期比、%)
けた安値(8月24日:6791.01ポイント)付近にあり、当
(前年同期比、%)
60
12
10
面は好調な経済を織り込む形での反発局面が
50
実質GDP成長率(左軸)
続くものと想定している。
8
40
6
30
4
20
2
10
続くと見込まれるうえ、年初からの株安によって
0
0
これまで懸念されていたバリュエーション面の
また、17年にかけて企業業績の2ケタ成長が
-10
-2
-4
-6
2010年
2011年
2012年
2013年
割高感が解消したことも踏まえると、引き続き
-20
フィリピン総合指数(右軸)
2014年
2015年
中長期的な投資魅力は非常に高いものとみて
-30
2016年
注: 16年1~3月期のフィリピン総合指数は1月末時点
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
いる。
(井澤 誠)
<フィリピンの株価指数と 1 株当たり利益の推移>
こうした内需主導の高成長は今年も続く公算
10000
が大きい。5月の大統領選挙に向けてGDPの約
フィリピン総合指数(左軸)
7割を占める個人消費が一段と活発化すると見
込まれるうえ、政府による歳出拡大やインフラ投
1株当たり利益
(予想値、右軸)
500
8000
400
6000
300
4000
200
1株当たり利益(実績値、右軸)
2000
2010年 2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年
100
資の加速が続くこと等が背景にある。
さらに、①旺盛な国内需要に対応するため
企業が設備投資を積極化する、②急拡大する
消費市場や豊富で安価な労働力に加え、自動
注:16年12月期、17年12月期はブルームバーグ集計による予想値(1月末時点)
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
車産業振興策の策定も追い風となって海外か
- 5 -
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
株式分析
今週で決算発表は一巡、建設株に注目
足元の業績は不振
建設株とノンバンク株に注目
1月末までに15年10-12月期の決算を発表
今週は終盤を迎えた15年4-12月期決算で
した企業(比較可能な463社)の経常利益は前年同
好調が期待される銘柄群や、マイナス金利の
期比1.4%減、日経予想 (≒会社予想) の16/3期
導入により長期金利が低下したことで、資金調
通期は前期比3.8%増となった。日経予想の16
達コストの低減が期待されるノンバンク株、好配
年1-3月期は通期予想から逆算すると前年同
当利回り株などに注目したい。
期比21.7%減となるが、これは保守的な印象。
12月1日から1月29日までの会社側による15
463社合計の16/3期通期経常利益予想に対
年度経常利益の修正動向は、社数ベースで増
する15年4-12月期の進捗率は83%。社数でも
額と減額がそれぞれ100社となった。業種別に
約54%の企業の進捗率が75%を超過した。16
はサービス株、情報通信株、建設株などの内
年に入りドル円相場が一時、1ドル116円台とな
需関連企業の増額修正が目立つ。
ったことや電子部品の一部企業で受注が減速
こうしたなかで、今週は建設各社の決算発表
したことなどもあり、16年1-3月期業績は慎重
が相次ぐ予定。建設会社は豊富な受注案件を
な見通しを示した公算が大きい。
背景に、選別受注を推進している。受注採算の
改善に、直近は人件費上昇の一巡もあり予想
<四半期ベースの経常利益の伸び率>
70
%
以上に業績が拡大することが期待される。
16/3期通期予想
経常増益率3.8%
60
50
次頁では高水準の建設投資により廃棄物処
3Qまでの進捗率は83%と
高く保守的
40
理の需要増大が見込まれるダイセキソリュ
30
(1712)、今週の参考銘柄では東洋建(1890)を取
20
10
り上げた。またノンバンク株のなかでは、今週の
0
‐1.4
(10)
参考銘柄として弊社アナリストが会社予想の経
金融を除く東証1部3月決算企業の四半期別経常(税前)増益率(前年同期比)
*対象は、1/29までに決算発表を終えたデータ継続性のある463銘柄
(20)
‐21.7
(30)
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
4Q
1Q
2Q
3Q
常利益を上回ると予想している芙蓉リース
4Q予
14/3期
15/3期
16/3期
(出所)Quick Astra より東海東京調査センター作成。予想は日経(一部東洋経済)予想。
16/3期4Q予想=16/3期通期日経(一部東洋経済)予想経常(税前)利益-15年4‐12月期実績経常(税前)利益より試算
(8424)を取り上げた。加えて、予想配当利回りが
<15 年 4-12 月期の進捗率>
同業他社に比べ高い日立キャピ (8586) を次頁
社
200
に掲載した。
16/3期通期日経予想経常利益に対する進捗率
20.7%
180
160
<大手建設株の 16/3 期経常利益見通し>
20%
全体の中での比率(右軸)
140
銘柄
14.5%
120
100
80
60
(梅田、武井)
*対象は、1/29までに決算発表を終えたデータ継続性のある463銘柄
10.2%
42
1801
1802
1803
1812
1820
1824
96
9.1%
67
10%
47
40
20
社数(左軸)
0
0%
進捗率100%以上
90~100%
80~90%
大成建
大林組
清水建
鹿島
西松建
前田建
株価
16/3期予想経常利益
決算
2月1日 会社予想 QC予想
発表日
773.0
830
895 2月9日
1106.0
850
883 2月9日
978.0
840
842 2月9日
716.0
620
682 2月9日
445.0
157
175 2月9日
765.0
130
166 2月10日
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
QC予想はアナリスト予想の平均、コード順で表記
75~80%
(出所)Quick Astra より東海東京調査センター作成
進捗率は16/3期通期日経(一部東洋経済)予想に対する15年4‐12月期実績
- 6 -
(円、億円)
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
株式分析
ダイセキソリュと日立キャピに注目
ダイセキ環境ソリューション(1712)
汚染土壌の調査および処理、分析を行う。15年3-11月
期の経常利益は前年同期比118%増で着地(1/7発表)。通
連結経常利益
同 EPS
同 PER
期会社計画に対する進捗率は91%と高水準。弊社は、
16/2期経常利益を前期比94%増の23.7億円と会社計画
16/2 予
17/2 予
23.7 億円
102.3 円
12.1 倍
21.9 億円
96.6 円
12.9 倍
予想は東海東京調査センター
(23億円)を上回ると予想。続く17/2期は大型案件の反動減
株価(2/1)
15年来高値
〃 安値
売買単位
から業績は一時的な踊り場になると見る。しかし、オリンピ
ック関連やリニア新幹線などの公共土木工事の増加を背
1,242.0
1,472.0
771.5
100
円
円 (15/9/2)
円 (15/1/16)
株
注)15年9月1日付けで1→2の株式分割。数値は遡及
修正済み
*PER15倍は、類似会社のPER水準と同社の2年間の
平均PERを基に算出
景に中長期的な業績拡大傾向を見込む。
株価は、16/2期予想EPSと*PER15倍を基に1,550円を
目指すと予想する。
(関 邦仁)
日立キャピタル(8586)
日立グループの金融中核会社。15年4-12月期の税前
利益は前年同期比26%増の357億円で着地 (1/28発表) 。
連結税前利益
同 EPS
同 PER
日本事業では、構造改革の効果が現れ注力する社会イ
ンフラ事業が伸長。グローバル事業では、英国で個人向
16/3 予
17/3 予
467 億円
279.7 円
11.1 倍
523 億円
313.5 円
9.9 倍
予想は東海東京調査センター
けキャッシング、米国でトラック向け融資などが好調だっ
株価(2/1)
15年来高値
〃 安値
売買単位
た。弊社では、16/3期税前利益を前期比31%増と会社計
画並みの水準を予想。17/3期は同12%増と予想する。
16/3期弊社予想の配当利回りは*2.7%と、東証1部の
3,110
3,570
2,201
100
円
円 (15/11/26)
円 (15/2/3)
株
*16/3期弊社予想の年間配当は1株当たり84円
予想配当利回り(加重平均)1.9%と比べて割安。信用倍率
も1倍割れの低水準で、株価の戻りを試す展開に期待。
(武井 宏彰)
<ダイセキ環境ソリューションの週足チャート>
1600
(15/09/02)
1472
円
1500
ダイセキソリュ(週足)
<日立キャピタルの週足チャート>
4000
(16/01/08)
1450
円
日立キャピ(週足)
3600
(15/11/26)
3570
(15/7/3)
3475
1400
1300
1200
1100
3200
(14/09/29)
1046
2800
1000
900
52週移動平均線
800
700
771.5
(15/01/16)
2400
千株
1500
2000
13週移動平均線
2201
(15/2/3)
2602
(16/1/21)
500
0
14/6/2
14/11/25
15/5/18
15/11/9
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成。15年9月1日付けで1→2の株式分割を実施。数値は遡及修正済み
15/1/5
15/4/6
(出所)QUICKより東海東京調査センター作成
- 7 -
15/7/6
千株
600
500
400
300
200
100
0
信用買い残
1000
出来高
2665
(15/9/8)
15/10/5
16/1/4
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
今週の参考銘柄
株 価(2/1):6,190.0円
芙 蓉 総 合 リ ー ス (8424)
市場:東証1部
15 年来高値
〃 安値
業種:その他金融
6,250.0 円 (15/11/10)
3,710.0 円 (15/2/3)
■業績推移
決算期
連
連
連
連
14/3
15/3
16/3 予
17/3 予
(単位:百万円、円)
売上高
伸び率
441,691
-0.2%
472,262
6.9%
501,351
6.2%
513,969
2.5%
営業利益
伸び率
23,174
-6.5%
24,517
5.8%
28,573
16.5%
31,801
11.3%
経常利益
伸び率
25,381
-4.0%
26,474
4.3%
32,077
21.2%
35,581
10.9%
当期利益
伸び率
12,981
-17.0%
14,203
9.4%
19,465
37.0%
21,642
11.2%
一株当たり
利益
配当
429.5
74.0
470.1
80.0
645.3
96.0
717.5
100.0
予想は東海東京調査センター(摩嶋 竜生) ■投資指標
PER(株価収益率)
PBR(株価純資産倍率)
配当利回り
16/3期 予
実績
16/3期 予
9.6 倍 17/3期 予
8.6 倍
0.93 倍
(15/3期 1株純資産 6,644.6 円)
7.4 % (15/3期)
1.55 % ROE(自己資本利益率)
時価総額
売買単位
1,867 億円
100 株
戦略分野への注力でリース事業は増勢の見通し
みずほフィナンシャルグループ系のリース大手。同社は15/3期-17/3期の中期経営計画で、航空機ビ
ジネスや不動産リース、再生可能エネルギー関連などを戦略分野に設定。好採算の航空機リース事業を
中心に、戦略分野の拡大によって、主力のリース事業は増勢をたどる見通し。
16/3 期、17/3 期と 2 ケタ経常増益の持続を予想
東海東京調査センターは16/3期の経常利益を前期比21%増の320億円と予想。当期利益は同37%増
の194億円と、会社計画の同160億円に対し上ブレを見込む(図1)。好採算分野への注力に加え、利回り
確保を重視した取り組みが奏功するとみるため。17/3期も再生可能エネルギーの事業開始などにより、経
常利益は同11%増の355億円、当期利益は同11%増の216億円と当調査センターは予想する。
株価は 6,970 円程度を目指し上昇基調に回帰するとみる
1月29日に、日銀は当座預金に一部マイナス金利を適用するなどの追加金融緩和措置を発表した。同
社には、資金調達面で金利低下メリットが期待される。株価は16/3期予想PER10.8倍の6,970円程度(16/3
期予想一株当たり利益645.3円×10.8倍≒6,970円) を目指し、再び上昇基調に回帰すると当調査センターは予
想。なお、PER10.8倍は過去1年間の平均予想PERである。
(川又 信之)
<図 1:経常利益と当期利益>
400 億円
経常利益
350
300
264
253
355
320
264
250
200
194
156
150
129
<図 2:株価(週足)と出来高>
(15/11/10)
7000 円
芙蓉リース(週足)
6500
6250
(15/5/20)
6000
5430
5500
5000
4500
4000
4200
3500
(15/9/8)
26週移動平均線
3000 3250(14/2/5)
2500
出来高
216
142
100
当期利益
50
千株
1,500
1,000
500
0
0
13/3
14/3
15/3
16/3予
17/3予
14/1/6
出所:会社資料より東海東京調査センター作成 予想は東海東京調査センター
- 8 -
14/7/7
15/1/5
15/7/6
出所:QUICKより東海東京調査センター作成
16/1/4
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
今週の参考銘柄
株 価(2/1):546.0円
東 洋 建 設 (1890)
市場:東証1部
15 年来高値
〃 安値
業種:建設業
610.0 円 (15/2/9)
426.0 円 (15/7/9)
■業績推移
決算期
連
連
連
連
14/3
15/3
16/3 予
17/3 予
(単位:百万円、円)
売上高
伸び率
144,838
13.2%
148,468
2.5%
160,400
8.0%
167,400
4.4%
営業利益
伸び率
4,026
41.4%
5,921
47.1%
9,900
67.2%
11,000
11.1%
経常利益
伸び率
3,362
54.7%
4,607
37.1%
9,200
99.7%
10,000
8.7%
一株当たり
利益
配当
25.0
7.0
41.2
9.0
57.2
10.0
63.6
12.0
当期利益
伸び率
1,997
80.3%
3,346
67.5%
5,400
61.4%
6,000
11.1%
予想は東海東京調査センター(栗原 英明)
■投資指標
PER(株価収益率)
PBR(株価純資産倍率)
配当利回り
16/3期 予
実績
16/3期 予
9.5 倍 17/3期 予
8.6 倍
1.49 倍
(15/3期 1株純資産 365.4 円)
1.83 % ROE(自己資本利益率) 11.8 % (15/3期)
時価総額
売買単位
515 億円
100 株
国内外の旺盛な需要を背景に受注が好調
海上土木大手。東京国際空港など海上空港の埋め立て・基礎工事や港湾工事で高い実績を持つ。国
内外の旺盛な需要を背景に受注が好調。東海東京調査センターでは、16/3期の建設工事受注高(単体)が
海外大型案件獲得で前期比8.2%増の1,490億円、17/3期は同14.1%増の1,700億円と予想する(図1)。
16/3 期営業利益は前期比 67%増を予想、収益性の向上等が寄与
当調査センターは、16/3期営業利益を前期比67.2%増の99億円と会社計画80億円を上回ると予想。
好調な受注に加えて、収益性の向上が寄与するとみる。土木における海上比率の上昇と、建築における
採算重視の受注活動などで、売上高営業利益率は15/3期実績の4.0%から16/3期に6.2%に高まると予
想する。続く17/3期は、東京五輪に向けたインフラ整備の本格化などで同11.1%営業増益を見込む。
株価は 750 円を目指す展開を見込む
株価は、バリュエーション面で割安感があるとみる(図2)。予想PERは、16/3期および17/3期ともに10倍
を下回る水準である。当調査センターは、今後、株価は好調な業績を織り込みながら、17/3期予想PER約
12倍に相当する750円を目指す展開を見込む。予想PER12倍は会社公表の16/3期予想一株当たり利益
45.6円を基準とする直近のPER水準である。15年4-12月決算発表は2月10日の予定。
<図 1:建設工事受注高(単体)の推移>
(廣瀬 治)
<図 2:株価チャート(週足)と予想 PER の推移>
億円
円
2000
500
1600
(15/2/9)
東洋建設
(週足)
600
572
26週移動平均線
400
海外
(15/10/30)
610
426
(15/7/9)
1200
国内建築
300
200
800
国内土木
100
公募1000万株、第三者割
当430万株の増資発表(15
220
年2月24日)で株価下落
(13/6/27)
予想PER
倍
20
15
400
10
0
14/3期
15/3期
16/3期予
5
17/3期予
13/4/1
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
予想は東海東京調査センター
13/9/30
14/3/31
14/9/29
15/3/30
15/9/28
出所:QUICKより東海東京調査センター作成 予想PERは15年3月までは
各期末実績一株当たり利益(EPS)を遡及適用 15年4月以降は東海東京
調査センター予想EPSを使用
- 9 -
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
海外企業紹介銘柄
マクドナルド (McDONALD'S CORPORATION)
市場:米国(ニューヨーク証券取引所)
銘柄コード:MCD
業種:レストラン
決算月:12 月
■事業内容
米ファストフードチェーン大手。主力商品のハンバーガーなどを比較的値ごろな価格で提供する。店舗総数
36,258のうち約8割の店舗がフランチャイズである。米国、カナダ、英国、フランス、ロシア、ドイツ、中国、オース
トラリア、日本の9ヵ国で売上高の75%を占める(2014年12月期)。
■業績推移(単位:百万ドル、%、ドル)
■株価指標
売上高
決算期
純利益
伸び率
15/12 4Q(実績)
15/12(実績)
16/12 予
17/12 予
6,341
25,413
24,073
22,596
一株当たり
伸び率
-3.5
-7.4
-5.3
-6.1
1,206
4,529
4,651
4,910
9.8
-4.8
2.7
5.6
利益
配当
1.31
4.80
5.38*
6.03*
0.89
3.44
3.65
3.87
業績予想はブルームバーグ。*:特殊要因を除く継続事業ベース
株価(16/1/29)
52 週高値(16/1/29)
52 週安値(15/8/24)
PER16/12 月期(予)
17/12 月期(予)
5 年平均予想 PER
時価総額
123.78
124.35
87.50
23.0
20.5
17.8
113,659
(ドル)
(ドル)
(ドル)
(倍)
(倍)
(倍)
(百万ドル)
2015 年 12 月期 4Q(10-12 月)決算は、既存店売上高の改善がみられた
2015年12月期4Q決算は、前年同期比3.5%減収、純利益は同9.8%増。為替の影響などにより減収と
なった。しかし、既存店売上高(為替の影響を除く、以下同じ)は同5%増。うち米国の既存店売上高は、朝食メ
ニューの全営業時間帯での販売などにより同5.7%増と高水準の伸びを示し、売上改善策(後述)の効果が
現れた。増益の要因として、直営店舗に関わる費用の低下や資産の処分による利益等が寄与した。また
決算公表と同時に、2016年12月期も全セグメントで売上高伸び率の改善が継続するとの見通しを示した。
フランチャイズ比率の引き上げや売上改善策に取り組んでいる
同社は、最終的にフランチャイズ比率を95%まで引き上げ経営資源の有効利用や経費削減などを図る
方針。他方、売上改善への取り組みとして、米国において消費者が長年求めていた朝食メニューの全営
業時間帯での販売を4Qより開始している。また、オーストラリアで成功した来店客がハンバーガーをカスタ
マイズできるサービスを一部地域で導入している。
売上改善や魅力的な配当利回りを評価し、堅調な株価推移を見込む
2016年12月期予想PERは、過去5年平均予想を上回る水準にある。しかし、売上改善策の効果が現れ
始めていることに加え、市場予想による2016年12月期の予想配当利回りは2.9%とS&P500一般消費財・
サービス指数(1.7%)を上回っていることなどから、同社株は堅調な推移をたどるとみる。
<既存店売上高伸び率(前年同期比)の推移>
8
6
4
2
0
‐2
‐4
<マクドナルドの週足チャート>
%
全社
米国
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
2013/12期
2014/12期
(堀之内 翼)
2015/12期
出所:会社資料より東海東京調査センター作成
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
- 10 -
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
海外企業紹介銘柄
クアルコム (QUALCOMM Incorporated)
市場:米国(NASDAQ:ナスダック)
銘柄コード:QCOM
業種:通信機器
決算月:9 月
■事業内容
無線通信技術を開発。現在の主要な無線通信技術であるCDMA(符号分割多重接続)、OFDMA(直交周波数分
割多重接続)に関する知的財産を多数保有。売上面ではCDMAテクノロジー部門(半導体チップや関連ソフトなどの
販売)、利益面ではテクノロジー・ライセンス部門(知的財産のライセンス供与)の比重が大きい(2015年9月期)。
■業績推移(単位:百万ドル、%、ドル)
■株価指標
売上高
決算期
純利益
伸び率
16/9 1Q(実績)
15/9(実績)
16/9 予
17/9 予
5,775
25,281
22,593
23,932
一株当たり
伸び率
-18.7
-4.6
-10.6
5.9
1,498
5,271
5,401
6,167
-24.0
-33.8
2.5
14.2
利益
配当
0.97*
4.66*
4.08*
4.74*
0.48
1.80
1.93
1.94
業績予想はブルームバーグ。*:特殊要因を除く継続事業ベース
株価(16/1/29)
52 週高値(15/3/10)
52 週安値(16/1/28)
PER16/9 月期(予)
17/9 月期(予)
5 年平均予想 PER
時価総額
45.34
74.09
43.47
11.1
9.6
14.9
67,778
(ドル)
(ドル)
(ドル)
(倍)
(倍)
(倍)
(百万ドル)
2016 年 9 月期 1Q(10-12 月)決算は市場予想を上回った
2016年9月期1Q決算は、売上高が前年同期比18.7%減、純利益が同24.0%減。いずれも市場予想を
上回った。CDMAテクノロジー部門は同21.9%減収となったものの、低価格帯デバイス向けの製品には力
強さがみられた。また、テクノロジー・ライセンス部門も同11.5%減収となったものの、この背景には一時的
要因などがあり、ライセンス先企業からのデバイス売上高報告額は同7.4%増と堅調であった。
最新モバイル向けプロセッサが業績改善に寄与すると予想
同社の最新モバイル向けプロセッサ「Snapdragon 820」は、1月下旬時点で100件以上の受注を獲得。
前世代の「810」と比べても、受注動向は好調である。特に、「810」は発熱問題に悩まされ、サムスン電子
の旗艦スマートフォン「Galaxy S6」向けの受注を逃した経緯があるが、今春に発売が予想される「Galaxy
S7」向けでは「820」により再び受注獲得が期待できるとみる(なお、サムスン電子は「820」の製造を担当する)。これ
により、CDMAテクノロジー部門の業績は2016年9月期下期(4-9月)に改善に向かうと予想する。
配当利回りの高さや業績改善期待から、同社株は再評価されるとみる
同社株の2016年9月期予想配当利回り(4.3%)は、S&P500情報技術指数構成銘柄(68銘柄)のうち第4位
の高水準にある。上述の「Snapdragon 820」や、中国企業とのライセンス契約締結などによる業績改善期
待を背景に、今後、同社株の割安感が再評価される展開を想定する。
<当期予想配当利回りの推移>
<クアルコムの週足チャート>
(%)
5
クアルコム
4
3
2
1
S&P500情報技術指数
0
2010
2011
2012
2013
2014
2015
2016
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
出所:ブルームバーグより東海東京調査センター作成
- 11 -
(堤 雄吾)
宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
今週の「フォーカス・ワン」
< No.122 > 「新たな戦いが始まった !!」
~目白押しの注目スケジュールを読み解く?
2月~3月は、1月の世界同時株安の原因となった、①チャイナ・リスク、②原油安、③中央
銀行の市場との対話の齟齬(そご) ― に関する重要なイベントが目白押しだ。その注目ポ
イントは以下の通り。まず中国では、2月26・27日のG20財務相・中央銀行総裁会議(上海)後
か、3月5~15日の全国人民代表大会前に景気対策が浮上するか。原油では、ナイジェリア
などが臨時のOPEC(石油輸出国機構)総会開催(2月中?)を要請しており、サウジアラビアやロ
シアなどとの協調減産が成るか。中央銀行では、FRB(米連邦準備理事会)が2月10・11日のイ
エレン議長による議会証言、2月17日のFOMC(連邦公開市場委員会)議事録(1月)公開、を経
た3月15・16日のFOMCで追加利上げを見送るか。ECB(欧州中央銀行)は、ドラギ総裁が示唆
(1/21)した3月10日の理事会での追加緩和の内容が注目される。初のマイナス金利を導入
(1/29)した日銀は、3月14・15日の金融政策決定会合で更なる緩和の姿勢を見せるか、など
だ。こうしたスケジュールをみると、世界の投資家(ヘッジファンドなど)は更なる売り仕掛けをし
にくい環境になったといえる。それでも売りが止まらなかった場合は、大きなマネーの変動と
して、注意が必要になろう。このため、ここは“新たな国際協調”に期待したい。 (中井 裕幸)
今・来週のタイムテーブル
・ 国内では、2月8日(月)に12月の経常収支、12月の毎月勤労統計(速報)、1月の景気ウォッチャー調査など
の発表が予定されている。
・ 米国では、2月12日(金)に1月の小売売上高、2月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報)などの発表が
予定されている。また、10日(水)に下院金融サービス委員会、11日(木)に上院銀行委員会でイエレンFRB
議長の議会証言が行われる予定。
月日
2.8(月)
9(火)
10(水)
国内経済
決算発表予定
12月の経常収支
12月の毎月勤労統計(速報)
1月の企業倒産件数
1月の景気ウォッチャー調査
安藤ハザマ、カネカ、いすゞ、スズキ、名鉄
1月のマネーストック
1月の工作機械受注(速報)
大成建、大林組、清水建、鹿島、西松建、
東レ、日医工、沢井製薬、太平洋セメ、
三菱マ、SMC、ダイキン、住友不
1月の企業物価指数
長谷工、熊谷組、日本紙、DMG森精、東急、
ソフトバンクG
関電化、日本郵政、ゆうちょ、かんぽ、
サイバダイン、東京海上、三井不
12(金)
月日
2.8(月)
9(火)
米国経済
1月の労働市場情勢指数
12月の卸売在庫
10(水)
1月の月次財政収支
イエレンFRB議長、下院金融サービス委員会で議会証言
11(木)
イエレンFRB議長、上院銀行委員会で議会証言
12(金)
1月の輸入物価指数
1月の小売売上高
12月の企業在庫
2月のミシガン大学消費者信頼感指数(速報)
15(月)
祝日(ワシントンの誕生日)につき、米国株式市場は休場
16(火)
2月のNY連銀製造業景気指数
2月のNAHB住宅市場指数
17(水)
1月の住宅建設許可件数
1月の住宅着工件数
1月の生産者物価指数
1月の鉱工業生産
1月の設備稼働率
FOMC(米連邦公開市場委員会)議事録公開
(1/26-27開催分)
15(月)
10~12月期の国内総生産(GDP)(速報)
12月の第3次産業活動指数
12月の鉱工業生産指数(確報)
16(火)
1月の首都圏マンショ ン販売
17(水)
12月の機械受注
1~3月期の機械受注・四半期見通し
18(木)
1月の貿易収支(速報)
18(木)
2月のフィラデルフィア連銀景気指数
1月の景気先行指標総合指数
19(金)
12月の全産業活動指数
19(金)
1月の消費者物価指数
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経済指標の発表は変更されることがあるのでご注意ください。担当アナリストの取材およびブルームバーグ、日経クイック他より作成。
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宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
このレポートは、東海東京調査センターが作成し、宇都宮証券株式会社が許諾を受けて提供いたして
おります。投資判断の最終決定は、お客様ご自身の判断でなさるようお願いいたします。
金融商品取引法に基づきお客様にご留意いただきたい事項を以下に記載させていただきます
宇都宮証券の概要
商 号 等 : 宇都宮証券株式会社
加入協会 : 日本証券業協会
金融商品取引業者
関東財務局長(金商)第32号
リスクについて
◎ 国内外の金融商品取引所に上場されている有価証券(上場有価証券等)の売買
等にあたっては、株式相場、金利水準等の変動や、投資信託、投資証券、受益証
券発行信託の受益証券等の裏付けとなっている株式、債券、投資信託、不動産、
商品等(裏付け資産)の価格や評価額の変動に伴い、上場有価証券等の価格等
が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
◎ 上場有価証券等の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合や、裏付
け資産の発行者等の業務や財産の状況等に変化が生じた場合、上場有価証券等
の価格が変動することによって損失が生じるおそれがあります。
◎ 新株予約権、取得請求権等が付された上場有価証券等については、これらの権利
を行使できる期間に制限がありますのでご留意ください。
◎ 上場有価証券等が外国証券である場合、為替相場(円貨と外貨の交換比率)が変
化することにより、為替相場が円高になる過程では外国証券を円貨換算した価値
は下落し、逆に円安になる過程では外国証券を円貨換算した価値は上昇すること
になります。したがって、為替相場の状況によっては為替差損が生じるおそれがあ
ります。
※ 裏付け資産が、投資信託、投資証券、預託証券、受益証券発行信託の受益証券
等である場合には、その最終的な裏付け資産を含みます。
※ 新規公開株式、新規公開の投資証券及び非上場債券等についても、上記と同様
のリスクがあります。
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宇都宮ウィークリー 平成28年2月8日
手数料等諸費用について
Ⅰ 国内の金融商品取引所に上場されている有価証券等
国内の取引所金融商品市場における上場有価証券等の売買等についてお支払いいただく委託手
数料等は、次の通りです。
(1)国内の金融商品取引所に上場されている株券等(新株予約権付社債券を除く。)
委託手数料の上限は、約定代金の1.242%(税込)になります。
(2) 国内の金融商品取引所に上場されている新株予約権付社債券等
委託手数料の上限は、約定代金の1.08%(税込)になります。
※上記金額が2,700円(税込)に満たない場合には、2,700円(税込)になります。
Ⅱ 外国金融商品市場等に上場されている株券等
外国株券等(外国の預託証券、投資信託等を含みます。)の取引には、国内の取引所金融商品市
場における外国株券等の売買等のほか、外国金融商品市場等における委託取引と国内店頭取引
の2通りの方法があります。
(1)外国金融商品市場等における委託取引
① 国内取次ぎ手数料
国内取次ぎ手数料が約定代金に対して掛ります。
当該手数料の上限は、約定代金の1.188%(税込)になります。
② 外国金融商品市場等における委託手数料等
外国株券等の外国取引にあたっては、外国金融商品市場等における委託手数料及び公租公
課その他の諸費用が発生します。当該諸費用は、その時々の市場状況、現地情勢等に応じて
決定されますので、本書面上その金額等をあらかじめ記載することはできません。
(2)国内店頭取引
お客様に提示する売り・買い参考価格は、直近の外国金融商品市場等における取引価格等を基
準に合理的かつ適正な方法で算出した社内価格を仲値として、仲値と売り・買い参考価格との差
がそれぞれ原則として2.5%(手数料相当額)となるように設定したものです。当該参考価格には
手数料相当額が含まれているため、別途手数料は頂戴いたしません。
※ 外国株券等の売買等にあたり、円貨と外貨を交換する際の為替レートは、外国為替市場の動
向をふまえて当社が決定した為替レートによるものといたします。
Ⅲ その他
募集、売出し又は相対取引の場合は、購入対価をお支払いいただきます。また、お客様との合意に
基づき、別途手数料をいただくことがあります。
セミナー等の開催について
このレポートで紹介するセミナー等では、金融商品取引契約の締結の勧誘(勧誘を目的とした具体的
商品の説明を含む)を行うことがありますのでご留意ください。
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◆ 営業店のご案内 ◆
店
舗
住
所
電話番号
本店営業部
〒320-0801
栃木県宇都宮市池上町 4-4
028-614-5111
宇都宮東支店
〒321-0953
栃木県宇都宮市東宿郷 3-2-18
028-633-0411
今市支店
〒321-1261
栃木県日光市今市 474
0288-21-1010
鹿沼支店
〒322-0051
栃木県鹿沼市久保町 1864-9
0289-64-1131
真岡支店
〒321-4361
栃木県真岡市並木町 4-5-10
0285-84-6511
西那須野支店
〒329-2753
栃木県那須塩原市五軒町 6-4
0287-28-5511
-----宇都宮証券 「金融セミナー」 開催----特 別 経 済 セ ミ ナ ー 2月 8日 ( 月 ) 14: 00~ 15: 30
東武ホテルグランデ4階「松柏」
TEL028-614-5111
鹿沼支店
2月 16日 ( 火 ) 15: 00~ 16: 00 鹿 沼 支 店 ( ま ち ゼ ミ )
TEL0289-64-1131
真岡支店
2月 17日 ( 水 ) 15: 00~ 16: 00 真 岡 支 店 ( 支 店 1階 )
TEL0285-84-6511
西那須野支店
今市支店
2月 17日 ( 水 ) 15: 15~ 16: 00 西 那 須 野 支 店 ( 支 店 2 階 ) TEL0287-28-5511
2月 19日 ( 金 ) 15: 30~ 16: 30 今 市 支 店
TEL0288-21-1010
本店営業部
2月 19日 ( 金 ) 16: 00~ 17: 00 本 店 営 業 部
TEL028-614-5111
鹿沼支店
2月 24日 ( 水 ) 11: 00~ 12: 00 鹿 沼 支 店 ( ま ち ゼ ミ )
TEL0289-64-1131
宇都宮東支店
2月 24日 ( 水 ) 15: 30~ 16: 30 宇 都 宮 東 支 店
TEL028-633-0411
*詳しくは、最寄りの営業部店にお問合せ下さい。
当社の概要
商号等:宇都宮証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第32号
加入協会:日本証券業協会
◎金融商品等にご投資いただく際には、各商品等に所定の手数料等をご負担いただく場合があります。また、各商品等には
価格等の変動等による損失が生じるおそれがあります。商品ごとに手数料等及びリスクは異なりますので、当該商品等の契
約締結前交付書面等をよくお読みください。
今回ご紹介するセミナー等では、セミナーでご紹介する商品等の勧誘を行うことがありますので、ご留意ください。