FOCUS GDS - Messe Düsseldorf Japan MDJ

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Dec. 2015
Publisher:Messe Düsseldorf Japan
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FEB
®
2 016
DÜSSELDORF,GERMANY
Text by Tomoko OYA (Shoes Journalist)
新ブランドに出会える見本市の楽しみ――
ポーランドのファッショングループ
「ハッシュ
・ワルソー」
見本市を訪れる目的は、何だろう
キュベート組織。有望ブランドを紹介
か。仕入れ、新しい取引先の開拓、
する雑誌の発行、また各種の展示
またファッションや新ブランドなどに
会への出展支援を行っている。
ついての情報収集。どれも定番の
GDSに出展したのは、ハッシュ・
来場目的だが、 やった! という達
ワルソーがアクセサリーゾーンの2014
成感が味わえるのは、有望な新ブラ
年活躍ブランドとして選出した、靴と
ンドに出会えた時ではないだろうか。
バッグの5ブランド。出展ホールは、
それが、ファッション新興国のブラン
「HIGHSTREET」ゾーンの5号館。
ドだったら、なおさらだ。
7月のGDSに、そんな期待を抱
かせる出展があった。ポーランドの
このうち靴ブランドは、バルドウス
ハッシュ・ワルソーは5号館に出展。
バッグブランド「MAKO」のブース
キ(BALDOWSKI)
。同 名 の 婦 人
靴メーカーのブランドだ。 ファッショングループだ。
同社は、1973年創業。ファミリービジネスとしての創業だった
「クラコウ」という歴史的な靴をご存じだろうか。
「シュナーベ
が、ポーランド伝統の技術による品質とナチュラルレザー、イタリ
ルシューエ」
(独)
、
「プーレーヌ」
(仏)とも言われ、15世紀に
ア人デザイナーによるデザインによって成長。現在の生産規模は、
ヨーロッパ全域で流行した、異様に爪先が長い男性靴だ。その
日産800足と言う。
発祥の地が、クラコウとされている。それでこの名がある訳だが、
2016年春夏コレクションは、フリンジを取り入れたフラットソー
クラコウは、現在ではクラクフとして知られるポーランドの古都。
ルのリゾートスタイル・サンダル、モデレートカラーによるカラーコ
17世紀初めにワルシャワに遷都されるまでポーランド王国の首都
ンビネーション・サンダル、またバルカナイズ風底回りデザインの
だった。
スニーカー等々。2016春夏のフ
ポーランドは、靴に所縁の深い国なのだ。
ァッショントレンドが適度に、随
そして現在はと言うと、年間生産量3600万足。年間消費量
所に取り入れられている。
は1億1000万足。輸出は6100万足。これに対して輸入は1億
価 格は、
FOB50∼75ユーロ
3500万 足(データはすべてAPICCAPS刊「World Footwear
だ。
Yearbook 2015」より)
。生産より輸出が多いのは、再輸出をし
この他、バッグブランドでも、
ているからであり、先進国型の産業構造と言える。
プレーンなスリッポンやブーツな
そんな状況を象徴するのが、
CCCという靴企業。自社工場を
どを展開していた。
持つが、扱い量の70%が中国などからの輸入。そして周辺国
ポーランドらしさという点で
を含め、約700店舗を展開。ポーランド国内におけるマーケット
は、もうひと味欲しい気はする
シェアは、17∼18%というのだ。
が、トレンドの取り入れ方は及
こうした企業の存在は、靴市場の拡大、そして成熟の方向に
第点と言える。パリで開催の中
向かっていることをイメージさせ、デザイン的に洗練されたブラン
小規模の展示会では、北欧、
ドの存在を期待させる。
また韓国やタイといったアジア諸
国のデザイナーによるブランドの
トレンドを適度に取り入れて洗練
出展が目立つようになっている
そのグループは、ハッシュ・ワルソー(Hush Warsaw)
・インタ
が、そうした中にポーランド発
ーナショナル。つまり、ハッシュ・ワルシャワ。靴やバッグのアクセ
の個性派ブランドが加わる日が
サリーブランド、及び新進気鋭のアパレルブランドを支援するイン
近いのかもしれない。
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商品はすべて「BALDOWSKI」
靴製造の未来を示唆する
「3Dテク
ノロジー」
にフ
ォーカス
展示ホールのメイン通路に設定され
たHIGHLIGHT ROUTEは、
GDSが目
指す情報発信型見本市を実現するため
の重要なステージだ。前号で紹介した
2016 年 春 夏ファッショントレンドも、
HIGHLIGHT ROUTE 上で提案された
が、まさにハイライトとして展開されたの
が、「3D Technology in the Shoe
Sector 」だ。
3号館 HIGHLIGHT ROUTE 上で行われたスレムの展示
靴は、三次元の立体。すなわち、3D。ラスト、ヒール、そ
げ、靴製造に革新をもたらす不可欠の技術。スレムでは、既
して靴そのもののサンプル、さらには製品の製造まで、3Dテク
に3Dプリンティングを学べるコースを持っており、多くの学生が
ノロジーが革新をもたらすことは明らか。その現状と可能性を
意欲的に学んでいます」と語った。
ビジュアルに提示したのが、この展示だ。
スレムの展示は、3号館のHIGHLIGHT ROUTE 上で行わ
展示に参加したのは、3Dプリンターのメーカーなどだが、
れたが、学生が3Dプリンターで製作したソールやラストのプロ
まず紹介したいのは、スレム(SLEM)
。オランダ・ヴァールヴァ
トタイプ、また実際に着用が可能な靴の展示の他、3Dプリン
イクに本拠を置く、フットウエア専門学校だ。因みにヴァールヴ
ターを導入した靴工場を具現化して見せた。
ァイクは、オランダ靴産業のかつての中心地。その歴史を留め
この他、イタリアの3Dプリンター・メーカーによる製品展示、
るために靴博物館があるが、スレムは、その博物館と密接にリ
3Dプリンターを動かすプログラムのデモンストレーション、さら
ンクしている。
にはオーソペディックシューズと足のスペシャリストのコラボレーシ
同校の教師であり、ジャーナリストでもあるニコリーネ・ファン・
ョンによって生まれた、3Dスキャニングと3Dプリンティング技
エンター女史は、
「3Dテクノロジーは、クリエーションの幅を広
術の連携による足と靴の適合を高めるシステムも紹介された。
GDSが着目する希有な靴産業データ集
「World Footwear Yearbook」
前ページに記載したポーランド靴産業データの引用元は、
統計データは、マーケティング
「World Footwear Yearbook 2015」だ。この年鑑を発行してい
の基礎。生産量がどのように推
るのは、APICCAPS(アピカップス=ポルトガル靴・皮革製品
移しているか、どの国(産地)
工業会)だ。
の生産が伸び、あるいは落ち、
2011年から発行を開始し、それ以降、毎年GDS春夏物展
またどの国が、どこから多くを輸
で記者会見を行い、概要を公表する。つまり、2015年版は、
入し、どこに多くを輸出している
7月のGDSで発表された。
のか…。こうしたことがつかめな
2015年版は、2014年の実績データの集計と分析。生産、
かったら、産地戦略や販売戦略
輸出、輸入の全世界ランキング、また大陸別の分析、それに
は立てられない。
国別詳細データから成っている。国別データの掲載国数は版を
APICCAPSは、大きな仕事をしていると言えるが、そのお膝
重ねるごとに増え、2015年版は78ヵ国。チュニジアやウガンダ
元のポルトガルに見本市は、もうない。
GDSが、この年鑑に着
なども含まれている。
目しなかったら、ジャーナリストでさえ、その存在を知り得ない
産業データの集計は、業界団体の重要な役割だ。例えばイ
かもしれない。
タリア靴メーカー協会も、年鑑の形に綴り公表している。
「World Footwear Yearbook」は、下記ページで、有料で入
しかし自国に留まらず、世界各国のデータを収集し、それを
手できる。
分析している例は、希有だ。
http://www.worldfootwear.com/store.asp?link=Store
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■㈱メッセ・デュッセルドルフ・ジャパン 東京都千代田区紀尾井町 4-1 ニューオータニガーデンコート7F
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