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別紙
諮問第511号
答
1
申
審査会の結論
「110 番処理簿」を不存在を理由として非開示とした決定は、妥当である。
2
審査請求の内容
(1)審査請求の趣旨
本件審査請求の趣旨は、東京都個人情報の保護に関する条例(平成2年東京都条例
第 113 号。以下「条例」という。)に基づき、審査請求人が行った「私が、携帯電話
(○○○-○○○○-○○○○)で平成 27 年3月○日午前9時 30 分頃○○区○○(町
名)○-○-○(株)○○へ 110 番通報したときの 110 番処理簿」の開示請求に対し、
警視総監が平成 27 年4月6日付けで行った非開示決定について、その取消しを求め
るというものである。
(2)審査請求の理由
審査請求書及び意見書における審査請求人の主張を要約すると、以下のとおりであ
る。
ア
審査請求人が行った保有個人情報開示請求に対して、平成 27 年4月6日付けで
警視総監が行った非開示決定処分の審査を求める。
イ
警視庁○○警察署が保有する 110 番処理簿の開示を求めたが、当該警察署○○交
番勤務制服警察官が現場へ急行した際に、110 番通報者の住所、氏名を聴取してい
ないからとして非開示決定通知書である。
ウ
警視庁 110 番受信者も審査請求人の氏名、住所を聴取しない。
審査請求人は、平成 27 年3月○日午前9時頃、株式会社○○前通路上において
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携帯電話で○○警察署へ通報したが、警察官が到着しないので○○交番まで歩行し
た。警察官へ事情説明したら審査請求人の氏名、住所をノートに記載した。
そこで請求人は 110 番通報し、警察官が自転車で現地へ到着後、審査請求人を確
認後、即刻撤収の公務不作為で記録を残さない。
3
審査請求書に対する実施機関の説明要旨
理由説明書及び口頭による説明における実施機関の主張を要約すると、以下のとおり
である。
実施機関において、改めて、本件開示請求に係る 110 番処理簿を検索したが、審査請
求人を識別することができる情報は存在しなかった。
したがって、本件開示請求に係る保有個人情報が記録された公文書は、作成しておら
ず、存在しない。
4
審査会の判断
(1)審議の経過
審査会は、本件審査請求について、以下のように審議した。
年
月
日
審
議
経
過
平成27年
6月10日
諮問
平成27年
7月24日
新規概要説明(第95回第三部会)
平成27年
8月13日
実施機関から理由説明書収受
平成27年
9月10日
審査請求人から意見書収受
平成27年11月27日
実施機関から説明聴取(第98回第三部会)
平成27年12月18日
審議(第99回第三部会)
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(2)審査会の判断
審査会は、実施機関及び審査請求人の主張を具体的に検討した結果、以下のように判
断する。
ア
本件請求個人情報について
本件審査請求に係る請求個人情報は、
「私が、携帯電話(○○○-○○○○-○○○○)
で平成27年3月○日午前9時30分頃○○区○○(町名)○-○-○(株)○○へ110
番通報したときの110番処理簿」(以下「本件請求個人情報」という。)である。
実施機関は、本件請求個人情報は作成していないとして、不存在を理由とする非開
示決定を行った。
イ
110 番処理簿について
110 番処理簿は、110 番通報を受理した警視庁通信指令本部(以下「通信指令本部」
という。)の指令担当者が事案を管轄する警察署に指令を発し、当該警察署において
110 番通報の内容や現場に到着した警察官の活動結果を明らかにするために作成さ
れるものである。
同処理簿は、「入電日時」、「処理結果」、「通報場所」、「発生場所」、「入電
事案名」、「通報者」、「通報局」、「通知電話番号」、「聴取電話番号」、「緊配
種別」、「『事件内容及び犯人人相等』及び『訴出人等』」、「処理てん末状況」等
の欄から構成されている。
これらのうち、「『事件内容及び犯人人相等』及び『訴出人等』」欄は、通信指令
本部が110 番通報した者から聴取した通報者の氏名や聴取内容等を記載し、「処理て
ん末状況」欄は、警察署の無線指令者が、事案の処理に当たった警察官からの報告に
基づき、事案の概要や処理てん末、関係者の氏名、住所等を記載することになってい
る。
ウ
本件請求個人情報の不存在の妥当性について
実施機関の説明によると、110 番処理簿の保有個人情報開示請求における通報者の
対象保有個人情報の特定に当たっては、事件や事故の発生を緊急で通知する110 番通
報という特殊性から、記載された個人情報が真に開示請求者自身のものであるのか細
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心の注意を払っており、同処理簿に記載された通報者の氏名、住所、生年月日、電話
番号等から総合的に判断しているとのことである。
また、本件請求個人情報について、保有個人情報開示請求書の記載内容を基に調査
したところ、同請求書に記載された電話番号で入電した通報の110 番処理簿を確認す
ることができたが、同110番処理簿には、審査請求人を特定するに足りる氏名、住所、
生年月日等の個人情報が記録されていなかったため、審査請求人を本人とする保有個
人情報とは特定できなかったとのことである。
審査会が当該110 番処理簿を見分したところ、「通知電話番号」欄に記載された電
話番号と保有個人情報開示請求書に記載された電話番号が一致するものの、同番号は
必ずしも通報者と一致するとは認められず、その他に通報者を特定するに足りる具体
的な記載がないことから、通報者が審査請求人と同一であると確定することができず、
審査請求人を本人とする保有個人情報であるとは断定できなかった。
加えて、当該110番処理簿の「処理てん末状況」欄に、通報者が人定事項について
回答を拒否した旨の内容が記載されていることに鑑みると、通報者を審査請求人と特
定することができなかったという実施機関の説明は首肯できるものである。
また、事件や事故の発生を緊急で通知する110 番通報に基づく110 番処理簿には、
通報者に関する事項を含めて秘密保持の必要性が極めて高い情報が記載されており、
その特殊性から、対象保有個人情報の特定に当たっては、慎重かつ厳格な判断が必要
であることから、本件請求個人情報に合致する110 番処理簿は存在しないという実施
機関の説明に不自然・不合理な点は認められない。
したがって、本件請求個人情報を不存在を理由として非開示とした実施機関の決定
は、妥当である。
よって、「1 審査会の結論」のとおり判断する。
(答申に関与した委員の氏名)
渡辺 忠嗣、鴨木 房子、寺田 麻佑、前田雅英
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