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2016 年 1 月 28 日
【報道関係各位】
株式会社ベネッセホールディングス
代表取締役会長兼社長 原田 泳幸
25 年間の小・中・高校生の学習行動・意識の変化が明らかに-「第 5 回学習基本調査」
学習時間は小・中・高校生とも 00 年代を底に回復へ
授業では能動的な学習活動が好きな子どもが 06 年比で増加
~学習量の増加とともに、学びの質にも変化の兆し。「確かな学力」路線の影響、顕著に~
株式会社ベネッセホールディングス(本社:岡山市)の社内シンクタンクであるベネッセ教育総合研究所では、2015
年 6 月から 7 月にかけて、小学 5 年生・中学 2 年生・高校 2 年生を対象に「第 5 回学習基本調査」を実施いたしまし
た(第 1~4 回は、1990、1996、2001、2006 年に実施)。本調査では、1990 年から 25 年間におよぶ子どもの学習行
動や意識の変化をみることができます。
主な調査結果は、以下の通りです。
学校外学習時間の増加と主体的・協働的な学習の広がり-学習は量・質ともに変化
1.
小中学生の学校外の平均学習時間は、前回に引き続き増加。1990 年の調査開始以来、減少を続けて
いた高校生についても増加に転じる。
 小中高校生ともに、2006 年比で平均学習時間が増加した(小学生・高校生:約 14 分増、中学生:3
分増)。25 年間でみると、1990 年代には減少傾向にあったが、小中学生は、2001 年を境に増加傾
向にかわり、小学生は今回過去最長時間となり、高校生も中上位層を中心に今回初めて、増加に
転じた。
2.
学習時間の増加の背景には宿題時間の増加の影響がみられる。
 全体の学習時間と並行して宿題や課題の時間も前回比で上昇しており(小学生:13 分増、中学生:
7 分増、高校生:9 分増)、学校による家庭学習指導の強化が、学習時間全体の増加に寄与してい
ると考えられる。
 宿題の内容をみると、小・中学生では「自学ノートなど自主的な学習」の頻度が高く、「週 4 日以上」が小
学生 42.6%、中学生 53.4%にのぼる。宿題も自分で調べたり考えたりするものが多くなっている。
3.
調査や発表などの主体的・協働的な学習を「好き」という回答が増加。
 授業で好きな学習方法をたずねた結果では、自分で考えたり調べたりする活動やグループ活動に
関する項目で上昇がみられた。特に「考えたり調べたりしたことをいろいろ工夫して発表する授業」
は、全体の比率はそう高くはないものの、小・中・高校生とも今回 10 ポイント以上上昇している。
意識-勉強の効用感の上昇、将来観・社会観の変化
4.
勉強が将来の生活や成功に役立つと考える子どもが増えている。
 勉強の効用は、特に中高生で上昇がみられ、「心にゆとりがある幸せな生活を送るため」や「よいお
父さん、お母さんになるため」といった生活の豊かさへの有用感とともに、「お金もちになるため」「尊
敬される人になるため」といった地位達成に関連する項目も 10 ポイント以上上昇している。
5.
「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」という考えが小・中・高校生とも、10 ポイント以上増加。
 「いい大学を卒業すると将来、幸せになれる」という考えを肯定する割合は、これまでほとんど変化が
なかったが、今回大きく上昇した(小学生:16.9pt 増、中学生:16.0pt 増、高校生 12.8pt 増)。「将来、
一流の会社に入ったり、一流の仕事につきたい」も小・中・高校生とも 10 ポイント前後増加しており、
いい大学、一流の会社・仕事といった志向が高まっている。
1
■調査結果からみえてきたこと
この調査は、大学入試センター試験がスタートし、受験競争の弊害や詰め込み教育が問題視されていた 1990 年に
開始しました。その後、国の方針がゆとり教育へシフトしましたが、2000 年前後の学力低下論争を経て、再度、学
力向上路線へと転換しました。変動の 25 年の中で、子どもの学びがどう変わっていったのか、本調査は時代の軌跡
を示しているとも言えます。
この間、90 年代に減少していた学校外の学習時間は、小・中学生が 2001 年を底に、高校生も 2006 年を底に回復
傾向にあり、国の政策の動きと符合する形で推移しています。また、今回の結果では、宿題が増加しており、学校
の家庭学習指導の強化の影響がみられるとともに、一方では、活用力・探究力といった新たな学力を育むための主
体的・協働的な学習活動も徐々に浸透しつつあることがわかります。いわば、
「確かな学力」のもと、主に学校主導
で「量」が増加するとともに、主体的・協働的な学習スタイルの転換へと、学びの「質」にも変化の兆しがみられて
きているのが現在の状況であると言えるでしょう。
これから、次期学習指導要領の改訂や大学入試改革など、教育現場に大きな影響を与える改革の検討が進みます。
当研究所では、今後も様々な角度から子どもの学びの変化をとらえ、結果を社会に発信・還元していくことで、子
どもにとってよりよい学びとはどうあるべきなのか、ともに考え続けてまいります。
【調査概要】
名称
調査テーマ
調査方法
調査時期
第 5 回学習基本調査
学習に関する意識・実態調査
学校通しの質問紙による自記式調査
第 1 回 1990 年 9~10 月/第 2 回 1996 年 5~6 月/第 3 回 2001 年 5~6 月/第 4
回 2006 年 6~7 月/第 5 回 2015 年 6~7 月
第 5 回:小学 5 年生 2,601 名(33 校)、中学 2 年生 2,699 名(20 校)
、
高校 2 年生 4,426 名(18 校)
調査対象
調査項目
調査・分析
協力者
※中学生については、大都市(東京 23 区内)、中都市(地方県庁所在地)
、郡部の 3 地域区分を設定
してサンプルを抽出。
※協力校の多くが 5 回とも同一。継続いただけない学校については近隣校より代替校を抽出。
※高校生については、上記地域区分に加え、学校の偏差値層を考慮してサンプルを抽出。対象校は
全日制普通科
※調査対象校はすべて公立。
教科の好き嫌い/授業の理解度/授業で好きな学習方法/家庭での学習時間/家庭
学習をする頻度/宿題/定期テストの勉強の開始時期/学習上の悩み/将来観・社会
観/ICT メディアの学習利用/本・新聞とのかかわり/受験・進路/校外学習・ならいご
と など
耳塚 寛明 先生(お茶の水女子大学 教授)
樋田 大二郎 先生(青山学院大学 教授)
西島 央 先生(首都大学東京 准教授)
寺崎 里水 先生(法政大学 准教授)
本リリース内容の詳細につきましては、ベネッセ教育総合研究所のホームページから「第 5 回学習基本調査」
データブックをダウンロードできます。こちらもあわせてご覧ください。なお、2016 年 3 月には、詳細をま
とめた報告書を掲載する予定です。
http://berd.benesse.jp/shotouchutou/
2
【添付資料】 「第 5 回学習基本調査」 詳細データ
図 1 学校外の学習時間
Q.あなたはふだん(月曜日~金曜日)、学校での授業以外に1日にだいたい何時間くらい勉強していますか。
学習塾や予備校、家庭教師について勉強する時間も含めてください。
無
3時間 それ 答
2時間
30分 3時間 30分 以上 ・不
明
分布
ほとんどしない
小
1990
7.7
1996
7.8
10.4
生
2006
8.3
1990
9.9
1996
10.2
2001
生
2006
2015
高
23.5
8.9
18.4
20.1
15.0
15.7
12.7
14.0
8.3
14.7
18.7
13.3
15.7
20.9
18.0
18.7
およそ30分
1時間
1時間30分
2時間
16.8
9.2
17.0
11.7
18.7
1996
24.1
校
2001
22.8
生
2006
10.1
14.3
24.3
2015
17.0
15.2
14.8
12.4
18.5
18.6
6.6
5.8 1.4 2.5
6.6 1.8 2.4
9.7
5.8 1.12.6
2時間30分 3時間
7.4
13.9
20.4
6.7 1.92.2
8.9
18.6
15.9
無
答
・
不
明
8.2 2.22.8
9.1
16.4
ほとんどしない
1990
10.3
18.7
20.8
4.9 3.2 6.1
そ
3時間 れ
以
2時間30分 3時間 30分 上
20.8
17.2
3.9 3.7 1.9 4.0
6.2
2時間
17.6
5.3 3.61.74.1
5.9 3.9 2.4 6.3
14.1
1時間30分
4.9 2.5 6.2
7.3
7.7
19.5
1時間
12.3
10.1
13.7
27.7
6.3
13.8
25.7
およそ30分
11.4
15.2
29.9
ほとんどしない
学
25.3
12.8
2時間
15.7
24.8
4.0
1時間30分
24.0
24.5
2001
中
1時間
20.8
学
2015
およそ30分
そ 無
3時間 れ 答
以
30分 上 ・不
明
10.7
3.1 4.0
7.9
6.2 2.02.1
13.2
13.7
5.1
5.9 1.5 1.3
12.3
13.5
5.8
6.8 1.31.4
16.4
19.4
8.2
6.5 1.51.6
平均学習時間
小学生
(分)
100.0
90.0
80.0
中学生
(分)
100.0
95.8
87.2
96.9
90.0
80.0
81.5
77.9
70.0
90.0
87.0
80.3
70.0
71.5
60.0
60.0
50.0
50.0
40.0
0
90.0
40.0
0
1990
1996
2001
2006
2015
1990
1996
2001
2006
2015
高校生
(分)
100.0
90.0
93.7
80.0
84.4
77.8
70.0
60.0
70.6
70.5
2001
2006
50.0
40.0
0
1990
1996
2015
3
図 2 宿題の時間が学習時間に占める割合(平均時間)
Q.勉強時間のうち、学校の宿題や課題をする時間は何時間くらいですか。
(分)
120
[ ]は全体の学習時間(分)
うち宿題の時間(分)
□は宿題の割合(%)
[95.8]
100
[90.0]
[87.0]
[81.5]
[84.4]
80
[70.5]
60
40
20
49.8
36.4
52.0%
45.3 50.3%
45.7 64.8%
54.4 64.5%
2015
2006
2015
38.7 44.5%
44.7%
0
2006
2015
2006
小学生
中学生
高校生
注)平均学習時間は「ほとんどしない」を 0 分、「3 時間 30 分」を 210 分、「それ以上」を 240 分(宿題時間は「2 時間」を 120 分、「それ以上」
を 150 分)のように置き換えて算出した。
図 3 宿題の種類と頻度(小学生・中学生)
Q.あなたはふだん、次のような宿題をどのくらいしていますか。
年に数回
月1~2日くらい
週1日
週2~3日くらい
くらい
週4日以上
プリントやドリル
小
52.6
作文
7.7
調べ学習
9.0
5.5
27.4
23.0
22.7
10.0
21.2
ほ
しと
なん
い ど
4.41.92.9
18.9
学
生
16.0
自学ノートなど
自主的な学習
18.8
24.3
42.6
17.4
17.6
16.2
13.0
8.7
4.2
10.0
ほ
週2~3日くらい
週4日以上
プリントやドリル
中
21.5
2.1
作文や小論文 1.1 7.0
週1日くらい
37.8
23.6
月1~2日 年に し と
なん
くらい 数回 い ど
8.3 2.7 5.2
23.0
37.4
26.2
学
生
調べ学習・レポート 1.45.0
自学ノートなど
自主的な学習
9.2
24.0
53.4
37.1
12.3
20.6
8.4
7.5
6.2
11.1
4
図 4 授業で好きな学習方法
Q.あなたは、次にあげる学校の勉強方法が、どのくらい好きですか。
「とても好き」+「好き」の%
中学生
小学生
高校生
先生が黒板を
使いながら教える授業
84.8
82.7
86.0
75.0
76.4
77.9
友だちと話し合いながら
進めていく授業
81.8
81.0
86.0
74.4
73.5
74.1
82.1
82.9
80.4
60.8
60.7
70.5
9.8up
5.0up
グループで何かを
考えたり調べたり
する授業
85.2
82.4
88.2
学校外のいろいろな
場所に行ってする
授業や調査
86.9
84.6
89.2
62.8
5.8up
70.7
67.4
72.0
91.3
91.1
90.7
ドリルやプリントを
使ってする授業
67.1
66.2
70.3
個人で何かを考えたり
調べたりする授業
51.3
57.2
68.7
13.9 up
11.5up
69.4
69.9
76.4
いろいろな人に
話を聞きに行って
する授業や調査
67.6
64.0
76.1
54.9
52.9
66.3
50
50.7
51.5
51.3
74.3
79.6
68.3
43.5
49.0
57.1
自分たちで
テーマや調べ方を
決めてする授業
(%) 0
51.3
48.9
5.8up
パソコンやタブレットを
使ってする勉強
考えたり調べたりした
ことをいろいろ工夫して
発表する授業
67.4
66.0
71.8
6.5up
12.1 up
45.9
48.6
57.2
41.5
46.8
57.7
45.3
41.3
51.9
34.5
31.5
13.4 up
100100
0
45.4
52.3
49.5
50.8
55.7
56.8
8.1up
47.3
42.4
54.0
8.6up
31.3
30.4
36.9
10.9up
32.5
26.8
35.8
10.6up
30.0
25.0
38.3
15.5 up
47.0
50
2001
2006
2015
100100
00
11.6 up
6.5up
9.0up
13.3up
50
100
100
注1)小学生は「とてもすき」「すき」「すきでない」「ぜんぜんすきでない」の4つの選択肢、中学生・高校生はそれに「やっていない」を含めた5つ
の選択肢でたずねている。
注2)2006 年に比べて 10 ポイント以上アップしているものを●、5 ポイント以上 10 ポイント未満のアップを●で、そのポイントの差を示している。
5
図 5 勉強の効用
Q.学校の勉強は、次のことにどのくらい役立つと思いますか。
小学生
一流
の会
社に入
るため
に
お金持
ちにな
るため
に
年
06
06
32.6
46.2
一流の会社に入るために 15
お金持ちになるために
14.0
21.8
15
心にゆ
とりが
ある
幸せな
生活を
送るた
めに
心にゆとりがある幸せな 06
生活を送るために 15
33.8
36.0
趣味
やス
ポーツ
などで
楽しく
生活
するた
めに
尊敬される人になるために 06
15
会社
や役
所に
入って
えらく
なる
(出世
する)
ために
会社や役所に入って 06
えらくなる(出世する)ために 15
12.5
23.3
10.0up
41.5
54.9
趣味やスポーツなどで 06
楽しく生活するために 15
尊敬さ
れる人
になる
ために
中学生
23.1
37.7
47.8
39.0
39.3
34.1
36.3
50.5
37.7
30.5
7.0up
36.5
33.8
9.6up
51.5
63.7
34.0
25.6
社会で役に立つ人に 06
なるために 15
53.2
63.5
31.3
24.7
社会で
役に立
つ人に
なるた
めに
よいお
父さ
ん、お
母さん
に
なるた
めに
よいお父さん、お母さんに 06
なるために 15
(%)
0
とても役に立つ
50
まあ役に立つ
24.3
32.9
5.8up
13.9
21.4
11.4up
41.8
40.4
27.7
39.8
42.3
41.1
31.2
42.8
42.3
38.6
43.7
42.8
34.9
48.1
10.6
17.6
8.4up
11.1up
11.2up
12.1up
46.5
46.1
39.3
45.3
20.1
32.5
14.1up
49.6
12.0up
49.2
100
00
100
50
15.4up
44.6
47.0
13.5
21.6
46.5
38.1
100
00
100
34.5
38.7
28.2
33.5
7.9up
12.3up
47.4
19.8
29.5
10.9up
7.4up
43.7
26.1
43.1
22.8
34.8
52.7
51.5
40.6
45.4
10.1up 14.4
48.7
19.1
28.9
36.8
46.5
33.2
45.5
36.8
37.4
21.6
37.3
41.3
31.5
高校生
54.5
45.7
50
100
注)2006 年に比べて 10 ポイント以上アップしているものを●、5 ポイント以上 10 ポイント未満のアップを●で、そのポイントの差を示している。
図 6 社会観・将来観
Q.あなたは、次の意見をどう思いますか。
小学生
いい友だちが
いると幸せに
なれる
年
いい友だちがいると
幸せになれる
24.7
22.3
23.6
42.6
日本は、
努力すれ 将来、一流の会
ばむくわ 社に入ったり、 お金がたくさん いい大学を卒業
れる社会 一流の仕事につ あると幸せにな すると将来、幸
きたい
れる
せになれる
だ
いい大学を卒業すると 90
将来、幸せになれる 96
06
15
40.9
35.6
28.0
18.8
34.6
37.6
37.6
15
将来、一流の会社に 90
入ったり、一流の 96
仕事につきたい 06
15
日本は、努力すれば 06
むくわれる社会だ 15
日本
は、競
争が
はげし
い社
会だ
日本は、競争が 06
はげしい社会だ 15
35.5
29.1
29.9
28.0
28.8
29.1
48.4
39.4
0
23.3
22.6
31.8
13.3up
33.4
50
まあそう思う
29.8
33.4
32.3
20.0
26.2
20.2
29.4
29.9
28.5
11.0up
33.5
29.0
とてもそう思う
36.6
28.3
19.7
13.0
31.6
14.9
29.7
27.7
32.9
11.4up
29.9
29.2
31.8
42.0
20.8
21.3
52.7
64.2
73.7
16.9up
22.1
25.3
20.4
29.0
17.4
28.7
28.3
29.2
90
お金がたくさんあると 96
幸せになれる 06
高校生
中学生
45.3
54.0
65.2
75.0
90
96
06
15
100
00
100
17.9
28.1
36.4
37.5
23.9
26.9
41.5
37.3
50
16.0up
65.1
72.1
76.6
7.6 31.2
7.2 30.9
14.5
36.4
8.1up
8.8up
11.3up
30.9
24.2
19.3
22.1
19.5
25.2
40.7
43.2
41.8
18.6
21.6
28.4
32.4
30.2
34.4
10.2
13.0
28.2
30.3
100100
00
12.8up
11.0up
35.2
37.3
47.6
48.6
50
100
注1)2006 年に比べて 10 ポイント以上アップしているものを●、5 ポイント以上 10 ポイント未満のアップを●で、そのポイントの差を示している。
注2)各項目についてグラフのない年は該当項目をたずねていない。すべてについて 2001 年はたずねていない。
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